「痛いっっ!!」
重いものを持った瞬間、腰に激痛が走ると共にへなへなと力が抜けてしまう。そんな症状があるときは腰の肉離れが起きているかもしれません。
腰の肉離れとは、腰の筋肉に過度な力が入った際に耐え切れず、筋肉を構成する細かな筋線維が切れてしまった状態のことを言います。
もし腰の肉離れが起きてしまった場合は、どのように対処したら良いのでしょうか。まずは安静にして、痛みが取れたら少しずつ動き始めることが大切です。
腰の肉離れになってしまったかな?と感じたら、この記事で適切な対処法と早く治すコツを紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
ぎっくり腰とは違うの?腰の肉離れとの違いは?
「重いものを持ったらぎっくりやっちゃって…」こんな話題が出たりしませんか?
一般的にぎっくり腰とは、急に腰へ負担がかかり痛めてしまうことの総称です。そのため、ぎっくり腰は腰の肉離れを指すこともあり、双方に違いはありません。
もう少し解説すると、ぎっくり腰は大きく2つの種類に分けられ、1つ目が先ほど述べた腰回りの『筋肉』を痛めてしまう腰の肉離れになります。症状としては痛みと共に「ヘナヘナ」と力が抜けてしまうことが特徴です。
一方、急に重いものを持って『腰椎の捻挫』や『椎間板の損傷』が起こるケースもぎっくり腰に含まれます。
参考記事:これってぎっくり腰!?腰椎捻挫の症状と自分でできるリハビリ方法をわかりやすく解説!
腰に起こる肉離れの原因
ではなぜ腰に肉離れが起きてしまうのでしょうか?
それは腰に加わる負荷に筋肉が耐えきれないためです。例えば、重いものをいきなり持つことで筋肉に衝撃がかかり、筋肉のスジが切れてしまうことが主なケースとして挙げられます。
また、筋肉が硬くなることで、柔軟性が低下し腰の肉離れを起こしやすくしている可能性も。
筋肉が硬くなりやすい生活習慣としては、不良姿勢による左右の筋肉のアンバランス、運動不足、そして疲労の蓄積などが挙げられます。
肉離れを起こしにくくするためには、適度な運動と休息やストレッチで腰の状態をよく保つことが重要です。
腰に起こる肉離れに最適!自宅でできる治し方・ストレッチ方法をご紹介!
ここからは実際に腰を痛めてしまった時に、誰でも簡単にできる対処法を説明していきます。
運動経験がない方でも簡単にできますので、ぜひ一緒に体を動かしてみてください。
まずは股関節周りのストレッチから
腰の肉離れでは、受傷直後の安静が必要です。十分に安静期間をとらないと傷んだ筋肉の修復に時間がかかり、治りが悪くなってしまいます。
しかし肉離れをした部分以外、とくに脚の筋肉は早めに動かすことをおすすめします。なぜなら、脚の筋肉が硬くなることで姿勢が悪くなってしまい、ぎっくり腰の一つの原因となる可能性が高いためです。
脚の筋肉の中でも、とくにお尻の筋肉は意識してストレッチをしなければ硬くなりやすく、腰に大きな負担をかけてしまいます。
腰の負担軽減とぎっくり腰の再発予防のために、ここでは股関節(お尻)の筋肉のストレッチを紹介します。ぜひ動画を見ながら行ってみてください。
股関節を柔らかく保ち、腰の負担を減らしましょう。
STEP1:片脚を反対側の太ももに乗せましょう
STEP2:膝を抱え反対側の肩へ引き寄せましょう
STEP3:お尻の筋肉が伸びた状態を10秒間保持しましょう
STEP4:元の姿勢に戻ります
※腰が丸まらないようにしましょう
ヒップロールで徐々に腰を伸ばそう
受傷後2日〜1週間ほどは安静にして、その後腰を少し動かしても痛みがない状態になったら徐々に腰回りも動かしていきましょう。また、いきなり前や後ろに倒してしまうと筋肉への負担が大きく、再発の原因となる可能性もありますので注意してください。
まずは寝転がり、腰に負担が少ない状態で左右にストレッチするところから始めます。
STEP1:仰向けで両手を真横に広げましょう
STEP2:両膝を立て足を閉じましょう
STEP3:足を閉じたまま膝を倒し、腰の筋肉を伸ばしましょう
STEP4:元の姿勢に戻ります
※肩が床から離れないようにしてください
背中から腰にかけて広く付着する脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)を柔らかくすることで、良い姿勢を保ちやすくなり再発予防につながります。
もし実施中に痛みを感じた場合は、一度中止しましょう。
腰の運動で恐怖心を取り除こう
では、最後に腰の筋肉を動かしてトレーニングを行いましょう。
ぎっくり腰を起こしてしまった方は体を動かすことに恐怖を抱いてしまい、なかなか家事や仕事に復帰することができない方も多いです。
今回ご紹介する運動は、体を前後に動かす非常に単純な運動で、体を動かすことによる恐怖心を取り除くために最適です。
最初は小さい範囲で体を動かし、慣れてきたら少しずつ動かす範囲を大きくして恐怖心を取り除きましょう。
STEP1:体を前傾させて両手で足の甲を触りましょう
STEP2:元の姿勢に戻ります
STEP3:可能な限り体を後ろに傾けて腹筋で体を支えましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※少しずつ動かす範囲を大きくしていきましょう
参考記事:【1日たった5分】腰痛改善に必要な簡単ストレッチを原因とあわせて紹介!
