【膝を曲げると痛い】突然の痛みの原因とあわせ3つのおすすめ対処法を解説!

多くの日本人が抱える悩みの1つである、膝の痛み。

とくに「座る」「しゃがむ」「正座をする」など、膝を曲げると痛みが出る方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、膝を曲げると痛い場合に考えられる6つの原因と対処法をご紹介します。

当記事を読み進めることで、膝関節の痛みに関する悩みが少しでも解決できればと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

まずは膝関節の動きを理解しよう

膝関節の構造を説明する図

膝関節は、人の体の中で最も大きな関節です。骨や軟骨、筋肉や靭帯などで構成されていて、膝関節がスムーズに動くことで、歩く・しゃがむなどの動きを痛みなく行えます。

膝関節は、太ももの骨である「大腿骨(だいたいこつ)」、すねの骨「脛骨(けいこつ)」、膝のお皿とも呼ばれる「膝蓋骨(しつがいこつ)」の3つの骨で構成されています。そして凸型の大腿骨が、凹型の脛骨のくぼみにはまり動くことで、膝の曲げ伸ばしが可能となるのです。

また、それぞれの骨は、衝撃を和らげる役割のある「関節軟骨」という組織によって守られています。

膝蓋骨は、太ももの筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」と脛骨をつなぐ「膝蓋腱(しつがいけん)」の間につき、膝の曲げ伸ばしとともに大腿骨の上を移動します。膝蓋骨の主な役割は、「膝を伸ばす動きのサポート」と「前方からの衝撃を守る」という2つです。

また、大腿骨と脛骨の間には「半月板」という軟骨が存在します。歩く、立つなどの荷重時に膝の衝撃を吸収するクッションのような役割があり、膝のスムーズな動きには不可欠な存在です。

さらに、膝を支える大きな筋肉「大腿四頭筋」は外側広筋(がいそくこうきん)・中間広筋(ちゅうかんこうきん)・内側広筋(ないそくこうきん)・大腿直筋(だいたいちょっきん)の4つの筋肉で構成されています。大腿四頭筋の主な働きは「膝を伸ばす」ことです。それに加えて、しゃがんだり、階段を登ったりとさまざまな場面で活躍する、人の体にとって重要な筋肉の1つと言えるでしょう。

【症状チェック】あなたの膝を曲げると痛い原因は?

膝を曲げると痛みが出る場合に考えられる、6つの原因を解説します。
ご自身の膝の痛みに当てはまるものを確認して、次項にて紹介する対処法を試してみてください。

膝の内側の痛み:変形性膝関節症

変形性膝関節症の病態

変形性膝関節症は、骨を衝撃から守る役割のある関節軟骨が加齢によってすり減ってしまい、膝を曲げると内側に痛みが生じる病気です。

初期の症状は膝の違和感や軽い痛みですが、徐々に進行することで歩くことや階段の上り下りができなくなることも。ただし、適切な治療を行うことで、変形を遅らせたり痛みの軽減を図ったりすることができます。

以下の症状が見られる方は、変形性膝関節症である可能性が高いです。

  • 動きはじめで膝の内側の痛みが出る
  • 膝が曲がりきらず正座ができない
  • 膝が腫れて水が溜まっている

参考記事:【膝の内側の痛み】4つの原因の見分け方と対処法・ストレッチをわかりやすく解説

膝の内側下方の痛み:鵞足炎

鵞足(がそく)とは、膝関節の内側を走行する縫工筋(ほうこうきん)・薄筋(はっきん)・半腱様筋(はんけんようきん)の3つの筋肉が付着している、膝の内側下方部分を指します。膝の曲げ伸ばしを繰り返し行うことで負担がかかり、痛みが生じる状態を鵞足炎といいます。

ランニングやバスケットボール、サッカーなどの膝に負担のかかりやすいスポーツをされる方に多い症状です。

以下の症状が見られる方は、鵞足炎である可能性があります。

  • 膝の内側下方を押すと痛みがある
  • 運動後に膝の内側に痛みがあり腫れている

参考記事:【膝内側の痛み】鵞足炎(がそくえん)を早く治す方法とは?原因と効果的なストレッチ3選を紹介

膝全体の痛み:関節リウマチ

関節リウマチというと、指や手首の痛みというイメージが強いかもしれません。しかし、膝に痛みが出る方も多くいます。

リウマチを発症すると、血液の中にある免疫細胞が膝関節の中で暴れて炎症や痛みを引き起こします。そのため膝が腫れたり、歩行が困難となったりするケースもあるので、早期の受診が必要です。

