コルセットの使用に関して「腰痛を和らげるには、寝る時もコルセットは着けたままが良いの?それとも外したほうが良いの?」と疑問に思われている方は多いのではないでしょうか?
結論を先に述べると、寝る時にはコルセットは外すことをおすすめしています。
本記事では、なぜ就寝時にコルセットを着用しないほうが良いのか、その理由を分かりやすく解説しています。
また、腰痛を緩和するためのストレッチも紹介していますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
寝る時にコルセットを外したほうが良い理由
コルセットで腰部を圧迫し続けていると、血行が悪化してしまいます。
また、腰の動きが制限されて、寝返りが妨げられることも考えられるでしょう。就寝中に寝返りがスムーズに打てず、同じ姿勢が続くことで腰部への負担を強めてしまいます。
以上のことから、腰痛が長引く要因となりますので、寝る時はコルセットを外すようにしてください。
また、睡眠中に限らず、コルセットに頼りすぎないほうが良いとも言われています。コルセットのつけっぱなしは、体幹の筋力を低下させてしまうためです。
ぎっくり腰などの激しい痛みがある時期をのぞいて、安静時はなるべくコルセットを使わないことがおすすめです。
ただし、背骨や肋骨を骨折している方は、就寝中も固定が必要なケースがあります。ケガをしている場合は自己判断で外すのではなく、必ず医師の指示にしたがってコルセットを着脱するようにしてください。
参考記事:寝すぎて腰が痛いのはなぜ?痛みの原因と簡単にできるストレッチや対処法を紹介
【要チェック】コルセットの正しい使い方
コルセットは、しっかり骨盤にかかるように巻いてください。椅子に座った際、コルセットの下端部が太もも前面に当たる程度の高さまで骨盤を覆うことが理想です。
コルセットで骨盤をしっかり締めると、腰まわりの安定感が増します。それにより腰部の筋肉にかかる負担もやわらいでくるため、腰痛の緩和が期待できます。
反対に骨盤が締められていない場合は、コルセットの効果が減少してしまうため注意が必要です。
また、骨盤前面でテープをとめる際には、地面と並行にしてとめるよりも「逆ハの字」の形でとめたほうが骨盤の広い範囲を締められます。しかし、体型にもよりますので、ご自身がしっくりくるとめ方を探してみてください。
【誰でも簡単】睡眠時や起き上がる時の腰痛を和らげる方法
ここからは、寝ている間や朝起き上がる時の腰痛を軽減するためのセルフケアをご紹介します。
どれも簡単にできるので、ぜひ実践してみてください。
体に合った寝具を使う
睡眠中や寝起きに腰の痛みを感じる方は、寝具が体に合っていない可能性が高いです。普段使用している枕や敷布団を一度見直してみましょう。
横向きになっても頭が横に傾かず、背骨が真っすぐな状態でキープできる枕の高さが理想とされています。
また、寝返りの妨げにならないよう、やわらかすぎたり固すぎたりしない、適度に反発力のある敷布団を利用することがおすすめです。
寝方に気をつける
仰向けに寝て腰が痛い方は、膝の下にクッションを入れてみましょう。膝を軽く曲げた状態にすると、腰部の緊張を緩められます。
また、横向きのほうが寝やすい方は、膝の間にクッションを挟んでみてください。クッションを挟むことで睡眠中の姿勢が安定して、腰痛の予防につながります。
参考記事:仰向けに寝ると腰が痛い原因とは?夜に寝れない場合の対処法を解説
体を動かしてから起き上がる
布団の中で足首や股関節を軽く動かし、体をほぐしてから起き上がるようにしましょう。睡眠中は同じ姿勢が続いて筋肉が固まっているため、急に起き上がろうとすると腰の痛みを生じやすくなっています。
また、仰向けのまま起き上がるのではなく、一度横向きになり腕で上体を支えながら起き上がるようにすることでも腰にかかる負担を軽くできます。
寝る前にストレッチで筋肉をやわらかくする
就寝前にストレッチで筋肉をゆっくり伸ばしましょう。ストレッチを行い、血流を良くしておくことで、睡眠中や寝起きに腰痛が生じにくくなります。
