【注意】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?腰痛を改善する対処法も解説

多くの腰痛は「筋肉の凝り」から起こると考えられています。したがって、ストレッチを行い筋肉の凝りをゆるめることが、腰痛の緩和に繋がることが多いです。

しかし、痛みを引き起こしている原因(病気)によっては、やってはいけないストレッチや動きが存在します。

状態の悪化につながりかねませんので、十分な注意が必要です。

本記事では、絶対にやってはいけない腰痛ストレッチについて詳しく解説しています。

また、痛みを改善するための対処法も紹介していますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

【原因別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチは?

こちらでは、腰痛の原因別に避けるべきストレッチや動きを紹介していきます。

なお、以下で紹介する症状チェックはあくまでも目安であり、正確な状態を把握するには医療機関での検査が必要です。その点はあらかじめご了承ください。

背中を前に屈めるストレッチ【腰椎椎間板ヘルニア】

椎間板(ついかんばん)ヘルニアとは、背骨を構成する椎骨(ついこつ)と椎骨の間にある椎間板が何らかの影響によって変性し、神経の圧迫や炎症を起こしてしまう病気を指します。

腰痛をはじめ、下半身の痛みやしびれをともなう「坐骨神経痛」が腰椎椎間板ヘルニアのおもな症状です。

前屈ストレッチをする男性

中腰作業や長時間のデスクワークなど、前屈み姿勢が長く続いた際に腰痛や下肢の症状が悪化する場合は、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。

「前傾姿勢」で椎間板にかかる負荷が増加することが分かっています。

よって腰椎椎間板ヘルニアが疑われる方は、背中を丸めるようなストレッチは控えるようにしてください。

参考記事:ヘルニアの症状をチェックしたい! 椎間板ヘルニアの特徴や対処法を専門家が解説

参考記事:腰椎椎間板ヘルニアとは?痛みを和らげる方法をわかりやすく解説!

腰を反らせるストレッチ【腰部脊柱管狭窄症】

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、背骨の中にあるトンネル状の脊柱管が狭くなり、周辺の神経を圧迫してしまう病気です。

神経の圧迫が起きているため、腰痛とともに坐骨神経痛の症状をともなうケースがあります。

後屈ストレッチをする女性

背中を伸ばして長時間立っているときに腰痛や下肢の痛み、しびれが悪化する場合は、脊柱管狭窄症の可能性があります。

また、歩いていると痛みやしびれが強まり、少し休むと症状が緩和して再び歩けるようになる「​​間欠性跛行(かんけつせいはこう)」も腰部脊柱管狭窄症の症状の一つです。

「背中を反らせる動作」にて脊柱管が狭まり、神経の圧迫が強まってしまいます。

そのため、脊柱管狭窄症が疑われる方は、腰を反らせる動きを伴うストレッチは控えるべきです。

参考記事:​​【要注意】脊柱管狭窄症でやってはいけないことは?自宅で出来るストレッチも解説!

腰をひねるストレッチ【椎間関節症】

背骨を構成する椎骨と椎骨が連結してできる関節を「椎間関節(ついかんかんせつ)」と言います。その椎間関節に炎症を起こした状態が「椎間関節症」です。

腰をひねるストレッチをする女性

背骨のそばにピンポイントで圧痛があったり、腰を左右どちらか一方に反らすと腰に痛みが出る場合は、椎間関節症の可能性があります。

「腰をひねる」「腰を反らせる」動作により、椎間関節にストレスがかかるため、椎間関節症の疑いがある方は、上記2つの動きは避けることが推奨されています。

参考記事:【症状別】腰を反らすと痛い場合の対処法を3分で解説

【ストレッチ以外】腰痛の人がやってはいけないことは?

