整体を提供する様子

整体院を開業する流れとは?失敗を防ぐポイントや開業資金を抑える方法を解説

  • 7月 2, 2020
  • 2月 9, 2024
  • 開業

せっかく整体院を開業しても、経営で失敗するケースが跡を絶ちません。また整体院の始め方自体が分からないケースもみられます。

そこで今回は整体院を開業する流れを8ステップで解説します。さらに整体院の開業が失敗する理由と、開業に失敗しないためのポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

整体院を開業するまでの流れ8ステップ

整体院を開業するまでの流れは次のとおりです。

  1. 開業場所の決定
  2. 事業計画の立案
  3. 開業資金の準備
  4. 物件の選定
  5. 内装工事
  6. 集客の準備
  7. 備品・消耗品の準備
  8. 開業届の提出

各ステップについて詳しく解説するので参考にしてください。

開業場所の決定 

整体院の物件

まずは次のなかから、開業場所を決定しましょう。 

  • 自宅
  • 店舗
  • 賃貸マンション
  • レンタルスペース

少額で開業する場合は、自宅を改装して整体をはじめるのもおすすめです。店舗や賃貸マンションの場合は、改装費に加えて敷金も必要です。また、毎月の家賃も発生するので事前にしっかりと計画を立てましょう。

レンタルスペースを利用すると、必要なときだけレンタル料を支払えば済むため、低リスクで整体院を開業できます。昨今は、ベッドやタオルなどが準備されているレンタルサロンも増えていますので、手軽に整体院を始めたい場合は利用を検討するとよいでしょう。

事業計画の立案

次に事業計画を立てましょう。事業計画を立てる際は、次の項目について考えます。

  • 整体院のコンセプト
  • サービスの強みや特徴
  • 開業資金の調達方法
  • 想定される売上や経費

開業資金を調達する際に、事業計画書の提出を求められるので、しっかりと作り込みましょう。

開業資金の準備

開業資金の調達先として、次の機関が考えられます。

  • 日本政策金融公庫
  • 銀行
  • 信用金庫

低金利で融資を受けたい場合は、はじめに日本政策金融公庫に相談するとよいでしょう。

物件の選定

店舗や賃貸マンションで整体院を開業する場合は、物件の選定を行います。その際に、集客ランニングコストを考えて選びましょう。例えば以下のように考えながら、開業する地域やターゲットに合わせた場所で開業すると集客が有利になります。

  • 都会であれば駅の近くやバス停の近くにある物件を選ぶと、仕事帰りの顧客を集客できる
  • 地方であれば駐車場のスペースを確保できる物件を選ぶと、車の利用者を集客できる
  • 大型ショッピングの一角にある物件を選ぶと、主婦や子連れ家族を集客できる

内装工事

リラックスして快適に施術を受けてもらうために、店舗のレイアウトを考えて内装工事を依頼しましょう。スケルトン物件に対して内装工事を依頼する場合は、工事費用が高くなりますが、自由にレイアウトできます。一方で内装工事の費用を抑えるためには、居抜き物件を探すのもひとつの手段です。

集客の準備

集客で整体院の場所を指し示す様子

内装工事が済んだら、集客の準備をしましょう。集客手法として、次のような方法が考えられます。

  • ホームページの開設
  • チラシの作成
  • パンフレットの作成
  • SNSアカウントの開設

現在は口コミで紹介を受けた顧客も一旦インターネットで店舗を検索する時代です。そのため、整体院の認知度を高めるためにもホームページの開設は欠かせません。今は無料でも簡単にホームページを作成できるサービスもあるので、ぜひ作成しておきましょう。

備品・消耗品の準備

快適な空間で整体サービスを受けてもらうためには、次の備品や消耗品が必要です。

  • 施術用ベッド
  • エアコン
  • カーテン
  • タオルやシーツ
  • 胸当てや顔用のマクラ など

以上に加えてデスクやパソコンがあると便利です。またパソコンと一緒に、電子カルテも導入するとリピーターの情報を効率的に管理できます。

開業届の提出

開業の準備が整ったら、1カ月以内に税務署に開業届を提出しましょう。開業届の提出方法は次の3パターンです。

  • 税務署の窓口へ直接書類を持参する
  • 書類を税務署に郵送する
  • e-Taxを使う

開業届を提出しない場合は、開業した年の事業収支をまとめて税務署にて確定申告をすると、それが開業届の代わりになります。

【要注意】整体院の開業が失敗する理由

 整体院の開業が失敗する理由は次のとおりです。

  • 初期費用をかけ過ぎたから
  • 競合と差別化できていないから
  • 技術力が不足しているから
  • 単価が低すぎるから
  • 分析と改善を行っていないから

