近年、時代の変化とともにサブスクという言葉が広がってきました。接骨院・整骨院を経営している方も、気になっている方が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、接骨院・整骨院でサブスクモデルを導入する際のポイントと注意点を解説していきます。
接骨院・整骨院で急増中のサブスクとは?
サブスクは「サブスクリプション(subscription)」の略で、サービスや商品を一定期間、あるいは一定金額利用する仕組みを指します。
サブスクはどの業界でも導入されてきていますが、接骨院・整骨院の業界でも急増しています。
そこで以下、実際にどのようなサブスクモデルがあるのか解説していきます。
回数券モデル
回数券モデルは、世間一般にも認知されているシステムのため、一番導入しやすいでしょう。3回〜10回程度の施術を割安な価格でまとめて購入していただき、有効期限を設けることで来院間隔をあまり空けないように促します。
新患で来院された方、急に症状が悪化してしまい来院する必要がある方に効果的です。モデル例は以下のようなものがあります。
・お試し回数券3回分(初回購入限定・90日間有効)
・回数券5回分(1回施術あたり10%オフ・30日間有効)
回数制限モデル
ここでの回数制限とは、基本的に1ヶ月の中で何回まで通院できるか、という意味になります。月額で一定金額を購入してもらい、その金額で割安になるように最大通院回数を設定し提供します。
月によっては忙しくて来院できない場合もありますので、最大通院回数よりも減らした回数で割安になるように設定しておくと患者さんも購入しやすいでしょう。モデル例は、以下のようなものがあります。
・〇〇〇〇円で最大4回利用券(30日間有効)
・〇〇〇〇〇円で最大8回利用券(60日間有効)
会員モデル
会員モデルは、事前に会員費(定額費用)をいただき、1回当たりの施術費用を会員価格で支払えるシステムです。有名どころでいうとコストコのようなもので、会員費を支払うことで商品をお得に購入できるのと同様です。
会員費が高すぎても入会しづらいですし、会員価格が割高であれば通院しにくくなりますので、会員費と会員価格の設定が重要となってきます。
対象の方としては、新患の方よりも長期間通院している方が良いでしょう。なぜなら、ある程度接骨院・整骨院との信頼関係がなければ、なかなか購入に繋がらないためです。モデル例は、以下のようなものがあります。
・月額会員費をいただき、1回当たりの施術費用を会員価格(30%オフ)で提供
・年間会員費をいただき、1回当たりの施術費用を会員価格(50%オフ)で提供
通い放題モデル
名前の通り定額料金の支払いで、月に何回でも通院を許可するモデルです。月額料金は少し高めに設定しておき、10回以上通院すれば割安になるようにします。
月に何度も通院される患者さんがいらっしゃれば、満足度が上がり継続していただけるでしょう。例として「月額〇〇〇〇円で月間パスカード(1日1回まで)」というようなものがあります。
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接骨院・整骨院でサブスクを導入するメリット
以上のようなサブスクモデルがありますが、そもそも接骨院・整骨院でサブスクを導入するメリットはあるのでしょうか?