上記で紹介したストレッチのほかにも、腰痛の悪化につながるやってはいけないことがいくつか存在します。

以下のことを無意識にやっていないか、腰痛持ちの方は今一度よく確認してみてください。

悪い姿勢をとる

腰痛の人がやってはいけない姿勢に「猫背」「反り腰」が挙げられます。

本来の背骨は、横からみると軽くS字のカーブを描いています。ゆるやかに湾曲することで重たい頭部を体の真上で支え、首や腰にかかる負担を軽減しています。

しかし、背中が丸くなっていたり、腰が強く反ったりしていると背骨のカーブが本来の位置からずれてしまいます。それにより、筋肉や関節にストレスがかかり、腰痛が悪化しかねません。

腰に負担をかけないよう、顎を軽くひき、背中をまっすぐ伸ばした姿勢を普段から意識することが大切です。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

長時間同じ姿勢を続ける

長時間同じ姿勢が続くと血行が悪化し、痛みの原因となる物質が腰部に蓄積しやすくなります。

日常生活においては、立ち仕事やデスクワークなどで同じ姿勢が続く傾向にあります。腰痛の悪化を防ぐためにも、意識的に休憩を入れて体を動かすように気をつけましょう。

前屈みで重たいものを持ち上げる

前傾姿勢は、腰部周辺の筋肉や椎間板への負荷を強めてしまいます。

とくに背中を屈めて重量物を持ち上げる際は、注意が必要です。急激な負荷で筋線維を痛めて、ぎっくり腰につながる可能性もあります。

仕事や日常生活で重たいものを持ち上げるときには、なるべく膝から曲げて足腰の筋力を使うように意識しておきましょう。

腰痛を和らげる正しい対処法

「腰痛の方がやってはいけないこと」を理解した上で、ここからは腰痛の改善が期待できる対処法についてみていきます。

どなたも簡単にできるものなので、ぜひ取り入れてみてください。

痛みが強いときは安静にする

日常生活に支障が出るほどの強い痛みがある場合は、なるべく体を休ませましょう。無理に動かそうとすると、腰痛を悪化させるおそれがあります。

楽な姿勢でゆっくり安静にすることを心がけてください。

また、熱感がある際は氷水で冷やすようにすると、炎症を抑えられる場合があります。

参考記事:【ぎっくり腰】即効では治らない!1日でも早く治す適切な対処法を解説!

慢性的な痛みは体を温める

「筋肉が張ったような痛み」であれば、体を温めていきましょう。温めることで血流が回復し、痛みや筋肉の緊張も緩和しやすくなります。

ホットパックなどで腰を温める方法のほか、慢性的な痛みには湯船に浸かった入浴もおすすめです。

無理のないストレッチを行う

上記に挙げた「やってはいけないストレッチ」を除けば、腰痛の改善にストレッチは有効です。筋肉をやわらかい状態にすることで、椎間板や椎間関節にかかるストレスを緩和できます。

腰痛にお悩みであれば、即効性のある治し方を知りたい方が多いかもしれません。

しかし多くの腰痛は、長い時間をかけて筋肉や関節に負担をかけて発生しています。したがって、その分症状を改善するのにも時間はかかってしまうものです。

腰痛を緩和するには、毎日コツコツとストレッチを継続することが大切です。

どのようなストレッチを行えば良いのか、具体的な方法はこのあと詳細をご紹介します。

参考記事:【誰でも簡単】腰痛を和らげる方法は?痛みの原因と簡単にできるストレッチを紹介

痛みがひかない場合は医療機関を受診する

剥離骨折して安静にしている様子まずは2週間ほどセルフケアを続けてみましょう。それでも症状の改善がみられない場合は、一度医療機関に相談してみてください。

何かの病気から腰痛が引き起こされている可能性があるためです。

また、下肢の痛みやしびれ、力の入りにくさがある際にも注意が必要です。神経障害が考えられるため、早めに病院で検査を受けることをおすすめします。

腰痛を改善する毎日やるべきストレッチ3選

それでは、腰痛に効果的なストレッチをみていきましょう。

ご自身の症状にあわせたストレッチを、ぜひ試してみてください。

前屈すると痛い人は太もも後面のストレッチ

太ももの裏側に付着する「ハムストリングス」を伸ばすストレッチです。

ハムストリングスをやわらかくすると骨盤が後方に引っ張られる力が弱まるため、前屈みの動作も楽になってきます。

ハムストリングストレッチ

STEP1:仰向けとなり片脚を抱えましょう

STEP2:可能な限り膝を伸ばしましょう

STEP3:元の姿勢に戻ります

STEP4:繰り返し実施しましょう

※もも裏の筋肉が伸びるのを感じながら実施しましょう

腰を反らすと痛い人は股関節前面のストレッチ

こちらは、骨盤の前側から足の付け根あたりにかけて付着する「腸腰筋(ちょうようきん)」を伸ばすストレッチです。股関節前面の筋肉がやわらかくなるため、背中を反らす動きもスムーズになります。

