胸や背中あたりが痛み、「もしかしたら肋骨にひびが入っているかも」と不安を覚えることはありませんか。肋骨(あばら)へひびが入る場面はさまざまで、思い当たる原因がない方もいるでしょう。
そして肋骨にひびが入っているとすれば、少しでも早く改善したいですよね。
そこで当記事では、肋骨のひびについて詳しく解説します。肋骨にひびが入る原因や見極め方をはじめ、肋骨のひびを早く改善する方法をお話ししました。
最後まで目を通すことで、肋骨のひびについて理解でき、適切な対処法が分かるでしょう。ぜひお役立てください。
肋骨(あばら)のひびは骨折の一種
肋骨(ろっこつ)とは、背中から胸にかけて心臓や肺などを覆うように付く、12本(左右で24本)の骨を指します。
そして、さまざまな原因で肋骨にひびが入る場合があります。肋骨のひびは不全骨折、つまり骨折の一種です。したがって、肋骨にひびが入ると激しい痛みを伴います。
肋骨にひびが入る原因は?
肋骨にひびが入る主な原因は、肋骨への衝撃です。
日常生活では、「転倒して背中を打った」「強い咳やくしゃみをした」といった場合にひびが入る可能性があります。
また、スポーツのプレー中に肋骨にひびが入るケースも多いです。
ラグビーやサッカーで相手と強く当たり肋骨にひびが入ったというケースもあれば、野球やゴルフなどで同じ動作を繰り返し行ったことで肋骨にひびが入る(疲労骨折)ケースもあります。
肋骨の骨折を見極めるチェック方法
なかには「肋骨にひびが入るとどんな感じなのか知りたい」という方もいるでしょう。
肋骨にひびが入ると、あざ(内出血)が現れたり、腫れがみられたりするケースが多いです。また、ひびが入っていると思われる箇所を押すと、「ゴリゴリ」といった感触が感じられます。
そして、「咳をすると肋骨に響く」「息苦しさがある」「身体をひねると痛みが増す」といった症状がみられます。
参考記事:内出血(あざ)を早く治す方法とは?内出血する原因や皮膚色の変化・要注意な病気も解説
痛みのピークは?どのくらいで自然治癒する?
肋骨にひびが入った場合の痛みのピークは、ひびが入ってから1週間ほどだとお考えください。
その後、痛みは減っていく傾向にあります。ただし、骨が修復し痛みが完全におさまるまでは2か月から3か月ほどかかる場合が多いので、あらかじめ把握しておきましょう。
肋骨が痛むときはまず病院を受診するべき
肋骨にひびが入る原因に心当たりがある場合はまだしも、なかには気づかないうちに肋骨にひびが入っているケースがあります。また、肋骨のひびを放置したために、別の症状(病気)が併発する可能性もあります。
そもそも、肋骨にひびが入っているかどうかは、精密な検査をしてみなければ分かりません。
そこで肋骨が痛む・違和感がある場合は、「放置しても大丈夫」とは考えず早めに病院を受診してください。痛みの原因が分かれば安心できますし、適切な対処法が明確になります。
お医者さんからのアドバイスを守り、ひびの早期改善に努めましょう。
肋骨のひびを早く治すためのおすすめセルフケア方法
ここから、肋骨のひびを早く修復したい方におすすめの対処法・セルフケア方法を紹介します。
肋骨の不全骨折なので、できることは限定されます。そのなかで、誰でも取り組める方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:骨折を早く治す方法とは?骨折が治るしくみや治癒に必要な期間について解説
【安静】激しい運動を控える
痛みが強いうちは、できるだけ安静を心がけてみてください。強い痛みを我慢して動くと、いつまでも肋骨のひびが改善しません。
痛みが減ってきても、激しい運動を控えることが大事です。スポーツを行っている方は、痛みがおさまるまではストレッチなど静かな練習にとどめましょう。
また、「仕事を休めないときはどうすればいい?」と思う方もいると思います。激しく動かなければ、仕事を続けても問題はないので安心してください。
痛めた直後は肋骨を冷やす・時間経過後は温める
肋骨を痛めた(ひびが入った)直後は、痛い箇所を入念に冷やすことを心がけてください。
冷やすことで、腫れや炎症をおさえる効果があります。アイスバッグに氷を入れて冷やしましょう。
そして1週間ほど経過し、痛みが引いてきたら次は温めることに切り替えてみてください。
痛めた部位を温めることで、血流が良くなるので、ひびの早期改善が期待できます。ホットパックや熱めのシャワーで温めることがおすすめです。
肋骨に負荷がかからない姿勢で眠る
夜寝る際、肋骨を痛めた側を上にして寝ましょう。痛めた方を下にして寝ると、体重がかかり痛みが増す可能性があります。
ただし、痛みの具合によります。基本的に痛みが出ないなら、眠りやすい姿勢をとって大丈夫です。
骨の回復を促進!栄養ある食事を心がける
肋骨のひびを修復するためには、栄養ある食事が大切です。
とくに、ビタミンK(納豆や卵)、ビタミンD(魚介類やきのこ類)、カルシウム(牛乳やヨーグルト)を多めに摂ることを心がけてみてください。
とはいえ、毎日忙しくて料理をする時間がないという方もいるでしょう。その場合は、サプリメントを使って必要な栄養素を摂取することをおすすめします。
サポーター・コルセットを着用する
肋骨用のサポーターやコルセットの着用も検討してみてください。
サポーターやコルセットで肋骨を固定することで、痛みの緩和が期待できます。購入する際はサイズをしっかり確認しましょう。
ただし、サポーターやコルセットの効果には個人差があります。また、日常生活の妨げになる場合もあるので、注意してみてください。
肋骨の骨折時にやってはいけないこと
肋骨のひびを早く修復するために、やってはいけないことがいくつかあります。
まず先述した通り、肋骨の痛みを我慢して運動することは避けてください。肋骨が修復されず、痛みが長引いてしまいます。
また、過度な飲酒や喫煙も骨の修復の妨げになるので控えましょう。
加えて、寝不足や偏った食事など不規則な生活も、骨の修復には悪影響です。できるだけ見直してみてください。
まとめ
最後になりますが肋骨が痛むという場合は、まず医療機関を受診しましょう。気がつかないうちに肋骨に衝撃が加わり、ひびが入っている可能性があるからです。
肋骨のひび(不全骨折)が改善するまで3か月ほどかかるケースが一般的ですが、早期改善に有効な方法はあります。
ぜひ、本文で紹介したセルフケアを実践してみてください。肋骨のひびが改善すれば、もとの日常生活に戻れますし、スポーツを再開することも可能でしょう。
それでは、当記事があなたのお役にたてば幸いです。
【参考文献】
1)日本骨折治療学会:肋骨骨折
2)五嶋謙一,澤口 毅,小林尚史 島 洋祐,柳下昌史,中村立一 北岡克彦,中瀬順介,土屋弘行:第 1 肋骨疲労骨折の臨床的特徴
3)日本整形外科学会:「骨折」
4)加藤 雄樹,齋藤 賢一,五百川 威,近 良:投球により肋骨疲労骨折を生じた一症例~肩甲胸郭関節機能に着目した介入
5)髙橋 真治 ,呉屋 朝幸:外傷によって生じた単発性第 1 肋骨骨折の 1 例
6)窪 田 秀 明 ・佐 々木 賀 一 山 本 裕 之 ・新 井 堅 井 樋 直 孝 ・寺 戸 一 成:ス ポー ツ に よ る肋 骨 疲 労骨 折 の2症 例