首の筋が痛くなると、「寝違えただけだろう」と軽く考えてしまう方は少なくありません。しかし、首の筋の痛みは姿勢の乱れや筋肉の疲労だけでなく、頚椎の病気や神経の圧迫、感染症などが原因となっていることもあります。
原因によって適切な対処法は異なるため、自己判断で放置すると症状が悪化する可能性もあります。
この記事では、首の筋が痛くなる主な原因や痛む場所ごとの特徴、病気との見分け方、受診の目安を詳しく解説します。さらに、自宅で実践できるセルフケアや再発予防のポイントも紹介するので、首の痛みに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
首の筋が痛い原因とは?考えられる主な原因を解説
首は約5kgある頭を支えながら、上下左右へ自由に動かす重要な部位です。そのため、筋肉や靭帯には日常生活の中でも大きな負担がかかっています。
首の筋が痛い原因は一つではなく、急性の炎症から慢性的な姿勢不良までさまざまです。まずは代表的な原因について理解し、自分の症状に当てはまるものがないか確認してみましょう。
寝違えや筋肉・靭帯の炎症
朝起きたときに首を動かすと痛い場合は、寝違えが原因であるケースが多くみられます。
寝違えは、睡眠中に無理な姿勢が続いたことで首の筋肉や靭帯に微細な損傷や炎症が起こる状態です。起床時に突然痛みを感じることが特徴で、首を一定方向へ動かすと強い痛みが出ることがあります。
また、荷物を急に持ち上げたり、振り向いた瞬間に首の筋が急に痛くなった場合も、筋肉や靭帯を傷めている可能性があります。
炎症が強い初期は無理に動かさず安静を心がけることが大切です。痛みが強い状態でストレッチやマッサージを行うと、炎症が悪化する恐れがあります。
デスクワークやスマホによる姿勢の乱れ
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、首の筋肉に大きな負担をかけます。
画面をのぞき込む姿勢では頭が前方へ突き出しやすくなり、いわゆる「スマホ首」や「ストレートネック」と呼ばれる状態につながります。本来ゆるやかなカーブを描いている首の骨がまっすぐに近づくことで、首の後ろ側の筋肉は常に緊張した状態になります。
この状態が続くと、
・首を動かすと痛い
・肩こりを伴う
・頭痛が起こる
・首の後ろが張る
・疲れがたまると痛みが強くなる
といった症状が現れやすくなります。
特にパソコン作業が長い方は、1時間に一度は立ち上がり、首や肩を軽く動かすことが負担軽減につながります。

筋トレやスポーツで首の筋を痛めた場合
筋トレやスポーツの後に首の筋が痛くなった場合は、筋肉の使いすぎや軽い肉離れが考えられます。
例えば、スクワットやデッドリフトなど高重量を扱うトレーニングでは、首周囲の筋肉にも大きな力が加わります。また、ラグビーや柔道、サッカーなど接触がある競技では首をひねる動作が多く、筋肉や靭帯を痛めることがあります。
運動後に痛みがある場合は、まず炎症の有無を確認しましょう。熱感や腫れを伴う場合は、運動を中止して患部を安静に保つことが重要です。
一方で、筋肉痛程度であれば数日で改善することが多く、痛みが軽減してから徐々にストレッチを開始すると回復を促しやすくなります。
ストレスや疲労による筋肉の緊張
精神的なストレスや疲労の蓄積も首の筋肉が痛くなる原因の一つです。
人はストレスを感じると無意識に肩へ力が入り、首や肩周囲の筋肉が長時間緊張します。さらに睡眠不足や疲労が重なることで血流が悪くなり、筋肉へ十分な酸素や栄養が届きにくくなります。
その結果、老廃物が蓄積し、
- 首が重だるい
- 首から肩にかけて張る
- 後頭部の頭痛を伴う
- 朝より夕方のほうが痛みが強い
といった症状が現れることがあります。
このような場合は筋肉を休ませることに加え、十分な睡眠や軽い運動、入浴による血流改善など、生活習慣全体を見直すことが重要です。
首の筋が痛い場所によって考えられる原因は異なる
首の筋の痛みは、痛む場所によって原因が異なることがあります。右側だけ、左側だけ、首の後ろ、前側など、症状が現れる部位を確認することで、筋肉の疲労によるものなのか、神経や関節、内科的な病気が関係しているのかをある程度推測できます。ただし、痛む場所だけで原因を断定することはできません。痛みの強さや経過、しびれや発熱などの症状も合わせて確認することが大切です。
右側だけ痛い場合
