女性に多く見られる片方の足の付け根の痛み。その原因にはさまざまな疾患が隠れていることがあります。本記事では、想定される痛みの原因を解説し、自宅でできるセルフケア法や病院を受診すべきタイミングについて詳しく紹介します。
当記事を最後まで読み進めていただくことで、あなたの足の付け根の痛みの原因がわかり、適切な対処法を身につけることができるでしょう!
足の付け根(股関節)の片側が痛む原因とは?
片側の足の付け根が痛む場合、筋肉や関節、さらには内臓の疾患が関係していることがあります。以下に、考えられる主な原因を紹介します。
筋肉や関節の問題
- 変形性股関節症
股関節の軟骨が摩耗し、骨同士が直接擦れることで痛みを引き起こす疾患です。特に40代〜50代以降の女性に多く見られ、長時間歩いたり階段を上ったりすると痛みが悪化します。進行すると歩行が困難になることもあるため、早期の対策が重要です。 - 大腿骨頭壊死
股関節内の骨への血流が不足し、骨組織が壊死してしまう疾患です。症状は初期ではわかりにくい場合がありますが、進行すると歩行時の激しい痛みや股関節の可動域制限が生じます。特定の薬剤や疾患がリスク因子となることもあります。 - 筋肉の疲労や炎症
長時間の立ち仕事や急な運動によって、股関節周りの筋肉に負荷がかかり、炎症を引き起こします。脚を組むなど不自然な姿勢を継続することによって、負荷がかかる場合もあるため、日常生活動作の見直しも必要になります。適切な休息とセルフケアによって改善する場合が多いですが、放置すると慢性化する可能性もあります。
内臓や女性特有の疾患
- 鼠径ヘルニア
腸や脂肪組織が鼠径部に突出する状態で、片側の付け根に痛みや圧迫感を感じます。女性では妊娠や出産による腹圧の増加が発症の引き金になることがあります。放置すると症状が悪化する可能性があるため、早めの診断が必要です。 - 婦人科系疾患
子宮筋腫や卵巣嚢腫といった婦人科系疾患は、足の付け根だけでなく下腹部にも痛みを伴うことがあります。痛みが周期的に起こる場合や他の症状(例: 不正出血)が見られる場合は、婦人科を受診することをおすすめします。
足の付け根(股関節)の片側が痛い場合のセルフチェック
痛みの原因を特定するためには、セルフチェックを行うことが大切です。以下のポイントを確認してみましょう。
痛みの場所を確認
痛みのある部位が股関節の内側(内部)か外側(外部)かを確認しましょう。内側なら関節や内臓の疾患、外側なら筋肉や神経の問題が考えられます。皮膚内に硬い組織が感じられる場合、しこりができている可能性もあるため、どの部位にできているのか把握しておきましょう。
動作や姿勢の影響を把握
・動かすと痛む場合:関節や筋肉の問題が考えられます。
・安静時にも痛む場合:炎症や内臓疾患の可能性が高まります。
足の付け根の痛みに効くセルフケア
自宅で簡単に実践できるセルフケア法をいくつかご紹介します。日常生活に取り入れてみてください。
また、今回ご紹介するセルフケアは筋疲労による筋肉痛や、変形性股関節症による可動域制限に対して効果的な方法です。その他の原因が疑われる場合は、1度専門の医療機関に受診されることをお勧めします。
股関節のストレッチ
まず最初にご紹介するエクササイズは骨盤前後傾運動です。骨盤や腰の動きは股関節の働きをサポートする役割を担っています。呼吸のタイミングに合わせながら痛みのない範囲で大きく動かしていきましょう。
STEP2:骨盤を前方に傾けて背中を反らす
STEP3:お腹を覗き込むように背中を丸める
注意点:骨盤を動かすように意識する。上半身ばかりが動かないように注意しましょう。
次に内ももの筋肉を伸ばすストレッチを紹介します。この運動を行うことで、股関節の可動域も広がり、足を前後に動かす際の痛みも軽減するでしょう。
STEP2:両膝をおさえて骨盤を前方に倒しましょう。
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻りましょう。
注意点:腰が丸くならないように注意しましょう。
負担のかかる日常生活の見直しも必要
セルフケアを行い関節可動域や血流が改善しても、日常せいかつの中での負担を調節しなければ症状は繰り返します。具体的には長時間の座りっぱなしを避け、定期的に立ち上がる習慣をつけましょう。
また、姿勢を意識して背筋を伸ばすことで、股関節への負担を軽減できます。
痛みが続く場合は病院を受診しよう
セルフケアで改善しない場合や痛みが強い場合は、早めに病院を受診することが大切です。ご自身の症状で行くべき医療機関にお悩みの場合は、以下を参考にしてください。
- 整形外科:筋肉や関節の疾患が疑われる場合。
- 婦人科:生理不順や下腹部痛を伴う場合。
- 消化器内科:鼠径ヘルニアや内臓の問題が考えられる場合。
まとめ
片側の足の付け根の痛みには、さまざまな原因があります。セルフチェックを行い、セルフケアを実践することで症状が改善することもありますが、痛みが続く場合は病院での診察が必要です。早めの対処で、健康的な生活を取り戻しましょう。
【参考文献】
1)Hip osteoarthritis and risk factors in elderly Korean population1
2)変形性股関節症の痛みに対する運動療法の効果:メタ分析の結果
3)潜在性股関節骨折の診断におけるスクリーニングツールとしての打診の使用
4)Hip adductor muscle strength is reduced preceding and during the onset of groin pain in elite junior Australian football players