普段の何気ない生活を送る中で、立ち座りや正座をした時に膝が痛むことはありませんか?
また、「膝に水が溜まって痛い…」「膝が腫れて痛いのをどうにかしたい!」と思っている方もいると思います。
当記事では膝が痛い時の対処法を解説するとともに、痛みを改善するストレッチもご紹介していきます。膝の痛みの予防法についてもご紹介していますので、どうぞ最後までご覧ください。
【まずは原因を確認】どうして膝が痛くなるの?
膝が痛くなる原因はさまざまで、主に以下のものがあげられます。
- ケガや事故などの外傷により関節軟骨のクッション性が損なわれたことによる痛み
- 老化や肥満が原因で膝関節が変形して変形性膝関節症を発症し、炎症が起きたことによる痛み
- 関節リウマチや痛風などの病気により、膝関節に炎症が起きたことによる痛み
- 生まれつきの病気や遺伝的なもので膝関節に問題があることによる痛み
中でも変形性膝関節症は全成人の24%が発症する疾患といわれ、65歳以上では年齢が上がるにつれて発症率が増加しているそうです。
65歳以上の人口の80%もの方が変形性膝関節症を発症するといわれています。
参考記事:【膝の内側の痛み】4つの原因の見分け方と対処法をわかりやすく解説
【自分でもできる】膝が痛い時の5つの対処法
ここからは、膝が痛い時の対処法について解説していきます。
ご自宅などで膝が痛くなった時に、簡単にできる方法を紹介していきます!
熱を持っている時は冷やす
膝関節が腫れや熱を持っていて痛い時は、膝が炎症を起こしているおそれがありますので、冷やすことがおすすめです。
ご自宅では、濡らしたタオルや氷枕を利用してみてください。
慢性的な痛みは温める
腫れや熱を持っていないけれども、毎日の立ち座りの動作や膝を曲げた時に痛みが出てしまう場合は温めることがおすすめです。
温めることで膝関節の周りの筋肉の血行が良くなり、柔軟性も増して痛みの緩和につながります。
マッサージ・ツボ押しで血行の改善
膝を曲げると痛みが出たり、立ち座りで膝が痛いと、痛みの動作を避けて生活をする方もいるのではないでしょうか?痛みが出るからといって動かさないでいると膝の周りの筋肉がこり固まり、血行が悪くなってしまいます。
血行が悪くなると発痛物質が体内でつくられ、余計に痛みが増してしまいますのでマッサージやツボ押しで血行を改善することが大切です。
膝の痛みをやわらげるおすすめのマッサージ
膝関節を支えている筋肉は主に太ももにある大きな筋肉です。太ももの前側についている大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や内側についている内転筋(ないてんきん)が代表的です。
大腿四頭筋や内転筋をいすや床に座って、入浴時などに手を使ってほぐすことで血行の改善が期待できます。
膝の痛みをやわらげるおすすめのツボ
以下で紹介するツボをお灸やカイロで温めたり刺激することで、膝の周りの血流改善につながることが期待できます。
- 内膝眼(ないしつがん)と外膝眼(がいしつがん)
膝のお皿のすぐ下の内側と外側のくぼみのことです。
- 委中(いちゅう)
膝の裏側中央にあるツボです。
- 梁丘(りょうきゅう)
膝の皿の外側にある出っ張った骨を起点に、指3本分上にあるくぼみのことです。
注意していただきたいのは、カイロを同じ場所に長時間あてていると低温火傷の危険性があることです。
ストレッチをして硬くなった筋肉をゆるめる
膝が痛いとどうしても運動を避けてしまいがちですが、膝の筋肉がこり固まってしまいます。また、筋肉がこり固まることで血行が悪くなり、痛みが増してしまうという悪循環のループに陥ってしまうおそれがあるのです。
そのため、膝に熱を持っていたり強い腫れがある場合を除いて、痛みが出ない範囲で運動やストレッチをすることが大切です。
参考記事:【膝を曲げると痛い】突然の痛みの原因とあわせ3つのおすすめ対処法を解説!
【自宅で簡単】膝の痛みに効果的なストレッチ
ここからはご自宅で簡単にできるおすすめのストレッチを3つ厳選してご紹介します!
