【ぎっくり腰】これでひと安心!楽な姿勢(寝方・座り方)と対処法を解説!

「ぎっくり腰」は突如発症する動けなくなるほどの強い腰痛を指し、正確な病名を「急性腰痛症」といいます。

ぎっくり腰のきっかけは人それぞれですが、横になることすらできないほど腰が痛むケースが少なくありません。

それゆえ、ぎっくり腰経験者の多くの方が、痛みのない楽な寝方や座り方について知りたいと考えていることでしょう。

そこで今回の記事ではぎっくり腰の主な原因を解説し、適切な対処法や楽な寝方・座り方などの楽な姿勢をご紹介します。

本記事を読むことで、少しでも腰の痛みの軽減にお役立ていただきますと幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

ぎっくり腰はなんで起こるの?痛みの原因を知ろう!

腰を前屈みにすると痛い人の画像

なぜぎっくり腰が起こるのか、痛みの対処法の理解を深めるため、腰椎の構造を知っておきましょう。

そもそも背骨は24個の骨(椎体)からできており、頭側から「頸椎(けいつい)」、「胸椎(きょうつい)」、「腰椎(ようつい)」と呼ばれています。そして椎体と椎体の間には、「椎間板(ついかんばん)」と呼ばれるクッション材が積み重なってできており、背骨をさまざまな衝撃から守っています。

腰椎と椎間板の説明

さらに背骨の周りには、多くの筋肉が走行しています。たくさんの筋肉と関節がそれぞれ働いているので、一か所に負担がかからないようになっています。特に背中の中心に位置する「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」は、背骨を広く支えどのような姿勢においても体を安定させる役割を担っているのです。

ぎっくり腰に関係するのは、これら腰椎周りの筋肉や骨のつなぎ目である椎間関節、クッション作用のある椎間板です。

例えば体が硬い方や姿勢が悪い方は、慢性的な関節の不動により筋肉や関節の動きが悪くなってしまいます。すると、腰などの一か所に慢性的な負担がかかります。そして、脊柱起立筋や椎間関節、椎間板に負担が蓄積されて日常の動きがきっかけになり、大きなダメージとなってぎっくり腰になります。

参考記事:これってぎっくり腰!?腰椎捻挫の症状と自分でできるリハビリ方法をわかりやすく解説!
参考記事:【ぎっくり腰】即効では治らない!1日でも早く治す適切な対処法を解説!

ぎっくり腰になった時の適切な対処法を解説!

ぎっくり腰になる原因はご理解いただけましたでしょうか。ここからは、ぎっくり腰になった時の適切な対処法を解説していきます。

まずは安静にしよう

発症から4週間以内は急性期と呼ばれます。急性期は、炎症症状があるので、出来るだけ安静にしましょう。

特に痛みが出始めてから2〜3日の間は、可能な限り楽な姿勢で過ごし、腰に負担をかけないようにしてください。

一般的に、ぎっくり腰による痛みは1週間以内に収まるといわれています。1週間以降は、痛みの出現する無理な運動や不必要な行動は避け、生活を送る上で必要な範囲内での行動を心がけましょう。

徐々に日常生活へ復帰するのが重要!

痛みが軽減してきたら、少しずつ日常生活に復帰していきましょう。過度な休息は腰痛の回復を遅らせたり、慢性化の一因となります1)。適度に動くことが腰痛改善の鍵となります。

また、後ほど紹介するセルフストレッチなどを行いながら、徐々に運動を開始していきましょう。

温める・冷やす?どっちが適切?

ぎっくり腰になってしまった時は、炎症症状があるのでまず冷やしましょう。

炎症によって強い痛みが起きているので、患部を冷やすと楽になります。逆に温めてしまうと血行が促進され痛み物質が広がりやすく、痛みが増す可能性があります。

温めすぎないように、入浴は控えシャワーで済ませるとよいでしょう。

ぎっくり腰になった時の安心で楽な姿勢(寝方・座り方)とは?

先ほどお話ししたように、ぎっくり腰の急性期は安静に過ごすのが重要です。しかし、どのような姿勢が楽なのか知りたいですよね。

そこで、ぎっくり腰になったときの寝方や座り方について解説していきます。

寝る時は大きなクッションを有効活用!

大きめクッションと小さめクッションを活用して上半身と下半身を安定させると、楽な姿勢で寝ることができます。

その際に意識することは以下の通りです。

  1. 横向きになり、軽く膝を曲げます
  2. 足と足の間に小さいクッションを入れます
  3. 大きいクッションを抱えるように、腕の位置を安定させます

座る時はテーブル・机を支えに腰の負担を軽減!

座る時に注意するべきことは、勢いをつけて座らないことです。お尻の位置を変える動きは、腰に負荷がかかるので痛くなることも。

そこで、座面近くにあるテーブルや机に手をつき、上半身も使って体重を支えながら座ると腰への負担が軽減されます。

また、ぎっくり腰の要因の1つとして考えられている椎間板への負担は、寝る姿勢や立っている姿勢よりも座る姿勢の方が大きいと言われています。そのため、座る姿勢を保持する際にもなるべくテーブルや机に腕を置き、背骨にかかる体重を分散させましょう。

移動する時は四つ這い、伝い歩きでゆっくりと!

