痛みで正座ができない!膝が曲がらない原因と効果的なストレッチを解説

行事などで「正座」になる場面があります。その際に「痛みで膝が曲がらない」と困る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

膝が曲がらない原因については、いくつかの可能性が考えられます。「もう歳だから」と思われる場合もあるでしょうが、加齢が原因で膝が痛くなっているとは限りません。

症状を把握してケアすることで、長期間続く膝の痛みも軽減できるはずです。

当記事では、痛みで正座ができない・膝が曲がらない原因とご自身で行えるセルフケア方法を解説します。

最後まで目を通すことで、より楽に正座ができるようになるでしょう。

正座ができない・膝が曲がらない時に考えられる症状

和室で正座する女性

正座ができないとなると、焦ったり不安を感じたりするのも無理はありません。痛みが長く続けばなおさらですよね。

まず、膝が曲がらない場合に考えられる症状を解説します。ご自身の痛みの様子と比較しながらご覧ください。

関節が変形してしまう症状(変形性関節症)

痛みで正座ができない・膝が思うように曲がらない場合、関節が変形してしまっている可能性があります。

膝関節や股関節、足首が変形してしまう症状は決して珍しくありません。

関節が変形してしまう原因はさまざま。遺伝が関係するケースもあれば、肥満が影響するケースも存在します。

とくに40代以上の方は、関節が変形している可能性を考えてみましょう。では症状をより詳しく解説します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症の図

膝の骨がすり減る・変形することで痛みを生む症状が「変形性膝関節症」です。

膝を動かすと痛い」「朝に膝がこわばる」「重いものを持つと膝が痛む」といった症状が見られます。正座がしにくくなることは言うまでもありません。

45歳以上の女性が発症しやすいという特徴があるので把握しておきましょう。

原因については、遺伝体重増加ビタミンC・Dの不足、また脚の形(O脚・X脚)などが関係してきます。

変形性股関節症

変形性股関節症の図

股関節の軟骨がすり減ってしまう症状が「変形性股関節症」です。

朝に股関節のこわばりが出る」「歩行時に痛みが出る・足を引きずる」「太ももや臀部(お尻)に痛みが出る」などの症状が見られます。股関節が痛いと正座もできなくなってしまうでしょう。

40代〜50代の女性に発症する例が大半で、幼児期に股関節が適切にはまっていなかったことが原因で発症するケースが多いです。

変形性足関節症

足関節(足首)の軟骨がすり減ってしまう症状が「変形性足関節症」です。

歩行時に足首が痛む」のが主な症状です。膝や股関節が快調でも、足首が痛いと体重を乗せられないので、正座は難しいでしょう。

変形性関節症の中では、発症数が少ないといえます。何度も捻挫を繰り返している方やスポーツ愛好者に多い傾向があります。また、足に菌が入ることで発症する例もあるので注意しましょう。

太ももやふくらはぎの張り・凝り

太ももやふくらはぎの筋肉が原因で正座ができない可能性もあります。

むくみで足がパンパンになる」「疲労で太ももが緊張し硬くなる」「ふくらはぎの血流が悪くなる」といった状態になれば膝を曲げると痛むので、正座することは難しいです。

とはいえ、関節の変形に比べて短期間で改善しやすいといえるでしょう。痛みが悪化しないうちに、ケアを行うことが大切です。

成長期に生じる膝の痛み

スポーツに打ち込んでいる成長期の男女の場合、スネの骨が出っ張り炎症を起こす「オスグッド病」が原因で膝が曲げられないケースもあります。

オスグッド病の図

オスグッド病になると、膝の痛みによって正座はもちろん、ダッシュや階段の上り下りも困難になります。ただし、成長期を過ぎるとオスグッド病は治るケースがほとんどなので、そこまで心配は要りません。

なお、成長期以降でもスポーツによって膝を痛める「ジャンパー膝」という症状が出る場合があります。長期化しやすいので、入念にケアしましょう。

膝が曲がらず正座ができない場合に効果的なセルフケア

痛みで膝が曲がらず正座ができない原因はさまざまですが、自身でのセルフケアで痛みを緩和したり、カバーしたりすることは可能です。

ここから、正座ができない痛みに効果的なセルフケアを紹介します。

ストレッチ

簡単に実践できるセルフケアの一つがストレッチです。

筋肉が伸び下肢の血流が良くなることで、正座した際の負担も減るでしょう。オススメのストレッチを紹介します。

1つは「膝蓋骨モビライゼーション」です。

このエクササイズで膝の曲げ伸ばしの動きに重要な膝のお皿の動きが良くなり、膝の痛みの軽減が期待できます。

2つ目は「大腿四頭筋ストレッチ」です。

このエクササイズによって太ももの筋肉が効率よく伸びるので、膝が曲がりやすくなるでしょう。

まずは上記2つのストレッチを毎日続けてみてください。

正座をしない工夫をする

膝や股関節が痛い方にとって、正座は負担が大きい姿勢と言えます。できるだけ正座をしない工夫を考えてみてください。

たとえば、畳の部屋では正座用のイスを用いてみましょう。膝や股関節、足首への負担が大幅に減ります。

また行事の参加者や主催者に、正座ができない旨を伝えることも大切です。時の場合にもよりますが、理解してもらえれば足を崩しても問題ないでしょう。

膝サポーターを着用する

膝の痛みに効果のあるサポーター

膝サポーターを着用することも検討してみてください。膝が固定され、痛みも幾分楽になるでしょう。

色やデザインはさまざまで、価格も幅があります。まずはご自身が気に入ったサポーターを選んで使ってみましょう。

付け替えできるように、複数購入しておくこともおすすめです。

長期化する可能性も!整形外科への受診を忘れずに

正座ができない・膝が曲がらない症状は、長期化する可能性があります。痛みが増していくと、正座はもちろん歩くことが難しくなるケースも考えられます。

詳しい原因や様子を知るためにも、整形外科への受診を忘れないようにしてください。精密な検査によって、正座ができない・膝が曲がらない原因が明確になるでしょう。

きっと、痛みを改善するための方法が見つかるはずです。

まとめ

和室で行う行事など、正座をしなければならないシチュエーションは多いもの。

痛みに耐えながら、長時間過ごすのは苦痛ですよね。

膝の痛みの原因は、関節の変形や筋肉の張りなどが考えられるものの、セルフケアによって痛みを軽減する、サポーターを着用して膝を支えることが可能です。

ご自身で実践できる改善策はまだあるでしょう。

「もう正座はできない」と諦めることなく、痛みを治すために行動を起こしませんか。

それでは当記事を参考に、まずはストレッチから始めてみましょう。

【参考文献】
1)M Reijman 1, J M W Hazes, B W Koes, A P Verhagen, S M A Bierma-Zeinstra:Validity, reliability, and applicability of seven definitions of hip osteoarthritis used in epidemiological studies: a systematic appraisal
2)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会:変形性股関節症 診察ガイドライン
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4)Mark D Kohn 1, Adam A Sassoon 1, Navin D Fernando:Classifications in Brief: Kellgren-Lawrence Classification of Osteoarthritis
5)François Rannou 1, Serge Poiraudeau, Johan Beaudreuil:Role of bracing in the management of knee osteoarthritis
6)Mustafa Nkaoui1,& and El Mehdi El Alouani1:Osgood-schlatter disease: risk of a disease deemed banal
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