鍼灸院を開業するために必要なこととは?開業資金や開設方法とあわせ徹底解説

  • 5月 11, 2020
  • 6月 13, 2023
  • 開業

鍼灸師として鍼灸院を開業する場合、資金や立地などさまざまな疑問点が浮かんでくるのではないでしょうか。これから開業をお考えの方は、多角的な視点から計画を練ることが大切です。

そこで今回は、

  • 鍼灸院を開業する前におさえておきたいポイント
  • 鍼灸院の開業にかかる費用
  • 鍼灸院の開業費用の調達方法
  • 鍼灸院を開業する際のコンセプト設計方法
  • 鍼灸院の開業に関するまとめ

について徹底解説します。

【準備が大事】鍼灸院を開業する前に押さえておきたいポイント

【準備が大事】鍼灸院を開業する前に押さえておきたいポイント

鍼灸院を開業する前に押さえておくべきいくつかのポイントについて紹介します。

鍼灸院を開業する際に必要な資格

鍼灸師として鍼灸院を開業するためには、国家資格であるはり師・きゅう師の資格を取得する必要があります。はり師・きゅう師は国家資格を受験するにあたって、まず受験資格を得る必要があります。

受験資格は鍼灸系の専門学校を卒業する他にも、鍼灸学科がある4年制大学、または3年制短大を卒業するなど様々な方法で得ることが可能です。

一定の実務経験は必要?

鍼灸院開業にあたって「ある一定の実務経験が必要」という厳密な基準はありません実際、国家資格を取得した直後に鍼灸院を開業する先生もいます。

そもそも、腕の善し悪しは施術を受けてからでないと分からないはず。鍼灸院を繁盛させるためには、治療技術より立地やコンセプトの方が大事になってくる場合もあるのです。

とはいえ、腰痛や肩こりに対しては自信を持って対応できるまでに腕を磨いておきましょう。

また分からない症状があれば調べられる環境や、質問できる仲間や先輩がいれば心強いです。「開業後も絶えず技術の研鑽を積む」という心構えだけは忘れないでください。

事業計画や資金計画を立てる

鍼灸院を開業する前に考えるべきことの1つが、事業計画や資金計画の問題です。事業計画は資金の融資を受ける際に必要となり、どれくらいの資金が必要なのか目安を立てておくことが重要です。

鍼灸院を開業するにあたっては、

・テナントかマンションの一室を借りるのか
・どこで開業するのか
・スタッフや受付は雇うのか

などによって開業にかかる資金も大幅に変わってきます。

開業・初期運営に必要な資金調達をする

鍼灸院を開業するにあたっては、開業資金はもちろんのこと、初期運営に必要な資金も調達する必要があります。

開業当初から予約がいっぱいという状態であれば良いのですが、新規で開業する場合は経営が安定するまでの期間、ある程度の貯金を確保しておく必要があるでしょう。

開業場所・設備構造基準を満たしたテナントを探す

どの業種にも言えることですが、開業場所の選定は重要な問題です。家賃が安いからと人通りがあまりない場所に鍼灸院を開業しても、地域住民に鍼灸院の存在をアピールすることができません。

また鍼灸院を開業する場合、設備構造基準を満たしたテナントが必要となります。簡単に解説すると、6.6平方メートル以上の専用の施術室、および3.3平方メートル以上の待合室があり、換気装置や施術に用いる器具、手指等の消毒設備があることなどが条件となっています。

施設のコンセプトを設計する

施設のコンセプトも鍼灸院を開業する前に設計しておきましょう。コンセプトを設計する際には、6W1H(Who:だれが、Whom:だれに、Where:どこで、What:なにを、When:いつ、Why:なぜ、How:どのように)を意識することが大切です。

施設の名称を決める

施設の名称ですが、あはき法に抵触しない範囲で、分かりやすさを重視しましょう。

一般的な名称は「地名+鍼灸院」もしくは「先生の名字+鍼灸院」という組み合わせです。ただし、そういった名称は既に使われている可能性も考えられます。同じ地域内で名称が被ることは避けたいので、事前にしっかりチェックしましょう。

