接骨院・整骨院における売上の内訳は?自費メニュー導入のメリットも解説

接骨院・整骨院における売上の内訳は?自費メニュー導入のメリットも解説

接骨院・整骨院を実際に運営していくにあたり、 売上の内訳は気になる要素の一つです。

そこで今回は、売上の内訳だけでなく、高い業績を上げている接骨院・整骨院の実際の取り組みについても紹介していきます。また、安定した売上に繋がるかもしれない自費メニューのメリット・デメリットも解説します。

整骨院・接骨院の売上の内訳

ある税理士の元に寄せられた相談によれば、保険売上の割合は年々低下。2018年の時点では売上の約半分程度となっています。

代わってシェアを伸ばしているのが自費診療。当時の調査では売上の3割を占めました。残りの2割は不明ですが、柔道整復師としてセミナー講師や業務に関連した副業を営んでいる方も少なくありません。こうした保健診療・自費診療以外の面でも、努力次第ではいくらかの収入が得られると考えられます。

【整骨院・接骨院】保険施術のみでの売上について

接骨院・整骨院において、まずは保険診療だけで稼いだ場合の売上を説明していきます。

療養費は原則全額が患者の自己負担となりますが、柔道整復師にかかる場合は特例として3割負担になります。先のデータでは接骨院・整骨院の売上の半分はいまなお保険診療が担っています。整復師にとっては保険診療も収入に繋がる大事な要素です。

保険施術の種類や適用になる症状

柔道整復師が患者を診る場合、健康保険を適用できる症状は限られています。具体的な例としては以下の通りです。

・骨折
・不全骨折
・脱臼・捻挫、打撲、挫傷
・負傷原因が急性または亜急性(急性に準ずる)の外傷性の負傷

 まとめると、緊急性の高い外傷かそのリハビリに限られています。よく慢性的な肩こりや腰痛で接骨院・整骨院にかかる人がいますが、こちらは厳密に言えば保険の適用外。不正請求の温床にもなりやすい症例で注意が必要です。

また、怪我の症状や原因によっては医師の診断も必要になってきます。例えば、レントゲンなどは柔道整復師では扱えない機材です。骨折などの場合は必ず別途病院にかかるよう患者に伝えましょう。

打撲・捻挫は急性の場合であれば診察なしで施術することができます。症状がいつから始まっているか、なにが原因で起こっているのか、といったヒアリングを怠らない姿勢が重要となります。

療養費は年々減少傾向にある

保険診療の場合、柔道整復師はまず患者から3割の自己負担額を受け取った後、各支払審査機関に残りの療養費を申請します。しかしながら、日常的に通院が必要となりやすい老齢人口の増加などによって、このまま放っておけば国の負担する医療費はどんどん増加していきます。これ以上の支出を抑えるためにも、国は医療費の全体的な削減を目指しています。

医療費の削減は国民健康保険で特に顕著となります。会社の健康保険に加入している被保険者は比較的平均所得が高く、加入年齢の低さゆえに医療費も相対的に低くなります。

一方で、国民健康保険は労働年齢に満たない子供や現役を退いた高齢者が多く加入しています。この場合、健康保険組合に加入している層と比べて、所得は低く・医療費は高い傾向にあるため、国民健康保険は常に財政的に厳しい状況を強いられているのです。

接骨院・整骨院には高齢の患者も数多く訪れます。こうした背景から、柔道整復にかかる療養費も減少。厚生労働省の調査によると、平成24年をピークにして年々0.8~5.5パーセントのペースで減っています。

総括しますと、保険適用の診察だけでは接骨院・整骨院の安定した経営は難しい傾向にあると言えるでしょう。

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売上が高い整骨院・接骨院の特徴とは?

