「腰骨の周りが痛いけどなんでだろう?」
「腰骨が痛いのは何かの病気のせいだろうか…」
あなたも腰骨の痛みや腰痛に悩まされていませんか?仕事や家事でふとした瞬間に腰が痛むと生活に支障が出て困りますよね。また、学校の体育や部活動をした後に腰骨周辺の痛みを経験したという10代の方もいるのではないでしょうか?
腰骨の痛みの原因は、もしかしたら腰痛を伴う病気のサインかもしれません。
本記事では、腰骨の痛みの原因と病気かどうか見分けるポイントについてご紹介します。その他にも、腰骨周辺の痛みを和らげるストレッチも紹介していますので、どうぞ最後までお付き合いください。
腰骨が痛くなる原因とは?考えられる3つの原因
腰骨は、私たちの背中にある背骨の一部のことで、医療専門用語では「腰椎(ようつい)」と言われています。
ここでは、腰骨が痛くなる原因として考えられる病気について解説していきます。腰骨の痛みが病気かそうでないかを判断する際に参考にしてみてください。
1.【腰痛】筋肉や関節に負担・炎症が起きたもの
腰骨が痛くなる原因のひとつ目は、「腰痛」によるものが考えられます。腰痛を引き起こす病気は多くあるため、見極めることが大切です。
種類としては筋肉に由来するものや椎間関節に由来するもの、椎間板に由来するもの、脊柱管狭窄によるものに分けられます。
筋肉に由来する腰痛
筋・筋膜性腰痛などが代表的です。腰部周辺の筋肉に負荷がかかりすぎたり、持続的に負荷がかかることが原因で引き起こされます。
参考:【筋肉が原因となる腰痛】筋筋膜性腰痛とは?見分け方と対処法を解説!
椎間(ついかん)関節に由来する腰痛
椎骨(ついこつ)と呼ばれる背骨を構成する骨が連結してできる関節を椎間関節と言います。
椎間関節由来の腰痛の原因としては、変形性腰椎症やインピンジメントが代表的です。インピンジメントとは、神経が多く分布している関節包が椎間関節に挟まることで生じる病気です。
椎間板に由来する腰痛
腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアや腰椎椎間板炎・脊椎炎などが代表的です。
腰椎椎間板ヘルニアは、ゲル状の椎間板(椎骨と椎骨の間にあるクッション状の組織)が脊髄側にはみ出すことで痛みが出てしまう病気です。
また、腰椎椎間板炎は「化膿性脊椎炎」とも呼ばれる病気で、椎間板に細菌が感染することで炎症を起こす病気となります。
参考:腰椎椎間板ヘルニアとは?痛みを和らげる方法をわかりやすく解説!
脊柱管狭窄による腰痛
腰椎変性すべり症や腰椎分離症・分離すべり症などが代表的です。腰椎変性すべり症は腰骨が前後にずれることで脊柱管が狭くなり、腰痛を引き起こす病気で、中高年の女性に多く発症します。
また、腰椎分離症は10代の成長期にスポーツなどで腰骨に負担がかかり、疲労骨折をして腰骨が分離し脊柱管を狭めてしまい、腰痛が引き起こされます。
さらに、分離症が起こったあとに腰骨が前にずれると「分離すべり症」になるのです。
2.【がん】腰骨自体が病気になったもの
腰骨が痛む原因として、腰骨自体にがんや腫瘍を発症したものが可能性として考えられます。
腰骨に生じる代表的な病気は以下になります。
⚫︎脊椎(せきつい)腫瘍
⚫︎脊髄(せきずい)腫瘍
⚫︎脊椎カリエス
背骨を構成する骨の脊椎にがんができたものを「脊椎腫瘍」と言います。また、背骨の中を通る神経の束である脊髄にがんができたものを「脊髄腫瘍」と言います。
どちらも腰痛を伴うほか、脚のしびれやマヒが出たり排泄機能に障害が出る可能性があるのです。また、脊椎カリエスは脊椎が結核菌に感染したことで腰骨周辺や背中に激しい痛みが出現します。
3.【骨折】けがや事故によるもの
腰骨が痛む原因として考えられる3つ目は、けがや事故による骨折などです。
尻もちをついての転倒や交通事故などの衝撃で、腰の骨が押しつぶされることで起きる腰椎圧迫骨折が代表的ですね。
腰椎圧迫骨折は強い腰痛を伴い、立ったり歩いたりすると痛みが悪化するという症状がみられます。
腰骨の痛みが病気かどうか見分けるポイント
