体調不良のときや疲れが溜まっているときなど、寝すぎて腰が痛くなった経験をどなたも一度はされたことがあると思います。
寝起きから腰に痛みがあれば、日常生活にも支障が出てしまいますよね。
体を休めるために睡眠をとっているにもかかわらず、なぜ長く寝すぎると腰痛になってしまうのでしょうか?
当記事では、寝すぎで腰が痛くなる原因と、自身で簡単に行える対処法(ストレッチ)を解説しています。
寝すぎで腰を痛めないように予防策も紹介していますので、ぜひ最後までご覧になってください。
寝すぎで腰が痛くなる原因は「血行不良」
寝すぎで腰が痛くなる原因には「血行不良」が考えられています。長時間同じ姿勢が続くと筋肉が硬くこわばり、血の巡りが悪くなってしまいます。
血流が滞り、腰まわりに発痛物質が放出されることで、痛みを引き起こしてしまうのです。特に以下の要因に当てはまる方は、寝すぎにより腰や背中を痛めやすくなります。
参考記事:寝起きに背中が痛い原因とは?寝具の選び方・即効性が高いストレッチを紹介
寝具が合っていない
枕やマットレスなど寝具が体に合っていない場合、寝ているときの姿勢が悪くなることで、腰や背中の筋肉に余計な負担をかけてしまいます。
通常、自然に立っているときと同じ姿勢で寝ることが理想とされています。しかし、枕の高さがあっていないと睡眠時に無理な体勢が続いて、腰まわりの筋肉が硬くこわばります。それにより、血行不良を招いて腰痛につながってしまうのです。
また、後ほど紹介する寝返りの減少にも関与するため、枕の高さはもちろんのこと、寝具の硬さにも注意を向ける必要があります。
寝返りがきちんと打てていない
睡眠中、一晩で平均20〜30回ほどの寝返りを打つといわれています。寝返りで体を動かすことにより、血液やリンパの流れを促しているのです。
しかし、寝返りが減ると同じ姿勢が長く続くため、腰部や背中まわりの筋肉が硬くこわばり、血行不良を招いてしまいます。
寝返りを妨げる要因としては寝具の影響が強く、やわらかすぎる・固すぎる寝具を利用していたり、滑りの悪いパジャマを着用していたりすると、寝ているときに体勢を変えづらくなってしまいます。
睡眠の質が悪い
睡眠の質が悪く熟睡ができていない場合、その日の疲れがうまく取れません。疲労を溜めることで筋肉が硬くこわばり、血流の悪化を招いてしまいます。
また、質の悪い睡眠では効率的に疲労を回復できないため、睡眠時間が長くなることにもつながるでしょう。
日常生活において睡眠の質を低下させるのは、次のような要因が挙げられます。
- 不規則な生活習慣
- ストレス
- 加齢
また、寝る前にスマホやパソコンをみるとブルーライトの刺激で脳が覚醒し、快眠を妨げるとも言われています。
参考記事:【筋肉が原因となる腰痛】筋筋膜性腰痛とは?見分け方と対処法を解説!
寝すぎて腰や背中が痛いときの4つの対処法
寝すぎで生じた腰や背中の痛みを改善するために、以下のようなセルフケアを行いましょう。
いきなり起き上がらないようにする
睡眠中に血行が悪い場合、急に起き上がろうとすることで腰痛を生じやすくなります。そこで、布団の中で軽く足首や股関節を動かし、血の巡りを良くしてから起き上がるようにしましょう。
また、仰向けの姿勢から上体を起こすのではなく、一度横向きになり、両手や膝で体を支えながら起き上がることで腰への負担を軽減できます。
軽い運動を行う
適度な全身運動を行うことで、筋肉のポンプ作用(筋肉の収縮によって血液を押し出す作用)が働き、腰部への血行が回復します。
しかし、ハードな運動では疲れが溜まり、それも腰痛の原因となるかもしれません。腰や背中の痛みを軽くするには、ウォーキングやラジオ体操といった負担の少ない運動を行うことがおすすめです。
ゆっくり入浴する
体を温めると血の巡りが良くなり、腰痛の原因となる発痛物質が体外に排出されやすくなります。
全身の緊張をほぐし、腰痛の緩和につなげるためには、38〜40度前後の湯船に15分を目安にゆっくり浸かるようにしましょう。
ストレッチで筋肉をゆるめる
ストレッチで腰や背中まわりの筋肉をゆっくり伸ばしていきましょう。筋肉の柔軟性を高めると血の巡りが良くなるため、腰の痛みが軽減しやすくなります。
具体的なストレッチの方法については、このあと詳しく解説していきます。
寝すぎによる腰痛を治すおすすめのストレッチ法3選
寝すぎによる腰や背中の痛みには「ヒップロールストレッチ」「CAT&DOG」「広背筋ストレッチ」がおすすめです。
勢いをつけたストレッチでは、筋線維を痛める可能性があります。呼吸をしながら、ゆっくりと筋肉を伸ばすように意識してください。
ヒップロールストレッチ