腸腰筋ストレッチ(片脚立ち)

STEP1:片膝立ちの姿勢になりましょう

STEP2:前方の足に体重を乗せましょう

STEP3:元の姿勢に戻りましょう

STEP4:繰り返し実施しましょう

※股関節の付け根の伸びを感じながら実施しましょう

※腰を反らさないように注意しましょう

腰をひねると痛い人は背中のストレッチ

大きく伸びをするような形で、背中の緊張をほぐしていくストレッチです。

背骨に沿って背中全体に広く付着する脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)を伸ばすことで、ひねりの動作が楽になってくるでしょう。

タオルポール(胸椎伸展運動)

STEP1:丸めたタオルを準備しましょう

STEP2:肩甲骨の下にあてるように仰向けとなりましょう

STEP3:可能な限り万歳をしましょう

STEP4:ゆっくりと下ろし、繰り返し実施しましょう

※腰を反らさないように注意しましょう

参考記事:【1日たった5分】腰痛改善に必要な簡単ストレッチを原因とあわせて紹介!

【要確認】腰痛ストレッチを行う上での注意点

ストレッチを行う際は、以下の点に注意しましょう。

  • 呼吸を止めない
  • 急に伸ばさない
  • 痛みやしびれが出るのを我慢しない
  • 急性期には無理に動かさない

やり方が間違っていると、ストレッチの効果を十分に得られない可能性があります。また、反対に体を痛めてしまうケースもありますので、くれぐれもご注意ください。

参考記事寝ながらできる腰痛改善ストレッチ!4つの症状別の対処法を解説

腰痛の改善・予防には運動も大事!

全身の血行を良くするには、ストレッチの他に適度な運動も欠かせません。

これまで運動する習慣がなかった方も、20分程度のウォーキングから始めてみましょう。また、腰痛を改善・予防する筋トレをご紹介しますので、無理のない範囲で日常に取り入れてみてください。

腰痛に効果的な筋トレ方法

腹横筋(ふくおうきん)と呼ばれる、腹部のインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。

腹横筋を鍛えることで体幹が安定するため、腰まわりの筋肉や腰椎にかかる負担を軽減できます。

 

膝付きフロントブリッジ

STEP1:膝と肘を床につけましょう

STEP2:お腹を持ち上げ膝と肘で身体を支えます

STEP3:姿勢を一直線に保ちましょう

STEP4:ふらつかないように注意してください

※腰を丸めないように注意しましょう

なお、腰痛の方がやってはいけない筋トレもあります。

ストレッチと同様、原因ごとに次のような動きがともなうトレーニングは避けるようにしてください。

  • 椎間板ヘルニア:前屈み
  • 脊柱管狭窄症:腰を反らす
  • 椎間関節症:腰を反らす、ひねる

また、腰への負担を増やさないよう、筋トレは正しいフォームで行うことが大切です。

まとめ

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、椎間関節症など、背骨の病気にはやってはいけない動作が存在します。

とくに下半身の痛みやしびれをともなう腰痛は、注意が必要です。無理なストレッチや運動は控えて、まずは医療機関に相談してみてください。

ただし、腰痛を改善・予防するには、症状に合わせたストレッチや適度な運動は欠かせません。「やってはいけない動作」を意識しつつ、ぜひ本文で紹介したストレッチやトレーニングを日々の生活に取り入れてみてください。

それでは本記事が、あなたを悩ませる腰痛の改善に役立てば幸いです。

 

【参考文献】

1)Denis Mulleman 1, Saloua Mammou, Isabelle Griffoul, Hervé Watier, Philippe Goupille:Pathophysiology of disk-related sciatica. I.–Evidence supporting a chemical component

2)A L Nachemson:Disc pressure measurements

3)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2 版)

4)e-ヘルスネット ストレッチング