整骨院・接骨院ではカルテの作成・保管が必須!おすすめは電子カルテ

整骨院・接骨院ではカルテの作成・保管が必須!おすすめは電子カルテ

カルテの作成や保管は、整骨院や接骨院を運営するうえで欠かせない業務の1つです。カルテには患者様の個人情報が記されているため、厳重な管理下での保管が求められます。

そこで今回はカルテの保管方法や保管期間について解説。多くの施設で活用されている電子カルテについても紹介します。

整骨院・接骨院はカルテ作成・保管が必須

柔道整復師がカルテを記載する様子

整骨院や接骨院ではカルテの作成と保管が法律で義務づけられています。ここでは、整骨院や接骨院でのカルテ作成や保管の目的について解説します。またカルテの開示や保管期間についても説明するので、参考にしてください。

カルテ作成の目的

カルテ(施術録)を作成する主な目的は、療養費の請求や患者様の症状推移の確認をすることです。

整骨院や接骨院では、月末に柔道整復師療養費支給申請書を作成します。これは一般的に、レセプトとも呼ばれており療養費を請求するための大切な書類です。

レセプトには患者様がケガを負った原因や負傷部位、部位ごとの療養費を記入できるようになっていますが、患者様の症状の推移を記載する箇所がありません。そこでカルテに症状を記載しておくと、レセプトに記載されていない情報をカバーできるため、カルテの開示などを指示された際に役立つのです。

カルテの開示

整骨院や接骨院に限らず、保険を扱う施設では患者様からカルテ(施術録)の開示を依頼されることがあります。カルテ情報の開示を依頼されたら、原則として開示する必要があります。

また厚生労働省から保険の取り扱いについて疑問が生じた場合に、説明を求められることもあります。その場合、カルテを書いていないと自身の正当性を主張することが難しいのです。

整骨院や接骨院では不正請求が問題となっています。実際に患者様が通った日数よりも水増しして療養費を請求したり、損傷部位を増やして請求したりといった事例が後を絶ちません。

もちろん多くの柔道整復師は適切に施術を行い、毎月の請求も法律通りになされています。しかし一部の施設が行っている不正請求が原因で、正当に経営している施設にも不正請求の疑いの目が向けられるケースもあるのです。

もし不正請求が疑われた場合でも、カルテを記載しておくと正当性を証明するのに役立ちます。

整骨院・接骨院のカルテの保管期間

整骨院や接骨院でのカルテの保管期間は、転帰(治癒・施術の中止・転院)以降の5年間とされています。

長期にわたってカルテの保管が求められる理由は、施術を終えた後もしばらくは患者様に施術証明を請求される可能性があるからです。

その時にカルテが残っていないと、施術証明を記載できなくなります。整骨院や接骨院を廃業した場合も、カルテの保存が義務付けられているので注意しましょう。

整骨院・接骨院におけるカルテ・レセプト・施術録の違い

カルテ、レセプトの違いを表すイメージ

整骨院や接骨院で保険請求をすると、カルテやレセプト、施術録の言葉を耳にします。これまでに説明したように、カルテは施術内容や症状の推移を記録するための書類です。ここでは、レセプトと施術録についてカルテとの違いがわかるように解説します。

レセプト

レセプトが本来示す意味は、医療機関が保険者に提出する「診療報酬証明書」です。

しかし整骨院や接骨院は、医療機関ではないため診療報酬を請求できません。そのため整骨院や接骨院では、厳密にはレセプトではなく「療養費支給申請書」を患者様に代わって保険者に提出することになります。

整骨院や接骨院では、療養費支給申請書のことを便宜上レセプトと呼んでいるのです。レセプトについては次の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

参考:【柔道整復師向け】レセプトが返戻される理由とは?再請求についても徹底解説!

施術録

整骨院や接骨院では、施術録とカルテは同じ意味で扱われます。

しかしカルテの本来の意味は、診療録です。整骨院や接骨院では診療を行えないので、患者様の症状の推移や施術内容を記載する書類は正式には施術録と呼ばれます。

整骨院や接骨院では、施術録のことを便宜上カルテと呼んでいるのです。

整骨院・接骨院におけるカルテの書き方

整骨院や接骨院で提供される施術サービスは、保険施術と自費メニューにわかれます。それぞれに分けてカルテに記入すべき項目を解説します。

保険施術の場合

整骨院や接骨院で保険施術を行う場合、カルテの記入は義務です。カルテの参考例として、厚生労働省は以下の様式を紹介しています。

引用:厚生労働省

カルテに記入する項目は次のとおりです。

  • 患者様の来院日
  • 負傷部位
  • 負傷した原因
  • 症状の経過
  • 治癒の見込み

負傷原因には、「段差で躓いて転倒した」「スポーツをしていて足を挫いた」などの明確な原因を記す必要があります。原因のはっきりしない慢性症状に対しては、保険を使うことができないため注意しましょう。

また症状と原因の因果関係が求められますし、患者様に対して「ここに対して施術をおこないます」と説明することも必須です。

その他に記入する項目としては、患者様の氏名や年齢、性別、住所、電話番号、保険証の種類、症状、療養費の詳細などがあげられます。

自費メニューの場合

自費メニューの場合は、カルテの記入は義務付けられていません。症状の推移を確認したり、アフターフォローを行ったりする際にカルテがあると便利です。

主な記入項目は次のとおりです。

  • 患者様の氏名や住所
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • 現在の症状
  • 施術経験の有無
  • 既往

