【なぜ?】歩くとアキレス腱が痛い原因とは?関係する足首周辺の症状と対処法を紹介

歩いている最中にアキレス腱が痛くなる場合があります。

心当たりがないのに痛み続ければ「治らないのかも」と不安を抱くのも無理はありません。実際は、足首周りになんらかの炎症や損傷が発生している可能性が高いです。

そこで当記事では、歩くとアキレス腱が痛い原因や対処法・セルフケア方法を詳しく紹介します。

最後まで目を通すことで、アキレス腱の痛みを軽減する方法がわかり、快適に歩くための参考になるでしょう。

歩く時にアキレス腱周辺が痛い!原因として考えられる症状

歩行時のアキレス腱の痛みに悩む女性

さっそく、歩くとアキレス腱が痛む場合に考えられる症状を紹介します。

ご自身の痛みや違和感と比較しながらご覧ください。

アキレス腱炎

アキレス腱炎を解説した図

まず考えられる原因が「アキレス腱炎」です。

アキレス腱が炎症を起こす症状で、足の使いすぎ筋肉の柔軟性の低下、また扁平足(足裏の土踏まずが消失した状態)などが原因で発症します。

アキレス腱の腫れや発赤寝起き時の痛み朝のこわばりが現れている場合は、アキレス腱炎である可能性が高いと判断してみてください。

参考記事:アキレス腱の痛み・腫れ・違和感の原因はアキレス腱炎?適切な対処法をわかりやすく解説!

アキレス腱断裂の危険性もある

もし、アキレス腱炎を放置したままスポーツや運動を続けた場合、アキレス腱断裂につながりかねません。

「後ろから蹴られたような」強い衝撃とともにアキレス腱断裂は発生します。アキレス腱が切れてしまえば、歩行が困難になり日常生活に大きな支障が出ます。

したがって、アキレス腱炎を放置するべきではありません。「この痛みはアキレス腱断裂と関係あるかもしれない」と捉え、早めの処置を心がけてみてください。

踵骨骨端症(シーバー病)

踵骨骨端症(シーバー病)について解説した図

アキレス腱というより踵(かかと)が痛む場合は「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」(別名:シーバー病)である可能性が考えられます。

踵骨骨端症とは、アキレス腱への持続的なストレスによって踵骨の炎症から痛みが起きる症状で、10歳〜15歳のスポーツプレイヤーに起こりやすいです。

痛みが悪化すると、つま先立ち歩行になってしまうケースも少なくありません。なお、踵骨骨端症も扁平足である場合に発症しやすいと言われています。

足関節後方インピンジメント症候群

足首を伸ばした際にアキレス腱が痛む場合、「足関節後方インピンジメント症候群」である可能性が高いです。

足関節の骨が欠けた「骨棘(こつきょく)」や、三角骨という「副骨(癒合しなかった余分な骨)」が他の骨や靭帯に挟まることで痛みが発生します。

足首を伸ばす動作を繰り返し行うことで発症するほか、過去の捻挫が原因で発症するケースもあります。

つま先立ちになるとアキレス腱の奥が痛む」「ランニング時にアキレス腱が痛む」「ボールがつま先に当たるとアキレス腱の奥が痛む」といった症状が特徴的です。

歩くとアキレス腱が痛いままほっとくとどうなる?

歩く際に生じるアキレス腱の痛みをそのまま放置していると、症状が悪化し歩くことが難しくなってしまうおそれがあります。

もちろん、スポーツのプレーなどに支障が出ることは言うまでもありません。

いつも通り動き続けながら痛みが自然と消えていくことはほとんどないので、休息期間や治療期間を設けることを検討してみてください。

歩行時のアキレス腱の痛みはどのくらいで改善する?

多くの場合、2か月〜3か月でアキレス腱の痛みは緩和していくケースが多いです。ただし、骨に異常が生じていると改善まで1年以上かかる場合もあります。

また、あくまでスポーツや歩行動作を少なくおさえた際の期間とお考えください。先述したように、自然と痛みが引いていくことは少なく、休まず動き続けていれば痛みはさらに長引くでしょう。

最初に病院(整形外科)への受診を忘れずに!