また「◯◯堂」や固有名詞、もしくはローマ字表記といった、一度聞いただけでは鍼灸院だと分からない名称を付ける際は注意が必要です。

加えて、ご自身で言いにくい名称は避けたほうが良いでしょう。

とはいえ、鍼灸院の名称は後からでも変更できます。したがって考えすぎず、まずはシンプルで分かりやすい名称を付けることがおすすめです。

チラシ、SNS、ホームページなどの広告・宣伝媒体を用意する

「鍼灸院を無事に開業しました。それでは宣伝を開始しましょう」というのでは遅いです。鍼灸院を開業したときにはすでにコーポレートサイトを作り終えているようにしましょう。またチラシや宣伝媒体を準備しておき、SNSなどで情報を発信できるようにしておくことが大切です。

インターネットが主流となった現在、問い合わせはどこから来るか分かりません。できるだけチャンスを逃さない準備をしておきましょう。

プレオープン期間を設定する

実際に鍼灸院を開業するためのテナントが見つかり、開業する日取りも決まったら、プレオープン期間を設定するのがおすすめです。実際の開業前に地域の方に施術を体験してもらい、鍼灸院の存在を周知させるのが目的です。無料で体験施術を受けてもらうのも良いですし、ワンコイン(500円)で受けてもらっても良いでしょう。

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鍼灸院の開業にかかる費用

鍼灸院の開業にかかる費用

それでは次に、鍼灸院の開業にかかる費用について解説していきます。一般的に鍼灸院を開業するには300万円~600万円必要とされていますが、詳細は以下で説明します。

施術機器、器具

設備構造基準のところでも少し触れましたが、鍼灸院を開業する際には消毒用の機材や手洗い場など、清潔を保つための設備が必須となります。初期段階では30万円から100万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

また鍼を使うという特殊な業態であるため、感染性廃棄物を保管するためのごみ箱も必要となります。その他、待合室に置くための椅子やスリッパ、受け付け台など細々としたものが必要です。

各種システム

鍼灸院を開業する場合、会計や予約、マーケティングツールなども必要となります。例えば会計の際にはレジや領収書が必要となりますし、次回の来院を促すには予約表や予約システムが必要となります。

また昭和の時代と異なり、インターネットが普及した現在においては、鍼灸院運営に関するオンライン上のシステム(オンライン予約やお問い合わせサービスなど)を構築することも欠かせません。

自分でシステムを構築するのであれば数千円から数万の出費で済みますが、アウトソーシングするのであれば、10数万円以上かかることもあります。

テナント料金

鍼灸院を開業する際に最大のネックとなるのがテナント料金です。鍼灸の施術を行う場合、ある程度の空間が必要となるため、相応の費用が掛かることとなります。

テナント料金は借りる場所の立地やスペースによってさまざまですが、目安としておよそ30万円から300万円が必要となってきます。

開業にかかる費用を抑えるために、マンションの一室で開業するという手もあるのですが、通りに面したテナントに比べると、地域の方へのアピール力に欠ける可能性もあるでしょう。

人件費

ある程度、既存の施術院で経験を積んでから開業する場合、馴染みの患者さんがついてきてくれるケースもあります。

その数が多くて一人では対応しきれない場合、受付さんやスタッフを雇うこともあるでしょう。その場合、毎月の人件費も考慮に入れる必要があります。

午前中だけ受け付けのパートを雇うのであれば、1ケ月あたり5万円~7万円程度で済みますが、施術スタッフも雇うとなれば、生計を立てられる程度の給与を支払う準備が必要です。

物販用製品の在庫

鍼灸院の先生に対する信頼度が高い患者さんの場合、先生が「これいいよ」と勧めた製品を買ってくれるケースも。

例えば鍼灸院によってはサプリメントを販売し、収益の安定化の補助としているケースがあります。そのような製品の在庫もある程度は必要となります。

宣伝広告費

宣伝広告費も欠かすことのできない費用の1つです。チラシや折り込み広告にかかる費用はもちろんのこと、看板やチラシスタンドなどの設置にも費用が掛かります。

初期投資として考えた場合、30万円から100万円ほど見込んでおくとよいでしょう。

ホームページ作成や口コミサイト利用料

鍼灸院を開業する場合、ホームページ作成費や口コミサイト利用料も必要です。インターネットが主流となった昨今、ホームページがない鍼灸院に飛び込みで新規患者さんが来ることはほとんどないでしょう。

また患者さんが鍼灸院を探している時に参考にするのが口コミサイトです。無料で登録することも可能ですが、ある程度の料金を払っていると、上位に掲載されるメリットがあります。

