仰向けに寝ると腰が痛い原因とは?夜に寝れない場合の対処法を解説

就寝時に仰向けの体勢で現れる腰痛は悩みの種です。

とくに仰向けでしか眠れない方にとっては深刻で、睡眠不足につながってしまいかねません。したがって、少しでも早く改善したいと思うはず。

そこで当記事では、仰向けに寝ると腰が痛い場合に考えられる症状と、対処法を紹介します。

最後まで目を通すことで、仰向け時に現れる腰痛を緩和する方法がわかり、快適な睡眠がとれるようになるでしょう。

仰向けで腰が痛い時に考えられる症状

仰向けで眠る女性の画像

ではさっそく、仰向けで腰が痛む原因として考えられる症状を解説します。

ご自身の様子と比較しながらご覧ください。

反り腰

仰向けになって腰が痛む場合、まず考えられるのが「反り腰」です。

反り腰とは、背骨のS字カーブが強くなることで腰が反りすぎてしまう姿勢です。反り腰になる原因として、太もも・股関節前面の筋肉の緊張や腹筋の筋力低下、体重の変化などが考えられます。

反り腰について解説した図

そして仰向け姿勢では、股関節が伸ばされることでさらに反り腰が強調され、腰痛が発生します。

参考記事:【ぽっこりお腹を改善】腰痛のもとになる反り腰の原因・簡単な治し方をわかりやすく解説!

仙腸関節障害

仙腸関節障害について解説した図

仰向けに寝た時にお尻まわりが痛む場合、「仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)」の可能性があります。

仙腸関節障害とは、骨盤を形成する仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)のズレによって現れる症状です。

主にスポーツや重作業による骨盤への負荷、あるいは妊娠時に骨盤が緩むことが原因で発症します。

参考記事:女性に多い腰痛の原因は?症状とストレッチや体操などの対処法を解説!

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアを解説した写真

仰向けに寝て、腰痛の他に下肢へのしびれが生じる場合は「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」の可能性も考えられます。

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨を構成する椎間板から「髄核(ずいかく)」が飛び出し神経を圧迫することで、痛みやしびれが現れる症状です。

長時間のデスクワーク肥満喫煙習慣などが原因で発症します。
とくに、仰向けで足を伸ばすと痛みやしびれが強まる傾向にあるので、注意しましょう。

参考記事:【腰椎椎間板ヘルニア】やってはいけないこと5つ!予防に効果的なストレッチも紹介

急性膵炎

内臓」の症状が原因で、仰向け時の腰痛が現れるケースも存在します。

アルコールの過剰摂取や暴飲暴食などによって発症するのが「急性膵炎(きゅうせいすいえん)」です。

膵臓内に炎症が起こる病気で、腹部から背中にかけて激痛が生じます。また、仰向けの姿勢で痛みが強くなるという特徴もあります。

腰の痛みが強い場合は早めに病院へ受診を

仰向け時の腰の痛みが我慢できないほど強い場合や、痛みがまったく引かない場合は、早めに病院を受診してください。

内臓などに重篤な病気が隠れている場合もあり得ます。したがって精密な検査によって、痛みの原因を正確に把握することが大切です。

病院を受診する際、仰向けに寝ると腰が痛むという旨をお医者さんに伝え、アドバイスを仰いでみましょう。

腰が痛くて仰向けで寝られない場合の対処法

仰向け時の腰痛がそこまで強くない時は、ご自身で対処することも可能です。

ここから、腰が痛くて仰向けで寝られない場合の対処法・セルフケア方法を紹介します。すぐに実践できる方法もあるので、ぜひ参考にしてください。

参考記事:腰が痛い時の寝方とは?腰の痛み別に正しい寝姿勢を紹介

膝の下にクッションを敷く

仰向けで現れる腰痛に効果的な寝方

仰向けに寝た状態で、膝の下にクッションを入れてみましょう。

膝下にクッションを入れると膝が適度に曲がるので、腰にかかる負担を減らすことが可能です。また、筋肉の緊張を和らげる効果も期待できます。

膝下に敷くクッションは柔らかめのものを選び、高さをご自身に合わせて調整してみてください。もし丁度よいクッションが見つからない場合は、毛布やタオルを丸めて代用する方法もあります。

