鍼灸院を開業するには何が必要?開業資金や開設方法について徹底解説

鍼灸師として鍼灸院を開業する場合、資金や立地などいろいろな疑問点が浮かんでくるのではないでしょうか。これから開業をお考えの方は、様々な視点から計画を練ることが大切です。

そこで、今回は鍼灸院を開業する際のポイントについて徹底解説します。

鍼灸院を開業する前におさえておきたいポイント

鍼灸院を開業する前に押さえておくべきいくつかのポイントについてご紹介します。

鍼灸院を開業する際に必要な資格

鍼灸師として鍼灸院を開業するためには、国家資格であるはり師・きゅう師の資格を取得する必要があります。はり師・きゅう師は国家資格を受験する必要があるのですが、受験するためにはまず受験資格を得る必要があります。

受験資格自体は鍼灸系の専門学校を卒業する他にも、鍼灸学科がある4年制大学または3年制短大を卒業するなど様々な方法で得ることができますが、卒業とともに鍼灸師の資格を取得できるわけではなく、しっかりと国家試験を合格しなければいけないことを覚えておきましょう。

事業計画や資金計画を立てる

鍼灸院を開業する前に考えるべきことの1つが、事業計画や資金計画の問題です。事業計画は資金の融資を受ける際に必要となりますし、そもそも、どれくらいの資金が必要なのか、目安を立てておくことが重要です。鍼灸院を開業するのはテナントなのか、それともマンションの一室なのか、スタッフや受付は雇うのか、どこで開業するのかによって、開業にかかる資金も大幅に変わってきます。

開業・初期運営に必要な資金調達をする

鍼灸院を開業するにあたっては、開業にかかる資金はもちろんのこと、初期運営に必要な資金も調達する必要があります。開業当初から予約がいっぱいという状態であればいいのですが、新規で開業する場合、経営が安定するまでの期間、ある程度の貯金を確保しておく必要があるでしょう。

開業場所・設備構造基準を満たしたテナントを探す

どの業種にも言えることですが、開業場所の選定は重要な問題です。家賃が安いからと人通りがあまりない場所に鍼灸院を開業しても、地域住民に鍼灸院の存在をアピールすることができません。

また、鍼灸院を開業する場合、設備構造基準を満たしたテナントが必要となります。簡単に解説すると、6.6平方メートル以上の専用の施術室、および3.3平方メートル以上の待合室があり、換気装置や施術に用いる器具、手指等の消毒設備があることなどが条件となっています。

施設のコンセプトを設計する

施設のコンセプトも鍼灸院を開業する前に設計しておきましょう。コンセプトを設計する際には、6W1H(Who:だれが、Whom:だれに、Where:どこで、What:なにを、When:いつ、Why:なぜ、How:どのように)を意識することが大切です。

チラシ、SNS、ホームページなどの広告・宣伝媒体を用意する

「鍼灸院を無事に開業しました。それでは宣伝を開始しましょう」というのでは遅いです。鍼灸院を開業したときにはすでにコーポレートサイトを作り終えているようにしましょう。また、チラシや宣伝媒体を準備しておき、SNSなどで情報を発信できるようにしておくことが大切です。

インターネットが主流となった現在、問い合わせはどこから来るか分かりません。できるだけチャンスを逃さない準備をしておきましょう。

プレオープン期間を設定する

実際に鍼灸院を開業するためのテナントが見つかり、開業する日取りも決まったら、プレオープン期間を設定するのがおすすめです。実際の開業前に地域の方に施術を体験してもらい、鍼灸院の存在を周知させるのが目的です。無料で体験施術を受けてもらうのも良いですし、ワンコイン(500円)で受けてもらっても良いでしょう。

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鍼灸院の開業にかかる費用

それでは次に、鍼灸院の開業にかかる費用について解説していきます。一般的に鍼灸院を開業するには300万円~600万円必要とされていますが、詳細は以下で見てきましょう。

施術機器、器具

設備構造基準のところでも少し触れましたが、鍼灸院を開業する際には、消毒用の機材や手洗い場など、清潔を保つための設備が必須となります。初期段階では30万円から100万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

また、鍼を使うという特殊な業態であるため、感染性廃棄物を補完するためのごみ箱も必要となります。その他、待合室に置くための椅子やスリッパ、受け付け台など細々としたものが必要です。

各種システム

鍼灸院を開業する場合、会計や予約、マーケティングツールなども必要となります。例えば、会計の際にはレジや領収書が必要となりますし、次回の来院を促すには予約表や予約システムが必要となります。

また、昭和の時代と異なり、インターネットが普及した現在においては、鍼灸院運営に関するオンライン上のシステム(オンライン予約やお問い合わせサービスなど)を構築することも欠かせません。

自分でシステムを構築するのであれば数千円から数万の出費で済みますが、アウトソーシングするのであれば、10数万円以上かかることもあります。

テナント料金

鍼灸院を開業する際に、最大のネックとなるのがテナント料金です。鍼灸の施術を行う場合、ある程度の空間が必要となるため、相応の費用が掛かることとなります。

テナント料金は借りる場所の立地やスペースによってさまざまですが、目安としておよそ30万円から300万円が必要となってきます。

開業にかかる費用を抑えるために、マンションの一室で開業するという手もあるのですが、通りに面したテナントに比べると、地域の方へのアピール力に欠けることは否定できません。

