【理学療法士監修】テニス肘を自分で治す方法|ストレッチと予防法を徹底解説

「テニスをしていないのに肘が痛い…」「手を使う動作で違和感がある」そんな悩みを抱えていませんか?

テニス肘は、手や腕を酷使することで発症しやすい病気です。特にスポーツをしていない人でも、家事やパソコン作業などで発症することが多く、日常生活に影響を及ぼします。

しかし、適切なストレッチセルフケアを行うことで、症状を改善し、痛みを軽減することが可能です。本記事では、理学療法士監修のもと、テニス肘の原因や症状、そして自分でできる効果的なストレッチや予防法を詳しく解説します。

「病院に行くほどではないけれど、早く治したい」「痛みを予防したい」という方に向けて、すぐに実践できる方法をご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください!

テニス肘とは?症状や原因を解説

テニス肘の症状や原因を理解することで、適切な対策を立てやすくなります。まずは基本を押さえましょう。

テニスのラケットを振っている人の画像

テニス肘の主な症状と特徴

テニス肘の正式名称は 「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」 です。この病気がテニス肘と呼ばれるようになった理由は、テニスのバックハンドストロークの際に、肘の外側(上腕骨外側上顆)に負担がかかることで炎症が起きやすく、痛みが出ることが理由とされています。ただ、一般的にはテニスをしている方以外にも、特に日常生活で手首や指を頻繁に使う方で発症しやすい病気とされています。

テニス肘の主な症状としては以下のようなものがあります。

  • 物を持ち上げるときに肘の外側が痛む
  • ドアノブを回す、ペットボトルのキャップを開けると痛みが走る
  • タオルを絞るなどの動作で痛みが強くなる
  • 安静時には痛みがないが、手首を動かすと痛む
  • 症状が進行すると、日常生活にも支障が出る

このように特にパソコン作業や家事など、手を酷使する人に多く見られます。

テニス肘の原因と発生メカニズム

なぜテニス肘が発生するのか、筋肉や腱の仕組みを踏まえて解説します。

テニス肘の原因は、前腕の筋肉(特に手首を反らす筋肉)が過剰に使われることによる腱の炎症です。

テニス肘を説明した画像

テニス肘が起こる主な原因

  • 過度な手首や指の使用(テニス、ゴルフ、家事、パソコン作業)
  • 加齢による腱の劣化(30代以降で発症しやすい)
  • 筋力不足や柔軟性の低下(特に前腕の筋肉が硬いと発症しやすい)

腱が繰り返し引っ張られることで炎症が起こり、痛みを引き起こします。

参考記事:【腕が痛い】肘から下の痛みやしびれの原因となる病気とは?適切な対処法も紹介
参考記事:【指のしびれ】肘部管症候群を自分で治す方法とは?簡単ストレッチや筋トレを解説

テニス肘の予測方法とセルフケアを始める基準

肘の痛みがテニス肘なのか、それとも別の疾患なのかを正しく判断することが重要です。ここでは、ご自宅で簡単に行えるテスト方法と、セルフケアを始めるべき基準について解説します。

テニス肘かどうかを予測する3つのテスト方法

肘の痛みは他の疾患が原因のこともあります。以下の3つのテストで痛みが生じる場合、テニス肘の可能性が高いです。

手首を反らすテスト

ご自身の手首を反らした状態で固定し、ご家族に反対方向に抵抗を加えてもらいます。
結果: この動きで肘の外側から前腕にかけて痛みが走る場合、テニス肘の可能性が高いです。

 Chairテスト

ご自身で肘を伸ばしたまま椅子を持ち上げる動作をします。

結果: この動きで肘の外側に痛みがある場合、テニス肘の疑いがあります。

 中指伸展テスト

ご家族にご自身の中指(第3指)を上から押さえてもらい、ご自身は抵抗しながら中指を伸ばします。

結果: この動きで痛みが出る場合、テニス肘の可能性があります。

セルフケアを始めるべき基準とは?

病院に行くべきか迷う場合や、すぐに受診できないときに、セルフケアを試してみる基準を解説します。

  • 痛みが軽度である(動作時に違和感があるが、強い痛みではない)
  • 頻繁に痛みが現れない(特定の動作時のみ痛みがある)
  • 日常生活に大きな支障がない(仕事や家事は問題なくできる)

ただし、痛みが長期間続く場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

参考記事:ゴルフ肘を自分で早く治すには?すぐできるストレッチや予防法まで紹介
参考記事:​​硬い体を柔らかくする方法を解説!簡単ストレッチやおすすめ食事法で柔軟性アップ

自分で実践できる!テニス肘を改善させるストレッチ・筋トレ方法

テニス肘の痛みを和らげるには、適切なストレッチや筋力トレーニングが効果的です。
硬くなった筋肉をほぐし肘への負担を軽減することで、症状の改善が期待できます。また、筋力を強化することで、再発を防ぐことも可能です。

ここでは、理学療法士監修のもと、自宅で簡単にできるストレッチと筋トレ方法をご紹介します。無理のない範囲で実践し、痛みの軽減と健康な腕を目指しましょう!

腕の後面のストレッチ

手首を反らせるようにして行うストレッチです。こちらのストレッチを行うと前腕後面の緊張がゆるまり、手首を動かしても筋肉の付着部に負担がかかりにくくなります。

腕の後面のストレッチ

STEP1:手を前方に伸ばし手の平を下に向けましょう。
STEP2:反対側の手で手の甲を支えましょう。
STEP3:手を手前に引きましょう。
注意点:痛みが出るようであれば、肘を軽く曲げた状態で行うようにしてください。

肘の外側のマッサージ

ストレッチと同様、腱付着部への負担を減らすためにマッサージで前腕の硬さをとっていきましょう。筋肉をつかむ箇所は一箇所に限らず、軽く上下に動かし広い範囲をほぐすようにしてください。

肘の外側のマッサージ

STEP1:前腕外側を反対側の手でつまみましょう。
STEP2:つまみながら腕を内側にまわしましょう。
STEP3:腕を元の位置に戻しましょう。
STEP4:繰り返し実施しましょう。

手関節背屈運動

痛みが落ち着いた段階で少しずつ手首の筋トレを開始しましょう。まずはペットボトルを持たず負荷をかけずに手首を反らせ、痛みがなく慣れてきたら少しずつ負荷を与えていきましょう。

手関節背屈運動

STEP1:肘を伸ばしペットボトルを持ちましょう。
STEP2:手の平を床に向けます
STEP3:反対側の手で支えながら手首を反らせます
STEP4:ゆっくり時間をかけて下ろしていきましょう。

まとめ|自分でできるテニス肘対策を今日から実践しよう

テニス肘は適切なセルフケアや予防策を取り入れることで、痛みを軽減し、再発を防ぐことができます。特に、ストレッチや筋力強化を継続することが重要です。

日常生活で手首や腕に負担がかかる動作が多い場合は、こまめに休息を取り、無理を避けることも意識しましょう。

今回ご紹介したストレッチやセルフケア方法は簡単に実践できます。肘の痛みを感じたら、できることから始め、健康な腕を維持して快適な生活を送りましょう!

【参考文献】

1)Current Concepts Review – Tendinosis of the Elbow
2)Criteria document for evaluating the work-relatedness of upper-extremity musculoskeletal disorders
3)Lateral and medial epicondylitis: role of occupational factors
4)Lateral tennis elbow: “Is there any science out there?”