首の右側だけに痛みがある場合は、筋肉や筋膜への負担が偏っているケースが多くみられます。利き手側で重い荷物を持つ習慣や、マウス操作などで同じ姿勢を長時間続けることによって、首の右側にある僧帽筋や肩甲挙筋、胸鎖乳突筋などが緊張しやすくなるためです。
また、寝違えによって右側だけ痛みが出ることも珍しくありません。痛みは首を右や左へ回したときに強くなり、可動域が制限されることがあります。
一方で、右側の首が突然強く痛くなり、腕のしびれや力の入りにくさを伴う場合には、頚椎の病気が隠れている可能性もあります。症状が続く場合は整形外科で詳しい検査を受けましょう。
左側だけ痛い場合
首の左側だけが痛い場合も、姿勢の偏りや筋肉の使い過ぎが原因となることが多くあります。例えば、電話を肩と耳で挟む姿勢や、いつも同じ方向を向いて作業する習慣は、首の左側へ負担を集中させます。
また、左側だけの痛みに加えて肩甲骨周囲や腕まで痛みやしびれが広がる場合には、頚椎椎間板ヘルニアや神経の圧迫が疑われることがあります。
さらに、胸の痛みや息苦しさ、冷や汗を伴う左側の首の痛みは、まれに心臓の病気が関連していることもあるため注意が必要です。このような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
参考記事:【首の片側が痛い】右側 or 左側のみ痛い場合の原因と3つの対処法をわかりやすく解説!
首の後ろが痛い場合
首の後ろが痛い場合は、日常生活による筋肉の疲労が原因となることが最も多くみられます。
デスクワークやスマートフォンの使用時間が長い方では、頭が前方へ出る姿勢が続くことで首の後ろの筋肉が常に引っ張られた状態になります。その結果、筋肉が硬くなり、痛みや張り感が生じます。
また、ストレートネックでは本来の首のカーブが失われるため、首の後ろへかかる負担がさらに増加します。
後頭部の頭痛や肩こりを伴うことも多く、慢性化すると首を動かしvにくくなることがあります。
一方で、首の後ろが急に激しく痛くなり、高熱や強い頭痛、吐き気を伴う場合は、髄膜炎など緊急性の高い病気の可能性も否定できません。自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。
参考記事:首の後ろが痛い原因とは?考えられる病気とストレッチなどの適切な対処法を解説
首の前側が痛い場合
首の前側の痛みは、後ろ側の痛みとは原因が異なることがあります。
筋肉では胸鎖乳突筋や舌骨周囲の筋肉の炎症や緊張によって痛みが生じることがあります。運動や急な振り向き動作の後に違和感が出る場合は、筋肉由来である可能性が考えられます。
一方で、首の前側にはリンパ節や甲状腺など重要な組織があるため、感染症や甲状腺の病気によって痛みが現れることもあります。発熱や飲み込みにくさ、腫れを伴う場合は、筋肉だけの問題とは限りません。
特に首の前側にしこりがある、強い腫れがある、痛みが数日以上改善しない場合は、内科や耳鼻咽喉科で診察を受けることをおすすめします。
首の筋が痛いときに疑われる病気と受診の目安
首の筋の痛みは筋肉疲労や寝違えによるものが多い一方で、頚椎の病気や感染症などが隠れている場合もあります。痛みだけでは判断が難しいため、しびれや発熱などの症状を伴っていないか確認することが重要です。ここでは、代表的な病気と医療機関を受診する目安について解説します。
頚椎症・頚椎椎間板ヘルニア
加齢や姿勢の悪化によって首の骨や椎間板が変化すると、神経を圧迫して痛みが生じることがあります。
頚椎症では首を動かしたときの痛みや可動域の制限が主な症状です。一方、頚椎椎間板ヘルニアでは飛び出した椎間板が神経を圧迫するため、首の痛みに加えて肩や腕、手のしびれ、握力低下などが現れることがあります。
これらは単なる筋肉痛とは異なり、放置すると神経症状が進行する可能性があるため注意が必要です。
次のような症状が続く場合は、整形外科で画像検査を受けることをおすすめします。
・腕や手にしびれがある
・細かい作業がしにくくなった
・握力が低下している
・痛みが数週間以上続いている
・安静にしても改善しない

参考記事:頚椎症で効果があるストレッチ&してはいけないことを解説
リンパの腫れや感染症が原因の場合
首の前側やあごの下に痛みがあり、触れるとしこりのような腫れを感じる場合は、リンパ節の腫れや感染症が原因となっている可能性があります。
リンパ節は細菌やウイルスが体内へ侵入した際に免疫反応が活発になるため、一時的に腫れて痛みを伴うことがあります。風邪やインフルエンザ、扁桃炎などでも首のリンパ節が腫れることは珍しくありません。