初期費用をかけ過ぎたから

初期費用をかけ過ぎると、借入額が大きくなったり、運転資金に回すための貯えがなくなったりして開業に失敗する可能性があります。開業を成功させるためには、できる限り初期費用を抑えるようにしましょう。

初期費用を抑えるためには、次のような方法が考えられます。

  • ホームページは無料ツールを使って自分で作成する
  • 中古の備品を購入する
  • 自宅で開業して内装をDIYする
  • 店舗開業する場合は居抜き物件を探す
  • チラシを手作りして自分でポスティングする

クオリティが下がっても、はじめは資金をかけない方法を選ぶことが整体院開業のコツです。クオリティを高めたい場合は、売上の増加に応じてバージョンアップさせるとよいでしょう。

競合と差別化できていないから

昨今は整体院の競合が増加していることもあり、競合と差別化できていないと開業が失敗します。

整体院の競合が増えやすい要因として、無資格でも開業できるので、誰でも整体師になれることが挙げられます。また、整体師を養成する専門学校も増えており、脱サラして整体師を目指す人も増加傾向です。

そのため、コンセプトがあいまいな整体院は、競合と比較した場合に自院の魅力が顧客に伝わらずに人が集まりません。

コンセプトをはっきりさせる方法の1つとして、自分の施術所ではどのような症状を得意としているのかを打ち出すことが考えられます。

技術力が不足しているから

例えば腰痛に特化してコンセプトを打ち出した場合、実際に腰痛を楽にできる技術力を持つことが大切です。腰痛で悩んで来院した顧客は、実際に腰痛が楽になってはじめて施術に満足してくれます。

一方で施術前後で全く変化が見られなかった場合、もう一度その整体院に来ようと思うでしょうか。おそらく、違う整体院を探すことでしょう。

また、患者さんの悩みを正確に理解して、その悩みが改善に向かう過程を説明できる能力も必要です。例えば慢性症状の場合、1回の施術ではすべての症状がなくならないケースも多いです。そのような場合に、症状が改善する過程を説明して、実際にその過程通りに症状が改善に向かえば顧客の信頼を獲得できます。

単価が低すぎるから

患者に対して整体を提供する様子

特に1人で整体院を開業する場合に、低単価で整体サービスを提供すると、開業が失敗しやすくなります。低単価にすると、忙しいのに儲からない状況に陥り、精神的に消耗して整体を続けることがつらくなるので注意しましょう。

例えば、大手の整体サロンなどの真似をして1時間2,980円と施術料金を低単価に設定すると、経営を維持するために1人で多くの顧客を施術する状況を強いられます。

施術料金を決める際は、はじめに1ケ月あたりどの程度収入を得たいのかを明確にし、相場と自身のスキルも考慮して価格を決めましょう。

分析と改善を行っていないから

新規集客とリピートについて分析と改善を行わないと、整体院の経営を維持するための最善の方法がわからないので、開業が失敗しやすくなります。分析と改善を経営に活かすためには、PDCAと呼ばれる考え方が役立ちます。

PDCAとは、英語の「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったものです。

Planとはその名の通り、目標を設定し、計画を立案することです。たとえば、「新規患者さんを増やす」「リピーターを増やす」「腰痛をより効率的に改善する」といった目標があったとします。

それに対して期間を区切ったりターゲットを定めながら、「あの地区にチラシをまいたり、あの媒体で若年層にインターネット広告を出したりする」といった計画を立てるわけです。

Doは、Planで立てた計画を実行に移すことで、たとえば実際にチラシをまくなどの行動を指します。

次に、行動の結果を確認する「Check」を実施します。チラシをまいたり、インターネット広告を出したりした結果、新規顧客がどれほど増加したのかを評価することが大切です。

