足がつる(こむら返り)の原因が知りたい!すぐできる対処法や予防法を解説

寝ている時や運動中に「足がつって困った」という経験をお持ちの方は多いでしょう。もしかしたら、「足がつりやすい体質だから仕方ない」と半ば諦めている方もいるかもしれません。

足がつる状態そのものは危険ではないですが、痛みを伴いますから、できれば避けたいですよね。対処する方法や予防法を知りたい方も多いはずです。

そこで当記事では、足がつる原因や対処法について解説します。

最後まで目を通すことで、足がつる理由が分かり、予防する方法まで把握できるでしょう。ぜひお役立てください。

足がつる(こむら返り)とはどういった状態なの?

腓返りは痛みを伴いながら筋肉が過剰に収縮した状態

まず、足がつる状態について把握しておきましょう。

なお、ふくらはぎがつった状態を「こむら(腓)返り」と呼ぶほか、医学的には「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」と名称が付いています。

そして、足がつったというのは、筋肉が過剰に収縮した(縮んだ)まま戻らなくなった状態を指します。足がつった瞬間を見ると、つった部位がすじ張っており、これは筋肉が過剰に収縮している様子です。

また、足がつる際に痛みを伴うのも特徴の1つだといえます。

足がつる場面はさまざまで、「夜寝ている時」や「朝の起床前に伸びをした瞬間」に足がつるケースもあれば、「スポーツ」を行っている最中に足がつってしまうケースも多いです。

したがって年齢・性別問わず、足がつることはありますが、とくに高齢者は足がつりやすいといわれています。くわえて、生理中の女性や妊婦も足がつりやすいので要注意です。

足がつりやすい部位

足の中でもっともつりやすいのはふくらはぎ(腓腹筋)です。「こむら(腓)返り」という別名が存在することが、ふくらはぎがつりやすいことを表しているといえるでしょう。

足がつる(こむら返り)が最も起こりやすいのは腓腹筋

とはいえ、すね太ももがつるケースも見られますし、足の指がつるケースも存在します。

つる部位がどこであれ、こむら返りが治まるまで、足を自由に動かすことは難しいです。とくに、運動中や歩行中に足がつった場合は注意しなければなりません。

足がつるおもな原因

ではここから、足がつるおもな原因について見ていきます。

ただし、足がつるメカニズムについては、まだ分かっていない部分もあります。その点をあらかじめ把握したうえでご覧ください。

電解質のバランス悪化

まず考えられるのが、「電解質(でんかいしつ)バランスの崩れ」です。

電解質は身体にとって重要な物質で、とくに筋肉や神経の働きにとって欠かせません。そんな電解質のバランス(量)が崩れることで、脳から筋肉への信号が正しく届かなくなり、筋肉が過剰に収縮し足がつる状態を生みます。

そして、電解質のバランスが崩れる主な要因が水分不足です。なかでも、マラソンなどの発汗量が多いスポーツを行っている最中は足がつりやすくなります。

また、睡眠中に足がつる現象にも、水分不足が関係していると思われます。睡眠中は思いのほか発汗するからです。

ほかには、過度な飲酒も電解質バランスの崩れを招き、足がつる原因になるので注意しましょう。

血行不良

続いて考えられるのが、足の血行不良です。

血液の流れが悪くなることで、筋肉が酸欠を起こし、動きにくくなります。結果的に足がつってしまいます。

足の血行不良の原因は「筋肉量の低下や運動不足」「足の冷え」などです。そして高齢者が足をつりやすい原因の1つが、筋肉量の低下による血行不良だといえます。

疲労の蓄積・足への負荷

次に考えられるのが、足の疲労蓄積足への負荷です。

足を酷使したり、日々の疲れが蓄積することで、筋肉に「乳酸(にゅうさん)」が溜まります。すると筋肉の働きが悪くなり、足がつってしまいます。

なお、踵が高いヒールなども足への負荷が増える原因になるので、注意してください。

【要注意】骨や内臓の病気

足がつる症状は、骨や内臓の病気でも見られるケースがあります。

足がつる症状が見られる病気の例は、以下のとおりです。

  • 糖尿病
  • 肝硬変(かんこうへん)
  • 脳梗塞
  • 腎臓病
  • 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)

