姿勢評価の方法と見るべきポイントは?評価シートの書き方も解説!

姿勢評価の方法と見るべきポイントは?評価シートの書き方も解説!

姿勢評価を正しく行うと、施術やリハビリの効果を高めたり、患者さんの満足度を高めたりすることができます。

しかし次のような悩みを考えているセラピストも多いのではないでしょうか。

「姿勢評価を正しく行う自信がない…」

「どうやったら姿勢評価を患者さんに役立てられるのかわからない」

本記事では、以上の悩みを抱えたセラピストに向けて正しく姿勢を評価する方法を解説します。異常姿勢のパターン患者さんの満足度を高める方法もお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。

患者さんの姿勢を評価する方法

患者に姿勢について説明する様子

患者さんの姿勢を評価する方法として、主に次の3つが考えられます。

  • 壁や床を使う
  • 鏡に映す
  • 写真を撮影する

それぞれについて解説します。

壁や床を使う

壁や床を使うと簡単に姿勢分析ができます。壁を使った場合、次の手順で姿勢分析をすると、患者さんが自分自身の姿勢の善し悪しを実感できます。

  1. 壁に後頭部と背中、お尻をつけて立つように患者さんに指示する
  2. 左右どちらかの手のひらを腰と壁の間に出来た隙間に入れる
  3. 首の痛みや胸のツッパリ感、腰と壁の間に入れた手のひらの感覚について尋ねる

3番で首の痛みや胸のツッパリ感がある場合は、ストレートネック猫背などの異常姿勢が疑われます。腰と壁の間に手のひらが入らない場合は骨盤の後傾が考えられ、一方で手の甲に腰が触れない場合は骨盤が前傾していると考えられます。

姿勢評価の方法

床を使う場合は床に仰向けになってもらい、上記の1~3の手順を踏み、患者さんに姿勢に異常がないか実感してもらうとよいでしょう。

鏡に映す

鏡に映して姿勢分析を行う場合もあります。その場合は、患者さんに鏡の前に立ってもらい、左右の肩や顔、骨盤の傾きなどをセラピストと患者さんが一緒にチェックするのが一般的なやり方です。

左右差を比較する際は、肩甲骨の烏口突起骨盤の上前腸骨棘に施術者の手で軽く触れ、比較するための目印を示すとよいでしょう。そうすると左右差が分かりやすくなるので、患者さんに姿勢の異常を認識してもらいやすくなります。

写真を撮影する

最近は携帯端末で簡単に写真の撮影ができるので、写真を使って姿勢分析を行うセラピストが多いようです。

写真を使って姿勢分析を行うメリットは、体の前面、後面、側面のあらゆる方向から姿勢分析をしやすいことです。さらにビフォーアフターの比較を患者さんに示すと、施術の効果を実感してもらえる点も魅力です。

写真で姿勢分析をする場合は、ランドマークと呼ばれるポイントが定位置にあるかどうかをチェックすると正しく姿勢を評価しやすくなります。では実際に、姿勢評価のポイントをみていきましょう。

姿勢評価を実施する際のポイント

ポイントを表すイメージ

正しく姿勢評価を実施するためには、少なくとも以下に示す3つのポイントを守りましょう。

  • 前額面のランドマークを確認する
  • 矢状面のランドマークを確認する
  • 骨盤のアライメントを評価する

前額面のランドマークを確認する

前額面とは人体を横から見て、前と後ろを分断する面を指します。前額面で姿勢を分析する際は、患者さんの姿勢を前方と後方から確認してランドマークをチェックします。

また姿勢分析においてランドマークとは、体の各所の位置関係を把握するためのポイントです。ランドマークが正常の位置にあると正しい姿勢と評価でき、正常な位置からズレると異常姿勢と評価されます。

体を後方から見て前額面のランドマークをチェックする場合、主に以下の部分について左右差を比較します。

  • 肩峰の高さ
  • 肩甲骨下角の高さ
  • 腸骨稜の高さ

また前額面で姿勢をチェックする場合、重心の位置をチェックする方法もあります。その場合、次のポイントをチェックしましょう。

  • 後頭部の中心
  • 背骨
  • 殿裂(お尻の割れ目)

以上が地面に対して垂直に並んでいる場合は、正常な姿勢と判断できます。一方、それぞれのポイントを結んだ線が地面に対して傾いている場合は、姿勢のバランスが悪いことになります。

