肉離れを早く治すコツとは?痛みの原因に効くストレッチやマッサージ・食べ物を解説

スポーツプレーヤーにとって大きな障害になるのが「肉離れ」です。

肉離れになってしまうと動くことが難しく、一定期間は運動を休まざるを得ません。日常生活にも大きな影響を及ぼすでしょう。

ある程度、仕方ないこととはいえ、やはり早くプレーに復帰したいと思うはず。

そこで当記事では、肉離れの原因や早く回復するためのコツを詳しく解説します。

最後まで記事を読むことで、肉離れに対する知識が深まり、もし肉離れになってしまっても適切に対処できるようになるでしょう。

肉離れとはどんな症状なの?

肉離れで歩けなくなっている様子

まず、肉離れがどういった症状なのか把握しておきましょう。

肉離れとは、筋肉が部分的な損傷・断裂を起こした状態を指します。なお、肉離れの正式名称は「筋挫傷(きんざしょう)」です。

例外はあるものの、スポーツやランニングなど運動時に発生するケースが多いです。肉離れが起こる瞬間、「ブチッ」などの断裂音が聞こえるケースも少なくありません。

肉離れになると、動けなくなるくらいの激しい痛みが襲います。そして肉離れを起こした部位が炎症を起こしたり腫れたりします。

肉離れが起こりやすい部位

太もも後面(ハムストリングス)の図

最も肉離れを起こしやすいのは、ハムストリングス(もも裏の筋肉)です。

そのほか起こりやすい部位は、ふくらはぎ(下腿三頭筋)太もも(大腿四頭筋)お尻(中殿筋)が挙げられます。肉離れは全身の筋肉にも起こり得ますが、その中でも脚部に発生しやすいと言えるでしょう。

ただし、手や腕を使うスポーツ競技では、腕に肉離れが起こるケースも見られます。

なお、「重いものを持った」「運動不足」が原因で、背中から腰にかけて肉離れが発生する場合もあります。したがって、スポーツが原因ではない肉離れも存在するので注意が必要です。

参考記事:太ももが痛い原因を部位別に徹底解説!ストレッチやセルフマッサージなど治し方も紹介
参考記事:これって肉離れ?腰に走る激痛の適切な対処法と早く治すコツを紹介!

肉離れはどういった原因で起こるの?

肉離れは、筋肉に引っ張られるような強い力が加わったり、筋肉の柔軟性が低下したりした際に起こります。

したがって、以下のような状況で肉離れを起こしやすいので注意が必要です。

  • 強度が高い運動を続けた
  • ウォーミングを十分に行わず身体を動かした
  • 筋肉の疲労が溜まっていた

ほかには、水分摂取不足グラウンドのコンディション不良なども、肉離れ発生に関係する可能性があります。

肉離れはどのくらいで治る?

肉離れになってしまった場合「どのくらいで治るのか」は気になるでしょう。

筋肉の損傷が軽度なら、1週間から2週間で改善し、競技に復帰できるケースが多いです。

ただし、(筋肉と骨をつなぐ部位)も損傷していると、復帰までに3か月以上かかる場合もあります。

また、筋繊維が完全に断裂してしまった場合は、復帰までに半年以上かかるケースがほとんどです。加えて手術を検討する必要もあるでしょう。

参考記事:肉離れが治るまで何日かかる?早く治すコツや部位別のストレッチ方法も紹介

肉離れに効くセルフケア方法

ではここから、肉離れの改善に効果が期待できるセルフケア方法をいくつか紹介します。

今回は、もっとも発生率が高いハムストリングス(もも裏)の肉離れに焦点を当てました

痛みの様子を見ながら、負傷した筋肉を丁寧にケアすることが肉離れを早く治すコツだと言えるでしょう。ぜひ参考にしてください。

参考記事:【肉離れの治し方】痛みを早く治すための応急処置やストレッチの方法を解説

【応急処置】痛めた部位を十分に冷やす

肉離れを起こした部位を冷やしている様子

肉離れを起こした直後は、氷などで負傷箇所を徹底的に冷やしましょう。冷やすことで痛みが幾分か緩和され、筋線維の修復が早くなります。

負傷後、48時間は負傷箇所を入念に冷やしてみてください。

なお、冷湿布などは十分な冷却効果が期待できません。「氷嚢(ひょうのう)」に氷を入れ、痛めた部位に当てる方法がおすすめです。

ストレッチ・軽度の筋トレをする

受傷後3日〜5日が経ち、歩ける程度まで痛みが落ち着いた段階でストレッチや軽度の筋トレを開始しましょう。リハビリを兼ねて毎日続けることで、血流が良くなり筋肉の修復が早くなります。

ではここで、おすすめのストレッチ・筋トレを紹介します。

1つ目は「ハムストリングスストレッチ」です。

ハムストリングスストレッチ
STEP1:仰向けとなり片脚を抱えます
STEP2:可能な限り膝を伸ばしましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:もも裏の伸びを感じながら繰り返し実施しましょう
※太ももがお腹から離れないように注意してみてください