腰の肉離れで注意したい早く治すための日常生活の過ごし方
ストレッチやエクササイズ以外にも、早く治すために日常生活で気をつけたいポイントがあります。
そのポイントとは、安静期間とコルセットの着用についてです。
腰痛に関するさまざまな研究では、過度な休息は腰痛の回復を遅らせたり、慢性化の一因となりうることが明らかとされております。そのため、目安の安静期間を提示し、症状改善後に安全に体を動かし始める方法をご紹介します。
また、コルセットの着用については、コルセットをつけるだけでは再発予防には不十分である可能性が高いことを踏まえ、どのように使用するのが良いか解説します。
安静期間はどのくらい?
肉離れの初期は、とにかく安静が必要です。傷ついた筋肉が修復していないうちにまた動いてしまうと、治りかけた筋肉を再度痛めてしまう可能性があります。
安静期間は2日から1週間を目安にしてください1)。その際にズキズキと痛む、熱を持っているなどの症状がある場合は、氷嚢で冷やしながら安静に保ちます。
しかし、安静にしていても強い痛みが続く場合や下半身に痺れがあるなど、気になる症状があれば専門の医療機関を一度受診しましょう。
その場合、肉離れ以外の怪我がある場合も考えられるので、必要に応じて医師によるレントゲンやMRIなどの詳細な検査が行われます。
受傷から時間が経ち、少しずつ動かし始めても痛みがなければ体を徐々に動かしていきましょう。そして、動き出しても痛みがなく、その後の悪化も見られなければ徐々に活動量を上げていきます。
必要以上に安静にしてしまうと、体力が落ちてしまったり、体が硬くなって再発や別の怪我につながったりすることも。そのため安静期間が過ぎたら、少しずつ体を動かして日常生活に戻りましょう。
参考記事:【ぎっくり腰】これでひと安心!楽な姿勢(寝方・座り方)と対処法を解説!
コルセットの着用は良いのか?
慢性的な腰痛に悩む方も多く、対策にコルセットをつける方もたくさんいます。しかしコルセットの効果は限定的と言われており、根治する効果は期待できません。
そのため、ストレッチなどで根本的な原因を取り除きながら、コルセットは補助的に使用1)しましょう。
コルセットの役割は体幹の筋肉の補助なので、コルセットを使用していると体幹の筋肉がうまく使われずに弱ってしまう可能性もあります。
ストレッチ・筋トレを習慣化し、日常生活や姿勢に気をつけながら、あくまでも「予防のためのおまけとしてコルセットがある」くらいに考えると良いですね。
参考記事:コルセットは寝る時に外すべき?就寝時・寝起きの腰痛を改善するセルフケアも紹介
腰の肉離れはどのくらいの期間で治る?
腰痛の原因や重症度は人によって異なり、治癒期間を明言することはできません。
ただ、参考値として日本整形外科学会による腰痛ガイドラインでは、急性の腰痛は最初の6週間で痛みがかなり緩和し、その後は緩やかな痛みの減少になると述べられています1)。
痛みを長引かせないためにも安静期間はしっかりと静養し、動き始めてもいきなり無理をしないように気をつけましょう。
参考記事:【ぎっくり腰】即効では治らない!1日でも早く治す適切な対処法を解説!
まとめ
腰の肉離れで大切なのは以下の3つです。
- 初期の安静
- 痛みが取れてからの再発予防の運動
- 日常生活や姿勢を意識する
初期はしっかりと腰を安静にしつつ、股関節のストレッチを行いながら痛みが引くのを待ちましょう。
そして痛みが引いたら少しずつ動き始めて、腰のストレッチやトレーニングで再発予防に取り組んでください。
日頃からのケアと良い姿勢を保つ環境や意識で腰を再度痛めることなく過ごせます。
参考文献
1)腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版