【膝の外側が痛い】痛みの原因とストレッチなどの対処法について詳しく解説!

「ランニングをしてから膝の外側に痛みがある」
「膝を曲げると膝の外側が痛い」

あなたもこのような膝の症状で、お悩みではありませんか?

膝の外側に痛みが出る原因は、年齢やスポーツ活動の有無、生活習慣などによって異なります。自分の膝の状態を理解した上で、適切なケアをすることで膝の痛み軽減につながるでしょう。

そこで、当記事では膝の外側に痛みが出る原因や、ストレッチなどの対処法についてわかりやすく解説します。

当記事を参考にすることで、膝の痛みに対する疑問や症状が解決できれば幸いです。ぜひ最後までお付き合いください。

まずは膝関節のしくみを確認しよう

膝関節を構成する骨の説明をしたイラスト

膝関節とは、太ももの「大腿骨(だいたいこつ)」とすねの「脛骨(けいこつ)」、お皿の「膝蓋骨(しつがいこつ)」と3つの骨で構成される関節です。

平らな脛骨の上を、丸みのある大腿骨の先端が前後に滑ることで、膝の曲げ伸ばしが可能となります。

関節の内側は弾力がある「関節軟骨(かんせつなんこつ)」で覆われており、その間にある「半月板(はんげつばん)」という組織は膝のスムーズな動きに欠かせません。さらに半月板は、膝関節に加わる衝撃を吸収する、クッションのような役割もあります。

膝関節は「歩く」「しゃがむ」などの動作に深く関りがあり、繰り返される動作が多いため、ダメージを受けやすい関節です。そのため、膝関節には摩擦や衝撃のダメージを軽減させる目的で4つの靭帯(じんたい)が付着し、安定性を向上させています。

【症状チェック】膝の外側に痛みが出る原因とは?

ここからは、膝の外側に痛みがある場合に考えられる4つの原因について解説します。ご自身の症状と比較しながらご確認ください。

腸脛靭帯炎(ランナー膝):運動などの膝の使い過ぎが原因

 

膝の外側の痛みの原因「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」の図

「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」とは膝の外側につく靭帯で、膝の曲げ伸ばしを行う際に、大腿骨の外側にある骨の出っ張りの上を前後に動きます。ランニングやロードバイクなどで膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、腸脛靭帯が大腿骨にこすれ、膝の外側に痛みを生じます。

これが、「腸脛靭帯炎」です。

初期のうちは、運動中や運動後の痛みや腫れなどの症状がみられます。しかし、重症化すると歩行時や何もしていないときに痛みを感じることも。

「走る」「跳ぶ」などの動作を繰り返し、膝に負担がかかることも原因となります。また、内反膝(O脚)や回内足(踵が外側に傾く)の傾向がある方は、腸脛靭帯に負担がかかりやすいため発症しやすいです。

参考記事:内反膝(O脚)とは?原因と治し方をシンプルに解説

外側半月板損傷:膝の外側を押すと痛みがある

半月板損傷を説明したイラスト

半月板損傷(はんげつばんそんしょう)」とは、膝にかかる衝撃を吸収する役割がある半月板に、ヒビなどの損傷がみられる状態です。膝を捻るなどの外傷から生じる場合と、加齢によって傷つきやすくなった半月板が、とくに思いつく原因はなく損傷する場合があります。

損傷した部位の痛みはもちろん、重症化すると膝の曲げ伸ばしができない「ロッキング」という状態になることもあります。

参考記事:【半月板損傷】膝のロッキングを自分で治すのは危険?適切な治療方法を解説
参考記事:半月板損傷の症状をチェック!原因や膝の痛みを早く治す対処法・ストレッチも解説

外側側副靭帯損傷:膝が抜けそうな違和感がある

外側側副靭帯損傷を説明したイラスト

外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)」は膝の外側にあり、太ももとすねの骨同士をつなぎ、膝の安定性を高める役割があります。スポーツ中のひねり動作や、衝撃などで膝の内側から強い外力が加わることで、靭帯に傷のついた状態が「外側側副靭帯損傷」です。

主な症状として、膝外側の痛みや腫れなどが挙げられ、あぐらをかくなどの膝を捻る姿勢となることで靭帯が伸びるため、痛みを生じます。また、外側側副靭帯を損傷した状態で放置すると、膝がグラグラとするような不安定さを感じるでしょう。

変形性膝関節症:膝を曲げると痛い

変形性膝関節症を説明したイラスト

変形性膝関節症とは、骨と骨の間にある関節軟骨がすり減り、関節が変形することで膝の内外側に痛みを生じる病気です。高齢者の発症率は10~15%1)とも言われ、加齢や肥満、膝にかかる負担の大きさなどのさまざまな原因があります。

初期の段階では歩き始めにこわばりや違和感がある程度です。しかし、重症化すると膝の曲げ伸ばしや歩行が困難となり、日常生活に支障をきたします

参考記事:【膝を曲げると痛い】突然の痛みの原因とあわせ3つのおすすめ対処法を解説!
参考記事:【膝を伸ばすと痛い】原因となる病気と4つのおすすめ対処法を解説!

膝の外側に痛みに効果のある3つの対処法とは?