メールアドレスを聞いておくと、メールでのアフターフォローも可能です。

整骨院・接骨院におけるカルテの活用方法

カルテを活用して症例について議論する様子

整骨院や接骨院における主なカルテの活用法は次のとおりです。

  • 施術に対する患者様の満足度を高める
  • 症状の変化を記録し、施術効果の説明に説得力をつける
  • 離脱患者へのアフターフォローに活用する

それぞれについて解説します。

施術に対する患者の満足度を高める

整骨院・接骨院で利用しているカルテには、患者様の住所やメールアドレス、生年月日、電話番号などさまざまな情報が記載されています。

これらの情報をデータベース化することによって、顧客管理として活用可能です。データベース化した住所録やメールアドレスをもとに、自費メニューの案内施術計画書などを送付して患者様との関係を深めると、リピーター獲得につながります。

また整骨院や接骨院に来られなくなる患者様の中には、単に施術所の存在や、施術の必要性を「忘れているだけ」という方も散見されます。

カルテの情報をもとに定期的にアフターフォローをおこなうことで、既存の患者様の来院回数を増やしたり、休眠の患者様を再来院へ誘導できたりします。

症状の変化を記録し、施術効果の説明に説得力をつける

カルテの本来の目的は、患者様の症状の変化を把握することです。言葉で体の変化を説明するだけでなく、カルテを用いて施術効果を伝えると、患者様に対する説得力が増します。

たとえば腕が上がらない症状について、次のような説明をすると施術効果を患者様が実感しやすくなります。

  • 初回の痛みは90度までしか腕が上がらなかった
  • 3回目の施術後は、120度くらいまで腕が上がるようになった
  • 6回目の施術後は、180度まで腕が上がるようになり負傷前の状態にまで回復した

以上のような説明をするためにも、可動域の変化を数値でカルテに記録するとよいでしょう。また「痛みが強くて眠れなかった」「痛みが楽になって眠れるようになった」などの患者様が口にした言葉を、そのまま記入しておくのも効果的です。

離脱患者へのアフターフォローに活用

カルテは、患者離脱へのアフターフォローとしても活用できます。たとえばカルテを見直して前回までの体の状態や悩みの症状を理解したうえで、再来院した患者様に接すると「しっかりと自分の状態を診てもらえている」と思ってもらえるでしょう。患者様との信頼関係の構築につながるので、患者が離脱しづらくなります。

また患者様の症状の推移を確認できると、適切なセルフケアや自宅での過ごし方をアドバイスしやすくなります。適格なアフターフォローは症状の改善にも有効なので、患者様が施術効果を実感しやすくなります。

患者様へのアフターフォローに力を入れたい場合は、カルテの記入と一緒に運動療法クラウドを併用するのもおすすめです。

運動療法クラウドのリハサクには、フィジカルチェック機能も搭載されています。患者様のお体の状態を数値で細かくチェックしたい場合におすすめですので、どうぞお試しください。

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整骨院・接骨院には電子カルテがおすすめ

整骨院・接骨院では、電子カルテを導入するところが増えています。ここでは、電子カルテのメリットとデメリットについて紹介します。

電子カルテのメリット

電子カルテのメリットとしては、患者様の情報をデータベース化しやすいことがあげられます。データベース化すると、必要な情報をすぐに引き出せますし、患者様をカテゴリや属性に分けて、来院者の傾向を分析することも可能です。

とくに保険請求に必要な機能が搭載された電子カルテはレセコンとも呼ばれ、多くの整骨院や接骨院が導入しています。レセコンがあることで、以前は手書きで手間がかかった柔道整復師療養費申請書がパソコン上で簡単に記入できるようになったのです。

また保険請求で5年間の保管期間が設けられたカルテを紙媒体で保管すると、患者様の増加に伴いスペースの確保が必要になったり、カルテ管理が煩雑になったりします。

一方で電子カルテの場合、サーバー上にカルテを保管できるため、保管場所が不要です。複数の施設を経営している場合は、施設間での情報共有が容易になるため、施設運営を効率化できます。

電子カルテのデメリット

電子カルテのデメリットとしては、操作に慣れるまでに時間がかかったり、コストがかかったりする点です。慣れていないうちは、手書きのほうが早いためストレスになるかもしれません。

また停電やサーバーのダウンといったトラブルによって不具合が生じることがあります。ネットワーク上で個人情報が流出しないように、セキュリティ対策を万全にすることも大切です。

接骨院・整骨院経営にカルテや施術録を有効活用しよう

保険を扱う整骨院や接骨院ではカルテ記入が義務付けられているため、必ず記載しましょう。またカルテは、不正請求への疑義が生じた際に請求の正当性を説明する際にも役立ちます。

カルテは、患者様のアフターフォローや信頼関係の構築にも有効活用できます。施術のたびに記録して、それをもとに患者様に寄り添った施術サービスを提供すると、リピーターの獲得につながるでしょう。

これからは電子カルテの導入もおすすめです。慣れるまでに時間がかかっても、電子カルテを扱えるようになると、手書きカルテよりも管理にかける時間を減らせます。

 

<参照元>

毎日新聞 | カルテなど提出義務化 不正請求防止へ


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