以下の症状が見られる方は、関節リウマチの疑いがあります。

  • 動きすぎた覚えがないのに、膝が何週間も腫れて痛みがある
  • 膝だけではなく指や手首にも痛みがある
  • 寝ているときなど安静にしていても膝に痛みがある

急なケガによる痛み:半月板損傷

半月板損傷を説明した図半月板損傷とは、膝を衝撃から守るクッションの役割がある半月板にヒビが入ったり、割れたりすることで痛みが出現する病気です。

若い方は、スポーツ中の体重がかかった状態でのひねり動作や、激しい衝撃などで発症するケースが多いです。また、半月板は加齢に伴い傷つきやすくなるため、中年(40歳以上)の方では軽微な外力が加わって損傷する場合もあります。

以下の症状が見られる方は、半月板損傷の可能性が高いです。

  • 膝の曲げ伸ばしで膝の内側に痛みや引っかかり感がある
  • 急に膝が固まって曲げ伸ばしが行えなくなる

参考記事:【半月板損傷】膝のロッキングを自分で治すのは危険?適切な治療方法を解説

お皿の下の痛み:膝蓋腱炎(ジャンパー膝)

膝蓋腱炎(しつがいけんえん)とは、走る・跳ぶなどの動作を繰り返し行うスポーツ選手に多く見られる、オーバーユース(使い過ぎ)が原因のスポーツ障害です。

膝蓋腱とは膝蓋骨と脛骨をつなぐ強靭な靭帯ですが、ジャンプ動作などを繰り返し行うことにより細かな靭帯の損傷が起こり、その損傷が積み重なることで痛みが出現。原因としては大腿四頭筋の柔軟性低下や、スポーツ時の悪い姿勢などが挙げられます。

以下の症状が見られる方は、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)である可能性があります。

  • 運動中や運動後にお皿の下に痛みが生じる
  • ジャンプやジャンプの着地動作で痛みが出現する

参考記事:ジャンパー膝(膝蓋腱炎)とは?痛みの原因と症状・ストレッチなどの予防方法について解説
参考記事:膝の皿の下が痛い原因とは?痛みを治す方法や予防にも効果的なストレッチを紹介

膝の外側の痛み:腸脛靭帯炎

腸骨靭帯炎の病態についての図

腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)とは、大腿骨から膝の外側を通って脛骨上部までに位置する靭帯です。お尻の筋肉である大殿筋(だいでんきん)や大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)とつながっていて、膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、腸脛靭帯は大腿骨の上を前後に動きます。

ランニングなどで膝の運動を繰り返すことで、腸脛靭帯と大腿骨の間に摩擦が生じ、膝の外側に痛みが出現します。

以下の症状が見られる方は、腸脛靭帯炎の可能性が高いです。

  • 運動中や運動直後に膝の外側に痛みが出たが、休むと痛みが消える
  • 普段運動をしないが、急に運動をして膝の外側に痛みが出た

参考記事:【膝の外側が痛い】痛みの原因とストレッチなどの対処法について詳しく解説!

膝を曲げると痛い場合に効果的なストレッチ3選!

ご自身の膝の痛みに当てはまる症状は見つかったでしょうか?

ここからは、膝を曲げると痛みが出る場合に効果的なストレッチを紹介していきます。ぜひ痛みのない範囲で、試してみてくださいね。

また、膝に腫れや熱が見られる場合は、炎症症状を抑えることが第一優先です。痛みが強いうちは負担のかかる運動は避けて、アイシングを行って炎症症状を抑えましょう。

膝蓋骨モビライゼーション

膝蓋骨は上下左右に動き、膝のスムーズな運動をサポートします。しかし、膝蓋骨周囲についている組織が硬くなることで膝の動きまで制限され、膝の痛みとして出現してしまいます。膝蓋骨周囲のマッサージを行い、周りの組織を柔らかくしましょう。

膝蓋骨モビライゼーション

STEP1:片足を伸ばし両手で膝のお皿をつまみましょう
STEP2:お皿を左右交互に動かしましょう
STEP3:お皿を上下交互に動かしましょう
STEP4:痛みのない範囲で繰り返し動かしましょう
※膝を完全に伸ばせず、膝の裏と床に隙間ができるようであれば、丸めたタオルを入れると楽な姿勢がとれます。

大腿四頭筋ストレッチ

繰り返しジャンプやランニングを繰り返すことで起こる膝蓋腱炎の原因として、大腿四頭筋の柔軟性の低下が挙げられます。大腿四頭筋のストレッチで筋肉を柔らかくすることで、膝への負担を減らすことができるでしょう。

大腿四頭筋ストレッチ

STEP1:横向きの姿勢となりましょう
STEP2:下の足を直角に曲げ、もう一方の足を後方から掴みましょう
STEP3:後方へ引っ張りましょう
STEP4:元の姿勢に戻りましょう
STEP5:繰り返し実施しましょう
STEP6:太もも全面の伸びを感じながら行いましょう
※腰が反らないように注意しましょう

ハムストリングスストレッチ

太ももの裏の筋肉である「ハムストリングス」は半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋からなります。

ハムストリングスに硬さがあると、膝の曲げ伸ばし時の痛みや、膝が伸びきらず負担がかかることもあります。太ももの裏側のストレッチを行い、筋肉の硬さを取り除きましょう。