太ももの裏にあるハムストリングスをやわらかくするストレッチです。ハムストリングスの柔軟性を高めることで、股関節や膝を楽に動かせるようになります。それにより膝にかかる負担が軽くなりますので、膝痛の緩和が期待できます。
STEP1:仰向けとなり片脚を抱えます
STEP2:可能な限り膝を伸ばします
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※ももの裏の筋肉が伸びるのを感じながら実施します
※太ももがお腹から離れないように注意してください
ふくらはぎの裏にある腓腹筋(ひふくきん)をゆるめるためのストレッチです。
腓腹筋のストレッチを行うことで膝関節が安定し、脚の血流も良くなるため膝の痛みが軽減しやすくなります。
STEP1:タオルをつま先にかけ引っ張ります
STEP2:ふくらはぎが伸びた状態を数秒間保持します
STEP3:力をゆるめます
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※痛みのない範囲で行います
太ももの筋肉である大腿四頭筋の内側広筋(ないそくこうきん)のストレッチになります。
内側広筋は膝が最も伸びている時に作用し、膝を伸ばしたり安定させる筋肉です。
STEP1:片脚を伸ばして座ります
STEP2:膝の裏にタオルを入れて膝を伸ばします
STEP3:膝裏でタオルをつぶすように太ももに力を入れます
STEP4:数秒間力を入れてSTEP1〜STEP3を繰り返し実施します
※力を入れる時は膝のお皿を上に持ち上げるように意識して行ってください
※なるべく姿勢を正して行うようにしてください
サポーターをして膝の負担を減らすことも大切
膝の痛みがある時は、サポーターを装着して膝への負担を減らすことも大切です。膝サポーターの役目は膝を安定させ、膝関節の動きを助けることです。
膝関節は私たちの体重を支えてくれる大事な関節の一つで、歩く時には体重の約2倍、階段昇降では約4倍もの負担が膝関節にかかります。そのため、毎日の生活で膝に負担がかかることにより痛みが増してしまったり、今まで膝に痛みのなかった人でも痛みが出てしまうことがあります。
日常生活での膝の負担を減少させるために膝サポーターを装着することで、痛みの軽減が期待できるでしょう。その際にはご自身の膝の状況にあったサポーターを選ぶことが大切ですので、ご購入の際には注意してください。
膝の痛みを予防する方法を紹介!
ここからは膝の痛みを予防する方法を紹介していきます。
予防方法としては適度な運動をすること、スクワットで太ももの筋肉を鍛えること、生活習慣を見直すことが大切です。
それでは、それぞれについて詳しくみていきましょう。
適度な運動をする
膝の痛みを予防するためには、適度な運動が大切になってきます。運動をすることで膝の周りの筋力強化が期待できます。
また、筋肉や腱の柔軟性が増し膝関節の動きをスムーズにし、膝への負担軽減につながるでしょう。膝の痛みを誘発する問題として肥満にも注意しなければなりません。
運動習慣をつけることによって、肥満の予防にも効果が期待できます。膝の痛みを防ぐには、少し疲れるくらいの運動を1回30分程度で週2回行うのが目安です。
すでに膝に痛みがある方は、痛みが強くなりすぎない程度のストレッチや軽い運動から始めることをおすすめします。
スクワットで太ももの筋肉を鍛える
膝の痛みの予防には、スクワットをして太ももの筋肉を鍛えることも効果的です。太ももの筋肉を鍛えると不安定だった膝関節が安定し、筋肉の周りの血行も良くなることが期待できます。
血行が良くなると痛みを感じさせる物質がつくられにくくなりますので、太ももの筋肉を鍛えることは重要と言えます。
スクワットに関しても、すでに膝に痛みを抱えている方は無理をしすぎず、痛みが増加しない範囲で行ってください。
生活習慣を見直す
膝の痛みを予防するためには、現在の生活習慣を見直す必要があります。まずは、肥満の方であれば体重を減らすことを心がけましょう。
膝関節は私たちの体重を支える大切な関節ですが、体重がかかりすぎると膝関節への負担が増大します。また、正座やしゃがみ込みなどで膝に痛みや違和感があった場合は、無理に膝を深く曲げることは避けましょう。
膝に痛みがなくても、膝に違和感がある場合は階段を使う時は手すりにつかまることや、膝への負担が増大する低い椅子の利用は避けてください。
ロキソニンは膝の痛みに効くの?
膝が痛い時、病院ではよく消炎鎮痛を目的として飲み薬や貼り薬が処方されるかと思います。消炎鎮痛薬としてロキソニン®︎という薬剤の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
ロキソニン®︎は変形性関節症や関節リウマチなどの消炎鎮痛に効果があるといわれています。しかし、原因となる病気を治す薬ではないことに注意しておく必要があります。
あくまでロキソニン®︎は「痛み」に対する対症療法としての薬剤です。消炎鎮痛薬にだけ頼るのではなく、膝の痛みを改善するには、これまで紹介したセルフケアや病院での治療も合わせて行うように気をつけましょう。
まとめ
今回の記事では膝が痛い時の対処法について解説していきました。
対処法は以下の5つになります。
- 熱を持っている時は冷やす
- 慢性的な痛みは温める
- マッサージ・ツボ押しで血行を改善する
- ストレッチをして硬くなった筋肉をゆるめる
- サポーターをして膝の負担を減らすことも大切
膝に痛みを抱えて辛い方は以上のことを参考にしてみてください。また、今回紹介した膝の痛みを改善するストレッチはご自宅で簡単に行うことができますので、ぜひ挑戦してみてください。
ストレッチを家事などの空いた時間で行うと運動を習慣づけることにもつながり、膝の痛みの予防にも効果的です。
それでは、当記事があなたの膝の痛みを和らげる一助となれば幸いです。
【参考文献】
1)理学療法ガイドライン 第2版
2)変形性膝関節症 理学療法診療ガイドライン,理学療法学,43-2,204-209,2016
3)KEGG DRUG Database
4)日本整形外科学会