整骨院・接骨院では領収書の発行が義務化されています。開業を検討する際に、領収書の書き方について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
領収書は厚生労働省がテンプレートを公表しているので、それを参考にするのも1つの手段です。保険の一部負担金と保険外施術を分けて記載するようになっているので、正しい書き方を把握して領収書を発行してください。
本記事では、接骨院・整骨院の領収書と明細書の書き方について厚生労働省のテンプレートをもとに解説します。
整骨院・接骨院の領収書発行は義務化されている
平成22年9月1日以降、整骨院・接骨院では患者様に領収書を発行することが義務化されています。同年の5月24日に厚生労働省より、次の通達が出されています。
本年9月1日以降の施術分から、柔道整復師の施術に係る療養費の一部負担金等の費用の支払を受けるときは、領収証を無償で交付しなければならないこととしたこと。 |
領収書には保険施術と保険外施術(自費施術)の料金を分けて記載する必要があります。さらに、領収書の発行は「無償」です。柔道整復師としての義務を果たすためにも、必ず領収書を無料で発行しましょう。
整骨院・接骨院の領収書について
次に領収書の記載項目と作成方法について解説します。
領収書の記載項目
領収書に記載する項目は次のとおりです。
- 患者氏名
- 領収した日付
- 保険施術の合計金額
- 一部負担金の金額の内訳
- 保険外施術の金額の内訳
- 一部負担金と保険外施術(自費施術)の合計金額(患者支払い金額)
- 施術所の名前・住所
- 施術管理者の名前・印鑑
以上が印字されていれば、レシートタイプでも構いません。
領収書のテンプレート
領収書のテンプレートがほしい場合は、厚生労働省が示している様式を活用するとよいでしょう。
引用:柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)|厚生労働省
領収書の作成方法
原則として、領収書は患者が来院するたびに発行する必要があります。渡し忘れたり、整骨院・接骨院側の都合で1ヶ月分の領収書をまとめ発行したりすることは避けましょう。
領収書に記入する料金を計算する場合は、はじめに療養費の算定基準に基づき保険施術の合計金額を算出します。その金額に1~3割の負担割合にかけて、一部負担金を計算しましょう。
一部負担金は一の位を四捨五入して、10円単位で記入します。保険請求の計算方法に則り、定められた金額を領収書に記載しましょう。
一部負担金に保険外施術(自費施術)を足して合計金額を出し、日付と患者氏名を記載すれば領収書を作成できます。
次の記事では整骨院・接骨院の料金設定について解説しているので、参考にしてください。
参考:【整骨院・接骨院向け】保険料金表の作成で注意すべきポイントとは?
整骨院・接骨院における領収書の明細について
整骨院・接骨院では、領収書と一緒に明細書の発行を求められることがあります。明細書には、領収書の保険施術を算定した詳細な内容を記載します。
明細書は領収書と同じく発行する義務があるため、患者の求めに応じて速やかに発行しましょう。領収書と異なる点は、有料で発行できる点で、厚生労働省の資料には次のように記載されています。
明細書の発行の際の費用について、仮に費用を徴収する場合にあっても、実費相当とするなど、社会的に妥当適切な範囲とすることが適当であり、実質的に明細書の入手の妨げとなるような高額な料金を設定してはならないものであること |
以上によると、発行にかかる料金を高額に設定しないことが大切です。
整骨院・接骨院の明細書も記載事項を網羅していれば、任意の様式を利用できます。「療養費の支給申請書」に明細書の必要事項(発行年月日など)を記載した様式も、明細書として認められています。
明細書には領収書の項目に加えて、次に示すような療養費の算定項目の記載も必要です。
- 初検料や再検料
- 初検時相談支援料
- 施術情報提供料
- 往療料
- 施術料( 整復・固定・施療料・後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料)
明細書のテンプレート
厚生労働省が示す次の様式を明細書として利用することも可能です。
引用:柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)|厚生労働省
整骨院・接骨院の領収書に関するQ&A
ここでは、整骨院・接骨院の領収書に関する次の質問に回答します。
- 整骨院・接骨院の領収書は再発行できるか?
- キャッシュレス決済の場合は領収書が必要か?
- 月末にまとめて発行するように依頼された場合の対処法は?
- 保険外で施術した場合は領収書の発行は必要か?
- 整骨院の領収書は医療控除の対象になるか?
整骨院・接骨院の領収書は再発行できるか?
患者様が領収書を紛失して、再発行を依頼されることがあります。
しかし経費の水増しに使用されたり、二重に計上されたりすることを防ぐためにも、領収書の再発行はできません。そのため領収書の再発行を依頼された場合は、代わりに領収証明書を発行しましょう。
領収証明書は領収書と同様に、領収した日付や一部負担金と保険外施術(自費施術)の合計金額(患者支払い金額)などを記載します。
キャッシュレス決済の場合は領収書が必要か?
近年、キャッシュレス決済に対応している整骨院・接骨院も増えてきました。キャッシュレス決済の種類は次のとおりです。
- クレジットカード
- デビットカード
- 電子マネー
- QRコード・バーコード決済
各キャッシュレス決済方法も、現金と同様の取り扱いになるため、領収書の発行が必要です。
電子マネーなどを利用した際に残る「支払い履歴」は決済金額の表示に限られるため、領収書としては利用できません。一部負担金と保険外施術(自費施術)が分かる領収書を施設側が発行する必要があります。
月末にまとめて発行するように依頼された場合の対処法は?
「整骨院の領収書をもらい忘れた」といって、再発行を依頼される場合があります。このように患者様から求められた場合は、月末にまとめて発行することが可能です。ただし整骨院や接骨院側の都合の場合は、まとめて発行できないため注意しましょう。
保険外で施術した場合は領収書の発行は必要か?
保険外施術の場合も領収書を発行する必要があります。保険施術と同様に無償で発行しましょう。
整骨院の領収書は医療控除の対象になるか?
整骨院の領収書は医療控除の対象です。患者様には領収書を保管するように伝えるとよいでしょう。
接骨院・整骨院は領収書の発行が必要
整骨院・接骨院を運営する場合、領収書の発行は義務です。
作成するのは手間かもしれませんが、テンプレートを作成して入力するだけで作成できる状態にすると、時間短縮できます。
またレセコンを導入すれば、領収書の発行もスムーズです。窓口業務を効率化したい場合は、レセコンの導入を検討するとよいでしょう。正しく領収書を発行し、トラブルのない整骨院・接骨院運営を心がけましょう。
<参照元>
全国柔整鍼灸協同組合|【接骨院】領収証は発行しなければいけないですか?