上記のエクササイズによって、もも裏の筋肉が効率よく伸びるでしょう。

2つ目は「レッグカール運動」です。

レッグカール
STEP1:うつ伏せになります
STEP2:ゆっくりと膝を曲げましょう
STEP3:戻す際もゆっくり動かしてみてください
STEP4:繰り返し実施しましょう
※お尻が上がらないように注意してみてください
※膝をまっすぐ曲げるように意識しましょう

上記の運動を行うことで、もも裏の筋肉が刺激され筋線維の修復が促進されます。

3つ目は「股関節伸展運動」です。

股関節伸展運動
STEP1:うつ伏せ姿勢となります
STEP2:膝を伸ばした状態で片足を後方へ持ち上げましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:膝が曲がらないように注意しながら実施しましょう
※腰を反らさないように注意しましょう

上記の運動では、もも裏の筋肉とともにお尻の筋肉も刺激できます。

肉離れの改善はもちろん、予防としても効果が高いのでぜひ継続してみてください。

セルフマッサージを行う

肉離れを起こした部位へのセルフマッサージも有効です。筋肉を優しく揉みほぐすことで血液の流れが良くなり、筋線維の修復が促進されます。

ただし、もも裏の筋肉は大きく、ご自身でマッサージするのが難しい部位でもあります。そこでフォームローラー(筋膜を伸ばすための器具)を用いてみましょう。

もも裏をフォームローラーの上に乗せて、ローラーを前後に転がすだけで十分です。刺激が強くなりすぎないように注意しながら、10分ほどマッサージを続けてみてください。

ビタミン・タンパク質が多い食事を摂る

栄養バランスの取れた食事

肉離れを早く治すために食事にも注意を払いましょう。栄養を意識して食品を摂ることで、筋肉の修復が促進されます。

とくに卵や赤身肉、魚などに含まれる「タンパク質」と、ブロッコリーやさつまいもなどに含まれる「ビタミンC」、レバーやバナナに含まれる「ビタミンB6」を多く摂ることがおすすめです。

プロテイン・サプリメントを摂取することもおすすめ

もし栄養を意識した食事を用意するのが難しい場合は、プロテインサプリメントを摂取する方法があります。肉離れの回復に必要な栄養素を、より手軽に摂取できます。

その際、「コラーゲン」を含むプロテインやサプリメントを選んでみてください。コラーゲンは肉離れの改善や予防に効果が期待できるからです。

テーピング・サポーターを巻く

肉離れを起こした部位に、テーピングサポーターを巻くことも効果的です。「歩けるけど痛い」という場合に役立ちます。

自身で簡単に巻けるテーピングやサポーターが多く販売されているので、いくつか比較してみましょう。

購入する際、サイズをよくチェックすることを忘れないでください。太ももに装着する場合、サイズが小さすぎると歩行などに支障が出てしまいます。

肉離れになったら整形外科への受診を忘れずに!

肉離れは軽症であれば短期間で改善します。しかし、筋損傷の正確な状態を把握するためにも、整形外科を忘れずに受診してください。自己判断でケアした結果、重大な損傷を見逃す可能性もあります。

お医者さんと相談しながら、復帰する時期を慎重に決めましょう。決して焦らず、万全な状態でプレーできるように努めてください。

まとめ

どれだけ身体を鍛えても、注意を払ったとしても、肉離れになってしまうことはあるもの。大事なことは、肉離れになってしまったあとにどう対処するかです。

肉離れになってしまった際には、応急処置として痛めた部位をしっかり冷やしつつ、ストレッチやセルフマッサージ、栄養補給を行ってみてください。

肉離れの対処を知ることで、自信を持ってプレーができたり、何歳からでもスポーツを楽しめたり、さまざまなメリットがあります。

それでは当記事を参考に、万全の準備をして身体を動かしましょう。

【参考文献】
1)公益社団法人 日本整形外科学会:症状・病気をしらべる「肉離れ」
2)財団法人 日本体育協 会 スポーツ医・科学専門委員会:平成20年度 日本体育協会スポーツ医・科学研究報告 №Ⅴ 肉離れに関する最新の指針
3)早稲田大学大学院スポーツ科学研究科 スポーツ科学専攻 スポーツ医科学研究領域 5007A052-7 東原 綾子:ハムストリングス肉離れに関する研究―伸張性収縮とハムストリングスの機能―
4)C T Hasselman 1, T M Best, C Hughes 4th, S Martinez, W E Garrett Jr:An explanation for various rectus femoris strain injuries using previously undescribed muscle architecture
5)
池野 祐太郎1, 2,福田 航1 ,片岡 悠介1 ,濱野 由夏1 ,竹内 謙太1 , 川上 翔平1 ,二宮 太志3 ,五味 徳之:中学生サッカー選手における身体機能とハムストリングス肉離れの関連性について
6)B J Gabbe 1, K L Bennell, C F Finch, H Wajswelner, J W Orchard:Predictors of hamstring injury at the elite level of Australian football