歩く時のアキレス腱の痛みや違和感が続く場合は、病院(整形外科)を忘れずに受診してください。痛みが強い場合や痛みが引かない時は、なおさら精密な検査が必要です。

また、アキレス腱の痛みに重篤な病気が隠れている可能性もあります。病名がつくことで、気をつけるべき点や対処法がより明確になるでしょう。

楽に歩けるようになる!おすすめセルフケア方法

歩行時にアキレス腱が痛む原因はさまざまですが、セルフケアによって痛みを軽減させることが可能です。

ここから、ご自身で取り組みやすいストレッチや筋力トレーニング、効果のある対処法を紹介します。

毎日継続することで効果が現れるでしょう。ぜひ参考にしてください。

ストレッチを続ける

アキレス腱周辺の血流を良くするためには、ストレッチが効果的です。

運動前やお風呂上がりに入念にストレッチしてみてください。

では、おすすめのストレッチを紹介します。

1つ目は「腓腹筋(ひふくきん)ストレッチ」です。

こちらのストレッチによって、「歩行時の蹴り出し」「つま先立ち」に関係する腓腹筋を伸ばすことができます。

2つ目は「ヒラメ筋ストレッチ」です。

上記のストレッチを行うことで、とくに「立ち姿勢の保持」に関係するヒラメ筋が効率よく伸びます。

腓腹筋とヒラメ筋は、「下腿三頭筋」を形成してアキレス腱とつながる筋肉です。毎日コツコツ継続することで、アキレス腱の痛みの早期改善につながるでしょう。

セルフマッサージを行う

ストレッチとあわせて、アキレス腱周辺をセルフマッサージすることもおすすめです。

アキレス腱周辺の脂肪組織が硬くなるとアキレス腱の痛みにつながりやすいので、セルフマッサージが大切になってきます。

簡単に実践可能なセルフマッサージ方法を動画で紹介します。

アキレス腱をつまみながらほぐしましょう。位置をずらしていったり、足首を上下に動かしたりして変化を付けることも有効です。

また「揉むと痛い」「押すと痛い」という場合は、強い刺激を避けながら、優しくつまみながらほぐすことを心がけてみてください。

【痛みが強い時】外用消炎鎮痛剤・湿布を使う

アキレス腱の痛みが強い場合は、外用消炎鎮痛剤湿布を使うことも検討してみてください。

飲むタイプ・貼るタイプ・塗るタイプなど、形状や使い方はさまざまなので、用途に合わせて選びましょう。

ドラッグストアで購入する際は、薬剤師に相談したうえで購入することがおすすめです。

歩行時の負担を和らげるインソールを使う

アキレス腱の痛みを和らげる効果のあるインソール

歩行時の踵への負担を和らげるために、インソール(衝撃を吸収する中敷き)を使うことも有効です。

普段履いている靴にインソールを敷くことで、歩行時の踵への衝撃が減り、アキレス腱の痛みを軽減できます。理学療法士が監修した高性能なインソールが数多く販売されているので、ご自身で選んで購入してみてください。

ただし、靴のサイズや形状にフィットしないインソールを使用してしまうと、逆に足への負担が増えてしまいかねません。

したがって、サイズや形状を慎重に確認することを忘れないようにしましょう。

まとめ

ご自身で気が付かないだけで、実はアキレス腱周辺に負担がかかっていることで痛みが発生しているかもしれません。生活習慣をあらためて見直してみましょう。

言うまでもなく、歩行時に生じるアキレス腱の痛みは大きなストレスです。仕事はもちろん、趣味やプライベートにまで影響を及ぼします。

ぜひ当記事を参考に、アキレス腱周辺のセルフケアを入念に続け、痛みを感じずに歩けるようになりましょう。

【参考文献】
1)N Maffulli 1, K M Khan, G Puddu:Overuse tendon conditions: time to change a confusing terminology
2)M Kvist:Achilles tendon injuries in athletes
3)Alexander Scott and Patrik Danielson:An Emerging Role for Angiogenesis in Tendinopathy
4)Alicia M James, Cylie M Williams and Terry P Haines:“Effectiveness of interventions in reducing pain and maintaining physical activity in children and adolescents with calcaneal apophysitis (Sever’s disease): a systematic review”
5)Patrick Belikan* , Lars‑Christopher Färber, Frédéric Abel, Tobias E. Nowak, Philipp Drees and Stefan G. Mattyasovszky:Incidence of calcaneal apophysitis (Sever’s disease) and return-to-play in adolescent athletes of a German youth soccer academy: a retrospective study of 10 years
6)S Perhamre 1, S Janson, R Norlin, M Klässbo:Sever’s injury: treatment with insoles provides effective pain relief
7)M. H. Kvist, O. J. Heinonem:Calcaneal apophysitis (Sever’s disease) — a common cause of heel pain in young athletes
8)Isabelle Senécal, DC1 and Nadia Richer, BSc, MSc, DC2:Conservative management of posterior ankle impingement: a case report
9)Youichi Yasui, Charles P Hannon, Eoghan Hurley, and John G Kennedy:Posterior ankle impingement syndrome: A systematic four-stage approach
10)William J Ribbans 1, Hannah A Ribbans 2, James A Cruickshank 2, Edward V Wood:The management of posterior ankle impingement syndrome in sport: a review