あなたは、「股関節痛がなぜ起こってしまうのだろう」「股関節の痛みに重篤な病気が隠れているようで不安」このように思ったことがありませんか。
痛みの原因として、主に股関節が変形して炎症が起こる「変形性股関節症」という病気が考えられます。変形性股関節症は女性に多く、子どもの頃の病気や後遺症が影響して起こりやすいとも言われています。
もちろん、他にもさまざまな病気が考えられるということで、それらをある程度は把握しておく意味があるでしょう。
そこで当記事では、股関節の痛みに関連する病気と主な原因について解説をしていきます。痛みが出た際の対処法や悪化を予防するストレッチ・筋トレも合わせて動画で解説しますので、ご自身の症状を確認した上で参照ください。
当記事を参考にすることで股関節痛の原因を予測し、対処法を知ることができます。ぜひ最後までご覧ください。
足の付け根?股関節とはそもそもどこ?
簡単に説明すると、股関節は足の付け根のことを指します。もっというと、股関節は骨盤と太ももの骨(大腿骨)のつなぎ目となる関節です。
股関節は、お皿のようになっている骨盤の臼蓋(きゅうがい)に、ボールのような大腿骨頭(だいたいこっとう)がはまることで形成されています。
なお、足の横にあるでっぱりを股関節と認識している方も多いかもしれませんが、そのでっぱりは太ももの骨(大腿骨)の一部であり、股関節ではないのです。
股関節痛の症状と主な原因について解説!
股関節痛で現れる症状としては、主に股関節やその周辺である腰や太ももの「痛み」「動作の制限」「腫れ」や「熱感」などが挙げられます。
痛みの種類は様々で、重い痛みや「ズキン」とした鋭い痛みなどを感じることも。
さらに、痛みを感じるタイミングも様々です。何もしていない時に痛みを感じることもあれば、ある特定の動きをする時に痛みを感じることもあります。
主な原因としては、組織の炎症や骨折、神経の圧迫などが挙げられます。以下に股関節の痛みと関連する病気を紹介しますので、ご自身の症状を比べながら読み進めてみてください。
股関節の痛みと関連する病気を5つ紹介
ここから、股関節の痛みと関連する病気について解説します。
冒頭でも説明したように、股関節痛が現れる病気には種類があり、中にはすぐに対処が必要な病気もあります。決して放置せず、すみやかに医療機関の受診をおすすめします。
では詳しく見ていきましょう。
変形性股関節症
股関節の軟骨がすり減り関節に炎症が起こることで、痛みや骨の変形、さらには機能の障害が起こる病気です。変形性股関節症の約8割は女性だと言われています。
原因は、生まれつきの構造上の問題(寛骨形成不全)がほとんどだと言われていますが、加齢により発症するケースもあります。
代表的な症状は、以下の通りです。
- 足の爪切りや靴下を履くことが難しくなった
- 和式トイレの使用や正座がしにくい
- 階段の上り下りに手すりが必要
参考記事:【足を開くと股関節が痛い】それって変形性股関節症?痛みの原因と対処法をわかりやすく解説!
リウマチ性股関節症
リウマチ性股関節症は、滑膜(かつまく)という関節の内側を覆っている組織に炎症が起こり、全身の関節の変形や痛みを伴う病気です。
関節リウマチで股関節に症状が出ることは稀ですが、リウマチの程度が進行している場合には、股関節にも影響を与え、痛みなどの症状が出ると言われています。1)
代表的な症状は、以下の通りです。
- こわばり
- 腫れや痛み
- 発熱
大腿骨骨頭壊死(だいたいこつこっとうえし)
股関節のつなぎ目となっているボール状の骨(大腿骨頭)への血流が低下して、骨の組織が死んでしまう(壊死)病気です。壊死した部分が大きくなると、体重を支えられなくなり潰れてしまうため、痛みにつながるのです。
膠原病などの免疫異常や、臓器移植などでステロイドと言われる薬の大量投与、アルコールや喫煙などが関連していると言われています。2)
代表的な症状は、以下の通りです。
- 急な股関節の痛み
- 腰痛、膝痛、殿部痛
- 足を引きずるような歩き方
大腿骨頸部骨折
転倒した後から痛みが出現している場合は、大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)の可能性があります。
大腿骨頸部とは、太ももの付け根の辺りにあるくびれている部分のことで、負荷が掛かりやすいため骨折の頻度が高い場所です。特に「骨粗鬆症」により骨が弱っている高齢者に多発します。
代表的な症状は、以下の通りです。
- 立ったり歩くことが困難
- 転倒した後から股関節の痛みがある
- 股関節の周りに内出血がある
鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)
運動をした際に鼠径部や内腿の辺りに痛みが出る場合は、「鼠径部痛症候群(そけいぶつうしょうこうぐん)」の可能性があります。物理的なストレスが繰り返し掛かることで、炎症が起こり痛みを引き起こす病気です。
体幹から股関節周りの可動性が低下していたり、筋力の低下などが原因で股関節周りが不安定な状態になると起こりやすいと言われます。
代表的な症状は、以下の通りです。
- サッカーなどのキック動作で鼠径部痛みが出る
- 足に体重をかけた時に痛みを感じる
- 慢性化すると日常的に鼠径部が痛む
股関節痛がある場合は整形外科や接骨院を受診するべき?
