レセプトが返戻されてしまう理由とは?返戻理由と対策、再請求について徹底解説します!

レセプトが返戻されると再請求する手間が増えるうえ、報酬を受け取る時期が通常よりも一か月以上遅延します。そして、経営上の負担となり保険者からの信用低下にも繋がるため、レセプトの返戻はなるべく避ける必要があります。

そこで当記事では、レセプトの返戻に関する基礎知識や対処法、やむを得ず返戻となった場合の再請求について詳しく解説します。

レセプトの返戻とは

整骨院などの診療機関が提出したレセプトは、審査支払機関(支払基金と国保連)と保険者により、保険請求上の適合性がチェックされます。請求内容が不適切な場合や、何かしらの疑義があった場合にレセプトが差し戻されることを「返戻」といいます。

レセプトの返戻とレセプトの査定の違い

レセプトの取り扱いで間違われやすい、レセプトの返戻とレセプトの査定の違いについて解説していきます。

レセプトの返戻

提出したレセプトが審査支払機関から差し戻されることを返戻といいます。

レセプトが返戻される理由としては、記載項目に不備や不明点が確認され、医療行為の適否について判断ができなかった等が挙げられます。

差し戻されたレセプトは、指摘された項目を適宜修正することで再請求が可能ですが、報酬の支払い月が遅れる点で、査定同様に不利益であることに変わりはありません。

レセプトの査定

提出したレセプトの項目について審査支払機関と保険者が不適当と判断し、対価報酬の請求自体を認めない、または減点して報酬の支払いをすることを査定といいます。

レセプトの査定では一方的に減点されるうえで、減額分が差し引かれた報酬が支払われます。査定されたレセプトは返却されず再請求もできないため、返戻よりも厳しい扱いです。

査定の判断に納得がいかない場合は、審査支払機関に再審査を申し立てることが可能です。

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レセプトが返戻される主な原因

レセプトが返戻される原因にはどのようなものがあるでしょうか。事例を交えて、理由と対処法をいくつかご紹介します。

事務手続き上の間違い

レセプトの返戻で最も多いのが事務手続き上の間違いでしょう。番号・記号の誤記や署名の不備など、事務手続き上の間違いがあると返戻が行われます。

一か月に一度、月初めには必ず保険証を提示していただき、内容を確認するよう心がけましょう。保険者は同じでも、記号や番号のみ変わっている可能性があります。

受診される方が家族の扶養に入っている場合にも注意が必要です。被保険者名ではなく、自分の名前を記入するものと勘違いする方もいらっしゃるため、記入した名前が被保険者、または世帯主に当たるを必ず確認してください。

利き手にケガを負っているなどの理由で署名ができない方には、柔道整復師が代筆することが認められていますが、この場合は被保険者の拇印や三文判が必要と覚えておきましょう。

個人情報に関わる部分は後日の確認が難しいため、レセプトの返戻を防ぐためにも日頃からチェックすることが重要です。

柔道整復師による誤った請求

レセプトが返戻される例として、柔道整復師による誤った請求も多発しています。

患者様の症状に対して行った施術内容が一致しない、誤った診療報酬点数を適用している、などの事例ではレセプトの返戻対象となる可能性が高いです。

提出前に必ず、請求内容と根拠の整合性が取れているかを照らし合わせるように心がけましょう。

また、施術が3か月以上に至った場合には、今後回復する可能性や施術を続ける意味について、根拠を示したうえでの説明が必要となります。

返戻理由には諸々あるものの、受領委任払い制度についての正しい知識を深めることが、返戻の防止につながります。

同一月に同一負傷名で他の医療機関を受診

保険法には、柔整療法と医科との併給を認めないルールがあります。

医科優先の原則により、同一部位・同一の負傷に対して医科と柔整療法の両方から請求があった場合、医科の請求が優先されます。医師にかかっている期間、患者は医師の管理下にあると判断されるためです。

この期間中、柔道整復師が施術を行っても問題はありませんが、支払いは自費治療の扱いとなります。

一か月以内に他の医療機関への通院履歴がない場合でも、「投薬期間」が重なっている期間は医師の管理下にあるとみなされ、重複請求扱いとなる点に注意しましょう。

来院される方の中には、併給のルール自体を知らない方も多くいらっしゃいます。そこで、受付時に他医院での受診や投薬の有無を確認する、院内に貼り紙をして周知するなどの対策を取るようにしましょう。

