座っている時に、お尻(尾てい骨)が痛いと感じることはありませんか?
仕事で長時間イスに座るという方にとっては、厄介な悩みかもしれません。ただ、ご自身の意識や工夫で、座っている時の尾てい骨の痛みを減らすことが可能です。
そこで当記事では、座ると尾てい骨が痛い原因や対処法を詳しく解説します。
最後まで目を通すことで、座っている時の尾てい骨の痛みが軽減して、より楽に生活できるでしょう。
【簡単に解説】お尻(尾てい骨)ってどこ?
最初に、尾てい骨の場所を把握しておきましょう。
尾てい骨は、ちょうど「臀部(でんぶ)=お尻」の部分に該当します。
臀部の割れ目の中央上部にある、球状に近い硬い骨が尾てい骨です。ちょうど、「しっぽ」のように出ており、ご自身でも容易に触れられるでしょう。
なお、座っている姿勢で床や座面と接触するのは、臀部の膨らみの下に位置する「坐骨(座骨)」という骨です。したがって座っている姿勢では、尾てい骨が床や座面と触れることはほとんどありません。
尾てい骨と坐骨は混同しやすいので、先だって認識しておきましょう。
座るとお尻(尾てい骨)が痛い原因
では、座ると尾てい骨が痛い原因は何なのでしょうか?
原因として可能性が高い例を紹介します。ご自身に当てはまるかどうかチェックしてみてください。
座り姿勢が悪く負担がかかっている
座っている時の姿勢が悪いことで、尾てい骨に負担がかかっている可能性があります。
たとえば、座った姿勢が猫背になっていると、骨盤が後方へ傾き座面と尾てい骨が接触します。その姿勢が長時間続くことで尾てい骨に圧迫ストレスが加わり痛みが出てしまうのです。
なお、座り姿勢の悪さによって尾てい骨の痛みが出ている場合、腰痛を併発しているケースが多いです。ぜひ座っている時の姿勢を見直しましょう。
参考記事:長時間の座り過ぎは要注意!腰痛悪化の原因と対策を紹介
参考記事:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!
交通事故や転倒による骨折などの怪我
突然の交通事故や転倒が原因で、尾てい骨を強打し痛みが出現するケースも考えられます。
また、気づかないうちに尾てい骨を怪我しているケースも少なくありません。
場合によっては、尾てい骨にヒビが入っている、または骨折している可能性もあるので注意しましょう。「尾てい骨周辺が腫れている」「立ち上がる時や寝ている時も常に痛い」という場合は、すぐに医療機関を受診するべきです。
参考記事:骨折を早く治す方法とは?骨折が治るしくみや治癒に必要な期間について解説
妊娠時のホルモンバランスの変化
女性の場合、ホルモンの分泌によって尾てい骨が痛む場合もあります。
妊娠時に、出産の準備のために「リラキシン」というホルモンが分泌され、骨盤を支える靭帯が緩みます。その際に靭帯が伸びすぎることで尾てい骨に痛みが出るのです。
リラキシンの分泌は出産後に減少します。ただ緩んだ靭帯が戻るまでは半年以上かかる場合が多いです。
したがって妊娠時・出産後を通して、尾てい骨の痛みをケアする必要があるでしょう。
座るとお尻(尾てい骨)が痛い場合の対処法
ではここから、座ると尾てい骨が痛む場合の対処法・セルフケア方法を紹介します。
いずれもご自身で実践しやすい方法なので、ぜひ取り入れてみてください。
座る時にクッションを使う
硬いイスや床に座ると、どうしても尾てい骨が痛くなりがち。
そこで、座る時にクッションを使うことが効果的です。クッションをお尻の下や腰に挟むことで、尾てい骨にかかる負荷を減らせます。
さまざまなデザインのクッションが販売されているので、ご自身の好みに合うクッションを選んでみましょう。
座る時の姿勢を意識する
座っている時の姿勢を見直すことで、尾てい骨への負荷を軽減できます。
猫背にならぬように、意識的に上半身を立ててみましょう。これだけで、背中やお尻の緊張が減り、尾てい骨も楽になります。
特に、パソコンやスマホのディスプレイを見ている時に猫背になりがちです。頭を前に出し過ぎないように注意してみてください。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
参考記事:首が前に出る姿勢(ストレートネック)の原因は?ストレッチや筋トレでの治し方を解説
腰周り・臀部のストレッチを行う
腰周り・臀部の筋肉が伸びるストレッチも効果があります。尾てい骨周辺の筋肉の血流が良くなり、痛みの軽減が期待できるでしょう。
そこで今回は、すぐできるおすすめストレッチとして「梨状筋(りじょうきん)ストレッチ」を紹介します。
STEP2:骨盤を前方に倒して姿勢を保持しましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※腰が丸まらないように注意してみてください
上記のストレッチによって尾てい骨に近い箇所に付く「梨状筋」という筋肉が効率よく伸びます。
尾てい骨の痛みはもちろん、腰痛の改善も期待できるでしょう。座ったままで行えるので、休憩時間を使って実践してみてください。
臀部のセルフマッサージを行う
尾てい骨周辺の筋肉を緩めるために、セルフマッサージを行うこともおすすめです。
まず臀部を親指で押してみて、痛気持ちいい箇所を見つけましょう。そして、見つけた箇所を親指で10秒ほど押してみてください。
押した圧によって、尾てい骨周辺の筋肉が緩みます。時間がある時は複数箇所押してみましょう。
親指で押す方法以外に、フォームローラーやテニスボールを使ってマッサージする方法もおすすめです。
参考記事:腰の痛みにマッサージは効く?簡単なセルフマッサージのやり方・効くツボを紹介
注意!尾てい骨の痛みに病気が隠れている可能性も
ここまで紹介した方法を実践することで、座っている時の尾てい骨の痛みが軽減するでしょう。
しかし、尾てい骨の痛みに病気が隠れている可能性もあるので注意が必要です。
「仙骨脊索腫」「馬尾腫瘍」「腰椎椎間板ヘルニア」といった病気でも、尾てい骨の痛みが現れます。したがって「尾てい骨の痛みなら問題ない」とそのまま放置すると、病気を見逃すことになりかねません。
参考記事:【腰椎椎間板ヘルニア】やってはいけないこと5つ!予防に効果的なストレッチも紹介
参考記事:腰椎椎間板ヘルニアとは?痛みを和らげる方法をわかりやすく解説!
痛みが軽減しない場合は医療機関を受診すべき
もし、尾てい骨の痛みがまったく改善されない、「排尿時の痛み」「脚のしびれ」「臀部の感覚麻痺」が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
原因を正確に把握することが大事です。そのうえで処方された湿布や薬はしっかり服用し、お医者さんの指示を仰ぐべきです。
まとめ
座っている時の尾てい骨の痛みは、悩ましい問題といえます。
仕事の作業効率が落ちたり、他者との会話に集中できなかったり、生活の様々な場面に影響を及ぼしかねません。
尾てい骨の痛みを改善することで、楽に座ることができるので、日常生活がより充実するはずです。
では当記事を参考に、さっそく姿勢を見直したり、ストレッチを実践したりしましょう。
【参考文献】
1)杏 林大 学 医 学 部 整 形 外科学 臨 床専攻 医 山 下 和 夫:尾 骨 の X 線学的検討
2)ジ ル ・ボ ワ ッ ソ ン ノ ー ト:出産後 の 筋骨格系機 能障害