仮にPlan・Doが評価につながったのであれば、それを継続すれば良いでしょう。もし満足のいく評価が得られなかったのであれば、見直しや改善の余地があります。

そこでCheckをした結果、問題点が見つかったのであれば、次にすべきことはAction(改善)です。広告の中身を変えるか、または別の媒体に広告出稿するかなどの検討をしていきます。

何かを選択したら、必ず評価をおこない、次につなげることが経営の安定化につながります。逆に、PDCAサイクルをしっかりと回さないと、成功しても何が良かったのか分かりませんし、失敗の原因を探ることもできません。

整体院の開業資金を抑える方法

整体院の開業資金を抑えると、倒産を避けやすくなるので開業が成功しやすくなります。とくに1人で整体院を開業する場合、スタッフを雇わずに済むため人件費がかかりません。工夫次第で、開業資金を大きく抑えられます。

開業資金を抑える工夫として、次の方法を紹介するので、参考にしてください。

  • レンタルサロンを利用する
  • 面貸しを利用する
  • 自宅の一室で開業する
  • マンションの一室で開業する
  • 居抜き物件を借りる

レンタルサロンを利用する

レンタルサロンとは、時間や日、月などの細かい単位で施術スペースを借りられるサービスです。施術に必要なベッドや備品が用意されているため、揃える必要がありません。さらに、働く場所が固定されないため、周辺地域に限らず顧客を獲得できる可能性があります。

なかには、駅の近くや街中で営業しているレンタルサロンもあります。このようなレンタルサロンを借りれば、来院しやすい立地で整体院を開業することになるため、集客にも有利です。

面貸しを利用する

面貸しとは整体院やサロン、整骨院から、顧客の入らない時間帯に余っているベッドを、整体師がレンタルして施術する方法です。

店舗オーナーは空いたベッドを有効活用でき、借りる側の整体師は安価な家賃で店を持てるメリットがあります。整体師の場合、知り合いの伝手などを頼ると、面貸しを利用できる場合があります。

自宅の一室で開業する

自宅で開業すると内装費の必要最低限の費用で整体院を開業できるため、ひとりで整体院を営む方におすすめです。店舗やマンションでの開業とは異なり、毎月固定で発生する物件費もかからないため、資金に余裕を持って整体院を運営できます。

マンションの一室で開業する

店舗として商業利用が可能なマンションを利用すると、貸店舗よりも初期費用と物件にかかる固定費が抑えられます。

マンションの一室で開業した場合、通行人に認知してもらいにくいため、インターネットや紹介、チラシなどを使ってうまく集客する必要があります。

居抜き物件を借りる

居抜きとは、床や天井、壁、お手洗など、店舗内の主要設備が残っている状態で、今すぐにでも開店できるような物件です。

以前、整体院やサロンとして利用されていた物件であれば、内装費をあまりかけずに整体院を開業できるでしょう。

整体院の開業を失敗させないためには 

整体の内容について患者に説明する様子

整体院の開業を失敗させないためには、次の点に注意しましょう。

  • 他店と差別化する 
  • 技術セミナーに参加したり資格を取得したりする
  • 適切な施術単価を設定する
  • リピート率を上げる

各項目について詳しく解説します。

他店と差別化する 

整体開業の失敗を避けるためには、自分の整体院のブランディングや、ポジショニングをしっかりと決めて他店と差別化することが大切です。

ブランディングとは、マーケティング手法の1つで、ブランド(ここではあなたの整体院のこと)に対する信頼や共感を高め、顧客(患者さん)に魅力を感じてもらうことが目的に実施されます。

簡単に言うと、「うちの整体院の特徴は○○です」の、「○○」の部分をハッキリさせることがブランディングです。

患者さんは、自分に向けられたサービスを求めています。そのため「どのような患者さん(女性、男性、高齢者など)向けのサービスなのか」とか、「どんな悩みを解決できるのか」などと言った情報を提供して特定のターゲットに向けてサービスをアピールすることが大切です。