我慢できない痛みや痛みが続く場合は、骨折や炎症が重度である可能性もあるため、整形外科を受診しましょう。症状によっては、手術やリハビリなどを行った方が良いケースもあるため、医師の指示に従うことをおすすめします。
整形外科で診察を受けた結果、特に問題がないものの継続した治療が必要な場合には、接骨院などを利用することも選択肢の一つです。専門家の元で正しくケアをすることで、痛みを早く改善できる可能性もあるため、痛みが長引く場合にはぜひ相談してみましょう。
参考記事:接骨院・整骨院の違いとは?整体院・整形外科との違いも合わせて解説
【右だけor左だけ痛い】片側の股関節が痛い時に考えるポイント
なかには、股関節痛が片方だけに現れるケースがあります。
片側の股関節が痛い場合、基本的には症状が現れている側に原因があるとお考え下さい。
しかし症状が出ていない側にも、同様に変形など症状が進行している可能性もありますので、病院でレントゲン検査を受けることを推奨します。
【寝ながらできる】股関節痛の悪化を予防するストレッチ・筋トレ3選
では、股関節の痛みを緩和・予防するストレッチや筋トレを解説します。
いずれも特別な準備は要らず、ご自宅にいながら簡単に取り組めます。継続することで、股関節の不調に対し効果が期待できるでしょう。
動画をご覧いただきながら、ぜひすぐに始めてみましょう。
ハムストリングスストレッチ
「ハムストリングス」は、股関節の後面からもも裏にかけて付く筋肉で、股関節の安定性に関わります。
股関節は本来、さまざまな方向から筋肉で支えられていますが、ハムストリングスが硬くなることで、股関節の筋肉のバランスが乱れ安定性が失われます。
デスクワーカーなど座っている時間が長い方は、ハムストリングスが硬くなっているケースも多いので、しっかりストレッチを行いましょう。
STEP1:仰向けとなり片脚を抱えます
STEP2:可能な限り膝を伸ばしましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
STEP5:もも裏の筋肉が伸びるのを感じながら実施しましょう
※太ももがお腹から離れないように注意しましょう
大腿四頭筋ストレッチ
太ももの前側に付く「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」も、ハムストリングス同様に股関節の動きに関わります。
反り腰になりやすい女性(特に妊婦さんなど)は、大腿四頭筋が硬くなっていることが多いです。また股関節だけでなく骨盤の動きにも関わるので、結果的に腰痛を引き起こす可能性もあるのです。
以下に大腿四頭筋のストレッチ方法を解説します。
なお、妊娠中の方は医師の運動指示がある場合に行うとともに、「妊娠中期〜臨月にかけてお腹が大きくなる時期」には、お腹の下にタオルを敷きながら負担のない状態で実施しましょう。
STEP1:横向きの姿勢となりましょう
STEP2:下の足を直角に曲げ、もう一方の足を後方から掴みましょう
STEP3:後方へ引っ張りましょう
STEP4:元の姿勢に戻ります
STEP5:繰り返し実施しましょう
※腰を反らさないように注意して行いましょう
両脚ヒップリフト
股関節を安定させるためには、筋肉が正しい位置で関節を支えることが重要です。そのために「筋トレ」を行いながら、お尻の筋肉やもも裏のハムストリングスを鍛えていきましょう。
とくにおすすめの筋トレが「両脚ヒップリフト」です。
STEP1:仰向け姿勢となり両膝を曲げましょう
STEP2:お尻を持ち上げましょう
STEP3:ゆっくり下ろします
STEP4:繰り返し実施しましょう
STEP5:身体が一直線になるまでお尻を持ち上げましょう
※腰を反らさないように注意しましょう
まとめ
今回は、股関節痛の原因と関連する病気について解説しました。
股関節の痛みは、関節のすり減りや物理的な負担による炎症が原因で起こることがわかりましたね。炎症を予防するためには、股関節を安定させることや正しく動かせることが重要です。
今回紹介したストレッチを習慣化することで、股関節の負担が軽減し、悪化の予防にもつながるため、ぜひ参考にしてみてください。
それでは本記事が、股関節痛を改善するのにお役立ていただけますと幸いです。
【参考文献】
1)大橋清秀:慢性関節リウマチ患者にみられる股関節の変化,整形外科と災害外科 第19巻 第2号,181-183,1970
2)公益社団法人日本整形外科学会