四十肩・五十肩を早く治す方法!原因と自宅でできるストレッチ完全ガイド

四十肩・五十肩の痛みや動かしにくさに悩んでいませんか?

肩が上がらない夜間に痛むなどの症状は日常生活に大きな支障をきたします。本記事では、四十肩・五十肩の原因や症状を解説し、最短で改善するための方法として、自宅でできるストレッチやリハビリについて詳しく紹介します。

適切なケアを行い、肩の痛みから解放されましょう。

四十肩・五十肩とは?特徴的な症状と肩こりとの違い

四十肩・五十肩は、肩の痛み可動域の制限を伴う疾患ですが、肩こりとは異なる特徴を持っています。まずは、その違いを理解し、適切な対応をとるための基礎知識を押さえましょう。

四十肩に悩む男性

四十肩・五十肩の基本的な特徴

四十肩・五十肩は、主に40代から50代にかけて発症する肩の痛みや可動域の制限を特徴とする疾患です。医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の炎症や拘縮が原因で動きが悪くなります。

日常生活では、服を着るとき髪を結ぶときなどに肩を動かしにくく感じることが多いでしょう。
この症状はある日突然発症することもあれば、徐々に進行することもあります。初期の段階では「なんとなく肩が重い」「動かしにくい」と感じる程度ですが、悪化すると肩を上げるだけで鋭い痛みが走り、動かすことが困難になります。

また、四十肩と五十肩は名前こそ異なりますが、医学的な違いはなく、どちらも同じ病態を指します。年齢による筋肉や腱の衰えが影響しやすいことから、40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と呼ばれることが一般的です。

四十肩・五十肩と肩こりとの違い

肩の痛みといえば、肩こりもよく知られています。しかし、四十肩・五十肩と肩こりには明確な違いがあります。

肩こりの特徴

  • 筋肉の緊張や血行不良が原因
  • 長時間のデスクワークや姿勢の悪さで悪化しやすい
  • マッサージやストレッチを行うと症状が軽くなる

四十肩・五十肩の特徴

  • 肩関節の炎症や拘縮が原因
  • 肩を動かしたときに鋭い痛みを感じる
  • 可動域が狭くなり、腕を上げる、後ろに回すなどの動作が困難
  • 放置すると症状が悪化し、治るまでに数カ月から1年以上かかることもある

肩こりは筋肉の問題が中心で、肩を回したりマッサージをすると改善しやすいですが、四十肩・五十肩の場合は、無理に動かすと逆に痛みが悪化することがあります。

参考:肩こりの重症度レベルをチェックしたい!ひどい肩こりに効くセルフケア方法も紹介

四十肩・五十肩の症状チェックの仕方

四十肩・五十肩の症状を見極めるために、以下のチェックリストを活用しましょう。

  • 腕を前に上げようとすると肩に痛みが走る
  • 腕を横から上げると途中で痛みが出て、それ以上上がらない
  • 背中に手を回す動作(エプロンを結ぶ、ブラジャーのホックを外す)ができない
  • 夜寝ているときに肩の痛みで目が覚める
  • じっとしていても肩に鈍い痛みを感じることがある
  • 片側の肩だけ痛みがあり、もう片方は問題なく動く

これらの症状が複数当てはまる場合、四十肩・五十肩の可能性が高いです。特に、夜間の痛みが強い場合は炎症が進行しているサインなので、適切なケアを早めに始めることが重要です。

四十肩・五十肩の原因|なぜ肩が痛くなるのか?

四十肩・五十肩は、加齢による関節や筋肉の変化が主な原因とされています。しかし、実際には加齢だけでなく、日常生活の習慣運動不足も発症に大きく関与しています。

肩の痛みを引き起こす具体的なメカニズムを理解することで、予防や改善につなげることができます。

主な原因となる肩関節の老化と炎症

四十肩・五十肩は、肩関節を構成する組織が老化し、炎症を起こすことで発症します。加齢に伴い、関節や腱の柔軟性が低下し、血行が悪くなることで炎症が起こりやすくなります。

具体的には、以下のような現象が関係しています。

腱板(けんばん)の変性

肩を支える筋肉である腱板が加齢とともに摩耗し、小さな損傷が積み重なることで炎症を引き起こします。腱板が傷つくと、肩を動かす際に強い痛みを感じることが多くなります。

腱板のイメージ画像

関節包(かんせつほう)の拘縮

肩関節を包む関節包が硬くなり可動域が狭くなります。特に長期間肩を動かさない状態が続くと、組織が萎縮し、動かすたびに痛みを感じるようになります。

滑液(かつえき)の減少

関節の動きをスムーズにする滑液が減ると、摩擦(まさつ)が増えて炎症が起こりやすくなります。この状態が続くと、さらに肩関節の拘縮が進み、動かしにくさが悪化します。

このように、肩関節の変化は自然に起こるものですが、適切なケアを行わないと炎症が長引き、症状の改善が遅れることがあります。

関節構造の画像

運動不足や生活習慣も関係する?

