しっかりと患者様に向き合い施術を行う前提ではありますが、交通事故を原因とする患者様は、通常の施術と比べて院にも施術を引き受ける経済的メリットがあります。
そこで今回は、整骨院・接骨院で交通事故の患者様を施術したら儲かるとされる理由について解説していきます。
整骨院・接骨院で交通事故の施術が儲かると言われる理由
交通事故に遭った患者様に対する施術は、怪我の後遺症の緩和を目的としている場合が多いため、継続的な治療が必要となります。その前提のもと、交通事故を原因とする患者様を引き受ける経済的メリットについて以下、解説していきます。
定期的に通院してもらえる
交通事故の施術となると、1回2回の通院では痛みが引きにくいと言われています。
特にむち打ちといった急性の症状は整形外科の範囲となり、接骨院・整骨院はより長期的な緩和ケアを目的とするため、必然的に患者様は定期的な通院が必要になってきます。ちなみにむち打ちの場合の施術期間は1~3ヶ月とされます。
上記の理由から、交通事故の患者様は経営的に考えるとリピーターとなります。
さらに、保険会社に施術費を請求している場合、患者様による院の変更や通院の中断は避けられる傾向にあります。「治ったのに不当に請求しているのではないか」「病院を転々として治療期間を伸ばしているのではないか」と疑われた場合、保険会社からの支払いが止まる可能性があるためです。
交通事故の施術に関わらず、定期的な通院は院としては安定した売上に繋がります。患者様との信頼関係を構築しつつ、最後まで施術計画を完遂していきましょう。
自賠責保険の範囲内で施術費を請求できる
自動車の事故であれば、被害者は自賠責保険という強制加入の保険で慰謝料の請求ができます。自賠責保険の最高額である120万円までの範囲かつ、継続施術に対する正当な理由があれば、接骨院・整骨院はまとまった施術費を得ることが可能です。
ここで、損害保険の制度について簡単に説明します。交通事故の被害者となり病院で治療を受ける場合、かかる治療費や施術費は相手方の損害保険会社が代わりに支払うこととなります。保険会社との最初のやり取りは患者様の側で行うため、院では施術を始める前にまず保険会社に連絡しているか確認を取りましょう。
そして、補償範囲は加害者側が加入しているプランや会社によって異なります。しかしながら、来年度からの保険料の値上がりを敬遠して任意保険を使ってくれないケースも往々にして存在します。こうした、加害者に支払いを拒否された場合でも自賠責保険は変わらず利用することが可能です。
整骨院・接骨院で交通事故の施術費を請求するポイント
ここからは、接骨院・接骨院で交通事故の施術費を請求する際のポイントについて解説します。
患者様の通院先から整骨院・接骨院へ行く必要性を認めてもらう
交通事故の施術において、接骨院・整骨院は整形外科で治癒できなかった部分を診る形になります。慰謝料の請求や被害届の提出に関わる診断書や、レントゲンの撮影はできません。事故直後の患者が接骨院・整骨院を訪れた場合、まず整形外科への通院を強く勧めてください。
患者様が整形外科で具体的な症状について診断を受けたあと、そこで初めて接骨院・整骨院に通う許可を担当医から頂戴する流れになります。また、患者様を通じて、保険会社にも接骨院・整骨院に通う旨を忘れずに伝えてください。
整形外科は具体的な診断や怪我の根治に関わる重大な役割を担っています。しかしながら、生活する上での微細な不快感やしびれは、接骨院・整骨院での施術の方が役に立つとされます。
患者様にはそれぞれの施術の違いを説明しながら、状態に合わせた施術スタイルについても考えてもらいましょう。
通院ペースは最低でも月に1回以上とする
接骨院・整骨院で施術する場合、患者様には可能であれば週に3~4日、最低でも月に1度以上の通院するよう相談しましょう。
その理由としては2点あり、まず1つ目は施術の間隔が空いてしまうと当然ながら症状固定(これ以上施術してもよくならない時点、最大限痛みが緩和された状態)が遠のくためです。
患者様の今後のQOLにも関わってくるため、完治の重要さについてよく説明しましょう。
2点目は保険会社に施術費の支払いを打ち切られる可能性があるためです。
もし通院の間隔が1ヶ月以上開いた場合、保険会社は交通事故と施術費の関係性が薄いのではないかと考え、治療費を打ち切る可能性もあります。不正請求が横行する中で、こうした査定はごく自然といえるでしょう。