当然ですが、病気が改善しなければ足がつる症状も改善しません。そして、足がつる状態が病気のサインや前兆になっているケースもあります。

少しでも身体に異変を感じたら、そのまま放置することは避けましょう。

念のため病院の受診がおすすめ

もし、「頻繁に足がつる」「こむら返りと併せて身体の不調が気になる」場合は、念のために病院を受診してください

精密な検査によって足がつる理由を正確に把握することが大切です。そのうえで不明な点や不安な点をお医者さんに質問して、適切な対応を心がけましょう。

【応急】足がつってしまった場合の対処法

では、足(ふくらはぎ)が急につってしまった場合の対処法を解説します。

足がつった時は、ストレッチが有効です。

足の指をつかみ、ゆっくり引っ張りながら足首を手前に曲げていきましょう。決して、強く引っ張らないように注意してください。

30秒ほど引っ張り続けたあと、一度手を離し、足の様子を確認しましょう。足首を回したり曲げ伸ばしたり、歩いたりしてみてください。

問題なければ、ふくらはぎを軽く揉みほぐし、とりあえず応急処置は完了です。

ただし、足に力をいれると再発する場合もあります。その際はストレッチを再開し、おさまるまで続けてみましょう。

【予防】足がつらなくなるためのセルフケア方法

ここからは、足のつりを予防するためにおすすめのセルフケア方法を紹介します。日常でのちょっとした心がけで、足をつりにくくすることが可能です。

以下で紹介する方法を、まずは2か月ほど続けてみましょう。

まめに水分補給を行う

足がつるのを予防するには水分補給が大切

まずは、こまめな水分補給を心がけてみてください。

暑い時季はまだしも、寒い時季は水分補給を忘れてしまうこともあるでしょう。運動中はもちろん、睡眠前にも水を飲むのがおすすめです。

その際、お茶やコーヒーではなく、できるだけミネラルウォーターを飲みましょう。お茶やコーヒーは利尿作用があり、結果的に水分不足になってしまう場合があるからです。

栄養バランスが良い食事を摂る

栄養バランスが取れた食事を摂るのも大切です。

先ほどお話ししたように、電解質のバランスが崩れることで足がつります。そこで、「マグネシウム」「カルシウム」「カリウム」を意識的にレシピに含めましょう。

おすすめの食品の例は以下の通りです。

  • 油揚げ
  • 納豆
  • 梅干し
  • ヨーグルト
  • わかめ
  • ほうれん草
  • しいたけ
  • じゃがいも

自炊できれば理想的ですが、もし難しい場合はサプリメントを活用するのもおすすめです。

ストレッチを続ける

空き時間でストレッチを続けてみましょう。

ストレッチを行うことで血流が良くなり、筋肉の動きが整います。足首の曲げ伸ばし・回すといった簡単なストレッチでも効果があるでしょう。

あわせて、運動前のウォーミングアップや、運動後のクールダウンとしてストレッチを行うのも有効です。もちろん、就寝前のストレッチも効果的なので、ぜひ実践してみてください。

「温める」ことを心がける

身体が冷えることで血流が悪くなり、足がつりやすくなってしまいます。したがって、「温める」ことを意識してみましょう。

身体を温めるために有効な方法は、「湯船に浸かる」「就寝時にレッグウォーマーを着用する」「軽いウォーキングを行う」などがおすすめです。

なお、足がつる以外に、上記の対処法は疲れや冷え性改善にも効果が期待できるので、ぜひ実践してみてください。

まとめ

足がつる状態は病気ではありません。ただし、頻繁に起こる場合は注意してください。

病気の兆候として現れるケースもあるので、一度医療機関で診てもらうことをおすすめします。

そのうえで、本文で紹介した対処法やセルフケアを実践してみてください。もちろん即効性は高くありませんが、継続することで徐々に効きだし、こむら返りを予防できるはずです。

それでは当記事が、あなたのお役に立つことを願っています。

【参考文献】
1)高森 成之 安藤 貴志1):肝硬変 に伴 うこむ ら返 りに対す る 八味地黄丸 の有用性 に関す る検 討
2)大塚製薬:電解質(イオン)とは

3)平井正文1 牧 篤彦2 早川疸和:下肢静脈瘤におけるこむら返りの発生因子
4)平井 正文1 岩田 博英2 城所  仁2 早川 直和2 錦見 尚道3:日本におけるこむら返りの頻度-とくに加齢と末梢循環障害の関与について-
5)山本 祐子, 遠藤 美香, 菅原 亜子, 徳原 理恵, 溝辺 夏子, 勝平 純司, 藤沢 しげ子:ヒールの高さが妊婦歩行に与える影響
6)北岡 治子 馬嶋 素子 北沢 明人 磯谷 治彦 池上 陽一 間島 毅彦 坂根 貞樹 武 田 京子 高松 順太 大澤 仲昭:糖尿病 患者 にみ られ る有痛性筋痙攣 (こむ らが え り)の 特徴