「目の奥がズキズキする…」「目の奥から頭にかけて重だるい…」そんな違和感を抱えながらも、病院に行くほどではないと我慢していませんか?
現代の生活では、スマホやパソコンを長時間使用することで眼精疲労が蓄積し、それが頭痛や肩こり、自律神経の乱れへとつながるケースが増えています。
本記事では、目の奥が痛む頭痛の原因を整理したうえで、ツボを使ったセルフケアや、目の疲れを癒す日常の習慣を詳しく解説していきます。あなたの不快な症状が少しでもやわらぐ手助けになれば幸いです。
参考記事:頭痛を早く治す方法とは?即効性が高いツボや対処法・おすすめの食べ物を紹介
目の奥が痛む頭痛の原因とは?
目の奥にズーンとした痛みを感じるとき、そこには複数の原因が考えられます。一見、目の疲れのように思えても、実は身体全体のバランスや生活習慣が深く関係しているケースもあります。ここでは、代表的な3つの原因について解説します。
眼精疲労による目の奥の圧迫感
目の奥の痛みの最も一般的な原因は、眼精疲労です。長時間のパソコン作業やスマホ操作により、目の筋肉が緊張し続けることで血流が悪化し、圧迫感や鈍い痛みが生じます。
特に「目を閉じると重たい」「目の奥を押されているような感覚」がある場合は、眼球を支える筋肉の疲労が強くなっている証拠です。疲れがたまることで頭痛や肩こり、さらには集中力の低下を招くこともあります。
ストレスや睡眠不足による自律神経の乱れ
ストレス過多や睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが崩れ、血管や筋肉の働きにも影響を及ぼします。その結果として、目の奥や頭に違和感を感じやすくなるのです。
自律神経が乱れている場合は、「朝から頭が重い」「痛みのリズムが不規則」「目の奥だけでなく全体が重だるい」など、症状が漠然として現れる傾向があります。また、精神的な緊張が続くと、無意識に目の周囲の筋肉もこわばりやすくなります。
スマホ・パソコンによる長時間使用
現代のライフスタイルでは、目を酷使する時間が圧倒的に増えています。特にスマホやパソコンを1日中見ている方は、「瞬きの回数が減る」「焦点を合わせる筋肉が疲れる」といった現象が起こりやすく、目の奥にストレスが集中します。
さらに、画面から発せられるブルーライトも影響大。網膜や脳に刺激を与え続けることで、神経が過敏になり、目の奥がズキズキと痛む頭痛を引き起こしやすくなります。
目の奥の痛みを和らげるツボとは?
目の奥の頭痛に悩まされているとき、薬に頼らず、手軽に取り入れられるセルフケアとして「ツボ押し」は非常に有効です。ツボは、身体の不調を整える“スイッチ”のような役割を果たします。ここでは、特に即効性が高く、自宅で簡単にできるツボを2つのカテゴリーに分けてご紹介します。
目の周囲にある即効性の高いツボ
目のまわりには、眼精疲労や頭痛を和らげるツボが集中しています。特に、以下の3つは「目の奥が痛い」と感じたときに効果を実感しやすいポイントです。
【攅竹(さんちく)】
眉頭の内側、鼻の付け根近くにあるツボで、眼精疲労や目の奥の重さに効果的です。指の腹でじんわりと5〜10秒押して離すのを3セット繰り返すと、まぶたの緊張が緩み、血流も改善されます。
【睛明(せいめい)】
目頭のすぐ横、鼻のつけ根寄りにあるツボです。目の充血や視界のぼやけ、奥の痛みを軽減する働きがあり、目元のリフレッシュにも有効です。優しく押しながら深呼吸するとリラックス効果も得られます。
【太陽(たいよう)】
こめかみの少し外側、骨のくぼみにあるツボです。目の疲れによる頭痛や、こめかみのズキズキした痛みを和らげるのに最適。両手の中指で同時に軽く押し、円を描くようにマッサージすると効果的です。
POINT:目の周囲は“優しく丁寧に”が基本
目の周辺は皮膚が薄く、デリケートな場所です。力任せに押すのではなく、「気持ちいい」と感じる強さで行いましょう。
手や首にある「離れツボ」で全身を緩める