ハムストリングスストレッチ

STEP1:片足を前方に出しましょう
STEP2:骨盤を倒すように前方に体を傾けます
STEP3:もも裏が伸びた状態を保持しましょう
STEP4:ゆっくりと体を戻しましょう
STEP5:足首を反らして踵を地面につけましょう
※腰が丸まらないように注意しましょう

 

膝の痛みはスクワットで治るのか?正しいやり方を解説

スクワットなどの大腿四頭筋を鍛える筋力トレーニングを行うことで、膝の痛みを軽減することができます1)また、日ごろから適切な運動を行うことで、変形性膝関節症の原因となる体重増加を防ぐ効果もあるでしょう。

ただし、膝の痛みによってはスクワットが効果的ではなく、逆に痛みが増すケースもあるので注意が必要です。さらに、誤ったやり方でスクワットを行うと、炎症を引き起こし悪化してしまう可能性も。

ここではスクワットが効果的な膝の痛みと、痛みに効果的な正しいスクワットの方法をご紹介します。

スクワットが効果的な膝の痛みとは?

筋力低下が原因で膝が不安定となり、痛みが出現している場合はスクワットによる筋力トレーニングが効果的です。

逆に、膝が腫れていたり、熱を持っていたりと炎症症状が見られる方にはスクワットはおすすめできません。そのような方は、まず炎症症状を落ち着かせるためにアイシングを行い、症状が長引くようであれば病院へ受診しましょう。

膝の痛みに効果的なスクワットの方法

膝の痛みに効果的なスクワットですが、間違った方法で行うと逆に痛みが増してしまう可能性もあります。以下の説明を参考に、正しいスクワットの方法を習得して、症状の改善を目指しましょう。

両脚スクワット

STEP1:肩幅に足をひらきます
STEP2:膝とつま先が同じ方向を向くように揃えましょう
STEP3:はずみをつけずに沈み込み、ゆっくりと戻りましょう
STEP4:繰り返し行いましょう
※膝が内側に入らないよう注意しながら行いましょう
※腰や背中が丸まらないようにしましょう

【要注意】膝を曲げると痛い時にやってはいけないこととは?

膝に痛みがある際であっても、ストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法を行うことで、痛みの軽減や運動機能の改善につながります2)。しかし、動きによっては痛みが悪化してしまうケースもあるため、注意が必要です。

ここでは、日常生活や運動時に気を付けてほしい動作について説明します。

体重を加えて膝を深く曲げる動作(しゃがみ込み・正座など)

正座をしている人

正座やしゃがみ込みなどの膝を深く曲げる動作は、膝関節への負担が大きいため、膝に痛みがある方は避けた方が良いでしょう。

とくに、変形性膝関節症と診断された方の場合は、膝を深く曲げる動作を繰り返すことで、病気を進行させる可能性もあります。また、日常生活でもベッドやイスを使用することで、膝への負担を軽減できるため、生活様式の変更を試してみてくださいね。

参考記事:痛みで正座ができない!膝が曲がらない原因と効果的なストレッチを解説

急なストップ・方向転換などがあるスポーツ

バスケットボールやサッカー、テニスなどの急なストップや方向転換が多いスポーツは、膝への負担も大きい3)です。膝蓋腱炎や腸脛靭帯炎などのオーバーユースが原因のスポーツ障害が疑われる場合は、炎症症状が落ち着くまで膝に負荷のかからないトレーニングを行いましょう

痛みを我慢した状態での運動

膝に痛みがある状態で無理して運動を行うと、症状がさらに悪化してしまう可能性があります。さらに、無理な運動を行うことで、無意識に痛みのある膝をかばってしまい、体の他の部位に痛みが出るケースも少なくありません。もし現在行っている運動で痛みがある場合は無理にすべてを行わず、膝に痛みを感じる運動は控えましょう

また、運動をしていない安静状態でも膝が痛むようであれば病院を受診し、適切な治療を受けながら無理のない範囲で運動を続けてくださいね。

まとめ

今回の記事では、膝を曲げると痛い場合の原因と3つの対処法を紹介しました。

膝の痛みの原因は、加齢や体重増加による関節内の変化、スポーツによるオーバーワークなど人によってさまざまです。

誤った対処法や方法でトレーニングを続けてしまうと、痛みや症状が悪化してしまう可能性もあります。ご自身の症状と合わせて、適切なストレッチや筋トレを行いましょう。

本記事が、あなたの痛みの改善にお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1)Claire M Jenkinson, Michael Doherty,Anthony J Avery,Anna Read, etEffects of dietary intervention and quadriceps strengthening exercises on pain and function in overweight people with knee pain: randomised controlled trial.BMJ 2009;339:b3170
2)日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン」
3)佐々木 睦,木村 新他:瞬時な判断を伴う方向転換動作が膝関節への力学的負荷に及ぼす影響-日本スポーツリハビリテーション学会誌.2018日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン」