腰が痛い、あるいは腰が張っている時に、「マッサージは効くのかな?」と考える方もいるでしょう。
腰の痛み(腰痛)にマッサージが効くかどうかは、痛みの原因によります。マッサージによって腰の痛みが改善するケースもあれば、まったく痛みが改善しないばかりか逆に痛みが悪化するケースもあるのです。
そこで当記事では、腰の痛みにマッサージが効く理由と、マッサージが効かない注意が必要なケース、ご自身で実践可能な腰痛セルフマッサージ方法を紹介します。
最後まで目を通すことで、腰の痛みにマッサージが効く理由や条件がわかり、腰痛改善に役立てられるでしょう。
腰痛にマッサージが効く理由
最初に、「なぜ腰の痛みにマッサージが効くのか」を簡単に確認しておきましょう。
凝り固まった腰の筋肉を外からマッサージすることで、筋肉の緊張が和らぎ血流が良くなります。すると筋肉へ酸素が十分行き届き、痛みが改善されるのです。
したがって、マッサージが効果的なのは、筋肉が原因で腰の痛みが発生しているケースに限られます。
参考記事:【筋肉が原因となる腰痛】筋筋膜性腰痛とは?見分け方と対処法を解説!
腰痛にマッサージが効かない・注意が必要なケースもある
なかには、マッサージが効かない腰痛が存在するので注意してください。マッサージが適さない腰の痛みには2種類あります。
1つ目は、筋肉以外に原因がある腰の痛みです。
「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」「腰部脊柱菅狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」「腰椎すべり症」など、椎間板や背骨、関節に原因がある腰痛にはマッサージが効きません。
2つ目は、急激な腰の痛みです。
いわゆる「ぎっくり腰(急性腰痛)」では、腰の筋肉が強い炎症を起こしています。したがって、マッサージを行うことで炎症が広がって逆に痛みが悪化しかねません。
上記の腰の痛みに対してマッサージを行うのはよくないです。十分注意しましょう。
参考記事:【腰椎椎間板ヘルニア】やってはいけないこと5つ!予防に効果的なストレッチも紹介
参考記事:これってぎっくり腰!?腰椎捻挫の症状と自分でできるリハビリ方法をわかりやすく解説!
自分で腰をほぐしたい!セルフマッサージのポイント
腰の痛みを改善するために、専門家のマッサージを受けるのが効果的です。ただ、なかには「自分で腰をほぐしたい」という方も多いのではないでしょうか。
ここから、ご自身の身体に行うセルフマッサージのポイントをご紹介します。
一度覚えれば、ずっと使える技術なので、ぜひ参考にしてみてください。
痛む場所を把握する
まず、痛む場所を正確に把握しましょう。
腰痛に悩む方であっても、腰が痛む場所を正確に把握できていない場合が多いです。腰の広範囲に渡って痛むケースもありますが、痛みが強い場所をできるだけピンポイントで把握してみてください。
もちろん複数箇所が痛む場合も多々あります。その場合は、痛みの強さで順番をつけておくのがおすすめです。マッサージを行った後に、痛みの具合はどうなったか確認してみましょう。
痛みの場所を把握したうえで、痛む箇所周辺をマッサージしていきます。
優しい刺激を心がける
ご自身の腰をセルフマッサージする際、どうしても強く刺激したくなります。「強く揉みほぐせば早く改善する」と考えるのも無理はありません。
ですが、実際は逆効果で腰痛が悪化してしまう場合も多々あります。強い刺激によって筋線維が切れてしまうと、痛みやだるさといった「揉み返し」が起こるので注意が必要です。
できるだけ、優しい刺激を心がけてください。
参考記事:揉み返しとはどんな痛み?原因と対処法・好転反応との違いまで詳しく解説
指の腹もしくは手のひらで揉みほぐす
優しい刺激でセルフマッサージを行うために、親指の腹もしくは手のひらを使うことがおすすめです。ピンポイントで刺激したい場合は指の腹を使い、広く圧をかけたい場合は手のひらを使ってみてください。
また、骨など堅い部分を使ってのセルフマッサージは、刺激が強くなりすぎるのでおすすめしません。
押し方に変化をつける
腰の押し方(揉み方)に変化をつけることで、飽きやマンネリを防げます。いくつか押し方を紹介します。
まず、痛む部位の周辺を狙って「3秒押してから離す」をリズミカルに繰り返してみましょう。
(秒数については適宜調整してみてください)
もしくは、押した筋肉を引き伸ばすように上下・左右に動かす方法もおすすめです。あるいは、一定時間(10秒ほど)押し続ける方法も効果的です。
