日常生活のなかで「おしりの真ん中の骨が痛い」と思うことはありませんか?
腰の痛みならまだしも、おしりの痛みに関しては馴染みがない方も多いです。ゆえに「重い病気なのでは?」と不安を覚えてしまうもの。
おしりの痛みは、「起床時」「車の運転中」「椅子に座っているとき」などさまざまな場面に影響します。そのまま放置することはおすすめしません。
そこで当記事では、おしりの真ん中の骨が痛む症状について解説します。
最後まで読み進めれば、あなたのおしりが痛む理由について見当がつき、ご自身でケアもできるでしょう。ぜひお役立てください。
おしりの真ん中の骨(尾骨)が痛いのはなぜ?
最初に、おしりの真ん中の骨とは「尾骨(びこつ)」のことです。
尾骨は「尾てい骨」とも呼ばれる骨で、ちょうどおしりの割れ目の上部に付いています。なお尾骨は、かつて人間にしっぽがあった跡とも言われています。
では以下より、尾骨周辺が痛む主な原因について解説しますので、ご自身の痛みの様子と照らし合わせながらご覧ください。
参考記事:座ると尾てい骨が痛いのはなぜ?痛みの原因・ストレッチなど実践しやすい治し方を解説
ぶつけた・転んだなどの外傷
まず考えられるのが、ぶつけた・転んだなどの「外傷」です。
もしかしたら、心当たりがないかもしれません。ただ、「スポーツを行っているとき」や「自転車の運転時」など、おしりに衝撃が加わる機会は思いのほか多いものです。
軽くぶつけただけなら、痛みはすぐ引くでしょう。ただし、骨にヒビが入ったり、骨折したりするケースもあるので注意してください。
おしりへの負担(悪い姿勢・肥満)
または、おしりへの負担が痛みの原因かもしれません。
「悪い姿勢」「長時間同じ姿勢で座る」「肥満」が影響して、おしりへの負担が蓄積することで尾骨周辺が痛みます。
おしりへの負担によって現れる症状の例は以下の通りです。
- 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)
- 中殿皮神経障害(ちゅうでんひしんけいしょうがい)
- 仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)
したがって、生活習慣や姿勢が改善されない限り、おしりの痛みが長期化すると考えられます。
妊娠による女性ホルモンの変化
妊娠・出産時の女性ホルモンの分泌が原因で、尾骨が痛むケースもあります。
関節や靭帯を緩める「リラキシン」が多く分泌されることで骨盤が不安定になり、神経や筋肉を圧迫して痛みが出るのです。
なお、女性ホルモンとは別に、仙骨(尾骨が付く三角形の骨)の形状の違いから、男性より女性の方が尾骨の痛みが現れやすい傾向にあるとも言われています。
おしりの真ん中の痛みはどのくらいで改善する?
おしりの真ん中の痛みに悩んでいる方にとって、「どのくらいで痛みが改善するか」は気になるでしょう。
おしりを軽くぶつけたことで起こる痛みは、数週間ほどで和らぐケースが多いです。ただし、強くぶつけた場合は1か月以上痛みが続くこともあります。
そして、「おしりへの負担」や「女性ホルモンの変化」が原因の痛みは、数カ月続くケースが多いです。
もちろん、痛みの改善ペースには個人差があるので、あくまで参考までにお考えください。
痛みをそのまま放っておくとどうなる?
おしりの骨の痛みをそのまま放置すれば、さらに悪化する可能性が高いです。
また、「腰痛」「股関節の痛み」などを引き起こすケースもあります。仕事やプライベートに支障が出ることは想像に難くありません。
おしりの痛みを放置することは、デメリットが多いといえます。
早めに医療機関を受診することが大切!