骨盤後方から背骨にかけて広く付着する「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」を伸ばすストレッチです。寝すぎによって固まった背部、腰部の筋肉をゆるめることで、腰痛の緩和につなげられます。
STEP2:両膝を閉じたまま片側へ倒しましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:腰の筋肉の伸びを感じながら繰り返しましょう
※肩が床から離れないように注意して行ってください
背中の筋肉がしっかり伸びるように意識して行ってください。片側を伸ばしたら反対側も同様に行い、脊柱起立筋を左右バランスよくストレッチします。
CAT & DOG
四つ這いで「背中を反らせる」「背中を丸める」を交互に繰り返し、背骨周辺の柔軟性を高めていく体操です。姿勢が犬や猫に似ていることから、この名前で呼ばれています。
STEP2:肩甲骨を寄せながら背中を反らしましょう
STEP3:肩甲骨を離しながら背中を丸めます
STEP4:2つの動きを繰り返しましょう
※背中をなるべく大きく動かしてみてください
※肘が曲がらないように注意しましょう
骨盤や背骨、肩甲骨がしっかり動いていることを意識して行いましょう。
広背筋ストレッチ
広背筋(こうはいきん)は、骨盤の後面から背骨、腕にかけて付着する筋肉です。腕の動きのほか、広背筋の硬さが腰痛に関与する場合もあります。
STEP2:手をついたまま体を後方へ動かしましょう
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻ります
STEP4:脇の下の伸びを感じながら繰り返しましょう
※腰を反らさないように注意しましょう
脇腹から腰のあたりの筋肉がしっかり伸びるように意識して行ってください。片側が終わったら反対側も同様に行い、左右の広背筋をバランスよくストレッチしていきましょう。
【誰でも簡単】睡眠による腰痛を防ぐコツ
寝すぎによって何度も腰や背中を痛めている方は、普段から予防もしっかり行うことが大切です。睡眠による腰痛を防ぐためには、次のような方法を実践してみてください。
寝る前にストレッチをする
就寝前にゆっくりストレッチを行ってください。筋肉をやわらかくしておくと寝返りがスムーズに打てるようになるため、寝ている間に血行不良を起こしにくくできます。
また、ストレッチにはリラクゼーション効果を期待できますので、睡眠の質も高められるでしょう。1)
睡眠による腰痛を防ぐには、先ほど紹介した「ヒップロールストレッチ」「CAT&DOG」「広背筋ストレッチ」など、背部から腰部の緊張をゆるめるストレッチが有効です。
参考記事:寝ながらできる腰痛改善ストレッチ!4つの症状別の対処法を解説
参考記事:【1日たった5分】腰痛改善に必要な簡単ストレッチを原因とあわせて紹介!
体にあった寝具を使う
寝起きに背中や腰まわりの筋肉に凝りを感じる際は、寝具があっていない可能性が高いです。腰痛を防止するためにも、枕やマットレスなど寝具を一度見直してみましょう。
横向きに寝ても首が左右に傾かず、背骨がまっすぐキープできる寝具が理想とされています。また、寝返りを妨げないよう、枕やマットレスは適度に反発力のあるものがおすすめです。
寝方を工夫する
仰向けで腰に痛みを感じる際は、膝の下にクッションを置いてみましょう。膝を立てた状態にすると、腰まわりの筋緊張を防止できます。
また、横向きに寝る際は、膝の間にクッションをはさんでみてください。クッションを入れると体が安定し、腰にかかる負担をやわらげることができます。
参考記事:腰が痛い時の寝方とは?腰の痛み別に正しい寝姿勢を紹介
参考記事:仰向けに寝ると腰が痛い原因とは?夜に寝れない場合の対処法を解説
睡眠の質を高める
熟睡できていないと疲労がしっかりと抜けず、筋肉の凝りを強めてしまいます。
睡眠の質を高めて腰痛を予防するためにも、日常生活において以下の点を意識しましょう。
- ゆっくり入浴して心身をリラックスさせる
- 深酒を避ける
- 寝る前のスマホの使用を避ける
また、毎日規則正しい生活を送ることでスムーズに入眠でき、快眠を得られるとも言われています。2)
生活リズムを乱さないよう、夜更かしは避けてなるべく早寝早起きを心がけてください。
まとめ
今回の記事では、寝すぎで腰が痛くなる原因と、症状を和らげるためのセルフケアについて解説しました。
痛みが出たときの対処ももちろん大事です。しかし、痛みを繰り返している方は、睡眠時の環境をはじめ、日常生活の過ごし方についても一度見直してみてください。
それでは本記事が、あなたを悩ませる腰痛の改善に役立てれば幸いです。
【参考文献】
1)e-ヘルスネット ストレッチングの効果
2)e-ヘルスネット 快眠と生活習慣