なお、セルフマッサージを行う際は、呼吸を止めないことを意識しましょう。
腰から離れた「ツボ」を活用する
腰痛の改善には、腰から離れた「ツボ」を使うのもおすすめです。腰のマッサージとあわせて活用することで、腰痛が改善しやすくなるでしょう。
以下より、腰痛改善におすすめのツボを紹介します。
委中(いちゅう)
1つ目は、膝裏の「委中(いちゅう)」です。
膝のお皿のちょうど真裏に位置しています。手のひらや親指では押しにくいので、左右の人差し指で押してみてください。
中注(ちゅうちゅう)
2つ目は、お腹の「中注(ちゅうちゅう)」です。
おへそから約3センチ下へ指を滑らして、外側へ約1センチずれた場所に位置します。
仰向けになった姿勢で、親指を使ってマッサージすることをおすすめします。
束骨(そっこつ)
3つ目は、足の「束骨(そっこつ)」です。
足の小指の付け根にある膨らみの下に位置します。足の小指を外側に開いた時に動く場所を目安に見つけてみてください。
座った姿勢で、親指を使って揉みほぐすのがおすすめです。
マッサージグッズや器具を使う
セルフマッサージを行うなかで、手が疲れてしまう場合があります。自身の手が届きにくい箇所をマッサージするとなるとなおさらです。
そういった時は、マッサージグッズや器具を使うことも検討しましょう。腰の筋肉を緩めるローラーや腰痛に効くクッション、ツボ押し棒など種類は豊富です。
また、腰痛に効く家電商品も販売されています。
ただし、「効き方に個人差がある」「持ち運びが面倒」「強さや押し方のバリエーションが少ない」などのデメリットがあることを認識しておきましょう。
腰痛マッサージを家族にやってあげる際の注意点
仕事からの帰宅後や休日に、「家族やパートナーにマッサージしてあげたい」と考える方もいると思います。
疲れている時にマッサージしてもらうのは嬉しいもの。きっと家族やパートナーに笑顔になってもらえるでしょう。
ただし、相手にマッサージをする際には細心の注意が必要です。もし肋骨(アバラ骨)を強く押すと、骨が折れてしまう可能性があります。
したがって、家族やパートナーに対しては、腰を押さずに優しくさする方法がおすすめです。
手のひらで、腰周辺をじっくりさすってあげてみてください。筋肉がほぐれるのはもちろん、手のひらの摩擦で温かさも生まれます。
腰がほぐれて、疲れが癒やされるはずです。
なお、家族やパートナーの方にはうつ伏せでマッサージを受けてもらいましょう。もちろん衣服を着たままで問題ありません。
ですがパートナーの方が妊娠している場合は、うつ伏せを避けて横向きになってもらってみてください。
何度もマッサージすることで、徐々にコツが掴めてくるものです。ぜひ空き時間を使って、家族やパートナーへのマッサージを続けていきましょう。
腰痛が全く改善されない場合は病院で診てもらおう
もしセルフマッサージを行っても腰痛がまったく改善しない、あるいは痛み以外の症状(発熱や食欲不振など)が現れている場合、内臓などの重篤な病気が原因で腰が痛くなっているケースが考えられます。
痛みを放置せず、すぐに病院で診てもらってください。精密な検査をうけたうえで、お医者さんのアドバイスをしっかり守りましょう。
まとめ
腰の筋肉が原因で起こる腰痛に対しては、マッサージが効果的です。近所のマッサージ店(もみほぐし)や接骨院・整骨院の自費施術を利用するのも良いでしょう。
とはいえ、定期的に通うとなると費用がかかります。そこでセルフマッサージを試すことがおすすめです。
本文で紹介したポイントをおさえながら、セルフマッサージを続けてみてください。
ただし、ぎっくり腰や腰椎椎間板ヘルニアといった症状に対してマッサージは効きません。また、痛み以外の症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診することが大事です。
それでは、当記事があなたのお役に立てれば幸いです。
【参考文献】
1)原田 脩平, 加藤 仁志, 栗林 朋宏, 轟木 信彦, 吉澤 和真, 松澤 正:マッサージに血流の改善効果はあるのか
2)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会:腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第 3 版
3)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン策定委員会:腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン改訂第 2 版(案