矢状面のランドマークを確認する

矢状面とは人体を正面から見て、左右を分断する面です。姿勢を分析する際は、患者さんの姿勢を側面から確認して矢状面のランドマークをチェックします。

矢状面の主なランドマークについて、具体例を挙げると次のとおりです。

  • 耳垂(耳たぶ)
  • 肩峰
  • 大転子
  • 膝蓋骨前面
  • 外果の2~3cm前方

矢状面の評価のポイント

以上を結んだ線が地面に対して、垂直になると正常な姿勢と判断できます。一方でいずれかが直線からはずれた位置にあったり、直線が地面に対して傾いていたりすると、異常姿勢が疑われます。

骨盤のアライメントを評価する

骨盤のアライメントとは、背骨に対する骨盤の配列を意味します。弯曲の過剰や消失、側弯などの背骨のゆがみにも影響を与えるため、正しく評価することが大切です。

骨盤のアライメントを評価する方法の1つに、上前腸骨棘恥骨結合の位置関係を確認する方法があります。上前腸骨棘と恥骨結合が地面の垂直線に対して平行に並んでいれば、正常なアライメントです。

一方で、上前腸骨棘が恥骨結合よりも前に出ている場合は、骨盤が前傾しています。また上前腸骨棘が恥骨結合よりも後方に位置する場合は、骨盤が後方に傾いています。

骨盤の傾きは、次項で解説する異常姿勢の姿勢評価とも関連する重要な要素です。

姿勢評価でわかる異常姿勢

異常姿勢を説明した図

引用:姿勢の評価と治療アプローチ|首都大学東京健康福祉学部理学療法学科 竹井 仁

姿勢評価をすると、さまざまな姿勢の異常パターンを判定できます。ここでは具体例として、次の3つの異常パターンについて解説します。

  • 後弯前弯型(kyphosis-lordosis)
  • 後弯平坦型(sway-back)
  • 平背型(flat-back)

後弯前弯型(kyphosis-lordosis)

後弯前弯型は骨盤のアライメントが前傾している点が特徴です。背中を壁につけて立つと、腰と壁との間の隙間が大きく開き、手のひらを入れると手の甲に腰が触れず、スカスカの状態です。一般的には反り腰と表現され、腰の筋肉が常に緊張してしばしば腰痛の原因になります。

カイホーシスロードシスの説明

後弯平坦型(sway-back)

後弯平坦型は骨盤のアライメントが後方に傾いています。背中を壁につけて立つと、お尻が壁につきません。骨盤が後傾するため、腰椎の弯曲が失われます。その一方で、胸椎の弯曲が強調されるので、背中の上部が丸まった姿勢になります。

一般的にはスウェイバック姿勢とも呼ばれ、腹部を前方に突き出し猫背になった姿勢が特徴です。

カイホーシスロードシスの説明

平背型(flat-back)

平背型も後弯平坦型と同じく骨盤のアライメントが後方に傾いています。後弯平坦型と異なる点は、背骨全体の弯曲が損なわれている点です。つまり、腰椎の前弯と胸椎の後弯がともに、失われた状態です。

平背型になると腰椎にかかる負担が大きくなるため、腰椎椎間板ヘルニアの原因になるといわれています。

フラットバッグの説明

姿勢評価シートの書き方と記入項目

姿勢評価シートを作成する場合は、次の項目を設定するとよいでしょう。

  • 姿勢評価の方針
  • 姿勢評価の目的
  • 姿勢評価のポイント

それぞれの書き方についても解説します。

姿勢評価の方針

姿勢評価の方針は、患者さんに姿勢評価の方法評価の対象となる部位を示すために記入します。

姿勢評価の方法としては、先述した壁や鏡、写真を使った方法のいずれかが考えられます。評価の方法を記入しておくことで、来院のたびに評価のやり方がブレずに済み、施術後の姿勢改善について正確に経過観察できます。

また患者さんに安心して分析を受けてもらうためにも、姿勢評価シートで事前に評価の対象となる部位を示すことが大切です。姿勢分析をする際は、患者さんの骨盤や腰などのデリケートな部分に触れることもあるため、事前にチェックするポイントを共有しておきましょう。

