【足を開くと股関節が痛い】それって変形性股関節症?痛みの原因と対処法をわかりやすく解説!

「あれ?あぐらがかけなくなってる!」
「いつの間に股関節が硬くなったんだろう?」
「あぐらをかこうとすると股関節が痛い」

このような股関節の痛みや違和感を感じたこともあるかもしれません。そこで本記事では足を開くと股関節が痛い原因から、自宅でできる簡単な対処法までご紹介します。

あなたの股関節に関する悩みが少しでも解決できればと思います。ぜひ最後までご覧ください。

股関節をひらく(あぐらをかく)際に必要な動きとは?

まずはあぐらをかく際に、股関節がどのように動いているのかを解説していきます。

あぐらをかく動作は股関節を大きく開くと同時に、「ねじる動き」も行われています。

あぐら = 足を曲げる + 足を開く + 足を外にねじる

あぐらの動きを解説した画像

このような大きい動きをスムーズに行うためには、股関節のいくつかの機能が重要となります。

もう少し説明すると、前提として股関節はお皿の上をボールが転がるようにして足を動かしています。そして骨盤側にあるお皿が、大腿骨側のボールを支えて身体を動かします。

またお皿からボールが飛び出さないように止めているのが、軟部組織と呼ばれる靭帯や軟骨です。

さらに関節を支える筋肉の伸び縮みによって、股関節が動きます。そして骨・靭帯・軟骨・筋肉すべてが正常に機能すると、自由に足が動きます。
股関節の構造を解説した画像
あぐらをかくと足の付け根が痛かったり、足が開かなかったりするときは股関節内の組織が、正常に機能していない可能性があります。この股関節の異常は、関節内にある骨・靭帯・軟骨・筋肉のどこが痛みに関係しているのか、さまざまな理由が考えられます。

足を開くと痛い主な原因3つを解説

足を開くと痛い場合に考えられる、3つの原因を解説します。

あなたに当てはまるものを見つけて、適切な対処法を実践しましょう。

軟骨のすり減りが影響する『変形性股関節症』

変形性股関節症とは、骨と骨の間にある軟骨がすり減るなどして軟骨が傷ついたのち、股関節の骨が潰れるなどの変形が起きてしまう病気です1)

例えば軟骨は言わば、骨と骨のクッション材です。クッションの役割をしている軟骨がすり減ってしまうと、骨盤側の骨と大腿骨側の骨がぶつかり合って強い痛みとなり、次第に変形します。
変形性股関節症の病態を解説した画像
変形性股関節症の代表的な自覚症状として、以下の4つがございます。

  • あぐらをかくと股関節が痛い
  • 手すりのない階段がツラい
  • しゃがみ込めなくなった
  • 足の爪切りや靴下の着脱が難しくなった

上記の症状に心当たりはありませんか?当てはまるものが多いほど要注意です!

また、軟骨がすり減る原因とされる生活習慣で代表的なものは以下の4つが挙げられます。

  • 加齢
  • 体重増加
  • 長時間の立ち仕事
  • 日常的に重たいものを持ち上げる

これら4つの生活習慣が積み重なると、軟骨のすり減りが起こりやすいです。

変形性股関節症になると股関節の動きが通常より制限されてしまうので、あぐらをかくと股関節に痛みを感じてしまいます。

参考記事:【理学療法士監修】変形性股関節症の痛みを和らげる効果的なストレッチを紹介!

筋肉の働きが悪くなることで生じる『鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)』

グロインペイン症候群とは、足の付け根(鼠径部)に慢性的な痛みを生じる病気です。鼠径部(そけいぶ)に感じる痛みの総称で、頭痛や肩こりなどといった表現に近いです。

代表的な症状は以下の通り3つです。

  • あぐらで股関節が痛い
  • ランニング時に足のつけ根が痛い
  • キック動作で股関節周りが痛い

また、グロインペイン症候群になりやすい人としては、下記のような方が挙げられます。

  • スポーツを活発にしている
  • スポーツの中でもサッカーをしている

なお、グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)は、股関節の筋肉の癒着や筋肉の硬さが原因2)で、あぐらなど足を開くときの痛みに繋がると考えられています。

骨頭の安定性が損なわれる『股関節唇損傷』

股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)は、骨盤側のお皿の縁についているやわらかい軟骨(股関節唇)に傷がついて痛みになる症状3)です。

このお皿には、股関節の衝撃吸収や安定性を高めるなどの役割があります。よって関節唇を損傷してしまうと、股関節にゆるみが出たり衝撃を受けやすくなったりすることがあります。

股関節唇損傷の代表的な症状としては、次の3つが挙げられます。

  • あぐらで股関節が痛い
  • ランニング時に足のつけ根が痛い
  • キック動作で股関節周りが痛い

また、なりやすい人の特徴としては下記のような方が挙げられます。

  • 臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)と診断されたことがある
  • 成長期にスポーツを頑張っていた

股関節唇損傷で痛む場所は、股関節の前面、足の付け根全体、そしてお尻といわれています。あぐらがかけないなどの股関節の痛みは、股関節のぐらつきや引っかかりの影響かもしれません。

参考:【股関節痛の原因は何?】関連する病気を専門家が解説!

