近年、整骨院・接骨院が急増しているため、健康保険での施術がますます厳しくなってきています。そういった状況のため、自費施術への移行を検討している柔道整復師の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、整骨院・接骨院で自費施術に移行する際のメリット・デメリットおよび注意点を詳しく解説していきます。
最後までお付き合いください。
整骨院・接骨院が自費施術に移行する理由
そもそもなぜ、患者様にとって自己負担の少ない健康保険での施術をやめて、自費施術に移行する施設が多いのでしょうか?その理由を詳しくみていきましょう。
過当競争
まず一つ目は、整骨院・接骨院が増えすぎて過当競争になっているため、健康保険での施術だけでは他院と差別化しにくい点が挙げられます。
一方で自費施術に移行できれば、提供したい施術を自分が納得できる料金と時間を設定できるため、他の整骨院・接骨院とかなり差別化できるでしょう。
健康保険の規制による厳格化
健康保険は、種別により各保険団体が運営をしています。整骨院・接骨院の急増により健康保険の使用率が増加したため、保険団体の運営にも影響を及ぼしました。
つまり、柔道整復師からの療養費の請求が増えたことで、保険団体の財政が圧迫されたのです。
その結果、各保険団体はどうにか支出を減らそうと、整骨院・接骨院に支払う費用の削減に取り組むようになります。
もともと、整骨院・接骨院での健康保険適用はかなり曖昧で、どのような症状でも捻挫や挫傷に置き換えて適用していたこともありました。そのような曖昧な部分を厳格化し、適正なものだけ健康保険適用するよう働きかけたのです。
また、整骨院・接骨院の架空請求や水増し請求などの不正請求も問題となり、より一層健康保険の規制が厳しくなりました。
このように健康保険の規制が厳格化することで、本来使える範囲の急性外傷患者様のみ保険適応を行い、その他の患者様に対しては自費施術を扱うことで、通院を促す施設が増えました。
施術者の負担増加
健康保険による施術は、1人当たりの単価が低いです。そうなると、利益を上げるにはできるだけ多くの患者様に来院してもらうしかないため、薄利多売とならざるを得ません。そして経費(人件費)も掛けたくないので、少ない人数で多くの患者様の施術をしなければならないのです。
また、健康保険の規制厳格化により患者照会(回答書)や返戻など、施術業務以外の事務作業も増加しています。
このような背景から、1人あたりの単価を施術提供者側が決めることができる自費施術へ移行する施設が増えてきています。
整骨院・接骨院で自費施術に移行するメリット
では、整骨院・接骨院で自費施術に移行するメリットを紹介していきます。
1人あたりの単価が増える
自費施術に移行する最大のメリットは、単純に健康保険での施術よりも高い料金設定をすれば、1人あたりの単価が増えることです。
そうすることで、少ない来院人数でもしっかりと利益を出せます。せっかく自費施術に移行したのにもかかわらず、健康保険での施術よりも利益を上げなければ、意味がありません。
差別化による来院患者の増加
自費施術を取り入れると、他院との差別化が図れるため来院患者の増加が見込めます。必ずしも増加するとは限りませんが、健康保険での施術しかしていない整骨院・接骨院よりも個性を見い出すことができるでしょう。
健康保険での施術では、提供できる施術に限度があります。自費施術であれば、自分がしたい施術を惜しみなく提供できるため、患者満足度が向上し来院人数の増加が期待できるでしょう。
保険請求作業が不要になる
健康保険を使用しないため、月末月初で負担が掛かる保険請求作業は必要なくなります。また、健康保険による規制もないので、患者照会や返戻などの事務作業も不要です。
保険作業の時間が減った分、新たな技術を習得したり効果的な施策を考えたりする時間が作れるため、より一層利益を上げられることもあるでしょう。
一方で自費施術に移行するデメリットは?
反対に自費施術に移行するデメリットとして、どのようなものがあるのでしょうか。
以下、詳しく解説していきます。
移行により既存顧客を失う可能性がある
一番気を付けたいデメリットとして現在、整骨院・接骨院を気に入って通ってくださっている既存顧客が、施術単価を上げることにより離反してしまうことです。
患者様が継続通院されると、将来的な利益の計算ができるため安定した運営が可能です。一方で経営において、安定性を失ってしまうと経営危機に陥ってしまうことも少なくありません。
大切な既存顧客を失わないよう、配慮しながら移行を進める必要があるでしょう。
売上が安定するまで時間が掛かる
自費施術に移行しても、いきなり売上が安定することは少ないです。
メニューを作成し、それを実際に提供して段々と患者様に認知され始め、評判が良ければ少しずつ売上が出てきます。売上が出てきても、安定させるのには更に時間が掛かるでしょう。
時間が掛かることを想定し、しっかり資金も準備した状態で移行を進めてください。
しっかり納得してもらう必要がある
自費施術となると、高額まではいきませんが健康保険よりも自己負担が高くなるはずです。それでも施術による効果が良ければ、患者様も施術を受けてくださるでしょう。
そのためには、患者様にはしっかり施術内容について納得いただく必要があります。少しでも内容に納得していないまま施術をしてしまうと、後で不満が出てしまい患者様が離れる可能性が出てきます。
とくに、回数券やコースによる販売は問題になりやすいため、同意書・承諾書などの対策をしておくとよいです。
自費施術へ移行する際の注意点
メリット・デメリットを考慮した上で、自費施術へ移行する際の注意点をみていきましょう。
段階的に移行する
既存顧客を失わないよう、自費施術へ移行する際は段階的に行いましょう。段階的とは、いきなりすべて自費施術にするのではなく、一部は健康保険での施術を行いつつ、自費施術を取り入れていくことです。
段階的に移行を進めていくことで、自費施術を受け入れてくれる患者様と受け入れてくれない患者様を両立できます。両立することで健康保険での施術の売上を維持しつつ、売上が下がるリスクをカバーすることが可能です。
段階的な移行の際、効率化を図るためにもスタッフの中で、健康保険での施術担当と自費施術担当に分けてもよいですし、曜日や時間帯で分けてもよいでしょう。
最終的に、自費施術だけでも運営できると確信した時に完全移行すれば、失敗することなく移行ができます。
価格設定を適切に行う
自費施術のイメージとして、料金は保険と比較して高いし通えないという方が多いです。そのようなイメージの中で高額設定をしてしまうと、すぐに患者様は離反してしまいます。
これなら安いと思ってもらえるよう、市場調査などを行いながら価格設定は慎重かつ適切に行いましょう。
健康保険よりも患者満足度を上げる
健康保険での施術よりも高い料金を払っているはずですから、患者満足度を今より上げなければリピートいただくことは難しいでしょう。
健康保険での施術は、多少満足度が低くても安いから継続いただける点があります。しかしながら、自費施術は少し高額な反面、質の良い施術を受けられるというものですので、高い満足度が必要です。
満足度の高い施術を提供し、リピートいただくことが自費施術の成功の鍵となるでしょう。
なお、患者満足度の向上を目的として既存患者のフォローを徹底した場合は、リハサクが提供する運動療法のクラウドシステムを試してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
自費施術への移行は、簡単ではありません。しっかり準備した状態で動いていかないと、無計画では失敗してしまいます。そこで、メリット・デメリットを理解し、もう一度考えた上で注意点を踏まえながら移行を進めてください。
自分自身の技術を信じ、誠心誠意に自費施術を提供していけば、受け入れてくださる患者様が増えていくはずです。
それでは当記事が、接骨院・整骨院の経営においてお役に立てたら幸いです。