ふくらはぎがパンパンに張って痛い!痛みが出る6つの原因と対処方法を紹介

「ふくらはぎがパンパンに張って痛い!」

「どうしてふくらはぎが張るんだろう?」

あなたもふくらはぎに起こる張りや痛みに悩まされていませんか?つらい痛みによって、日常生活に支障が出ている方もいるかと思います。

そこで本記事では、ふくらはぎが張って痛む6つの原因や、痛みが出た時の対処法を身体や運動のプロである理学療法士が詳しく解説していきます。

ふくらはぎの痛みを改善するのに効果的なストレッチや筋トレもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【最初に確認】ふくらはぎが張る原因6つ!

ふくらはぎが張って痛む女性の画像

ふくらはぎが張って痛みが出る原因には、立ち仕事や日常生活に関連するもの筋力低下によるもの、病気によるものなど多くのことが考えられます。

そもそも、ふくらはぎの筋肉には私たちの血液を脚から心臓まで送るために、ポンプとしての機能があることをご存知でしょうか?「筋ポンプ作用」と呼ばれており、ポンプ機能が衰えると心臓に水分をスムーズに送れず、脚に血液や水分が溜まってしまいます。

ふくらはぎのポンプ作用との関連も織り交ぜながら、以下より代表的な6つの原因の解説をしていきます。

1.【疲労】長時間の立ち仕事や座ったままの姿勢

長時間の立ち仕事や座ったままの姿勢でいると血流が滞り、ふくらはぎや足がむくみんでしまいます。むくんでパンパンに張ったふくらはぎは、時に痛みを生じさせます。とくに、立ったままの姿勢が長くつづく職業の方にむくみを訴える傾向が多いです。

また、同じ仕事をしていても男性よりも女性の方が全身の筋肉量が少ないため、ふくらはぎの筋ポンプ作用が弱く、むくみを生じやすくなるようです。

参考:足の疲れを取る方法とは?自宅でできるストレッチなどのセルフケア方法を紹介

2.ふくらはぎの筋力不足

下腿三頭筋の説明の画像

ふくらはぎは下腿三頭筋(かたいさんとうきん)と呼ばれる筋肉で構成されています。下腿三頭筋は、脚に流れる血液を心臓に送る筋ポンプ作用を担っています。

よって、下腿三頭筋の筋力が衰えると筋ポンプ作用が弱まり、血液がふくらはぎに溜まることで、むくんでしまうのです。人によっては、ひどいむくみでふくらはぎがパンパンに張ってしまう人もいるようです。

3.肉離れのせい

ふくらはぎが張る原因には、肉離れが関係していることも考えられます。肉離れは、スポーツなどで筋肉が急激に引き伸ばされることで、筋線維が断裂して起こるケガです。

肉離れが起きた時には激しい痛みを生じ、炎症を起こしてふくらはぎが腫れます。

参考:肉離れが治るまで何日かかる?早く治すコツや部位別のストレッチ方法も紹介

4.【深部静脈血栓症】命に関わる重大な病気の可能性も

深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)という病気でも、ふくらはぎが腫れる症状が出現します。

深部静脈血栓症は長距離移動などで座ったままの状態がつづいたり病院に入院して安静状態が長くつづいたりした場合などに多くみられます。別名「エコノミークラス症候群」といい、言葉を知っているという方もいるのではないでしょうか。

深部静脈血栓症は脚の静脈に血栓(血の塊)ができてしまう病気で、足全体が腫れて皮膚の色がやや紫色に変色します。血栓が血流に乗って肺の動脈まで運ばれて詰まると肺塞栓症(はいそくせんしょう)の原因となり、命に関わる危険性がありますので注意が必要です。

5.不規則な生活によるもの

普段の食生活で塩分を多く摂りすぎたり、ミネラルが不足したりすることがふくらはぎの張りの原因になります。塩分を摂りすぎると血液中の塩分濃度を一定にしようと体内で変化が起き、多くの水分が身体に溜め込まれ、ふくらはぎのむくみにつながるのです。

また、ミネラルの一種であるカリウムは、摂りすぎた塩分を体外に排出する役割をしています。カリウムが不足すると塩分が身体に溜まり、血中の塩分濃度を一定にしようと体が水分を溜め込むという悪循環が起こり、ふくらはぎのむくみや張りを感じる原因となるのです。

さらに、体内の水分が不足することもふくらはぎのむくみの原因になります。

理由としては、不足した水分を補うために身体が水分を溜め込もうとするからです。ふくらはぎのむくみが気になるからといって水分摂取を控えすぎるのは禁物ですね。

6.冷えによるもの

身体の冷えもふくらはぎが張る原因になります。身体が冷えていたり慢性的な冷え症を抱えていたりすると、血の巡りが悪くなり全身がむくみやすくなります。

慢性的な冷え症の方ではむくみにより、ふくらはぎが張っていると感じる人もいるのではないでしょうか。

ふくらはぎが張りやすい人の特徴は?

実は、ふくらはぎが張りやすい人にはいくつかの特徴があることをご存知でしょうか?

ふくらはぎが張りやすい人の特徴を以下にまとめました。

  • 仕事などで長時間立ったままや座ったままの姿勢が多い
  • 運動不足などでふくらはぎの筋力が衰えている
  • 塩分の多い食事やスナック菓子などを好んで食べる
  • 日常的に水をあまり飲まない
  • 日常的にストレスや疲労を抱えている

何個か当てはまるなと思った方もいるのではないでしょうか?普段の生活や仕事からふくらはぎが張りやすくなることがわかりますね。

今までの生活をすぐに変えるというのは、なかなか難しいと思います。

そこで、パンパンに張ったふくらはぎを改善する方法を、以下よりご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考:足のだるさを取る方法が知りたい!簡単なストレッチやマッサージを解説

ふくらはぎが張って痛い時の対処方法を紹介!

ここからは、ふくらはぎが張って痛い時の対処法を解説していきます。ご自宅で簡単にできるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

マッサージやストレッチをして筋肉をほぐす

ふくらはぎをマッサージする女性の画像

ふくらはぎの張りを感じる場合にはマッサージやストレッチをして筋肉をほぐし、血行を良くすることがおすすめです。

ご自宅や仕事の休憩時間などに、ご自分の手を使ってふくらはぎをもみほぐすだけでも血流の改善が期待できます。

温めてふくらはぎの血流を良くする

身体の冷えからくるふくらはぎのむくみや張りには、入浴や足湯などで温めることがおすすめです。入浴時には、身体をリラックスさせる働きをする副交感神経(ふくこうかんしんけい)が働きやすくなります。

緊張をほぐすため、入浴時のお湯の温度は38〜40℃に設定するようにしましょう。

反対に熱すぎる温度の入浴では、身体を緊張させる働きをする交感神経(こうかんしんけい)が優位となる可能性があります。ふくらはぎの張りを取るのに逆効果になってしまうおそれがあるため注意が必要です。

運動や筋トレをして筋肉をつける

ふくらはぎにある下腿三頭筋の筋ポンプ作用を発揮させるためにも運動や筋トレを行って筋力をつけることが重要となります。とくに、日常的に運動不足を感じている方や「最近、ふくらはぎの筋力が衰えてきたな」と感じる方におすすめです。

運動習慣がない方では、いきなりきついトレーニングをするのではなく、軽い運動やご自分がつづけやすい強度のトレーニングからはじめるようにしましょう。

トレーニングや運動をコツコツつづけて、ふらはぎの筋力を維持することが大切です。

肉離れの場合は早めに冷やす

肉離れは、スポーツなどで筋肉が急激に引き伸ばされることで起こり、激しい痛みや腫れの症状が出ます。肉離れを受傷してすぐの時には、筋肉に炎症が起きているため、氷水などでただちに冷やしましょう。

また、安静でいることや患部の腫れを最小限に抑えるために圧迫すること、患部を心臓の位置よりも高くすることが応急処置におけるポイントとなります。

参考:肉離れを早く治すコツとは?痛みの原因に効くストレッチやマッサージ・食べ物を解説
参考:【肉離れの治し方】痛みを早く治すための応急処置やストレッチの方法を解説

パンパンに張って痛いふくらはぎに効く!おすすめのストレッチや筋トレを紹介

ここからは、パンパンに張って痛むふくらはぎに効くおすすめのストレッチや筋トレをご紹介します。日頃からふくらはぎをケアすることで、張りや痛みの予防が期待できます。

ご自宅で簡単にできますので、ぜひ参考にしてください。

セルフリリース(Kager’s Fat Pad:KFP)

踵の骨とアキレス腱、長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)から構成される、Kager’s triangle内に存在する脂肪組織を柔らかくするストレッチです。

セルフリリース(Kager’s Fat Pad:KFP)

STEP1:アキレス腱の部分をつまみ、つまんだ状態で数秒間上下に動かしましょう
STEP2:つまむ位置をずらして動かしましょう
STEP3:つまんだ状態で足首を上下に動かしましょう
STEP4:アキレス腱の別の部分をつまみ、STEP2〜STEP3を繰り返します

痛みのない範囲で行うようにしてください。

片側を行ったらもう一方を行うことで、両側のふくらはぎの張りを柔らかくする効果が期待できます。

グリッドマッサージ(下腿三頭筋)

グリッド(マッサージを補助する筒状の器具)を使ってふくらはぎにある下腿三頭筋をほぐすことで、筋肉が柔らかくなります。マッサージによって血流が良くなるため、ふくらはぎのつらい痛みに効果的です。

グリッドマッサージ(下腿三頭筋)

STEP1:グリッドを準備しましょう
STEP2:グリッドにふくらはぎをあてましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:体を動かして筋肉をマッサージします

片側を行ったら、もう一方のふくらはぎも同様にほぐすようにしましょう。グリッドがない場合はラップの芯や麺棒など、硬い棒状のものをタオルで巻いて代用ができます。

足関節底屈背屈運動

この運動では下腿三頭筋の一部である、腓腹筋を鍛えることができます。TVやスマホを見ながらでも簡単にできるので、おすすめの運動です。

足関節底屈背屈運動

STEP1:タオルを膝下に入れて足を動かしやすくします
STEP2:膝を伸ばした状態で足首を上下に動かします
※可能な範囲で大きく動かし、できる方は指先から動かしましょう

最初は10〜20回からはじめ、慣れてきたら回数を伸ばしていくこともいいでしょう。

まとめ

ふくらはぎがパンパンに張る原因は、生活習慣や食生活の乱れがほとんどです。ぜひ本記事で紹介したストレッチやセルフケアの方法を参考にしてみてください。

しかし、深部静脈血栓症のように命に関わる病気が原因の場合もありますので、心配な時には医療機関を受診するようにしましょう。

それでは本記事が、あなたの痛みの軽減に少しでもお役に立てば幸いです。

 

【参考文献】
1)
柏 智之, 明崎 禎輝, 野村 卓生, 田岡 理佳子, 加藤 正広, 中村 久子, 佐藤 厚:女性労働者における下肢浮腫改善に対する弾力性ストッキングの有用性
2)日本静脈学会:肺塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)