股関節が「コリコリ」と鳴り、「詰まる感じがする」「動きがスムーズじゃない」といった違和感を抱えていませんか?
それは単なる疲労ではなく、筋肉の硬さや姿勢の癖が影響している可能性があります。本記事では、股関節のコリの原因をわかりやすく解説し、自宅でできる効果的なストレッチを4つ紹介します。
当記事を最後までご覧いただき、動かすたびに気になる不快感を、今日から少しずつ和らげていきましょう。
なぜ股関節がコリコリ鳴る?原因を徹底解説
股関節のコリやゴリゴリとした音は、筋肉や関節が正常に動いていないサインかもしれません。原因はひとつではなく、さまざまな要素が重なって生じるものです。以下に代表的な4つの原因を解説します。
腸腰筋・中殿筋など股関節周辺筋の硬さ
股関節を動かす主要な筋肉に「腸腰筋」「中殿筋」「大腿筋膜張筋」などがあります。これらの筋肉が硬くなると、スムーズな動きが阻害され、股関節に引っかかるような違和感や音が発生します。特に腸腰筋は、長時間の座り姿勢で硬くなりやすい筋肉です。
骨盤の歪みや不良姿勢による可動域の低下
猫背や反り腰といった不良姿勢が続くと骨盤の傾きが崩れ、股関節に余計な負荷がかかります。その結果、可動域が狭くなり、関節の滑りが悪くなってコリコリと鳴るようになります。日常的な姿勢のクセが根本原因になっていることも多いのです。
参考記事:自分の骨盤の歪みがわかる!自宅で簡単セルフチェック方法と改善ストレッチ
関節内の滑液の減少や癒着
股関節内には、骨の摩擦を軽減する「滑液(かつえき)」が存在します。運動不足や加齢により滑液の分泌が減ると、関節の滑りが悪くなり、関節包や靭帯の癒着が進行します。この状態で動かすと、ゴリゴリ・コリコリといった摩擦音が出やすくなります。
年齢や運動不足による筋力・柔軟性の低下
年齢とともに筋肉の弾力性や関節の柔軟性は低下していきます。また、運動不足によって筋力が衰えると、股関節を支える力が弱まり、不安定さや違和感が出やすくなります。股関節のコリを予防・改善するには、定期的なストレッチや軽い運動が欠かせません。
股関節のコリが引き起こす不調とは?
股関節のコリやつまり感を放置してしまうと、股関節そのものだけでなく、全身にさまざまな不調を引き起こすことがあります。ここでは、代表的な3つの影響について解説します。
歩くときの違和感・痛み・可動域の狭さ
股関節の動きが制限されると、歩行時に「足が前に出しづらい」「引っかかる感じがある」といった違和感が現れます。さらに状態が悪化すると、歩幅が小さくなり、左右のバランスが崩れて転倒のリスクも高まります。また、可動域の制限は日常動作そのものを不便にし、QOL(生活の質)低下にもつながります。
慢性的な腰痛・姿勢の乱れ
股関節の動きが悪くなると、その代わりに腰が無理な動きをするようになります。これが続くと、腰椎や骨盤に過剰な負担がかかり、慢性的な腰痛や反り腰、猫背など姿勢の乱れを引き起こします。つまり、股関節の不調は「腰の不調」と表裏一体なのです。
冷え・むくみ・血行不良などの二次的症状
股関節まわりの筋肉が硬くなり血流が滞ると、下半身の冷えやむくみといった症状も発生しやすくなります。特に女性に多く見られ、「脚がだるい」「疲れやすい」と感じている方は、股関節の硬さが関係しているかもしれません。
自宅でできる!股関節のコリを和らげるストレッチ5選
股関節のコリやつまりを和らげるには、無理なく継続できるストレッチが最も効果的です。ここでは、寝ながら・座りながらでもできる、自宅向けの優しいストレッチを4つ紹介します。
① 寝ながら大殿筋ストレッチ
仰向けに寝て、片膝を両手で抱え、胸に近づけるように引き寄せます。お尻から腰、股関節の深部がじんわり伸びるのを感じながら、20〜30秒キープ。左右交互に行い、深い呼吸を忘れずに。
大殿筋ストレッチ
STEP1:片膝を抱えましょう。