姿勢評価の目的

姿勢評価を行う目的を記入する際は、患者さんが日ごろから悩んでいることヒアリングしましょう。姿勢評価の目的をシートで患者さんと共有することで、評価の着眼点がブレずに済みます。

たとえば、腰が痛い患者さんに対して腰痛の原因に注目しながら姿勢評価をすると、腰の形状や骨盤のアライメントなどにコミットして姿勢をチェックできます。姿勢異常のパターンについても目星をつけられるため、姿勢評価をスムーズに進められます。

姿勢評価のポイント

姿勢評価のポイントを記入する際は、前額面と矢状面のそれぞれのランドマークや重心の傾きを表示して、姿勢異常の原因やパターンがわかるように記載します。

撮影した画像には重心線やランドマークを結んだ補助線を入れると、姿勢評価のポイントがわかりやすくなります。

姿勢評価で患者さんの満足度を高めるコツ

患者が施術に納得し笑顔になる様子

姿勢評価で患者さんの満足度を高めるためには、次のコツを守るとよいでしょう。

  • セルフケアの方法をアドバイスする
  • 姿勢改善の経過を観察する
  • 姿勢評価の結果を共有する

それぞれについて解説します。

セルフケアの方法をアドバイスする

姿勢評価だけで済ませてしまうと、患者さんはどうやって姿勢を改善すればよいかわからず不満を抱える可能性があります。また施術やリハビリを受けられる回数も限られるため、セルフケアのアドバイスをしないと姿勢改善をするための取り組みとしては不十分かもしれません。

自宅でも実践できるようなセルフケアの方法をアドバイスして、自宅でも運動療法に取り組んでもらいましょう。セルフケアをアドバイスする際は、セルフケアを実践することで、どのような効果があって姿勢がどのように改善されるのかを説明することが大切です。

メリットが実感できると、患者さんも積極的にセルフケアを実践してくれるでしょう。

次の記事では、姿勢分析後のアドバイスとしておすすめのリハビリメニューを紹介しています。

参考:姿勢分析をリハビリに活かすコツとは?具体的な指導方法やポイントを解説!

姿勢改善の経過を観察する

姿勢を評価した後は、施術やリハビリを通して姿勢改善に取り組むことになります。改善の過程で、経過を観察して記録に残しましょう。そうすると、効果的な施術方法やリハビリ、セルフケアを取捨選択しやすくなります。

とくに経験が浅い場合は、経過観察を記録しておくとノウハウの蓄積にもつながり、姿勢の評価と改善の精度を高める効果が期待できます。

姿勢評価の結果を共有する

姿勢評価の結果は、患者さんと共有しましょう。患者さんと姿勢分析の結果を共有すると、姿勢の改善を効率的にすすめられます。

施術前と施術後の姿勢をビフォーアフターで比較して改善していることを確認できるので、患者さんの信頼を得られ、アドバイスしたことも真摯に実行してもらえます。

また姿勢評価の結果は、いつでも見返せるように画像などで保存するとよいでしょう。保存した画像をもとに、来院のたびに姿勢評価のポイントと経過、改善できた点を説明してあげると、来院のモチベーション維持や患者満足度の向上につながります。

姿勢評価の結果を患者さんと共有したり、保存したりする場合は、アプリの活用がおすすめです。次の記事では、姿勢評価に役立つアプリを紹介しているので、ぜひご覧ください。

参考:姿勢分析とは?分析のポイントやおすすめのアプリを紹介!

姿勢評価を施術に活かそう

姿勢評価を施術に活かすと、患者さんが施術の効果を実感しやすくなります。また姿勢が原因で痛みや不調を抱えている場合、直接原因にアプローチできるので改善のスピードアップも期待できます。

姿勢評価を施術に活かしたい場合は、リハサクポスチャーの導入をおすすめします。リハサクポスチャーには、傾きや肩の高さを数値化して比較する機能姿勢の補助ラインで改善ポイントを見つけやすくする機能が実装されています。

姿勢評価に必要な機能がカバーされているので、姿勢評価に自信のない初心者セラピストにもおすすめのツールです。

さらに運動療法クラウド「リハサク」と連携できる点も魅力。ストレッチや筋トレが必要な部位を色分けして示してくれる上に、適切な運動療法が提案されます。

姿勢評価を施術に活かしたい場合は、まずはリハサクポスチャーをお試しください。

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