おしりの真ん中の骨が痛む原因は、先ほど紹介した「外傷」「負担」「女性ホルモンの影響」だけとは限りません。
たとえば、気づかないうちに「骨折」しており、痛みが現れている可能性も考えられます。
したがって、原因が分からなければ対処しようがないので、早めに医療機関を受診してみてください。
病院での精密な検査を受けたうえで、お医者さんにアドバイスをもらいましょう。
おしりの痛みを自分で改善する!おすすめセルフケア方法
重篤な病気ではないと分かった後に、ご自身でセルフケアを行うのがおすすめです。
ここから、おしりの真ん中周辺の痛みに効果のあるエクササイズ・普段心がけるべきポイントを紹介します。
すぐに効果は出ないかもしれませんが、継続すれば痛みが改善されていくでしょう。ぜひ実践してみてください。
姿勢を矯正する
おしりへの負荷が増えてしまう要因の1つが、悪い姿勢です。
普段、気づかないうちに猫背(背中が丸まった姿勢)になったり、反り腰(背中が後ろ側へ反った姿勢)になったりしていませんか?
悪い姿勢を矯正するだけで、正しい位置に重心が乗り、おしりへの負担を減らせます。ぜひ、立っているとき・座っているときの姿勢を改めて見直してみましょう。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
ストレッチで筋肉を伸ばす
まず効果的なのが、ストレッチです。
ストレッチで筋肉を伸ばしたり関節を動かしたりすることで、姿勢改善が期待できます。
では、おすすめのストレッチを紹介します。
「梨状筋(りじょうきん)ストレッチ」です。
STEP2:骨盤を前方に倒し姿勢を保持します
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※お尻の筋肉が伸びた状態を保持しましょう
※腰が丸まらないように注意して行ってください
筋トレを行う
股関節周辺の筋力トレーニングも有効です。
筋トレによって筋肉を刺激することで、姿勢を矯正できます。
どなたでも取り組みやすい、おすすめの筋トレが「股関節屈曲運動」です。
STEP2:足を真っ直ぐ持ち上げます
STEP3:ゆっくり足を戻し元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※姿勢を正してお腹に力を入れます
※腰を丸めないように注意しましょう
尾骨周辺を冷やす・温める
外傷やおしりへの負担が痛みの原因である場合、尾骨周辺が炎症を起こしているケースが多いです。その場合は入念に冷やすことを心がけましょう。
冷やすことで炎症をおさえられ、痛みも軽減されます。
そして日が経って痛みが軽くなってきた段階で、今度は温めてみてください。血流が良くなり、痛みの早期改善につながります。
クッション・サポーターを使用する
おしりの真ん中の骨が痛いと、椅子に座るのが苦痛に感じられる場合があります。痛みが強い場合はクッションを使用してみてください。
クッションを使用することで臀部ヘの負担が減ります。
通販サイトなどで販売されているクッションの大きさ、形状はさまざまです。比較したうえで購入してみましょう。
また、サポーターの使用も有効です。ただし、尾骨をピンポイントで保護できるサポーターはほぼ見当たりません。したがって、腰用・股関節用サポーターの使用を考えてみてください。
まとめ
本文で触れたように、おしりの真ん中の骨が痛む原因としては、「外傷(ぶつけた)」や「おしりへの負担」、あるいは「女性ホルモンの分泌」が考えられます。
ただし、重篤な病気が隠れている可能性もあるので、早めに医療機関を受診しましょう。くれぐれも、痛みを放置することは避けるべきです。
そのうえで、ご自身でストレッチや筋トレ、姿勢矯正に取り組んでみてください。数カ月かかるかもしれませんが、おしりの痛みが改善されるでしょう。
それでは当記事が、少しでもあなたのお役に立てば幸いです。
【参考文献】
1)Dinesh P Thawrani 1, Steven S Agabegi, Ferhan Asghar:Diagnosing Sacroiliac Joint Pain
2)川崎 和凡 1 関 俊隆:筋間剥離が神経の同定に有用であった 中殿皮神経障害の 1 例
3)一般社団法人 日本脊髄外科学会:殿皮神経障害
4)須永康代:女性のライフステージにおける身体的変化と健康課題
5)渡辺 日章, 吉田 泰, 高橋 篤, 木本 椿作:日本人仙骨の性差について