経済負担を軽くして治療を継続いただくためにも、通院ペースを守ってもらうよう留意しましょう。
患者様に弁護士へ相談しているか質問する
医師から整骨院・接骨院の通院許可をもらったとしても、保険会社の査定や調査次第では施術費の打ち切りを打診される可能性があります。正当な施術の最中に打ち切られることがないよう、患者様と保険会社の間には弁護士を立てることが重要です。
患者様は突然事故に遭い、精神的にも大きなダメージを受けている方が多くいます。保険会社から打ち切りの打診を受けた場合も、「正しいことだ」「これ以上もめ事を増やしたくない」と感じ、つい承諾してしまうケースも多いでしょう。
しかしこうした時にこそ、自力で対処できないからと諦めるのではなく、弁護士というプロに頼ることが肝心です。施術費の支払いを止められると、怪我が残った患者様の負担が増え治療意欲が減退する可能性があります。
弁護士の中には、施術費の請求だけでなく事故にまつわる様々な手続きの代行を請け負っている方もいます。患者様としては示談交渉のストレスから解放され、結果的に施術に専念できるというメリットもあるため一言、弁護士へ相談しているか尋ねてみてはいかがでしょうか。
交通事故の患者を施術する際の禁止事項
以下、整骨院・接骨院で交通事故の患者を施術する際に「絶対にしてはいけないこと」について解説していきます。
通院回数を偽った架空請求
実際には施術を行っていない日を「施術した」と偽造して保険会社に報告する行為は、当然ですが違法行為となります。
仮に患者の側から打診されても断固として拒否してください。健康保険での不正請求同様、怪我をしていない箇所を「怪我の範囲」として施術する行為(部位転がし)も違法です。
もし違法行為が見つかった場合は、施術費が請求できなくなることはもちろん、信用も大きく損なうこととなります。患者様ファーストに立ち返り、快癒を第一に考えて行動しましょう。
自賠責保険の範囲以上の施術費請求
上記でも解説したように、保険会社が支払う施術費や施術費は、自賠責保険の範囲内で支払うことが一般的です。
よって、自賠責保険の最大範囲である、120万円を超えるような施術費請求をした場合には、施術費の支払いを拒否されるかもしれません。過剰な請求は逆に赤字になる可能性があります。
しかしながら、たとえばむち打ちですと1年通院し続けた場合に、ようやく慰謝料が120万円を超えるかどうかといったラインです。そう頻繁に超過することは少ないので、自賠責保険のことは意識の隅に置く程度で大丈夫でしょう。
かかりつけ医師からの許可を得ていない方の施術
大前提として、柔道整復師は医師ではありません。診断書といった公的な書類は医師にしか発行できないことを改めて思い出してください。
裏を返せば、医師の指示がない場合や、施術の必要性がないにも関わらず整骨院・接骨院で緩和施術を受けたとしても、当該施術費は交通事故による保険適応外になる可能性が大きいです。
保険会社は公的な診断に基づいて支払いの可否を決定します。接骨院・整骨院の場合、保険会社には患者様からあらかじめ院の情報を伝えてもらいますが、できれば医師からの紹介状があればベストです。
施術の途中で施術費が打ち切りにならないよう、医師の診断を受けていない患者を診ることは絶対に止めてください。
【接骨院・整骨院】交通事故の施術に関するまとめ
整骨院・接骨院が交通事故の患者を施術する場合、施術費は全額保険会社から支払われます。
そして、患者様ファーストが前提ですが、定期的な通院による安定した売上など治療院側にもメリットはあります。
しかし、事故直後の怪我は医師にしか状態が判断できない、通院の間隔が空くと支払いが止まるかもしれないといった、特有の注意点も数多くあります。
そこで、交通事故の施術でもしっかりと利益を上げたいと考えている方は、記事を通じて注意点について改めてチェックしてみてください。
【参考文献】
https://takatsukilaw-kotsujiko.com/column/column/20190513
http://www.tamamolaw.com/blog/entry-130.html
https://atomfirm.com/media/18984
https://hoken.kakaku.com/kuruma_hoken/knowledge/shurui/jibaiseki.html