そこで以下、導入するメリットを紹介していきます。
会員数を増やせたら安定した利益が出せる
売り上げがすぐに確定できるだけでなく、サブスクの会員数を増やすことができれば、安定した利益が出せるようになります。
もちろん、何か接骨院・整骨院に問題があり、会員数が大幅に減ってしまった場合は仕方ありません。しかし、周りの影響により、急に会員数が減ることは少ないため、会員数をしっかり確保していれば毎月安定した利益を出せるでしょう。
また、繰り返し通院いただくことで、患者さんが接骨院・整骨院のファンになると、サブスク以外のサービスを利用する可能性があるので、更なる利益を期待できます。
サブスクを導入するデメリットも理解しておこう
メリットばかりをお伝えしてきましたがサブスクにはデメリットもあります。それを理解して導入することで、サブスクの成功率は上がります。後に注意点も紹介しますが、ここではサブスクの大きなデメリットを上げます。
導入の際の院内調整
サブスクの大きなデメリットは、導入の際の院内調整です。今までは、1回通院だけの事務作業でよかったのですが、サブスクが導入されるとモデル別で事務作業が異なります。
また、有効期限の管理や通院回数の管理など、さらに事務作業が増えるため院内でどのようにしていくか決めておく必要があります。
接骨院・整骨院でサブスクを成功させるための秘訣
メリットとデメリットを知っていただいたところで、いよいよサブスクを成功させる秘訣を紹介していきます。
患者様のニーズに合わせたサブスクモデルを提案する
サブスクをしていただくには、やはり患者様のニーズに合ったものを提案しなければ、購入に至らないでしょう。
・予算はどのくらいなのか
・どのくらいの頻度で通院したいのか
・月単位で支払いたいのか
・どのような目的で接骨院・整骨院に通うのか
など、その患者様に合ったサブスクモデルを提案すると、購入成功率が格段に上がるでしょう。
患者様の症状に対する施術が合ったモデルを提案する
接骨院・整骨院側から患者様の症状にあわせてサブスクモデルを提案すると、購入成功率が上がります。症状が強く通院間隔を詰めて来てもらう必要がある場合は、その月だけ通い放題を提案するのも良いでしょう。
何回かの通院により症状は比較的落ち着いている方には、定期的に身体メンテナンスをする必要性をしっかり説明し、回数制限モデルを提案します。
患者様にサブスクをするメリットをしっかり伝える
やはり購入していただくには、サブスクのメリットを患者様にしっかり伝える必要があります。購入すればお得になることを説明しましょう。
そして、「サブスクにした方が割安で通いやすい」ということだけでなく、割安になる図やグラフなどを用いて、可視化することで伝わりやすく購入に繋がるでしょう。
接骨院・整骨院でサブスクを導入する上での注意点
前述の通りサブスクのデメリットを紹介しましたが、それだけではなく注意点もいくつかありますので、しっかり理解しておきましょう。
押し売りはしない
当然ですが、サブスクを導入した際によく起こることで、買うか迷っている方に対して押し売りをしてしまいがちです。今までの一回施術よりも必ず高額になるため、患者さんはどうしても躊躇してしまう方も少なくないでしょう。
利益を上げるためとはいえ、患者さんに無理矢理購入してもらっては意味がありません。結局、後に信用を無くしてしまい、継続してもらえないため利益が下がってしまう恐れもあります。
患者様に納得していただいてから購入していただく
上記の内容と少し似ていますが、迷っているまま購入してもらうのが一番良くありません。その患者様がそのままサブスクを始めたとしても、疑問を抱いたままなので満足するはずがありません。
始める前にサブスクの内容に納得した状態の方が満足度も上がり、継続してもらえるでしょう。
接骨院・整骨院の施術コンセプトとサブスクモデルを合わせる
そもそもサブスクモデルが接骨院・整骨院のコンセプトとマッチしていなければ、サブスクを導入する意味がありません。極端な例を挙げると、もともと週1~2回の通院で単価の高い施術を提供し、身体のケアをしていくコンセプトなのにもかかわらず、サブスクモデルに通い放題しかなければ、全くマッチしていません。
このようなことがないように、しっかりと接骨院・整骨院の施術コンセプトと、サブスクモデルを合わせておく必要があります。
サブスクはあくまでも自費施術で
今回紹介したサブスクはあくまでも自費施術のことを指しています。保険施術のことを紹介している訳ではありませんのでご注意下さい。
厚生労働省の「柔道整復師の施術に係る療養費について」には、「患者から支払いを受ける一部負担金については、これを減免又は超過して徴収しないこと。」と記載されていますので、保険施術の割引は絶対にしないで下さい。
ルールを守って上記のことを参考に、サブスクの導入を成功させましょう。
まとめ
以上、本日は接骨院・整骨院におけるサブスクについて解説しました。
説明の通りサブスクには様々なやり方があります。しかし、導入にあたっては治療院の独りよがりではなく、患者さんファーストで導入するようにしましょう。
それでは今回の記事が、貴院の発展に少しでもお役に立てれば幸いです。
<引用元>
厚生労働省 柔道整復師の施術に係る療養費について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/01g.pdf
<参照元>
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/other/subscription/
https://info-ligua.jp/column/entry-261.html