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返戻されたレセプトの再請求について

次は差し戻されたレセプトを、再請求する方法について説明します。

返戻レセプトの再請求方法

レセプトの請求方法は紙レセプト、電子レセプトで方法が異なります。

紙レセプトの場合、支払機関より送られたレセプトの写しと返戻(調整)内訳書を確認し、必要に応じて追記や誤記の修正を行います。原則としてレセプトは印刷し直さず、返戻された写しをそのまま使用しましょう。

やむを得ず新たに作成する場合は、古いレセプトを必ず添付します。

電子レセプトの場合、支払機関からの紙による送付のほか、オンライン上でダウンロードが推奨されています。ダウンロードしたレセプトのデータをレセコンに出力すれば、オンラインでの再請求が可能です。ただし、使用するレセコンのシステムによって手順は異なるため、不明点がある場合は直接メーカーや代理店に連絡して確認しましょう。

オンラインでの提出以外に、データを入れた光ディスクによる提出も認められています。光ディスクで提出する場合は、医療機関コードや提出年月日など、必要な情報をフェルトペンなどで書き、破損を防ぐために必ずケースに入れて送ります。

レセプトの再請求は紙とオンラインどちらの場合も、翌月以降の当月請求分とあわせて行ってください。

なお、基本的な再申請の流れは同じですが、地方によって記載事項や修正方法が異なる可能性があります。再申請に疑問点が生じた場合、提出前に各団体へ問い合わせするようにしましょう。

レセプト再請求の流れ

返戻レセプトの再請求から報酬支払いまでの流れについて、1月に保険治療をした場合を例に説明します。

  1. 1月分として請求されたレセプトは、2月中に審査支払機関と保険者によって審査されます。
  2. 審査の結果、何らかの疑義があり確認が必要と判断された場合、3月初旬を目途にレセプトが返戻されます。
  3. 受け取ったレセプトの内容を修正し、月遅れレセプトとして3月10日までに審査支払機関へ再請求を行います。
  4. 3月中に審査支払機関と保険者が再審査を行い、レセプトの内容に問題がなければ、4月に診療報酬が支払われます。

返戻のない通常の請求であれば、報酬は3月に支払われます。返戻を受けた場合、最短で再請求の手続きを行ったとしても、支払いは一か月程度遅延します。

返戻レセプトの再請求期限

療養費に関する請求期限について、健康保険法第193条には「保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によって消滅する」と定めらています。

そのため、レセプトの請求期限は受診された方が料金を支払った日から起算して2年間です。この期限は返戻分にも適応されるため、返戻されたレセプトは受け取り次第なるべく早めに再請求するよう心がけましょう。

レセプトの返戻に関するまとめ

以上、レセプトの返戻や再請求の手続きについて解説しました。

「手続きが面倒だ」、「査定額が少額だからかまわない」などの理由で、返戻されたレセプトの再請求をされない方もいらっしゃるようです。

しかし、保険者からの信用が低下することや、翌月以降のレセプト業務に支障が出ることを考えると、あまり良い選択とはいえません。最悪の場合、厚生局からの指導や監査が入る可能性があります。

そこで、返戻されたレセプトは必ず再請求を行うこと、再発が防げるような事案であれば対策を講じるなど、日ごろからレセプト業務の改善を心がけましょう。

<参照元>
https://www.aiwairyo.com/useful/henrei.html
http://www.ymnkokuho.or.jp/attach/file/160112044330yhN.pdf
https://www.shizukokuhoren.or.jp/insurance/ika/seikyu/#item-6
https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/online/online_01/index.files/tebiki_01.pdf
https://www.ssk.or.jp/user_hokenja/saishinsatebiki.files/saishinsatebiki_1.pdf
https://www.aiwairyo.com/staffblog/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AF%E6%8E%A5%E9%AA%A8%E5%B8%AB%E4%BC%9A%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%95%EF%BD%82%EF%BD%8C%EF%BD%8F%EF%BD%87%E3%80%80%E5%B9%B3%E6%88%9029%E5%B9%B42%E6%9C%8822%E6%97%A5.html
https://www.n-s-c.co.jp/sp/booster/column/detail/%E3%80%90%E8%BF%94%E6%88%BB%E3%81%AE%E5%86%8D%E8%AB%8B%E6%B1%82%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%81%A7%E5%87%BA%E6%9D%A5%E3%82%8B%E3%81%AE%EF%BC%9F%E3%80%91


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