以下で紹介するポイントを参考に複数のポイントが当てはまる場合や痛みがひどく長期間持続する場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
こちらのポイントはあくまでも目安であり、確定診断には医師の判断が必要です。
痛みの種類
まずは、痛みの種類に関してチェックしましょう。
種類としては以下のものが考えられます。
- ズキズキ・チクチク痛むものか
- 鈍痛・重苦しい痛みなのか
- 突然の激しい痛みなの
ズキズキ・チクチクと痛む場合は筋肉や骨の炎症、神経痛が考えられます。また、鈍痛・重苦しい痛みでは筋肉・筋膜性によるものとされ、突然の激しい痛みでは急性の腰痛や腰椎椎間板ヘルニアなどが疑われます。
痛みの場所
痛みが腰全体なのか腰の一部分なのか、またはお尻から足にかけてのしびれを伴うかなどをチェックしましょう。なぜなら、病気によって痛みの場所や症状が変わるためです。
腰骨の痛みの原因が病気か筋肉に負荷がかかってしまったことによるものなのかを判断する一つの基準は、安静にすると痛みが和らぐかどうかです。
例えば、椎間板ヘルニアは腰痛に加えて脚の痛みが生じますが、安静時にもその痛みが続きます。しかし、筋・筋膜性腰痛の多くは安静にすると痛みが和らぐと言われています。
痛みの持続時間
痛みの持続時間もチェックすることが大切です。原因となっている病気によっては痛みがすぐに改善する場合や数週間持続する場合、悪化する場合があります。
数日以内に改善する場合では筋肉痛や軽い炎症などが考えられ、数週間以上続く痛みの場合は慢性的な筋肉の炎症や骨の変形などとの関連性が疑われます。
また、痛みが悪化する場合は筋・筋膜性腰痛をはじめ、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎腫瘍や脊髄腫瘍などの病気が隠れているかもしれません。
痛みの他に症状を伴うかどうか
続いて、腰骨周辺の痛みの他に発熱や脚のしびれやマヒ、排泄障害などの諸症状を伴っているかどうかも大切なチェックポイントです。
発熱がある場合、感染症などとの関連性が疑われます。また、脚のしびれやマヒ、排泄障害では神経の圧迫により障害が出ている可能性が考えられます。
その他のチェックポイント
腰骨の痛みが病気かどうか見分ける他のポイントとして、年齢や生活習慣(腰に負担をかける作業をしているか、普段の飲酒や喫煙など)についてもチェックすることが大切です。
高齢の女性の方で閉経後、骨粗しょう症を発症する方もいるかと思います。また、タバコを普段から吸う人や1日ビール2〜3本以上飲んでいる方も骨粗しょう症を発症しやすくなっています。
骨粗しょう症では骨の密度が低下しているため、尻もちをついて転んだ時などに腰椎圧迫骨折になりやすいのです。
そして若年の方では、スポーツなどで腰を痛めた際に脊椎分離症を発症する可能性が高くなっています。また、普段から重いものを持つ職業の方や中腰姿勢が多い農作業を行っている方などでは、知らぬ間に腰骨に負担をかけて痛みを誘発してしまうのです。
日常でできる腰骨の痛みの改善方法
ここからは、日常でできる腰骨の痛みを改善する方法をご紹介します。ご自宅でも簡単にできますので、ぜひ試してみてください。
ここでひとつ注意点ですが、前述のチェックポイントで病気が疑われる方はまずは整形外科で医師の診察を受けましょう。医師からご自宅でのケアの方法について確認することが最優先です。
体を温めて血流を良くする
入浴したり痛みが出る部分にカイロをあてたりして体を温め、血流を良くしましょう。温めることでこり固まった腰骨の周りの筋肉がほぐれ、血行が良くなることが期待できます。
また、腰骨が痛いと痛みが出る動作を避けて、身体を動かさなくなる方もいると思います。しかし、身体を動かさないでいると、全身の血流が悪くなり腰骨の痛みを悪化させてしまう可能性があるのです。
そのため、体を温めて腰骨の痛みを和らげ、少しずつできる運動から行うようにしましょう。
ここで注意して欲しいのは、急性腰痛や腰骨の周りに熱を持っている炎症性の病気です。温めることで症状を悪化させてしまう危険性がありますので、炎症性の場合は「冷やすこと」が大切です。