人件費

ある程度、既存の治療院で経験を積んでから開業する場合、馴染みの患者さんがついてきてくれるケースもあります。

その数が多くて一人では対応しきれない場合、受付さんやスタッフを雇うこともあるでしょう。その場合、毎月の人件費も考慮に入れる必要があります。

午前中だけ受け付けのパートを雇うのであれば、1ケ月あたり5万円~7万円程度で済みますが、施術スタッフも雇うとなれば、生計を立てられる程度の給与を支払う必要があります。

物販用製品の在庫

鍼灸院の先生に対する信頼度が高い患者さんの場合、先生が「これいいよ」と勧めた製品を買ってくれるケースもあります。

たとえば、鍼灸院によってはサプリメントを販売し、収益の安定化の補助としているケースがあります。そのような製品の在庫もある程度は必要となります。

宣伝広告費

宣伝広告費も欠かすことのできない費用の1つです。チラシや折り込み広告にかかる費用はもちろんのこと、看板やチラシスタンドなどの設置にも費用が掛かります。

初期投資として考えた場合、30万円から100万円ほど見込んでおく必要があります。

ホームページ作成や口コミサイト利用料

鍼灸院を開業する場合、ホームページ作成費や口コミサイト利用料も必要です。インターネットが主流となった昨今、ホームページがない鍼灸院に飛び込みで新規患者さんが来ることはほとんどないでしょう。

また、患者さんが鍼灸院を探している時に参考にするのが口コミサイトです。無料で登録することも可能なのですが、ある程度の料金を払っていると、上位に掲載されるというメリットがあります。

大手口コミサイトに掲載を依頼する場合、通常の会員だと1ケ月あたり5000円が、プレミアム会員だと1ケ月あたり10000円が掛かります。

ホームページの作成費用は実際のホームページのクオリティによってピンキリです。5万円で作れるケースもあれば、数十万円かかることもあります。

鍼灸院の開業費用の調達方法


鍼灸院を開業する場合、一般的に300万円~500万円かかるため、自己資金だけで開業するのはなかなか難しいかもしれません。そのような場合、次のような方法で資金を調達する手があります。

日本政策金融公庫を利用する

<かつて国民金融公庫とも呼ばれた日本政策金融公庫は、国の出資によって設立されており、中小企業の資金調達をサポートしています。

日本政策金融公庫からお金を借りる最大のメリットが、連帯保証人や担保が不要であるという点です。その代わりというわけではありませんが、手続きが煩雑であり、実際にお金を借りられるまでかなりの時間を要します。

地方自治体の融資制度を利用する

該当する市区町村から融資を受けるという手もあります。信用力に欠ける小規模の自営業者であっても、融資を受けやすいうえ、金利が安いというメリットもあります。

ただ、この融資制度は地方自治体ごとに設けられているため、手続きがしばしば複雑であること、また、手続きに時間を要することがデメリットとしてあげられています。

親族から借りる

鍼灸院を開業場合、親族から融資を受けるのも1つの手です。特に裕福な家庭であれば、また、知人から借りるケースもありますが、金銭授受はトラブルになりやすいので十分に注意してください。

鍼灸を開業する際のコンセプト設計方法

鍼灸院を開業するには施設のコンセプトを設計することも重要です。そこで、設計方法について簡単に紹介します。

立地に応じたターゲット顧客層:<WHO>

鍼灸院のコンセプト設計に欠かせないのが、立地に応じたターゲット顧客層の設定です。例えば、ファミリー層の多い場所で開業したのであれば、主婦をターゲットにした施術メニューを押し出すなどするとよいでしょう。

イチオシのメニュー :<WHAT>

鍼灸院を開業する場合、イチオシのメニューも考えておきましょう。自分がどのような施術を得意としているのか自己分析して施術メニューを打ち出すもの良いですし、今月のイチオシといった形でアピールするのも良いでしょう。

他施設との差別化ポイントや自院の強みを明確にする:<WHY>

鍼灸院に限ったことではありませんが、他とは異なる自分だけのセールスポイントを打ち出すことは、鍼灸院の繁盛にとって重要なポイントです。

「肩こりも腰痛も、頭痛も神経痛も、なんでもみられます」というのでは、何も得意なものがないと言っていることと大差がありません。

たとえば、「○○市で唯一の慢性腰痛専門鍼灸院」というセールスポイントがあれば、腰痛患者さんを誘導しやすくなることでしょう。このように、他院との差別化を図ることが重要です。

まとめ

鍼灸院を開業するには、いくつかのハードルを乗り越える必要があります。ただ、自分の鍼灸院を構えられるというのは、とても嬉しいことでもあります。

鍼灸院は開業がゴールではありません。開業してから軌道に乗せるまでの時間を少しでも短くできるよう、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。

<参考>

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000109621.pdf

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