目の周辺だけでなく、身体の他の部位にある「関連ツボ」を刺激することで、自律神経のバランスが整い、目の奥の痛みを間接的に緩和することができます。とくに効果が高いのが以下の3つです。
【合谷(ごうこく)】
手の甲、親指と人差し指の骨が交差する部分にある有名なツボ。目の疲れだけでなく、肩こりや頭痛にも効果があります。反対の親指で押さえ、5秒押して5秒離すを繰り返しましょう。
【風池(ふうち)】
後頭部、髪の生え際のくぼみにあるツボです。ここは目の疲労だけでなく、首こり・肩こり・頭痛にも関連が深く、パソコン作業で凝り固まった身体をリセットしてくれます。
【天柱(てんちゅう)】
風池のすぐ内側に位置し、首筋の筋肉の外縁にあります。自律神経を整える働きがあるため、ストレス性の頭痛や不眠傾向のある方にもおすすめのツボです。
POINT:深呼吸と一緒に押すとより効果的
ツボを押す際に、呼吸を意識することでリラックス効果が高まります。息を吸って吐きながらゆっくり押すことを意識しましょう。
正しいツボの押し方と注意点
ツボ押しは手軽にできるセルフケアですが、間違った方法で行うと効果が薄れるだけでなく、かえって不調を悪化させる恐れもあります。ここでは、効果を最大限に引き出すための基本的なツボの押し方と、注意しておきたいポイントについて解説します。
指の使い方と押す時間・回数
ツボを押す際は、指先よりも「指の腹」を使うのが基本です。中指や親指の腹を使って、狙ったツボにゆっくりと圧をかけていきます。
押す時間の目安は、1回につき5~10秒。これを3~5回ほど繰り返すと効果的です。強く押しすぎるのではなく、呼吸に合わせて「ゆっくり押して、ゆっくり離す」のリズムを大切にしましょう。
また、左右対称のツボは両側ともバランスよく押すのが理想です。特に目の疲れや頭痛に関するツボは、左右どちらか一方だけでなく両側を刺激してあげることで、より全身の調整につながります。
「気持ちいい」と感じる圧が基本
ツボ押しは、「痛いくらいが効く」というものではありません。むしろ、痛みを感じるほど強く押してしまうと、筋肉や神経にストレスを与えてしまい、逆効果になる場合もあります。
押しているときに「あ~気持ちいいな」「じんわり緩むな」と感じる強さがベストです。心地よさを感じる範囲でゆっくりと圧をかけることで、副交感神経が優位になり、リラックス効果も得られます。
特に目の周辺のツボは敏感な部位なので、最初はごく軽い圧から始めて、慣れてきたら少しずつ深く押すようにすると安心です。
症状が強いときは無理に押さない
頭痛や目の奥の痛みが強く出ているときに、ツボを無理に押すのは避けましょう。痛みが激しいときは、体がすでに過緊張状態にあるため、強い刺激を加えることでかえって症状が悪化する恐れがあります。
特に、「ズキズキと脈打つような頭痛」や「吐き気を伴うような重度の症状」がある場合は、ツボ押しを中止し、まずは安静にすることを優先してください。
また、ツボ押しはあくまでセルフケアの一つであり、継続的な症状や慢性的な痛みがある場合には、医療機関での診断・治療を受けることが重要です。
ツボ以外でできるセルフケア|眼精疲労を緩和する習慣
ツボ押しは効果的なセルフケア方法ですが、それだけに頼るのではなく、日常的に眼精疲労を溜めにくい習慣を身につけることが大切です。特に、目を酷使する現代人にとって、簡単にできる「温め・運動・生活習慣の見直し」が予防と改善のカギになります。ここでは、今日から始められるセルフケアを3つの視点でご紹介します。
蒸しタオルで目の周りを温める
目が疲れて重く感じるときは、「温めること」が非常に効果的です。目の周囲の筋肉や血管が緊張している状態を、じんわりとした温熱でほぐすことで、血行が促進され、目の奥の違和感が和らぎやすくなります。
自宅でできる最も簡単な方法が「蒸しタオル」。水で濡らしたタオルを電子レンジで30秒〜1分ほど温め、熱すぎないことを確認してから目の上に乗せます。そのまま5分程度リラックスするだけで、目元がじんわりとゆるんでくるのを実感できます。