股関節をひらく(あぐらをかく)時に痛い対処方法3つをご紹介!

あぐらをかく時に痛みが生じる原因についてご紹介しましたが、股関節周りの筋肉の硬さを解決することで、股関節をひらく際の痛みを改善できます。

ここでは、痛みの原因となる筋肉の硬さを解決する3つのストレッチをご紹介していきます。

お尻のストレッチ

お尻の後面に位置する「大殿筋(だいでんきん)」を柔らかくするストレッチです。あぐらをかくような股関節を深く曲げる動作では、大殿筋の十分な柔軟性が必要になります。痛みのない範囲でストレッチを実施しましょう!

お尻のストレッチ

STEP1:四つ這い姿勢になりましょう。
STEP2:お尻をななめ後ろへゆっくり動かします
STEP3:お尻が伸びた状態を10秒間程度保持します
STEP4:反対側も同様に実施しましょう。
※背中が丸まらないように注意しましょう

股関節の付け根のストレッチ

股関節の前面に位置する「腸腰筋(ちょうようきん)」を柔らかくします。腸腰筋は股関節の中でも、骨盤側の動きに対して重要な筋肉です。あぐらのように股関節を大きく曲げる時には、腸腰筋の柔軟性も大切です。

腸腰筋ストレッチ

STEP1:片膝立ちになり、どちらか一方の足を前に出しましょう
STEP2:体重を前方の足にゆっくり乗せていきます
STEP3:後方に位置する足の股関節前面に伸びを感じましょう
STEP4:反対側も同様に実施しましょう
腰は反らさず、上半身が床に垂直になるよう心がけてください。

内もものストレッチ

股関節の内側に位置する「内転筋群(ないてんきんぐん)」を柔らかくするストレッチです。内転筋群は足を外に広げる動作時に、柔らかさが必要になる筋肉です。

座位四股ストレッチ

STEP1:椅子に浅く腰掛け、足は大きめにひらいてください
STEP2:胸を膝に向けて倒すイメージで、上半身をひねりながら骨盤を前に倒しましょう
STEP3:太ももの内側に伸びを感じながら10秒間姿勢を保持しましょう
STEP4:反対側も同様に実施しましょう
前に倒れる際には、背中が丸まらないように気をつけましょう

こんな症状は要注意!医療機関への受診が必要な症状とは?

股関節の異常は目に見えないので、病院での検査が必要になることも。
たとえば、下記のような症状に心当たりはありませんか?

  • 歩行時に痛みがある
  • 太ももに痺れがある

歩いている時に痛みがある方は、股関節の中で炎症が起きている可能性があります。また太ももに痺れがある方は、腰からくる神経に原因があるかもしれません。

いずれの場合も症状が軽いうちに医師に相談するとよいでしょう。

まとめ

最後に本記事をまとめますと、足を開くと股関節が痛くなる原因は、以下の3つが挙げられます。

  • 軟骨のすり減りによる『変形性股関節症』
  • 筋機能不全が影響する『鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)』
  • 骨頭の安定性が損なわれる『股関節唇損傷』

これらの原因疾患により筋肉が硬くなることで、あぐらをかくことができなくなる可能性があります。また、少しでも股関節に違和感を覚えたら医師に相談しつつ、ストレッチなどセルフケアを行いましょう。

それでは当記事があなたの痛みを解消する一助になり、健康的な生活を送るきっかけになれば幸いです。

参考文献

1)Murphy NJ, Eyles JP, Hunter DJ. Hip osteoarthritis: Etiopathogenesis and implications for management. Advances in therapy 2016;33(11):1921-46
2)Weir A, Jansen JA, van de Port IG, Van de Sande HB, Tol JL, Backx FJ. Manual or exercise therapy for long-standing adductor-related groin pain: a randomised controlled clinical trial. Man Ther. 2011;16(2):148-154.
3)Groh MM, Herrera J. A comprehensive review of labral tears. Curr Rev Musculoskelet Med 2009 Jun;2(2):105-17.