安心して経営を続けるためにも、本音ではやはり高い水準で安定した売上を出し続けたい。次は、売上が高い整骨院・接骨院が行っている工夫や特徴について説明していきます。

リピーターが多い

売上をコンスタントに出し続けるには、一定数のリピーターを確保し続けることが肝心です。もちろん、新患が増えなければ経営は徐々に先細っていきます。しかしながら新しい患者は毎月訪れるわけではありません。定期的に繰り返し通ってくれる患者がいることで、売上の見通しも立つようになります。

こうした既存の患者からもたらされる利益について、マーケティングの世界では「1:5の法則」という考え方があります。内容を簡単に説明すると、新規の顧客を一人獲得するには既存顧客の5倍のコストがかかる、という旨です。言い換えれば、既存の顧客は新規顧客を呼ぶ5分の1のコストで得ることが可能なのです。

上記の法則を踏まえると、リピーターを多く抱えることで、同じ数の患者を新しく集めるよりも低いコストで院を運営できるようになります。売上を伸ばすに利益に注目することも大事ですが、同時に支出を減らすことも考えなければなりません。

複数の施設を経営している

従業員を抱え、ある程度まで院が大きくなってくると、現在の施設ではベッドが足ないなどの理由で院全体のパフォーマンスが落ちてしまうかもしれません。安定して経営が回せるようになった接骨院・整骨院の間では、分院して規模を広げていく展開はよく見られます。

総院長の立場で経営を上手くこなせた場合、1院で年間1000万円の売上が得られると仮定します。3院経営する場合、単純計算でも3000万円の売上です。一つの院ではかなり難しい高いハードルも分院展開なら夢ではありません。

ただし、注意しておきたいこととしては、複数院の経営は一つの接骨院・整骨院の経営とは異なるスキルが求められます。

重要なスキルのひとつはマネジメントスキルです。例えば、分院には基本的に分院長を置くことになります。各院が目指していく目標や院全体のコンセプトを、分院長やその従業員としっかり共有することは、ひとつの大きな課題となります。

また、分院を任せられるだけの技術を持つ人なら、分院長ではなく個人で独立したいと考えるかもしれません。分院長にしっかり残ってもらいながら、院としての発展を目指す。日頃からコミュニケーションを密に取ることで人材の流出を防ぎつつ、分院を含めた全体の連携や成長を計画することが肝心です。

複数施設の経営は、課題も多いですが売上ややりがいも十分な働き方と言えるでしょう。 

積極的に自費メニューを導入している

自費診療は健康保険の適応外となる独自の施術メニューです。この自費メニューを導入することは、売上を伸ばす重要な鍵となります。先に示した売上の内訳でも、保険診療がシェアを減らす中、自費診療はじわじわと伸びてきている分野です。

保険が利かない代名詞でもある慢性的な肩こり・腰痛の緩和を始め、自費メニューは運動療法など柔道整復師の得意分野に合わせた内容で組むことができます。また、患者から受け取った代金がそのまま売上に繫がるので、療養費の申請手続きといった面倒な部分から解放されるところも大きいポイントとなります。

自費メニューは、売上に直結するだけでなく施術や経営に集中できるという、保険診療にはない大きなメリットを有しています。いまは導入を検討していない方でも、一度「自分の院で自費メニューを導入したらどんな利益があるだろうか?」と考えてみることをオススメします。

【整骨院・接骨院】自費メニュー導入でさらに売上をあげよう!

自費メニューを導入することの利点は先ほど説明した通り、「自分の得意分野を比較的制限なく活かせる」「療養費申請の手続きが要らなくなる」といった点です。

では、ここでは自費メニューの種類や具体的なメリットについて説明していきます。

自費メニューの種類について

全国柔整鍼灸協同組合の専務理事である上田孝之氏が鍼灸柔整新聞『医療は国民のために』に寄稿した文によれば、自費メニューは以下の5種類にわけられます。

・整体・カイロプラクティックなどの法令上では「指圧に含まれるもの」

・タイ古式マッサージ・ヘッドマッサージなどの「マッサージもの」

・骨盤矯正・小顔矯正・産後骨盤矯正・猫背矯正・全身矯正などの「矯正もの」

・不眠症・自律神経失調症・慢性疲労・冷え性・頭痛などの「自覚症状の悩み」

・リフレクソロジー・アロマテラピー・まき爪・デトックス・育毛・ダイエットなどの「外見的及び美容的要素」

 リストを見るとわかる通り、柔道整復の周辺分野と重なる内容が多く見られます。柔道整復師の主な施術内容は保険適用内の「急性の骨折・打撲」などであるため、裏を返せば保険適用で診られない部分の施術が自費メニューに該当します。

