【股関節が鳴る】弾発股の原因と治し方が知りたい!簡単ストレッチや筋トレを解説

出勤時や運動中に、股関節から「ポキポキ」「ゴキッ」と音が鳴ることがありませんか。

考えられる症状の1つが「弾発股」です

弾発股は決して危険な症状ではないですが、悪化を防ぐためにも、放置せず対処するのが望ましいでしょう。

当記事では、弾発股の原因や改善するまでの期間、おすすめのセルフケアを紹介します。

最後まで読み進めることで、弾発股の原因が分かり、改善することが可能です。ぜひお役立てください。

弾発股(だんぱつこ)とは?

弾発股(だんぱつこ)に悩む女性の様子

多くの方にとって「弾発股」は聞き慣れない名前ですよね。弾発股の読み方は「だんぱつこ」で、「スナッピングヒップ」「ばね股」とも呼ばれます。

そして弾発股とは、股関節を動かした際に音が鳴る症状(クリック音)や、違和感が生じる症状を指します。

ただし、症状が軽いうちは痛くない・生活に支障がないケースも多いです。したがって違和感を覚えつつ放置してしまう場合も少なくありません。

なお、弾発股は外側型内側型の2種類に分けられます。割合としては外側型のほうが多く、内側型が発症するのは稀だといえます。

くわえて、外側型のほうが内側型よりも音(クリック音)が聞こえやすいのも違いの1つです。

弾発股の原因・要因

弾発股は、筋肉や靭帯が骨に引っかかることで発症します。外側型と内側型でメカニズムが異なるので、それぞれ見ていきましょう。

まず外側型弾発股は、股関節を動かした際に、太ももの外側に付く「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」や、お尻に付く「大殿筋(だいでんきん)」が、股関節の横に存在する「大転子(だいてんし)」という骨に引っかかり起こります

弾発股には腸脛靭帯や大転子や大殿筋が関係する

対して内側型弾発股は、骨盤内に付く「腸骨筋(ちょうこつきん)」が、足の骨の先端「大腿骨頭」に引っかかることで発症します。

内側型弾発股には腸骨筋や大腿骨頭に引っかかり発症する

そして、弾発股が起こる主な理由は、「過度な運動・負担」や「加齢や運動不足による筋力低下」「骨盤周りの骨折やけがの影響」「先天的な股関節の障害」などです。

弾発股をそのまま放置するとどうなる?

「痛みがないなら、弾発股を放置しても大丈夫なのでは?」と思うかもしれません。

しかし、弾発股を放置すると症状が悪化し痛みを伴う場合があります。痛みが現れると、日常生活にまで影響が及ぶでしょう。

また、弾発股が自然に治まったとしても、再発するケースが少なくありません。くわえて、音や痛みが気になって運動のパフォーマンスが低下する可能性も考えられます。

したがって、弾発股をそのまま放置することは避けるべきです。

参考記事:【股関節痛の原因は何?】関連する病気を専門家が解説!

【目安】弾発股が改善するまでの期間

弾発股がどれくらいで改善するかについて、明確な答えはありません

とはいえ、弾発股が数日から数週間で改善するケースは少ないです。しっかり改善するなら、数か月かかるとお考えください。

もちろん症状にもよるので一概にはいえませんが、ある程度長い目で改善に取り組む必要があるでしょう。

【自分で治す】弾発股に効くおすすめセルフケア・エクササイズ

ではここから、弾発股の改善に効果的なセルフケアを紹介します。

いずれも、特別な準備は必要ありません。すぐに実践できるので、ぜひ取り入れてみてください。

十分な休息

先述の通り、弾発股の原因の1つが過度な運動です。したがって、運動量が多すぎると心当たりがある場合は、一旦激しい運動を休み安静期間を作りましょう。

その間もストレッチや軽い筋トレであれば続けても大丈夫です。このあと紹介するストレッチ・筋トレを参考にしてみてください。

あわせて、運動後のアイシング(冷却)も効果的です。股関節周りの炎症をおさえるためにも入念に冷やしましょう。

股関節周辺のストレッチ

股関節周りのストレッチも大変重要です。

じっくり筋肉を伸ばしたり関節を動かすことで、股関節の血流が良くなったり、関節の動きがスムーズになったりするので、弾発股改善に効果が期待できます。

では、おすすめのストレッチを紹介します。

1つ目は「座位四股(ざいしこ)」です。

座位四股
STEP1:両脚を大きく広げます
STEP2:骨盤を前方に倒しましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※内ももの伸びを感じながら実施してみてください
※腰が曲がらないように注意しましょう