適度な運動を行う
腰骨の痛みが慢性的な場合や痛みが和らいでいる時には、痛みが悪化しない程度に適度な運動をすることが大切です。
なぜなら、痛みがあるからといって動かないでいると全身の血行が悪くなり、痛みの悪化を招く可能性があるためです。
しかし、強い痛みがある方や急性腰痛の方、腰骨の周辺に炎症を起こしている方などは安静が必要な場合があるため、整形外科医の判断を仰ぐようにしてください。
ストレッチで筋肉の柔軟性をつける
ストレッチをすることで腰骨周辺の筋肉のコリや硬さを和らげ、痛みの改善が期待できます。また、筋肉が柔軟になることで腰骨の可動範囲が拡がり、腰骨への負担が軽減する可能性があります。
効果的なストレッチの方法は以下にご紹介していますので、ぜひご自宅で行ってみてください。
参考:【誰でも簡単】腰痛を和らげる方法は?痛みの原因と簡単にできるストレッチを紹介
腰骨の痛み(腰痛)を和らげる効果的なストレッチを紹介!
腰骨の痛みを和らげるおすすめのストレッチを紹介していきます。驚かれるかもしれませんが、ここでは腰の筋肉のストレッチだけでなく、腰の動きと関係がある脚の筋肉のストレッチもご紹介しています。
ハムストリングスストレッチ
太ももの裏にあるハムストリングスをやわらかくするストレッチです。前屈みをした時に腰痛がある方は、ハムストリングスが硬くなっていることが多いです。ハムストリングスをやわらかくすることで腰痛の軽減が期待できます。
STEP1:仰向けとなり片脚を抱えます
STEP2:可能な限り膝を伸ばします
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※ももの裏の筋肉が伸びるのを感じながら実施します
※太ももがお腹から離れないように注意してください
腸腰筋ストレッチ
股関節の前側の筋肉である、腸腰筋をやわらかくするストレッチです。腸腰筋は骨盤を介して、腰骨を前側に引っ張る作用があります。
腸腰筋をほぐすことで、腰を反らした時の痛みが和らぐことが期待できます。
STEP1:片膝立ちの姿勢になります
STEP2:前方の足に体重をのせます
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※股関節の付け根の伸びを感じながら実施します。
※腰を反らさないように注意してください。
脊柱起立筋ストレッチ
背骨の周りについている脊柱起立筋をやわらかくするストレッチです。脊柱起立筋は主に背中を反る動作の時に働きます。背中周りがやわらかくなることで、腰骨の痛みが和らぐことが期待できます。
脊柱起立筋ストレッチ
STEP1:片方の足を前に出し反対側の足を組みましょう
STEP2:つま先に向かって両手を伸ばします
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:腰周りが伸びるのを感じながら行いましょう
まとめ
ここまで腰骨の痛みの原因と日常でできるセルフケアの方法について解説してきました。
腰骨の痛みが気になる方は当記事を参考に病院受診をご検討のうえ、無理をしすぎないように可能な範囲でストレッチを行ってみてください。
それでは、当記事があなたの腰骨の痛みを改善するお役に立てれば幸いです。
【参考文献】
1)理学療法ガイドライン 第2版
2)厚生労働省:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
3)Christina L Goldstein 1, Norman B Chutkan, Theodore J Choma, R Douglas Orr:Management of the Elderly With Vertebral Compression Fractures
4)日本整形外科学会
5)Paul Gagnet,⁎ Kent Kern, Kyle Andrews, Hossein Elgafy, and Nabil Ebraheim:Spondylolysis and spondylolisthesis: A review of the literature