大手口コミサイトに掲載を依頼する場合、通常の会員だと1ケ月あたり5000円が、プレミアム会員だと1ケ月あたり10000円が掛かります。

ホームページの作成費用は、実際のホームページのクオリティによって差があるケースも。5万円で作れるケースもあれば、数十万円かかることもあります。

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開業費用の調達方法

開業費用の調達方法

鍼灸院を開業する場合、一般的に300万円~500万円かかるため、自己資金だけで開業するのはなかなか難しいかもしれません。そのような場合、次の方法で資金を調達する手があります。

日本政策金融公庫を利用する

かつて国民金融公庫とも呼ばれた日本政策金融公庫は、国の出資によって設立されており、中小企業の資金調達をサポートしています。

日本政策金融公庫からお金を借りる最大のメリットは、連帯保証人や担保が不要であるという点です。一方で手続きが煩雑で、実際にお金を借りられるまでかなりの時間を要します。

地方自治体の融資制度を利用する

該当する市区町村から融資を受けるという手もあります。信用力に欠ける小規模の自営業者であっても、融資を受けやすいうえ金利が安いというメリットも。

ただしこの融資制度は地方自治体ごとに設けられているため、手続きがしばしば複雑なケースもあります。また手続きに時間を要することもデメリットとしてあげられています。

親族から借りる

鍼灸院を開業場合、親族から融資を受けるのも1つの手です。ただし親族とはいえお金の貸し借りは油断禁物。金銭授受はトラブルになりやすいので十分に注意しましょう。

鍼灸を開業する際のコンセプト設計方法

鍼灸院を開業するには施設のコンセプトを設計することも重要です。そこで以下、設計方法について簡単に紹介します。

立地に応じたターゲット顧客層:<WHO>

鍼灸院のコンセプト設計に欠かせないのが、立地に応じたターゲット顧客層の設定です。例えば、ファミリー層の多い場所で開業したのであれば、主婦をターゲットにした施術メニューを押し出すなどするとよいでしょう。

イチオシのメニュー :<WHAT>

鍼灸院を開業する場合、イチオシのメニューも考えておきましょう。自分がどのような施術を得意としているのか自己分析して施術メニューを打ち出すもの良いですし、今月のイチオシといった形でアピールするのも良いでしょう。

他施設との差別化ポイントや自院の強みを明確にする:<WHY>

鍼灸院に限ったことではありませんが、他とは異なる自分だけのセールスポイントを打ち出すことは、鍼灸院の繁盛にとって重要なポイントです。

「肩こりも腰痛も、頭痛も神経痛も、なんでも対応できます」というのでは、何も得意なものがないと言っていることと大差がありません。

例えば「○○市で唯一の慢性腰痛専門鍼灸院」というセールスポイントがあれば、腰痛患者さんを自院へ誘導しやすくなるでしょう。このように他院との差別化を図ることが重要です。

【番外編】補助金・助成金を事前にチェックしよう

鍼灸院を開業するにあたって、補助金や助成金の活用も検討しましょう。さきほど紹介した費用調達方法と異なり、原則返済不要です。

もちろん厳しい審査が存在しますが、合格すれば鍼灸院経営の大きな助けとなるでしょう。

代表的な補助金・助成金をいくつか解説します。

「小規模事業者持続化補助金」は小規模事業者向けの制度で、毎年募集されています。
補助金は店舗運営に関する幅広い用途に活用でき、最大250万円が補助されます。
採択率(審査に合格する確率)は毎年異なるものの、高い時は60%を越えており、難易度は決して高くありません。

参考文献:https://r3.jizokukahojokin.info/

鍼灸院開業の際はぜひ応募しましょう。

他には、

ITツールの導入を支援する「IT導入補助金」や、中小企業小規模事業者の革新的なサービス・技術開発を補助する「ものづくり補助金」もおすすめです。

参考文献:
https://www.it-hojo.jp/
https://portal.monodukuri-hojo.jp/

補助金・助成金に応募するにあたって、募集時期を予め確認しておきましょう。

また、鍼灸院の運営に関する資料は無くさずに保管してください。

鍼灸院の開業に関するまとめ

鍼灸院を開業するには、いくつかのハードルを乗り越える必要があるのも事実です。ただ自分の鍼灸院を構えられるというのはとても夢があり、嬉しいことでもあります。

とはいえ鍼灸院は開業がゴールではありません。そこで開業してから軌道に乗せるまでの時間を少しでも短くできるよう、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。

<参考>
厚生労働省 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律


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