顎関節症はストレッチが効果的!顎の痛みを解消するセルフケア方法を専門家が解説

顎(あご)が痛くて口を開けなくなったり、口の開け閉めで音が鳴ったりする病気が「顎関節症(がくかんせつしょう)」です。
顎関節症があると口がスムーズに動かせなくなり、会話や食事などに不便を感じることがあります。
また、肩こりや頭痛など他の箇所に影響をおよぼす場合もあるため、顎関節症は放置せず早めに対処していくことが重要です。1)

本記事では、顎関節症の概要と、症状改善が期待できるセルフケア(ストレッチなど)の方法を詳しく解説しています。
悪化を防ぐためのポイントも紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

顎関節症(がくかんせつしょう)とは

顎関節症を説明した図

顎関節症は、顎(あご)の関節とその周辺の咀嚼筋(そしゃくきん:顎を動かす筋肉)に起こる病気です。

顎関節症では、例えば次のような症状がみられます。

  • 顎関節や咀嚼筋に痛みがある
  • 顎を動かしたときにゴリゴリ、パキンといった音がする(顎関節雑音)
  • 口が開きにくい(開口障害)
  • 顎の運動がスムーズではない、引っ掛かりなどを感じる(顎運動異常)

原因は明確になっていませんが「咀嚼筋の緊張」「顎関節周辺の組織(靭帯、関節包など)の障害」「関節円板(顎関節の間にある軟骨状の組織)の位置のズレ」「顎関節を構成する骨の変形」などから上記に挙げたような症状が起こると考えられています。

顎関節症はストレッチで治せるのか?

ストレッチを行うことで咀嚼筋の緊張をほぐしたり、関節円板(かんせつえんばん)の位置を整えたりできるため顎関節症の症状を軽減できる場合があります。

しかし、顎関節症の発症にはさまざまな要因が絡み合っており、ストレッチだけで治すことは難しいとも言われています。もしストレッチをしても症状が変わらなかったり、悪化したりする際は、早めに医療機関にご相談ください。

顎関節症に効くおすすめストレッチ・セルフケア3選

顎関節症の症状を改善するには、以下のようなセルフケアがおすすめです。

なお、顎関節症を一瞬で治す魔法のような方法は存在しません。コツコツとマッサージやストレッチなどを継続することで、症状の緩和を目指していきましょう。

咬筋・側頭筋のマッサージ

咬筋(こうきん)は、ほお骨からエラのあたりにかけて付着する筋肉です。エラ周辺に手を置いて、強く噛み締めたときに収縮する咬筋を確認できます。

マッサージは、4本の指をエラの部分に当てます。そして、痛みのない範囲で優しく円を描くように咬筋をほぐしてください。

側頭筋(そくとうきん)は、こめかみ周辺から耳の上側にかけて付着する筋肉です。こめかみあたりに手を置いて、強く噛み締めたときに収縮する側頭筋を確認できます。

指の腹を側頭部に当て、咬筋と同じように優しく円を描くようにマッサージを行いましょう。

硬さに左右差がある際は、硬くこわばっているほうを長めにもみほぐすと、顎のバランスが整いやすくなります。

顎のモビライゼーション

モビライゼーションとは、関節を動かすことで可動域を改善したり、痛みを軽減したりする体操・ストレッチ方法を言います。
顎関節症に対してのモビライゼーションでは、悪い姿勢によって生じやすい顎の骨のずれを正しい位置に戻す効果があります。ぜひ1度試してみてください。

  1. 舌を口の中の上方につけます
  2. 顎に指を当て、顎関節の動きを確認します
  3. 口を軽く開いた状態で、反対側の手を使って顎を後方に押し込みます
  4. 顎が後方に動くのを感じたら元に戻します

痛みの出ない範囲で、1〜4の動きを10回ほど繰り返してください。

割り箸を使ったトレーニング・体操

口を開き、ゆっくり閉じていった際に歯のどこが最初に当たるかを確認してください。次の4つのパターンに分けられます。

  1. 左右の前歯が先に当たる
  2. 左右の奥歯が先に当たる
  3. 右側の歯が先に当たる
  4. 左側の歯が先に当たる

そしてパターンにあわせて、次のようなトレーニングを行ってください。

  • 左右の前歯が先に当たる:左右の奥歯で、横にした割り箸を30回ほど軽く噛む
  • 左右の奥歯が先に当たる:左右の前側の歯で、横にした割り箸を30回ほど軽く噛む
  • 右側の歯が先に当たる:左側の歯で、割り箸の先を30回ほど軽く噛む
  • 左側の歯が先に当たる:右側の歯で、割り箸の先を30回ほど軽く噛む

上記のトレーニングを行うことで、顎のバランスが整いやすくなります。

顎関節症の人がやってはいけないことは?

顎関節症において、やってはいけないことがいくつか存在します。
顎関節症の方は、次のような動作や姿勢はなるべく取らないようにしましょう。顎の痛みや動かしにくさが悪化してしまうかもしれません。

無理に口を開ける

大きく口を開けると、関節周辺の組織を痛める可能性があります。とくに朝のあくびなど、急に大きく口を開けることは避けるようにしてください。

硬いものを噛む

顎関節症の方は、フランスパンやスルメなど硬い食べ物はなるべく避けてください。強く噛み締めることで、顎関節や咀嚼筋に負担をかけてしまいます。

また、たとえやわらかいものであっても、ガムなど長時間噛んでいると顎の負担となるため注意が必要です。

頬杖をつく

頬杖をつく女性の画像

顎関節症の悪化を防止するためにも、頬杖はなるべくつかないようにしてください。頬杖をつくと顎の骨が左右にねじれ、関節円板のズレを強めてしまう可能性があります。

まとめ

今回の記事では、顎関節症に効果的なストレッチやセルフケアの方法をメインに解説しました。

無理に動かそうとすると顎の痛みが増したり、口が開きにくくなったりするかもしれません。症状を悪化させないよう、セルフケアは痛みが出ない範囲で行いましょう。

また、ご自身の対処で症状が改善しない場合は速やかに医療機関に行き、医師の検査や治療を受けるようにしてください。

それでは、あなたが現在悩まれている顎関節症の改善に、当記事が役立てば幸いです。