参考記事:寝すぎて腰が痛いのはなぜ?痛みの原因と簡単にできるストレッチや対処法を紹介

使用している布団を見直す

普段使用している敷き布団を、今一度見直してみてください。

敷き布団が硬すぎることで、仰向け時の腰痛が改善しにくくなっている場合もあります。かといって、柔らかすぎる敷き布団も腰への負担が増える原因になります。

したがって、適度な硬さで反発力が保たれており、寝返りが打ちやすい敷き布団を使いましょう。

腰痛改善に大切な布団の固さを解説した図

腰・股関節のストレッチを行う

お風呂上がりや就寝前に、腰・股関節のストレッチを行うこともおすすめです。

ストレッチを行うことで血流が改善して筋肉が緩むため、痛みの軽減が期待できます。
ではここで、おすすめのストレッチを紹介します。

1つ目は「座位四股ストレッチ」です。

座位四股ストレッチ
STEP1:両脚を大きく開きましょう
STEP2:上半身を捻りながら骨盤を前方へ倒しましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※太ももの内側が伸びるのを感じながら実施しましょう
※腰を丸めない様に注意しましょう

座った状態で「四股(しこ)」を行うことで、太ももの内側に付く「内転筋群」を伸ばせます。

2つ目は「腸腰筋(ちょうようきん)ストレッチ」です。

腸腰筋ストレッチ
STEP1:片膝立ちの姿勢になりましょう
STEP2:前方の足に体重を乗せましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※股関節の付け根の伸びを感じながら実施しましょう
※腰を反らさないように注意しましょう

片膝立ちの状態から前足に体重をかけることで、股関節の前面に付く「腸腰筋」が伸びます。

3つ目は「膝抱えストレッチ」です。

膝抱えストレッチ
STEP1:両脚を抱えましょう
STEP2:腰を丸めるようにお腹に引き寄せます
STEP3:姿勢を保持しましょう
STEP4:元の姿勢に戻します
※腰が伸びるのを感じながら実施しましょう
※丸めたタオルを入れるとさらに伸びます

仰向けの状態から、膝を抱えた姿勢で保持します。こちらの運動で、背中に付く「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」を伸ばすことが可能です。

いずれのストレッチも、反動をつけないように注意しながら、呼吸を止めずにゆっくり行うことがポイントです。ぜひ継続してみてください。

参考記事:【誰でも簡単】腰痛を和らげる方法は?痛みの原因と簡単にできるストレッチを紹介

まとめ

仰向けに寝ると腰が痛いからといって、「寝相を変えれば解決」とはなりません。眠りやすい寝相は人それぞれで、簡単に変えられるものではないからです。

仰向け時の腰痛にはいくつかの原因が考えられますが、ご自身で就寝環境を見直したり工夫したりすることで対応可能なケースも多いです。

当記事を参考に、さっそく対処法を実践して仰向け時の腰の痛みを改善しましょう。

【参考文献】
1)Dinesh P Thawrani 1, Steven S Agabegi, Ferhan Asghar:Diagnosing Sacroiliac Joint Pain
2)Denis Mulleman 1, Saloua Mammou, Isabelle Griffoul, Hervé Watier, Philippe Goupille:Pathophysiology of disk-related sciatica. I.–Evidence supporting a chemical component

3)Rogier M van Rijn 1, Merel Wassenaar, Arianne P Verhagen, Raymond W J G Ostelo, Abida Z Ginai, Michiel R de Boer, Maurits W van Tulder, Bart W Koes:Computed tomography for the diagnosis of lumbar spinal pathology in adult patients with low back pain or sciatica: a diagnostic systematic review
4)日本整形外科学会:腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
5)一般社団法人 日本肝胆膵外科学会:急性膵炎と慢性膵炎