四十肩・五十肩は、単なる老化現象ではなく、日常生活の習慣も発症に大きく関係しています。特に運動不足姿勢の悪さは、肩関節に負担をかけ、炎症を引き起こすリスクを高めます。

  • デスクワークの長時間化
    長時間パソコンやスマートフォンを使用していると、肩が前に出る姿勢(巻き肩)になりやすくなります。この状態が続くと、肩甲骨の動きが悪くなり、肩関節に負担がかかります。
  • ストレッチ不足
    肩関節の柔軟性が低下すると、可動域が狭くなり、ちょっとした動作でも肩に負担がかかります。特に運動習慣がない人は、肩周りの筋肉が硬くなりやすいため注意が必要です。
  • 片側の動作の多用
    日常生活で片側の肩ばかり使う習慣があると、使わない側の肩の可動域が低下し、筋力が衰えてしまいます。例えば、バッグをいつも同じ肩にかける、利き手ばかり使うといった動作が、肩関節のバランスを崩す原因になります。
  • 猫背や前かがみの姿勢
    姿勢が悪いと、肩関節に余計な負担がかかり、肩甲骨の動きが制限されます。その結果、血行が悪くなり、炎症が起こりやすくなります。

このように、運動不足や姿勢の悪さは、肩関節の機能低下を招き、四十肩・五十肩のリスクを高めます。日常生活の中で意識的に肩を動かすことが、発症予防につながります。

参考:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!

四十肩・五十肩を最短で治す方法とは?

四十肩・五十肩は時間とともに自然に回復することもありますが、適切な治療を行うことで回復を早めることが可能です。早期改善のために重要なポイントを解説します。

痛みの時期別に異なる対処法

四十肩・五十肩は、進行状況によって適切な治療法が異なります。誤った対処をすると、症状が悪化することもあるため、正しい方法を知っておきましょう。

五十肩に悩む女性

①炎症期(急性期):痛みを和らげることが最優先(約1〜2カ月)

この時期は、肩を動かすだけで激しい痛みを感じるため、無理に動かすのはNGです。痛みを和らげ、炎症を抑えることが最優先となります。

  • 安静を保つ
    無理に肩を動かすと炎症が悪化するため、痛みが強いときできるだけ肩を安静に保ちましょう。ただし、全く動かさないと関節が固まるため、痛みがない範囲で軽く動かすことが大切です。
  • 冷却・温熱療法を使い分ける
    痛みが強いときは冷却パックを使って冷やし、炎症を抑えましょう。また、痛みが落ち着いたら温めて血行を促進し、回復を早めていきましょう。
  • 鎮痛剤や湿布を活用する
    炎症がひどい場合は、市販の鎮痛剤(ロキソニンなど)や湿布を活用すると、痛みが和らぎます。

②拘縮期(慢性期):動かしながら回復を目指す(約3〜6カ月)

炎症が落ち着くと、肩の可動域が制限され、動かしにくさが強くなります。この時期にストレッチやリハビリを行うことで、回復を早めることができます。

  • ストレッチを始める
    拘縮を改善するために、痛みのない範囲でストレッチを取り入れましょう。特に肩甲骨を動かす運動が効果的です。
  • 温めて血流を促進
    お風呂に入ったり、ホットパックを使って肩を温めると、筋肉がほぐれやすくなります。温めた後にストレッチを行うと、より効果的です。

③回復期:積極的に動かして正常な可動域を取り戻す(約6カ月〜1年)

回復期に入ると痛みがほぼなくなり、肩の可動域が徐々に戻ってきます。この時期は、筋力を取り戻すために積極的に運動することが重要です。

  • 軽い筋力トレーニングを行う
    ゴムチューブを使ったエクササイズや、ペットボトルを使った軽い負荷のトレーニングを行い、肩周りの筋肉を鍛えましょう。
  • ストレッチを継続する
    痛みがなくなっても、可動域を維持するためにストレッチを習慣化しましょう。

やってはいけないNG行動とは?