自費メニューのメリット

自費メニューを導入するメリットは以下の通りです。

自分の接骨院・整骨院に合った患者を集められる

例えば、行政が子育てに力を入れている地域に接骨院・整骨院があったと仮定します。近所には小さい子供がいる母親や、部活動に励む学生が多く住んでいると推察できるでしょう。

こうした立地の場合、出産で広がってしまった骨盤を元の形に近づける産後骨盤矯正や、運動中の怪我を防ぐ運動指導などの需要は高いと考えられます。環境に合った戦略を組める点が自費メニューの魅力の一つです。

自分の得意分野に合った施術ができる

もしあなたが慢性的な頭痛・腰痛の改善に自信があっても、保険適用の範囲だけではその技術を活かすことはできません。しかし、自費メニューに肩こりの改善施術を取り込めば得意な分野を活かして患者の役に立つことができます。

また、柔道整復師の他に周辺技術の資格を持っている場合はそちらも盛りこんでみてもいいでしょう。鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師の資格があれば、患者の悩みにより多様なアプローチをかけることが可能となります。

自費メニューを検討している場合、こうした自分の得意分野や持っているスキルを棚卸することをオススメします。意外な部分から患者に喜ばれる技術が見つかるかもしれません。

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自費メニューを導入する際の注意点

それでは次に自費メニューを導入する際の注意点について解説します。

既存顧客を失う場合もある

「保険が使えるかどうか」は患者にとっては院を選ぶ大事な基準となります。もし自費診療だけに絞る場合、こうした保険適用を望む患者が離れていくことは覚悟しなければなりません。

いくら技術に自信があったり、保健適用の施術をしたくなかったりしてもいきなり自費診療一本で勝負することはオススメできません。自費メニューが軌道に乗るまでのしばらくの間は、保険診療も並行して続けていきましょう。

患者に対する説得力が必要

自費診療は、施術側の独自の施術で患者が納得のいく結果を出さなければなりません。これは、「資格を取れる基本的な技術があれば大丈夫」と認められていた保険診療とは大きく異なる点です。

「自信がある」という自己申告だけでは患者の安心には繋がりません。具体的な実績を提示することが重要になります。何人施術した、あるいは信頼できる機関からどのような評価を受けた、といった数値化できる評価を探してみてください。

自費メニュー導入で売上はどれぐらい増える?

自費メニューを導入したことによる売上は、施術した患者数×客単価によって変動します

1日に10人の患者を客単価4000円で施術する場合、自費診療での売上は320,000円になります。この売上額は人件費や設備費など支払うコストに対して見合うものでしょうか?

売上は患者数×客単価で算出しますが、目標とする額に到達するにはいくつか考えなければいけない要素があります。

まずは単価です。保健診療と異なり、自費診療の単価は施術の内容や時間に応じて接骨院・整骨院の側が自由に設定することができます。指圧の施術で30分2,300円という時間ごとで料金を決めている院もあれば、骨盤矯正で1回1,900円からと回数で決めている院もあります。近くの院の料金なども参考にしながら決めていきましょう。

次は人数です。先ほどの例では1日10人と記載しましたが、実際に保健診療と並行しながら診ることはできるでしょうか? 料金と同じく、適正な数は院によって変わってきます。自分や従業員のスケジュールに無理が出ないよう、予約制にするなど予測が立てやすい方法で人数を管理することをオススメします。

リピート率の調整も肝心です。保険が適用されて施術費が1000円を切るような場合は、患者も1週間に2回や3回来てもいいと思えるでしょう。しかし、同じ内容で一回4000円の施術を月に何度も受ける方はほとんどいません。整復師の側も保険診療と同じ調子で「じゃあまた3日後に来てください」とはなかなか言いにくいでしょう。

解決策としては、患者とはあらかじめ施術計画を共有してリピート率をこちらで調整するという方法です。月に何度施術を受けなければならないか、1回の施術に何を行っていくらかかるのか、という点を理解してもらうだけで、患者の納得感は大きく変わります。

売上を増やしていくには、かかるコストや現実的に請け負えるオーダーを見極めることが重要です。

【整骨院・接骨院】売上に関するまとめ

柔道整復師は安定した需要が見込めますが、近年はそれを上回る人員供給が続いている仕事でもあります。

保険診療だけで渡っていくには現状は甘くありません。自分の特質や院の個性を活かした自費メニューを組み込んで、安定した売上を目標にしていきましょう。


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