要するにブランディングとは、他の整体院と何が違うのかを打ち出すことともいえます。それを、ホームページを見た人などにわかりやすく伝えることが、ブランディングの基本です。

次にポジショニングは、自分の整体院の立ち位置を決定することです。ポジショニングも、他院との差別化のために重要です。自分の整体院がリラクゼーション系なのか、それとも痛みを改善することに特化しているのか、どのような分野を得意にしているのかなど、初めに立ち位置を決めておくことが重要です。

そうしないと、「リラクゼーションとして整体を受けたのに、全然気持ちよくなかった」とか、「気持ちよかったけど、痛みが変わらずに残念」といった不満を患者さんに与えかねません。そのため、あなたの整体院に通うことで、どのようなメリットが得られるのかを明確にするのが重要です。

技術セミナーに参加したり資格を取得したりする

技術セミナーに参加したり資格を取得したりして、常に研鑽を怠らない姿勢で施術に臨みましょう。

整体院に来られる多くの方は、何らかの不調や悩み、目的を抱えています。顧客の希望に寄り添うことが整体師の仕事なので、一定水準の技術力が求められます。

理想は「どこに行っても治らなかった症状が、こちらの整体院に来たら改善された」と患者さんに言っていただくことです。そのため、ある技術を身に付けたらそれで終わりではなく、いつまでも新しい技術を貪欲に学び続ける必要があります。

また、知識レベルを上げることも整体院の開業を失敗させないためには重要です。

病気や疾患に対する知識だけではなく、一般常識や言葉遣い、説明力なども必要です。整体院に来られる多くの方は、いきなり整体院に訪れるのではなく、事前に整形外科や病院を受診しているケースがほとんどです。

初回のカウンセリングで「病院で○○と言われました」と顧客が話したときに、その病名や疾患名を知らないと、顧客の信頼を得るのが難しくなります。

逆に、その病名や疾患名について知っていることが顧客にも伝われば、安心感と信頼感を与えられるでしょう。

LTVを意識する

LTVとは、英語の「Life Time Value」の頭文字を取ったものです。日本語では顧客生涯価値などと説明されます。分かりやすく言うと、1人の顧客が自分の整体院に、一定の期間にどれだけのお金を落としてくれるかということです。

LTVは次の計算式で導き出せます。

LTV=平均顧客単価×来院頻度×継続期間

以上が高いと売上がアップするので、LTVが高くなるように努めると整体院運営の安定化につながります。つまり、売り上げを高めるには顧客単価を上げる、来院頻度を上げる、継続期間を伸ばすことが重要です。

リピート率を上げる

整体院の経営を安定させたいのであれば、患者さんの継続率(リピート率)を上げることが重要です。

リピート率を上げるための施策として、アフタフォローの充実が考えられます。初めての来院後には感謝メールやDMなど何らかのフォローを行うと、次回も来院してくれる可能性が高くなります。

アフターフォローを充実させる方法として、アドバイスに力を入れることも考えられます。例えば、不調の改善を目的に施術を行う場合は、自宅でできるストレッチやトレーニングをアドバイスすることが多いです。さらに、アドバイスした内容をプリントアウトして顧客に渡すと満足度が高くなり、リピートしてくれる確率がアップします。

プリントした資料を渡す以外にも、スマホに動画を送ってあげるのもおすすめです。動画を作成する場合、手間がかかりますが、プリントよりもストレッチやトレーニングのやり方が伝わりやすいメリットがあります。

動画作成の手間や負担を省きたい場合は、リハサクの利用を検討してみてください。リハサクには、理学療法士が考えた運動療法が豊富に収録されており、顧客とも手軽に動画を共有できます。詳細については、次のページで解説しているので、ぜひご覧ください。

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まとめ:整体院の開業を成功させよう

整体院を開業する場合、まずは本記事で紹介した8ステップの手順に沿って準備を進めてみてください。また、技術力が不足していたり、競合と差別化できていなかったりすると開業が失敗する原因となります。事前に技術力を高め競合をリサーチした上で、開業に臨みましょう。

初期費用のかけ過ぎにも注意が必要です。自宅開業やレンタルサロンの利用も検討しながら、運転資金を確保することを忘れずに、整体院の開業を成功させましょう。


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