ご自身の痛みに当てはまる症状は見つかりましたでしょうか?ここからは、膝の外側にある痛みに効果がある3つの対処法を解説していきます。

腫れているときは「RICE処置」を行う

腫れや痛みが強いなどの炎症症状がみられる場合は、早い段階で「RICE処置」を行うことが重要です。RICE処置とは、無理な運動や仕事を控える「Rest(安静)」、患部を冷やす「Icing(冷却)」、患部を圧迫する「 Compression(圧迫)」、患部を心臓より高い位置に保つ「Elevation(挙上)」の頭文字から名づけられています。

とくに、痛みが強いときは、痛みを引き起こす運動や仕事は制限し、膝に負担がかからないよう安静にしましょう

歩けないほどの痛みがある場合はすぐに病院を受診しよう

「歩けない」「膝を曲げ伸ばしできない」などの痛みが強いときは、すぐに整形外科病院を受診してください。とくに、外側半月板損傷や外側側副靭帯損傷などが疑われる症状のある場合は、重症度によっては手術が必要となる可能性もあるため、早い段階で治療を行うことが重要です。

また、整形外科病院を受診し、レントゲンやMRIなどの検査を行うことで、痛みの原因が明確になります。早期の症状改善にもつながるため、気になる症状がある場合は一度病院を受診してみるとよいでしょう。

症状が落ち着いてきたらストレッチで柔軟性を高めよう

膝の外側に出現する痛みは、柔軟性の低下や筋力の低下が原因となることが多いです。そのため、膝の痛みが落ち着いてきた段階で行うストレッチは、症状の改善に効果があります2)

次項では、膝の痛み改善だけではなく、予防にも効果的なストレッチ方法を紹介します。

【予防にも効果的】膝の外側に痛みがあるときにオススメのストレッチ3選!

ここからは、膝の外側に痛みが出現したときにオススメの、具体的なストレッチ方法を紹介します。炎症症状が強く出ているときは無理のない範囲で、痛みを確認しながら行ってください。

ヒールスライド

まずは、手で介助しながら膝の曲げ伸ばしを行い、膝関節の柔軟性を向上させる「ヒールスライド」を紹介します。半月板損傷や変形性膝関節症、外側側副靭帯損傷によって、膝を曲げにくくなってしまった方にオススメのストレッチです。

痛みを我慢して行うと悪化してしまう可能性もあるため、無理のない範囲で行いましょう

ヒールスライド

STEP1:片足の太ももを抱えましょう
STEP2:可能な範囲でゆっくりと膝を曲げましょう
STEP3:ゆっくりと戻していきます
STEP4:繰り返し動かしましょう
STEP5:両手でアシストしながら動かしましょう
※膝が内側に入らないように注意しましょう

大腿筋膜張筋ストレッチ

次に、太ももの外側につく「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」が伸びるストレッチを紹介します。大腿筋膜張筋が硬くなることで、膝の痛みだけではなく、腰や股関節の痛みにつながることもあるため、日常的にこちらのストレッチを取り入れるとよいでしょう。

また、大腿筋膜張筋は腸脛靭帯と連結するため、柔軟性を高めておくことも重要です。ランニングなどのスポーツを行う前後のストレッチとして取り組むのも効果的です。

大腿筋膜張筋ストレッチ

STEP1:片足を曲げ反対側の太ももに乗せましょう
STEP2:乗せた足の方向へ体を捻ります
STEP3:姿勢を保持しましょう
STEP4:ゆっくりと戻し繰り返し実施します
STEP5:股関節の外側が伸びているのを感じましょう

タオルつぶし運動

次に紹介するタオルつぶし運動は、太ももの前面につく「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」を鍛える運動です。膝を伸ばす働きがある大腿四頭筋の筋力が増強することで、膝の安定性が向上します。

タオルつぶし運動は、膝の曲げ伸ばしを行わずに可能で、膝関節に負担のかかりにくい運動の一つです。変形性膝関節症の進行を防ぐ効果もあるため、積極的に行いましょう。

タオルつぶし運動

STEP1:片膝を伸ばして座りましょう
STEP2:膝の裏にタオルを入れて膝を伸ばします
STEP3:膝裏でタオルを潰すように太ももに力を入れます
STEP4:数秒間力を入れ繰り返し実施します
STEP5:お皿を上に持ち上げるように意識しましょう
※なるべく姿勢を正して行いましょう

膝の痛みはどれくらいで治る?

膝の痛みが治るまでの期間は原因や重症度、年齢などによってさまざまのため、明言することはできません。痛みのある状態で対処をせずに放置することで症状は悪化し、歩けなくなることもあります。

膝の痛みや違和感がある場合は、早期の段階で適切な対処を行うようにしましょう。また、ストレッチや筋力トレーニングなどを継続して行うことで、膝の痛みの再発を予防できます。

テーピングやサポーターは効果がある?

膝にサポーターをつける人の写真

膝の痛みに対してテーピングやサポーターを付けることは、負担を軽減する一時的な効果があります。ただし、原因に合った根本的な治療とはなりません。

さらに、テーピングやサポーターを付けることで、痛みを感じないため、膝に負担のかかる運動を続けてしまう可能性もあります。膝の痛みを軽減させたいのであれば、ストレッチや筋力トレーニングなどの原因に合った対処法を行うとよいでしょう。

まとめ

今回の記事では、膝の外側に出現した痛みの原因や、ストレッチなどの対処法について解説しました。

膝に痛みが出現する原因は運動習慣や年齢、膝にかかる負担など、人によってさまざまです。

痛みを感じている状態で放置すると症状が悪化し、歩けなくなったり、膝の曲げ伸ばしができなくなったりする可能性があります。

ご自身の症状に合わせて、適切なストレッチや筋力トレーニングを行い、膝の痛みを軽減させましょう。

それでは本記事が、あなたの膝痛の改善にお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1)柳永 善:高齢者の変形性膝関節症に対するアプローチ Joint by Joint Approachを用いた一症例について,日本カイロプラクティック徒手医学会誌(18) 59-63.2018
2)鈴木 重行:変形性膝関節症の最新の治療と評価 関節可動域の改善:理学療法学28(3)86-89.2001