体調が悪い時に、咳をすると背中が痛いと感じたことはないでしょうか。
あまりにも強く背中に響くと「大丈夫なのかな?」「実は病気なのではないか」と心配になるのも無理はありません。
咳をすると背中が痛い場合、いくつかの原因が考えられ、中には重篤な病気が隠れているケースも。
そこで当記事では、咳をした時に背中が痛い場合に考えられる症状や、自分で実践できる対処法をご紹介します。
最後まで目を通すことで、咳が出て背中が痛くなっても安心して対処できるようになるでしょう。
実は咳は身体にとって負担が大きい?
そもそも咳には、体内に入った異物や痰(たん)を体外に出す働きがあります。つまり身体にとって大切な生体反応にほかなりません。とはいえ、咳をすることで身体に大きな負担がかかるものです。
実際に強い咳をした際の衝撃がきっかけで、腰椎椎間板ヘルニアや急性腰痛症(ぎっくり腰)を発症するケースもあります。また、1回咳をするだけで約2キロカロリー消費すると言われており、体力を奪われることにも。
咳は身体にとって負担が大きいことを把握したうえで、できるだけ早く咳が治るように努めましょう。
咳をすると背中が痛い場合に考えられる症状
咳をして背中に痛みが出る場合、筋肉や神経もしくは骨に原因があると考えられます。
ここから、咳をすると背中が痛い場合に考えられる具体的な症状をご紹介します。
背中の筋肉の炎症
背中の筋肉に炎症があると、咳によって痛む可能性があります。
咳が出る瞬間、衝撃を受け止めようと背中の筋肉が緊張します。もし筋肉に炎症が起こっている場合、刺激物質の働きによって痛みを感じるのです。
「普段の姿勢が悪い」「運動不足」といった理由から、背筋に負荷がかかったり背中の筋肉の血行が悪かったりすると、炎症が起こりやすいので注意しましょう。
参考記事:背中の筋が痛いのはなぜ?原因と対処法や危険な症状の見分け方も解説
肋間神経痛
咳をした際に「焼けるように痛む」「ピリピリ痛む」という場合は、神経に負荷がかかったり、傷ついたりしている可能性が考えられます。
とくに肋骨(アバラ骨)周辺に痛みが広がる場合は「肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)」という症状も考えられるので把握しておきましょう。
肋間神経痛が発症する原因はさまざまです。姿勢の悪さから神経に負担がかかって発症することもあれば、打撲や急な運動で起こることもあります。
また肋間神経痛は、背中の左か右どちらか一方に起こることがほとんどだという点も、あわせて把握しておいてください。
骨折
そして、骨折が原因で背中の痛みが出ている可能性も考えられます。
骨が折れている場合、腫れや内出血が出ていたり、触っただけで激痛を感じたりします。もちろん、咳をした際も強く鋭い痛みを感じるものです。
過去、数週間以内に背中を強く打ち付けた経験はないか、あらためて確認してみてください。ただし中には、痛みなどを感じにくい骨折(圧迫骨折など)もあるので注意しましょう。
【実は重症かも】内臓の病気が隠れている可能性もある
咳をすると背中が痛む際、とくに注意すべきは内臓の病気が隠れているケースです。
気管支炎や肺の悪性腫瘍(がん)といった病気でも、咳をした際に背中が痛む症状が見られます。咳をして背中が痛くなっても「おそらく筋肉や神経が原因だから」と放置してしまっては、病気の発見が遅れ完治できなかったという事態になりかねません。
したがって、病気の可能性を常に頭に入れておきましょう。
参考記事:背中の左側が痛いのは内臓の病気かも?考えられる原因と対処方法を解説
参考記事:背中の右側の痛みは内臓が原因!?考えられる原因と適切な対処法
重篤な病気を見分けるポイント
咳をすると背中が痛む場合に、筋肉や神経や骨に原因があるか、病気が原因なのか見分けるには「痛み以外の症状の有無」をチェックすることが有効です。
まず病気が原因の場合は、発熱を伴う場合が多いです。熱なしというケースは少ないといえます。
また、痛みが1か月以上まったく減らないという場合も、筋肉や神経が原因とは考えにくく、病気である可能性が濃厚になります。
そして締め付けられるような胸痛を伴う場合も、肺などの病気を患っているかもしれないと考えるべきです。
加えて、痰が出る場合は色を確認しましょう。とくに茶色、赤色の痰は要注意。肺の病気である可能性が高いので、すぐに病院を受診してください。
咳をすると背中が痛い時の対処法
咳をすると背中が痛い場合、そのまま何もせずに我慢するのは辛いもの。
ここから、咳をした時に背中が痛い場合の対処法をご紹介します。ただし、咳が出ているということで身体が弱っているケースも多いので、無理は避けるようにしてください。
病院(呼吸器内科・整形外科)を受診する
繰り返しお伝えしていますが、まずは早めにかかりつけの病院を受診することが大切です。咳をすると背中が痛い原因が分かれば安心できますし、ご自身で注意すべき点も明確になりますよね。
病院を受診する際に「何科に行けばよいのか分からない」という方もいると思いますが、まずは呼吸器内科もしくは整形外科への受診がおすすめです。
市販薬を服用する
今すぐに病院へ行くことが難しい場合は、薬剤師に相談のうえ市販されている解熱鎮痛剤を服用することも検討しましょう。
筋肉の炎症を抑える、神経の痛みを抑える効果が期待できる「ロキソニン」などが代表的です。
背中を温める
痛みの程度や原因にもよりますが、背中を温めることで痛みが幾分か和らぐ場合があります。
お湯シャワーを背中に当てる、蒸しタオルを背中に当てる、カイロを背中に張るといった方法で温めてみましょう。
ただし、骨折が原因で背中が痛む場合は、あまり効果を期待できません。
ストレッチを行う
筋肉や神経が原因の場合は、ストレッチを行うことで痛みの軽減が期待できます。
呼吸を止めないように、ゆっくりと背中の筋肉を伸ばすことを心がけてみてください。あわせて胸の筋肉もストレッチすることをおすすめします。
ただし、ストレッチの効果の現れ方には個人差があります。したがって、ストレッチの効果が全く出ないケースもあり得るので、あらかじめ把握しておいてください。
参考記事:背中のコリをほぐしたい!凝りやすい場所とおすすめストレッチ・気持ち良いツボを解説
参考記事:背中の痛みをストレッチで改善!体の硬さチェックから対策方法を紹介
咳をする時の姿勢に注意してみる
咳をする姿勢に注意を払うことも有効です。
咳き込む際はどうしても背中が丸まってしまいますが、これでは背筋への負担が増えてしまいがち。
そこで咳が出そうになったら「壁に両手を付く」、もしくは「胸を張ってお腹を軽く押さえる」といった姿勢を取ることで、衝撃が和らぎ背中の痛みも軽減するでしょう。
直接的な痛みの改善ではないですが、手軽に使える方法なのでぜひ試してみてください。
まとめ
咳をすることは身体にとって負担が大きいです。多かれ少なかれ、咳をすれば背中に衝撃が伝わるものですが、痛みが出る場合は注意するべきです。
もし咳をすると背中にひどい痛みが出る場合、筋肉の炎症、肋間神経痛、骨折、または内臓の病気が考えられますので、まずは病院を受診することを優先してください。
そして咳をする際の姿勢に注意を払うことで、痛みを軽減することが可能です。
それでは当記事を参考に、咳をした際の背中の痛みに対処してみてください。
【参考文献】
1)一般社団法人日本呼吸器学会:呼吸器Q&A
2)厚生労働省:市販の解熱鎮痛薬の選び方