整体師は人々の健康をサポートする職業であるため、人体の構造や仕組みをしっかり勉強して活動することが大切です。
しかし実際に勉強をしようとした場合「どのようなことを勉強すべきなのか?」「早くスキルを身に着けるために効率的に勉強したい」と考える方は多いのではないでしょうか。
今回は、整体師が勉強すべき理由や内容、人気整体師になるためにおすすめの資格について解説します。
整体師になるためには勉強が欠かせない理由
整体師になるために勉強が欠かせない理由は、次の通りです。
- 健康や人体に関わる職業だから
- 競合が多いから
- 健康に詳しい一般の人が増えたから
各項目について詳しく解説します。
健康や人体に関わる職業だから
整体師は健康に関するアドバイスをしたり、人体に直接触れたりするため、知識が浅い状態で仕事をすると顧客に害を与える可能性があります。
例えば、知識のない状態でストレッチをアドバイスすると、それが逆に症状の悪化につながる恐れがあります。また解剖学に精通していないと、間違った箇所を強く押して顧客の症状を悪化させてしまうを骨折させてしまうリスクもあるのです。
人体に悪影響を与えないようにするためにも、人体の構造や生理機能を理解した上で、施術をする必要があります。
競合が多いから
勉強不足でスキルや知識を十分に備えていないと、症状を改善に導けずに顧客が競合店へと流れる可能性があります。
また多くの競合店のなかから自院を選んでもらうためには、マーケティングを勉強して自院を近隣住民にしっかりとアピールすることも大切です。さらに新規顧客にリピートしてもらうために、顧客の信頼を得られるようなコミュニケーションスキルも必要になってきます。
健康に詳しい一般の人が増えたから
昨今は、健康に関連した書籍の充実や健康系YouTuberの活躍などにより、健康に詳しい一般の人が増えました。また従業員の健康増進に取り組む企業が増えたため、労働者の健康リテラシーや健康意識の向上にもつながっています。
健康に詳しい顧客が専門用語の意味や健康に関する疑問を尋ねたりしたときに、専門家として適切に回答できないと顧客の不信感につながる可能性があります。顧客の視座に合わせて、納得してもらえる回答をするためにも、日ごろから整体師自身が健康に興味を持って勉強することが大切です。
整体師が勉強すべきこと
整体師になる場合は、以下の内容を勉強するとよいでしょう。
- 生理学や解剖学の基礎知識
- カウンセリング
- プレゼンテーション
- 施術方法
- 経営ノウハウ
- マーケティング
以上について、学ぶ必要性が分かるように解説します。
生理学や解剖学の基礎知識
生理学や解剖学の基礎知識は、整体師として働くうえで欠かせません。基礎知識がない整体師が施術をすると、事故につながる恐れがあります。国民生活センターには、次のような質問や事例が報告されています。
整体に行ったところ、施術中に腰椎を強く押されました。翌日、左足に強い痺れを感じ、歩くのもつらい状態になったので、病院に行ったところ「椎間板ヘルニア」と診断されました。整体の施術が原因だと思うのですが、どうすればよいでしょうか?
引用:国民生活センター |
2カ月間通ったカイロプラクティックの施術で両肩をひねるように強く押された。痛みがひどいので専門医を受診したところ肩の腱を断裂しており手術を受けた。
引用:国民生活センター |
以上は知識不足の整体師が招いた事故です。強く押したら症状を悪化させてしまう恐れのある場所を把握できていなかったり、関節の可動域を知らなかったりして事故を招いてしまいました。知識が浅いと、顧客にケガを負わせるリスクが高くなるため、しっかりと勉強して整体をはじめましょう。
カウンセリング
カウンセリングができる整体師は、施術の前に顧客を安心させたり、信頼関係を築いたりできます。リラックスした状態で顧客が施術を受けると、筋肉の緊張が適度にほぐれて施術をやりやすくなるでしょう。
また整体師に信頼を寄せる顧客は、整体師からの通院指導やアドバイスにも従いやすくなります。整体師の指示通りに施術を受けてもらうことで、悩みとなっていた症状の改善も期待できるでしょう。
カウンセリングのやり方を勉強して、「この症状は本当に治るのか」「この整体院で腰痛が改善できるのか」「施術は痛くないのか」といったさまざまな悩みを抱えた顧客の不安を解消してあげてください。
プレゼンテーション
整体師がカウンセリングをして検査を終えた後は、顧客の体の状態や施術法について説明します。整体師が顧客に向けて説明する目的は、施術に対する理解を促すことです。このような説明の方法は、プレゼンテーションと呼ばれます。
プレゼンテーションは整体に限らず、さまざまな場面で活用されるスキルです。ビジネスの場合、営業担当者が自社製品をクライアントに説明する際にプレゼンテーションを行います。
その場合、まずは課題を明確にして解決策を提示、次に自社製品が課題解決に役立つことを伝えると相手の納得感を得られ商品の購入につながります。
整体師の場合は、顧客の悩みと不調の原因を明確にして、その原因の解決手段として施術が効果的であることをプレゼンテーションすると顧客の納得を得られます。整体師もプレゼンテーションのスキルを勉強すると、顧客に継続して来院してもらえるのです。
施術方法
プレゼンテーションを行ったあとは、顧客が抱える悩みの解決を目指して施術を行います。施術を行う際は、患者の体質や状態を把握して、力加減を調整することも大切です。
適切な力加減は経験を積むことで養われますが、技術セミナーなどで人体の触れ方を学んで身に着けることもできます。解剖学を頭にインプットして、事故のないように、丁寧に施術を行うことが大切です。
経営ノウハウ
整体院の代表を務めれば、たとえスタッフがいなくても立派な経営者です。経営という概念がないと、整体院を長期に渡って運営していくことはできません。
経営とは集客や顧客との関係構築、資金運用、人材採用、人材教育など事業を営むうえで必要なさまざまな取り組みを指します。幅広い分野について学ぶ必要があるため、経営を勉強する場合、あらゆることに関心を示し吸収しようとする姿勢が欠かせません。
整体院経営については、次の記事も参考にしてください。
参考:整体院経営を成功させる秘訣とは?儲かる仕組みづくりや効率化について解説!