また、ストレッチにはリラクゼーション効果が期待できるため、夜もぐっすりと眠れるようになるでしょう。質の高い睡眠をとると、腰痛の原因となる筋肉疲労を軽減することにもつながります。
参考記事:【誰でも簡単】腰痛を和らげる方法は?痛みの原因と簡単にできるストレッチを紹介
コルセットに頼らない!腰痛を改善に導くストレッチ3選
それでは、腰痛を緩和するためのストレッチ方法をご紹介します。
勢いよく伸ばすと、筋線維を痛める可能性があります。ストレッチは、呼吸をしながらゆっくりと筋肉を伸ばすように意識してください。
ハムストリングスストレッチ
まずは、太ももの後面に付着するハムストリングスを伸ばすストレッチです。ハムストリングスをやわらかくすると骨盤が後方に引っ張られる力が弱まるため、腰部の緊張もやわらぎやすくなります。
STEP2:可能な限り膝を伸ばしましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
太もも裏側の筋肉がしっかり伸びることを意識してください。片側のハムストリングスを30秒ほど伸ばしたら、反対側も同様に行います。
大腿四頭筋ストレッチ
次は、太もも前面に付着する大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を伸ばすストレッチです。
大腿四頭筋が固くなっていると股関節や骨盤の動きが制限されるため、腰の筋肉がこわばりやすくなります。したがって、大腿四頭筋の柔軟性をつけることで股関節の動きがよくなり、結果として腰痛の緩和にもつながります。
STEP2:下の足を直角に曲げ、もう一方の足を後方から掴みましょう
STEP3:後方へ引っ張りましょう
STEP4:元の姿勢に戻りましょう
STEP5:繰り返し実施しましょう
※腰を反らさないように注意しましょう
太もも前側の筋肉がしっかり伸びることを意識してください。片側のストレッチを30秒ほど行いましたら、反対側も同じようにストレッチしてください。
下肢伸展挙上
お腹の深層に位置する腹横筋(ふくおうきん)や、背中の深層に位置する腰部多裂筋(たれつきん)を動かすストレッチです。
とくに腹横筋は「天然のコルセット」とも呼ばれている筋肉です。腹横筋を鍛えると腹圧が高まり、腰の安定感が増してくるため、腰痛の軽減につながります。
STEP2:肩の真下、股関節の真下に手と膝をつきます
STEP3:片足をまっすぐ後方に伸ばしましょう
STEP4:元の姿勢に戻りましょう
STEP5:繰り返し実施しましょう
※身体がふらつかないように注意しましょう
※膝が曲がらないように注意しましょう
腰部の緊張が強まってしまうため、足を上げる際は腰が反らないように気をつけましょう。
寝る時のコルセットはダイエットに効果がある?
睡眠中にコルセットを巻くことで「ダイエットに効果があるのでは?」と期待されている方は多いかもしれません。
確かにお腹をしぼることで、くびれができそうな気はしますよね。
しかし、残念ながらコルセットを巻くだけでは、ダイエットの効果を期待できません。コルセット着用中は、物理的にウエストラインを締められますが、外せばすぐに元の状態に戻ります。
ダイエットでくびれを作るためには、コルセットではなく運動や食事などの生活習慣を見直すことが大切です。
まとめ
腰痛の原因となる可能性があるため、寝ている時はコルセットを外すようにしましょう。
コルセットはあくまでも腰をサポートする器具であり、腰痛を治している訳ではありません。急な痛みがある時を除いて、なるべくコルセットには頼らず、セルフケアを行うことで腰痛の改善を目指していきましょう。
それでは、本記事があなたのお悩みの解決に役立てば幸いです。
【参考文献】
1)末廣 忠延,渡邉 進:腰部安定化運動においてコルセット装着の有無が体幹筋活動に及ぼす影響.理学療法科学27(3)p309–313,2012
2)e-ヘルスネット(厚生労働省):ストレッチングの効果