上記のストレッチは、内ももに付く「内転筋群」を柔らかくする効果があります。

2つ目は「腸腰筋(ちょうようきん)ストレッチ」です。

腸腰筋ストレッチ
STEP1:片膝立ちの姿勢になります
STEP2:前方の足に体重をのせましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※腰を反らさないように注意しましょう

このストレッチによって、股関節前面に付く「腸腰筋」が伸びます。

3つ目は「大殿筋(だいでんきん)ストレッチ」です。

大殿筋ストレッチ
STEP1:四つ這い姿勢となります
STEP2:お尻を斜め後方へ動かしましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※お尻の伸びを意識しながら行ってみてください
こちらのストレッチを行うことで、お尻の後面に付く「大殿筋」を伸ばせます。

股関節周りの筋力トレーニング

股関節周りの筋力トレーニングも効果的です。適度に筋力を刺激することで、血流改善が期待できます。また、股関節の安定性を増すためにも重要だといえます。

激しい運動を休む間も、できる範囲で筋トレを続けてみましょう。

おすすめの種目が「股関節外転運動」です。

股関節外転運動
STEP1:横向き姿勢となります
STEP2:片足を斜め後方へ開きましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※骨盤が開かないように注意しながら行いましょう
こちらの筋トレを行うことで、股関節の側面に付く「中殿筋(ちゅうでんきん)」を刺激できます。

歩き方・座り姿勢を見直す

日常生活における股関節への負担が、弾発股が発症するきっかけになっているケースもあります。そこで、歩き方や座り姿勢を見直すのがおすすめです。

歩く際にがに股(膝のお皿が外側を向く姿勢)になっていたり、座った際に猫背(背中が丸まる姿勢)になったりしていたら、矯正しましょう。

歩き方や姿勢が改善することで、股関節への負担を減らせます。なお、弾発股以外の痛みや不調にも効果的なので、取り組んでみてください。

参考記事:がに股を矯正したい!おすすめのストレッチ・トレーニングを紹介
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

股関節の音や痛みが改善しない場合は病院へ

弾発股が改善しない場合は病院で診察してもらうことが大切

もし、セルフケアを続けても股関節の音が止まらない・痛みが治らない場合は、別の症状(病気)が原因である可能性も考えられます。

その場合は、医療機関で精密な検査を受けてください。レントゲンやMRIによって、正確な状態が判明するでしょう。

もしかしたら手術が必要になるかもしれません。その後の対応も含めて、お医者さんのアドバイスを守ることが大切です。

まとめ

弾発股は痛みを伴わないケースも存在し、必ずしも日常生活に支障が出るわけではありません。ただし、放置すると股関節の痛みが現れる場合もあるので、注意が必要です。

ぜひ、本文で紹介したセルフケアを実践してみてください。それでも股関節の音や痛みが改善しない場合は、一度病院で診てもらいましょう。

それでは当記事が、あなたのお役に立てば幸いです。

【参考文献】
1)稲垣 直哉, 大谷 卓也, 加藤 努, 川口 泰彦, 藤井 英紀, 上野 豊, 羽山 哲生, 丸毛 啓史:高度な弾発股と股関節の機能障害を呈する殿筋拘縮症の治療経験
2)小松 史, 馬庭 壮吉, 森 隆治, 山上 信生, 福島 敦樹, 越智 光夫:大腿骨大転子部に発生したデスモイド型線維腫症によって弾発股を生じた1例

3)緒方 宏臣, 水田 博志, 千田 治道, 高木 克公, 河野 正通:空手選手に発生した比較的稀な内側型弾発股の1例
4)北九州市立小倉病院整形外科 萩 原 博 嗣 北九州市立総合療育センター整形外科 佐 伯 満:大腿四頭筋拘縮症 にみ られる弾撥股 について
5)種子田 斎:股関節の痛みと機能障害
6)高橋 亮吾, Dai Yidan, 上田 容子, 易 勤:寛骨臼関節唇と腸腰筋の配置関係の肉眼解剖学的研究