また、発熱やのどの痛み、全身のだるさを伴う場合は、筋肉ではなく感染症が原因である可能性が高くなります。さらに、甲状腺の炎症や唾液腺の病気などでも首の前側に痛みが生じることがあります。
リンパの腫れは数日で改善することもありますが、次のような症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
- 腫れが大きくなっている
- 高熱が続いている
- 飲み込みにくさや呼吸のしづらさがある
- 2週間以上腫れが引かない
- 急激な体重減少や寝汗を伴う
このような症状は、より詳しい検査が必要となる場合があります。
すぐに医療機関を受診すべき危険なサイン
首の筋の痛みの多くは数日から1週間程度で改善します。しかし、中には早急な診察や治療が必要なケースもあります。
以下の症状がみられる場合は、市販薬で様子を見るのではなく、できるだけ早く医療機関を受診してください。
・強いしびれや手足の脱力がある
・歩きにくい、物を落としやすいなど神経症状がある
・高熱や激しい頭痛、吐き気を伴う
・交通事故や転倒後に首が強く痛む
・安静にしていても激しい痛みが続く
・排尿や排便の異常を伴う
特に手足のしびれや筋力低下は神経が圧迫されているサインである可能性があります。また、発熱や激しい頭痛を伴う場合には、感染症や髄膜炎など緊急性の高い病気が隠れていることもあります。
「いつもの肩こりだろう」と自己判断せず、症状が強い場合や急速に悪化する場合は速やかに受診することが大切です。
首の筋が痛いときの対処法と自宅でできるセルフケア
首の筋の痛みは原因に応じて適切な対処を行うことで、症状の改善や再発予防につながります。ただし、痛みが強い時期に誤ったセルフケアを行うと、かえって炎症が悪化することもあります。ここでは、自宅で実践しやすい対処法やセルフエクササイズ、注意点について解説します。
温めるべき?冷やすべき?判断基準
痛みが出始めた直後で熱感や腫れがある場合は、炎症が起きている可能性があります。このような急性期には保冷剤や冷却シートをタオルで包み、15〜20分程度を目安に冷やすことで炎症を抑えやすくなります。
一方で、痛みが数日続いているものの熱感がなく、首の張りやこわばりが中心であれば、温めるほうが適している場合があります。入浴や蒸しタオルで首周囲を温めると血流が改善し、筋肉の緊張が和らぎやすくなります。
判断に迷う場合は、無理に温めたり冷やしたりせず、症状の変化を確認しながら行うことが大切です。温熱や冷却で痛みが悪化する場合は中止し、医療機関へ相談しましょう。
自宅でできるストレッチ・セルフエクササイズ
炎症が落ち着き、強い痛みがなくなってきたら、首周囲の筋肉をゆっくり動かすことが回復を促します。急に大きく動かすのではなく、痛みのない範囲で行うことがポイントです。
おすすめなのが「チンインエクササイズ(あご引き運動)」です。
この運動は、スマホ首やストレートネックによって弱くなりやすい首の深部屈筋を活性化し、頭の位置を正しい位置へ戻しやすくする効果が期待できます。首の後ろの筋肉への負担を軽減し、姿勢改善にも役立ちます。
チンインエクササイズ
STEP1:人差し指で顎に触れましょう。
STEP2:顎を引きながら後頭部を後方へ移動させましょう。
STEP3:ゆっくりと戻しましょう。
注意点:頭を傾けないように注意しましょう。
次に、肩甲骨を動かす運動もおすすめです。
胸張り運動
STEP1:背中を丸め手を前方に出しましょう。
STEP2:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。
STEP3:背中を丸め手を前方に出しましょう。
STEP4:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。
いずれの運動も、痛みが強くなる場合やしびれが出現する場合は中止してください。
湿布や市販薬を使用するときの注意点
湿布や市販の鎮痛薬は、一時的に痛みを和らげる目的で使用できます。
急性の炎症が疑われる場合には冷感タイプの湿布、慢性的な筋肉のこわばりには温感タイプが選ばれることもありますが、効果には個人差があります。また、湿布だけで根本的な原因が改善するわけではありません。
市販薬を数日使用しても症状が改善しない場合や、しびれ・発熱・腕の脱力などを伴う場合は、自己判断を続けず医療機関を受診することが重要です。
皮膚が弱い方は湿布によるかぶれが起こることもあるため、異常を感じた場合は使用を中止してください。
やってはいけない対処法