POINT:就寝前の習慣に取り入れるとより効果的
寝る前に目を温めることで、副交感神経が優位になり、睡眠の質も向上します。毎日続けやすいケアとしておすすめです。
目のストレッチ体操で血流を促進
目の筋肉も他の筋肉と同じく、動かさずにいると固まってしまいます。目のストレッチ体操を取り入れることで、眼球の動きを助ける筋肉がほぐれ、疲れにくい状態を保ちやすくなります。
簡単にできる目の体操としておすすめなのが「眼球ぐるぐる体操」です。目を閉じた状態で、目を右回り・左回りに10回ずつ大きく動かすだけ。これを1日2〜3セット行うだけで、目の可動域が広がり、血流も改善します。
補足:遠くを見る・まばたきを意識するのも効果的
30分に1回は画面から目を離し、遠くを見る習慣を取り入れるだけでも、目のピント調節機能が回復しやすくなります。
ブルーライト対策や姿勢改善も重要
目の奥の痛みや頭痛は、環境的な要因も大きく影響します。特に「ブルーライト」と「姿勢」は現代の眼精疲労に深く関わっています。
ブルーライトは、パソコンやスマホの画面から発せられる青色光で、網膜への刺激が強く、長時間浴び続けると脳が休まらず、目や頭が疲れやすくなります。画面の明るさを下げたり、ブルーライトカット眼鏡を使用するだけでも負担を軽減できます。
また、猫背や前かがみの姿勢が続くと、首・肩の筋肉がこわばり、間接的に目の疲れや頭痛につながります。机や椅子の高さ、モニターの位置を見直すなど、作業環境の調整も大切です。
病院に行くべき?ツボでは対処しきれない危険な頭痛のサイン
ツボ押しやセルフケアで改善できる頭痛も多い一方で、「これはすぐに病院へ行くべき」という危険な頭痛も存在します。自己判断で放置してしまうと、命に関わる重篤な病気の可能性もあるため、以下のような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
視界がぼやける・吐き気がある場合
目の奥の痛みとともに「視界がぼやける」「光を見ると痛い」「吐き気やめまいを伴う」といった症状がある場合、それは片頭痛や脳の血管系の異常が関係している可能性があります。
特に、突然の視覚障害や強い吐き気があるときは、脳の異常(脳出血・くも膜下出血など)を疑う必要があります。このような症状は、ツボやマッサージでは改善できないため、早急な医療対応が不可欠です。
同じ側だけの激しい痛みが続く
目の奥の激しい痛みが、左右のどちらか一方に集中していて一定期間続く場合、「群発頭痛」の可能性があります。群発頭痛は“目の奥をえぐられるような痛み”と表現されるほど強烈で、夜間に突然発症するケースも多く見られます。
市販薬がまったく効かず、決まった時間に痛みが出る場合には、神経系のトラブルを疑い、脳神経外科などの専門医に相談することが大切です。
慢性的な症状は早めに専門医へ相談
週に何度も繰り返す頭痛や、目の奥の違和感が数週間にわたって続いている場合には、慢性化のサインかもしれません。原因が眼精疲労やストレスであったとしても、背後に何らかの病気が隠れている可能性も否定できません。
「いつものこと」と我慢せず、一度しっかりと検査を受けることで安心して過ごせるようになります。眼科、内科、脳神経外科など、症状に応じて専門医の受診を検討しましょう。
まとめ
目の奥の痛みや頭痛は、眼精疲労やストレス、スマホの使いすぎなどが原因で起こることが多く、ツボ押しや温めなどのセルフケアで軽減できる場合があります。ただし、視界の異常や吐き気、激しい片側の痛みなどがある場合は、重大な病気のサインの可能性もあるため、早めの医療機関受診が大切です。毎日のケアと正しい知識で、つらい症状を和らげていきましょう。
【参考文献】
1)村岡 哲也,池田 弘明:目の安全に考慮して疲れないディスプレイを選ぶには.日本信頼性学会誌 信頼性.2013,35-2,p106-115
2)伊藤 奈々,武田 朴,他:VDT作業における眼精疲労度の比較―スマートグラスとLCDおよび印刷物の比較.2020,90-5,p.405-413