四十肩・五十肩を早く治すためには、やってはいけない行動を知ることも大切です。

NG

  • 痛みが強いのに無理に動かす
    炎症期に無理に肩を動かすと、炎症が悪化し、回復が遅れる原因になります。痛みがあるときは、ストレッチや運動を控えましょう。
  • 長期間まったく動かさない
    痛みを恐れて肩を全く動かさないと、関節が硬くなり、回復が遅れます。痛みが落ち着いたら、少しずつ動かすようにしましょう。
  • 自己流のストレッチをする
    間違ったストレッチや強引な動きは、症状を悪化させる可能性があります。医師や専門家の指導を受けることが大切です。

参考:五十肩でやってはいけないことをチェック!自分でできるセルフケア方法も解説

四十肩・五十肩の痛みを和らげる寝方

四十肩・五十肩の痛みは、夜間に悪化することが多いです。特に寝ている間に肩の位置が悪いと、血流が悪くなり、痛みが増すことがあります。

仰向けで寝る場合

仰向けで寝る場合は、肩の高さが肘よりも高い位置にならないよう注意しましょう。肩が前方に突出することで、肩関節の前面に圧迫ストレスが加わり炎症を助長してしまいます。肘の下、お腹の上に丸めたタオルなどを置き、肘の高さを調整しましょう。

横向きで寝る場合

痛みのある肩を下にしないように注意しましょう。痛みがある側を下にすると圧迫され、血流が悪くなります。できるだけ痛みのある肩を上にして寝ましょう。また、抱き枕などを使うことで、肩の負担を軽減し、リラックスした状態で眠ることができます。

【解説動画あり!】自宅でできる!四十肩・五十肩のストレッチとリハビリ

四十肩・五十肩の回復には、肩の可動域を広げるストレッチやリハビリが欠かせません。痛みを軽減し、肩の動きを改善するための効果的な方法をご紹介します。

胸張り運動

胸張り運動は急性期の方におすすめの運動です。実際に炎症が起きている肩関節ではなくて、肩関節の動きを支える肩甲骨の可動域を広げるエクササイズになります。とはいえ、肩甲骨を動かすだけで痛みが出てしまう方は、まずは安静にして炎症が落ち着くのを待ちましょう。

胸張り運動

STEP1:背中を丸め手を前方に出しましょう。
STEP2:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。
STEP3:背中を丸め手を前方に出しましょう。
STEP4:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。

振り子運動

振り子運動は、肩関節への負担を最小限に抑えながら可動域を広げ、筋肉の緊張を和らげることができます。重力を利用して腕を自然に揺らすことで、痛みを悪化させずに肩の関節包や周囲の組織を優しく動かし、血流を促進させることができます。炎症が落ち着き始めたら徐々に動かしていきましょう。

振り子運動

STEP1:反対の手をつき、身体を前傾させましょう。肩の力は脱力させます。
STEP2:身体を揺らす反動で前後・左右に動かしましょう。
STEP3:時計回り・反時計回りにも動かします。
注意点:肩の力で動かさないように注意しましょう。

テーブルサンディング

テーブルサンディングは、腕の重さをテーブルに預けることで肩への負担を減らしながら、スムーズな前後運動で関節の可動域を拡げ、拘縮を緩和させることができます。痛みがなくなり、積極的に動きを広げていく段階で取り入れていきましょう。

テーブルサーディング
STEP1:自然な体勢を保てる高さの机に、タオルと手を置きましょう。
STEP2:可能な範囲で両手を前方に滑らせましょう。
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻りましょう。
注意点:背中が丸まらないように注意してください。

参考:四十肩・五十肩にストレッチは有効?時期や注意点・筋肉の伸ばし方を詳しく解説

医療機関に行くべき症状とは?

四十肩・五十肩は基本的に自然治癒することが多いですが、痛みが強い場合や生活に支障をきたす場合は、医療機関での治療を検討しましょう。特に、肩の可動域が極端に制限されている場合や夜間痛が続く場合は、専門的な治療が必要になることがあります。

こんな症状なら病院へ!

以下のような症状がある場合は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。

  • 痛みが強く、日常生活に支障が出ている
  • 肩を動かせる範囲が極端に狭くなっている
  • 夜間痛がひどく、眠れない
  • 数カ月経っても症状が改善しない
  • 肩の痛みとともに腕や手のしびれがある

特に、肩の痛みが長期間続く場合は、四十肩・五十肩以外の疾患(腱板断裂や石灰沈着性腱板炎など)の可能性もあるため、適切な診断を受けることが重要です。

まとめ|四十肩・五十肩は適切なケアで早期改善できる!

四十肩・五十肩は、適切なケアを行うことで早期改善が可能です。
痛みが強いときは安静を保ち、回復期にはストレッチやリハビリを継続することが重要です。また、肩の可動域が極端に制限されている場合や、夜間痛がある場合は迷わず整形外科に受診しましょう。
今回紹介したストレッチやセルフケアを実践しながら、無理のない範囲で肩を動かし、健康的な生活を送りましょう。

【参考文献】
1)Frozen shoulder: a consensus definition
2)Contracture of the shoulder
3)Frozen shoulder and other shoulder disturbances in Parkinson’s disease.
4)Measurement of three dimensional shoulder movement patterns with an electromagnetic tracking device in patients with a frozen shoulder