STEP2:対側の肩に膝を寄せましょう。
STEP3:元の姿勢戻りましょう。繰り返し実施しましょう。
② 腸腰筋ストレッチ(片膝立ち)
片膝を床につけ、もう片方の足を前に出して90度に。前脚に体重をかけるように骨盤を前方にスライドさせていきます。腸腰筋がじわっと伸びるのを感じたら20秒キープ。デスクワークで固まりやすい筋肉に効果的です。
腸腰筋ストレッチ
STEP1:膝立ちの状態で片足を大きく前に出しましょう。
STEP2:踏み出した足に体重をのせ、後方の股関節の付け根を伸ばします。数秒間姿勢を保持しましょう。
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻りましょう。
注意点:腰を反らないように注意しましょう。
③梨状筋ストレッチ
椅子に座り、一方の足を反対側のを太ももの上に載せます90度の形にします。このまま前傾して股関節外側を伸ばします。梨状筋・中殿筋・小殿筋へのアプローチに有効で、骨盤の安定にもつながります。
梨状筋ストレッチ
STEP1:椅子に腰掛け、片足を反対側の膝にのせましょう。
STEP2:上体を伸ばしたまま骨盤を前方へ倒しましょう。お尻が伸びた状態を数秒間保持しましょう。
STEP3:元の姿勢に戻りましょう。
注意点:背中が丸まらないように注意しましょう。
④ テニスボールを使った筋膜リリース
テニスボールをお尻や股関節まわりに置き、体重をかけてゆっくり動かします。中殿筋や梨状筋といった、深層の筋膜を刺激することでコリや癒着を解放できます。テレビを見ながらでも行える気軽なセルフケアです。
ストレッチを行う際の注意点とポイント
股関節のストレッチは効果的ですが、やり方を誤ると逆に痛みやケガにつながることもあります。安全に、そして継続的に行うための大切なポイントを3つにまとめて解説します。
無理に伸ばさない・痛みが出たら中止
ストレッチ中に「ビリビリ」「ズキッ」とした痛みを感じた場合、それは筋肉や関節に無理な負荷がかかっているサインです。
「気持ちよく伸びる」くらいの強度を意識し、痛みが出たらすぐに中止しましょう。特に股関節は深部の関節なので、ゆっくり丁寧な動作が重要です。
ストレッチ前後に深呼吸・体を温める
ストレッチの前に軽く体を温めておくと筋肉が伸びやすくなり、ケガの予防にもつながります。入浴後や軽いウォーキングのあとが最適です。また、ストレッチ中は呼吸を止めず、ゆったりとした深呼吸を心がけることで、筋肉の緊張をほぐしやすくなります。
日常の姿勢や生活習慣の見直しも重要
ストレッチは対症療法であり、根本改善には姿勢や生活スタイルの見直しが不可欠です。長時間の座りっぱなしや足を組むクセ、片足体重など、股関節に負担をかける習慣を減らすことで、ストレッチの効果も持続しやすくなります。無意識のクセこそ、股関節のコリの元凶になっていることが多いのです。
まとめ
股関節がコリコリ鳴る、ゴリゴリ違和感がある――そんな悩みの多くは、筋肉の硬さや関節の動きの悪さが原因です。日頃の姿勢や運動不足が積み重なることで、筋肉や関節に負担がかかり、コリやつまり感が慢性化してしまいます。
本記事で紹介したストレッチは、どれも自宅で簡単にできるものばかり。習慣的に取り入れることで、股関節の柔軟性を高め、痛みや不調の予防につながります。無理なく続けられるセルフケアを見つけて、毎日少しずつ整えていきましょう。コツコツとした積み重ねが、健やかな体づくりの第一歩です。
【参考文献】
1)小松 史, 馬庭 壮吉, 森 隆治, 山上 信生, 福島 敦樹, 越智 光夫:大腿骨大転子部に発生したデスモイド型線維腫症によって弾発股を生じた1例
2)Sacroiliac Joint Pain,Marc A. Raj; George Ampat; Matthew A. Varacallo.