ぎっくり腰を発症してすぐの移動方法は、腰に負担の少ない四つ這いがおすすめです。強い痛みが軽減してきた時は、四つ這いの状態を保ちつつ可能な範囲内で体を動かしましょう。少しずつ動きを増やしていくと、筋肉や神経の血行が良くなるので、必然と治りも早くなります。

そして歩行時の痛みを緩和させるには、「伝い歩き」がおすすめです。壁や家具などに寄りかかりながら歩き、腰にかかる負担をできるだけ分散させましょう。

また伝い歩きの際には、背中を少し丸め膝を上手く使うと、足を床につけるときの衝撃で腰を痛めにくいです。足の着き方にも気を配りながら、ゆっくりと歩きましょう。

ぎっくり腰にならないために明日からできる予防法(セルフストレッチ)

ぎっくり腰は再発するケースも珍しくありません。なぜならぎっくり腰で損傷した部分の回復には時間がかかるためです。

ぎっくり腰による痛みが軽減し日常生活を送れるようになった後は、再度ぎっくり腰にならないように予防を始めましょう。

それでは明日からできる予防法を3つご紹介します。

反り腰改善に股関節付け根のストレッチ

ぎっくり腰は反り腰姿勢の方に多く、背骨の関節に負担がかかっている場合が多いです。なお、反り腰姿勢の原因としては、股関節付け根の筋肉の硬さが挙げられます。

そこで、背骨の関節(椎間関節)へのストレス軽減に役立つストレッチが有効です。

日頃から反り腰姿勢を改善できるように、股関節付け根の体操を行い背骨の関節への負担を軽減させましょう。

なお、当ストレッチのポイントとしては以下の4つです。

股関節付け根のストレッチ

STEP1:片足立ちの姿勢になってください
STEP2:前方の足に体重を乗せます
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:股関節前面の伸びを感じながら、繰り返してください
※腰を反らさないように注意してください

参考記事:反り腰を改善!原因から治し方を簡単なストレッチをまじえ解説

CAT & DOGエクササイズで腰椎を動かそう!

次に硬くなった脊柱起立筋を柔らかくし、背骨の動きを柔軟にしましょう。

脊柱起立筋が硬くなり、背骨の関節が動きづらくなると一部分に負荷がかかります。そこに疲れやストレスが加わることでぎっくり腰になりやすくなってしまうので、脊柱起立筋を柔らかくしておく必要があります。

当エクササイズを行う際は、以下の4つを押さえましょう。

CAT & DOGエクササイズ

STEP1:四つ這い姿勢になりましょう
STEP2:肩甲骨を寄せながら背中を反らせましょう
STEP3:肩甲骨を離しながら背中を丸めましょう
STEP4:2つの動きを繰り返し実施しましょう
※肘が曲がらないように行いましょう

正しい姿勢を保つために体幹トレーニング

最後に、ぎっくり腰を含めた腰痛を予防するには、正しい姿勢を保つ筋力が重要です。

とくに、インナーマッスルと呼ばれる体幹の深層筋力が強化されると、より一層体が安定しぎっくり腰を予防できます。

なお、当トレーニングのポイントは以下4点になります。

クロスエクステンション

STEP1:四つ這いとなりましょう
STEP2:肩の真下、股関節の真下に手と膝をつきます
STEP3:対角線上の手足を伸ばしましょう
STEP4:肘・膝が曲がらないように注意しましょう
※腰を反らさないように注意しましょう

 

参考記事:寝ながらできる腰痛改善ストレッチ!4つの症状別の対処法を解説
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

【一日で治ったは本当?】ぎっくり腰を即効で治す方法はあるのか

巷には、「ぎっくり腰が一日で治った」という話がありますが、本当なのでしょうか?

結論から言うと、ぎっくり腰を一日で治すのは難しいです。上記で解説したとおり、ぎっくり腰は日々の小さなストレスが、体に積み重なって限界に達した時に発症します。

したがって、体の損傷を一日でリセットさせるのは、どの方でも困難と言わざるを得ません。ぎっくり腰になった時は焦らずに、しっかりと安静期間を取って、徐々に動きを増やしていくことが早期回復の基本です。

参考記事:即効性のある腰痛の治し方とは?再発予防にオススメのストレッチや体操も紹介

まとめ

以上、ぎっくり腰における痛みの対処法について解説いたしました。

ぎっくり腰は背骨の関節や筋肉に慢性的なストレスが加わり、日常における動作がきっかけで限界を超えると腰に痛みが出現します。

ぎっくり腰の痛みが引き、生活に不便がなくなってきたときは、再発防止のために筋トレやストレッチを行いましょう。

それでは本記事が、あなたの腰の痛みの改善にお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1)Stochkendahl MJ, Kjaer P, Hartvigsen J, et al. National clinical guidelines for non-surgical treatment of patients with recent onset low back pain or lumbar radiculopathy. Eur Spine J 2018; 27: 60–75.