首が痛いと早く治したい気持ちから、自己流のマッサージやストレッチを行う方も少なくありません。しかし、炎症がある時期に強く揉んだり無理に伸ばしたりすると、筋肉や靭帯への負担が増え、回復が遅れることがあります。
また、首を勢いよく回す動作や、強い力で首を鳴らす習慣も避けましょう。一時的に楽になったように感じても、関節や靭帯へ負担をかける可能性があります。
改善しない痛みを「肩こりだから大丈夫」と放置することもおすすめできません。特に痛みが長引く場合や神経症状を伴う場合は、適切な診断を受けることが早期改善につながります。
首の筋の痛みを繰り返さないための予防法
首の筋の痛みは、一度改善しても日常生活の習慣が変わらなければ再発しやすい症状です。特にデスクワークやスマートフォンの使用時間が長い方は、首への負担が毎日積み重なっています。痛みを繰り返さないためには、一時的な対処だけでなく、姿勢や睡眠環境、適度な運動など生活習慣を見直すことが重要です。毎日少しずつ意識することで、首への負担を軽減し、再発予防につながります。
正しい姿勢を意識する
首への負担を減らすためには、頭の位置を体の真上に保つことが大切です。頭が前へ出た姿勢は首の筋肉に大きな負担をかけ、ストレートネックや慢性的な首の痛みの原因になります。
デスクワークでは、モニターの上端が目線の高さにくるよう調整し、画面との距離は40〜70cm程度を目安にすると自然な姿勢を保ちやすくなります。また、椅子には深く腰掛け、背もたれを利用しながら骨盤を立てることも重要です。
スマートフォンを使用する際は、画面を顔の高さへ近づけ、首を大きく前へ倒さないよう意識しましょう。長時間同じ姿勢を続けること自体が負担になるため、1時間に一度は立ち上がって体を動かす習慣をつけることが大切です。

枕・睡眠環境を見直す
睡眠中の姿勢も首の健康に大きく影響します。
高すぎる枕は首が前へ曲がり、低すぎる枕は頭が後ろへ倒れやすくなるため、どちらも首の筋肉へ余計な負担をかけます。理想的なのは、仰向けに寝た際に首の自然なカーブが保たれ、顔が天井へまっすぐ向く高さです。
横向きで寝る場合は、肩幅を考慮した高さの枕を選ぶことで、首が左右へ傾きにくくなります。
また、柔らかすぎるマットレスでは体が沈み込み、寝返りが打ちにくくなることがあります。適度な反発力があり、寝返りをしやすい寝具を選ぶことで、首や肩への負担を軽減できます。
朝起きたときに首や肩が毎日のように痛い場合は、枕や寝具が合っていない可能性も考えられるため、一度見直してみるとよいでしょう。
参考記事:首が痛い時の楽な寝方とは?姿勢別に負担の掛からない方法をポイント解説
毎日続けたいストレッチと生活習慣
首の痛みを予防するには、筋肉を柔軟に保ち、血流を良好に維持することが大切です。
前述したチンタックや肩甲骨を動かすエクササイズを継続することで、首周囲の筋肉への負担を軽減しやすくなります。無理なく続けられる範囲で毎日実践すると、姿勢の改善や首の可動域の維持にも役立ちます。
さらに、適度なウォーキングや軽い体操などの全身運動を取り入れることで、血行が促進され、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。
ストレスをため込まないことも重要です。十分な睡眠を確保し、湯船にゆっくり浸かる時間をつくることで、自律神経のバランスが整いやすくなり、首や肩の筋肉の緊張緩和につながります。
痛みが改善した後もセルフケアを継続することが、再発予防への近道です。
まとめ
首の筋が痛くなる原因には、寝違えや筋肉・靭帯の炎症、デスクワークやスマートフォンによる姿勢の乱れ、ストレートネック、スポーツによる負荷など、さまざまなものがあります。また、痛む場所や症状によっては、頚椎症や頚椎椎間板ヘルニア、感染症などの病気が関係していることもあるため注意が必要です。
痛みが出た際は、炎症の有無を確認しながら適切なセルフケアを行い、無理なマッサージや過度なストレッチは避けましょう。症状が長引く場合や、手足のしびれ、筋力低下、高熱、激しい頭痛などを伴う場合は、早めに整形外科などの医療機関を受診することが大切です。
普段から正しい姿勢を意識し、枕や睡眠環境を見直すことに加え、ストレッチや適度な運動を継続することで、首への負担を軽減しやすくなります。日々のセルフケアを習慣化し、首の筋の痛みを繰り返さない健康な状態を目指しましょう。
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