打撲ができたら病院に行くべき?骨折かもしれない危険な症状と対処法を紹介

スポーツ中はもちろんのこと、日常生活においても、転倒や事故などにより打撲ができる可能性があります。

身近なケガのため「ただの打撲だから」と軽視されがちですが、中には骨折など重症例もあるため油断はできません。

当記事では、打撲への適切な対処法と、早めに病院に行ったほうが良い症状の特徴を解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。

打撲とはどのようなもの?

肘を触る女性の写真

打撲は体の一部を強くぶつけることで、筋線維や血管といった皮下組織を損傷するケガです。「打ち身」と呼ばれることもあります。

接触や転倒、転落、事故などで激しい外力を受けることにより、打撲が発生します。

打撲のおもな症状

打撲のおもな症状は、痛み腫れ内出血です。

ぶつけた直後よりも、1日〜数日と時間が経ってから症状が広がるという特徴が打撲にはあります。血管や筋肉の損傷により発生した内出血が、時間の経過とともに広がるためです。

また、ぶつけた箇所が関節付近であったり、筋線維を大きく損傷していたりする場合は、打撲により「関節を動かしにくい」「力が入りにくい」といった運動制限が生じることもあります。

打撲の痛みは一般的にいつまで続く?

軽度の打撲であれば、およそ1週間から2週間程度で、痛みや腫れの症状は落ち着きます。また、皮下組織を激しく損傷している場合でも、多くの打撲は1ヶ月程度での改善を見込めます。

打撲への基本的な対処法(RICE処置)

足首にテーピングを巻く写真

打撲など急性のケガには、RICE処置が有効といわれています。受傷後48〜72時間以内の「急性期」に適切な対処を行うことで、痛みや腫れは早くひきやすくなります。

症状の早期改善を目指すためにも、打撲が疑われる際は、なるべく素早い処置を心がけてください。

安静にする(Rest)

受傷後は痛みが出る動作や姿勢は避けて、安静を第一にしてください。無理に動かすと、炎症が悪化する可能性があります。

四肢(腕や足)の打撲の場合、包帯やテープを巻いて関節を固定したり、三角巾で腕を吊るしたりすることで、患部の安静を保ちやすくなります。

冷やす(Icing)

氷嚢(ひょうのう:氷水の入った袋)を当てて、患部を冷やします。氷嚢をお持ちでない場合は、買い物で使うビニール袋に氷水を入れることで代用しても構いません。

冷却には、血管を収縮させることで内出血や腫れを抑えたり、神経伝達を遅らせることで痛みを軽減したりする効果を期待できます。

5〜10分ほど冷やして感覚がなくなったら一度氷嚢を離し、痛みや熱が戻るようであれば再度冷やすことを繰り返してください。

圧迫する(Compression)

腫れや内出血を最小限に抑えるため、包帯やガーゼ、ハンカチなどを巻いて患部を圧迫します。

しかし、強い圧迫は、循環障害や神経障害を引き起こすおそれがあります。皮膚の変色やしびれ、感覚低下(触った時の感覚が鈍い)などありましたら、すぐに圧迫をゆるめるようにしてください。

挙上する(Elevation)

患部を心臓よりも高い位置に挙げておきます。重力を利用することで静脈やリンパ液の流れを良くして、内出血による腫れを抑えていきます。

部位にもよりますが、横になって台やクッションの上に患部を乗せることで、楽に挙上を維持できるでしょう。

参考記事:内出血(あざ)を早く治す方法とは?内出血する原因や皮膚色の変化・要注意な病気も解説

油断禁物!病院に行くべき打撲症状の特徴

次のような症状がみられる際は、骨折をはじめとした重度の外傷が疑われます。

放置していると、状態が悪化するおそれがあります。早急に医療機関に行くようにしましょう。

痛みがだんだん悪化する

通常の打撲であれば、2〜3日をピークに急性症状(痛みや腫れの症状)が落ち着き、1週間から長くとも1ヶ月程度で症状の改善を見込めます。

しかし、RICE処置を行っているにもかかわらず状態が徐々に悪化していく場合は、重度の外傷が疑われます。

原因を明確にするためにも、一度医療機関で患部をみてもらいましょう。

離れた箇所からの刺激で痛みが響く

離れた箇所から「叩く」「揺らす」「引っ張る」などの刺激を加えた際、患部に痛みが響く場合は、骨折の可能性があります。
叩打や振動、牽引などで引き起こされる痛みを「介達痛(かいたつつう)」と呼び、骨折の特徴的な症状に挙げられます。

押すと強い痛みがある

患部を押してみて、局所的に強い痛みがある場合は、骨折が疑われます。(ビクッと飛び上がるほどの痛みです)
ピンポイントでの強い圧痛は「限局性圧痛(げんきょくせいあっつう)」と呼ばれ、介達痛と並んで骨折の特徴的な症状となります。

※血管や筋線維を損傷した通常の打撲では、広い範囲に鈍い圧痛があることが特徴です。

痛みで歩けない

足の打撲で歩けないほど強い痛みがある場合は、骨が折れているかもしれません。

足は体重を支える重要な部位です。日常生活に支障が出ないよう、早めに医療機関で適切な検査と治療を受けるようにしましょう。

腕や足以外の打撲

頭部や胸、腹部などの打撲にも注意が必要です。打撲の衝撃により、脳や内臓を損傷している可能性があるためです。

とくに打撲後、意識障害強い頭痛吐き気腹痛血尿など異変がありましたら、早急に医療機関にご相談ください。また、症状がみられない場合も、腕や足以外の箇所を強くぶつけた際は、一度医師にみてもらうことをおすすめしています。

【危険な打撲】何科の病院に行くべき?

医師の診断を受けている人の写真

打撲では「整形外科」の受診が基本となるでしょう。骨折かどうかはレントゲンにて診断を行います。
また、骨折以外の症状が疑われる際も、他の適切な診療科を紹介してもらえるはずです。

骨折の際は、整復(せいふく:骨を元の位置に修復する治療)ギプスを使った固定などを行います。また、超音波療法により、骨癒合が早まることも研究で分かっています。1)

骨折をそのままにしていると、症状が取れづらくなるほか、関節の動かしにくさや変形などを残してしまうかもしれません。自己判断で対処を続けず、少しでも不安を感じる際は、早めに医師にご相談ください。

参考記事:骨折を早く治す方法とは?骨折が治るしくみや治癒に必要な期間について解説

まとめ

今回は、打撲への基本的な対処法と、病院に行くべき打撲症状の特徴を解説しました。

適切な処置を行えれば、多くの打撲は早期での回復を見込めます。しかし、「打撲だと思っていたものが骨折だった」というケースも中にはあり、自己判断による対処で症状を長引かせてしまうおそれがあります。

ただの打撲だからと軽視せず、骨折が疑われる際はすぐに整形外科を受診し、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。

それでは本記事が、あなたのお悩み解決に役立っていれば幸いです。

【参考文献】
1)先進医療.net「骨折の治療期間を3〜4割早める「超音波骨折治療法」( 2010/06/23 )」