マーケティング
マーケティングとはサービスや商品が売れる仕組みをつくることです。市場調査や顧客分析、宣伝活動など、整体であれば集客につながる取り組み全般がマーケティングに該当します。
特に現代は、ビジネスにおいてWebマーケティングが重要視されています。Webマーケティングとは、Web上で行うマーケティング活動のことで、ホームページやSNS、PPC広告を使った集客がメインです。
Webマーケティングについては、インターネットやYouTubeで検索を利用すると、有益な情報がすぐに手に入ります。まずは、WebマーケティングやSNS、PPC広告などのキーワードを検索して調べてみるとよいでしょう。
整体師におすすめの勉強法
整体師におすすめの勉強法は次のとおりです。
- 独学
- 整体師が集まるコミュニティ
- セミナー
- スクール
それぞれの勉強法について詳しく解説します。
独学
ある程度の知識や経験がある方であれば、独学でも十分に新しい知見やスキルの獲得が可能です。最近ではYouTube上でも整体に関する知識や技術が無料で紹介されています。あまり費用をかけずとも、有益な教材で手軽に勉強できます。
解剖学の知識を持った整体師であれば、動画を見ると、施術の目的やアプローチの箇所を見分けられるでしょう。しかし解剖学について知識不足であれば、「プロメテウス解剖学」や「解剖学カラーアトラス」などの本を購入して、手元に置いて学ぶのもおすすめです。
最近は「ヒューマン・アナトミー・アトラス」などのアプリを利用して解剖学を勉強することができます。立体的なイラストで、人間の体の構造を細かく観察できるのでおすすめです。
また、書店にいくと経営についての本もたくさん売られているため、独学する場合は利用するとよいでしょう。
整体師が集まるコミュニティ
経営者同士のコミュニティで勉強するのもおすすめです。整体院の経営者は、次のようにさまざまな悩みを抱えています。
「売り上げを伸ばしたい」
「効果的な施術法を知りたい」
「リピート率を上げたい」
以上の経営者の悩みに応じて、さまざまなコミュニティがあり、それぞれで勉強会が開かれています。自分の目的に合ったコミュニティに入るとよいでしょう。整体師が加入できるコミュニティとしては、学会や学術団体、経営コンサルタント主催の経営塾などが考えられます。
近隣の整体院同士はどれも競合になるため、自分が抱えている悩みをなかなか相談できていないケースもあるのではないでしょうか。そのような場合もコミュニティへの加入がおすすめです。全く異なる地域の整体院同士は競合にあたらないため、気軽に技術や経営についての相談ができるでしょう。
セミナー
これから整体師を目指そうとしている方は、整体についての知識が全く無いケースも多いのではないでしょうか。そのような場合に、まずは気軽に知識やスキルを身に着けたい場合は、セミナーに参加するのもおすすめです。
整体師としての知識や技術のすべてを独学で習得するのは困難です。特に触診の技術や体の歪みをチェックする技術は自分だけで学ぶことができません。そのため、セミナーに参加して熟練の整体師から技術を学ぶことが大切です。
オンラインで参加できるセミナーもありますので、目的に合わせて利用するとよいでしょう。
スクール
整体師のスクールは数か月くらいの通学で卒業できるものから、1~2年通学する必要があるものまでさまざまです。リラクゼーションやカイロプラクティック、スポーツ整体などジャンルごとにカリキュラムが異なるので、興味のある施術スキルを学べるスクールに通うとよいでしょう。
スクールのなかには、経営アドバイスや開業サポート、就職の斡旋をしてくれるところもあります。勉強の費用をある程度確保できるのであれば、スクール通学も検討してみてください。
整体師が持っていると有利な資格
整体師のなかには資格を取得して活動している人も多いです。次のような資格を持っていると整体師として、顧客の人気を集めやすくなります。
- 柔道整復師
- 理学療法士
- あん摩マッサージ指圧師
- スポーツトレーナー
- 介護福祉士
各資格についてわかりやすく説明します。
柔道整復師
柔道整復師は、整骨院や接骨院で施術を行うために必要な資格です。3年間におよぶカリキュラムをこなしたうえ、柔道整復師国家試験に合格すると取得できます。
整体院における自費での施術には国家資格は不要です。しかし柔道整復師の免許を持っている整体師のほうが、顧客に高い安心感を与えられるでしょう。
理学療法士
理学療法士は、ケガや加齢によって運動機能が低下した人に対し、運動や電気治療、光線治療などを通じて運動機能の回復を促す医療従事者です。
理学療法士も柔道整復師と同様に国家資格であり、取得するためには養成校(大学や短大、専門学校など)で3年以上学んだうえで、理学療法士国家試験に合格する必要があります。
理学療法士になると病院だけでなく、ホームヘルパー、ボランティア指導員など、さまざまな分野で活躍できます。最近は、理学療法士が整体院をオープンするケースも増えています。
柔道整復師の場合と同様、理学療法士の資格を持った整体師であれば、顧客に高い安心感を与えられるでしょう。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師になるには、3年に及ぶ専門教育を経たうえで、あん摩マッサージ指圧師国家資格に合格する必要があります。法律のルールでは、マッサージの施術をできるのは、医師とあん摩マッサージ指圧師だけです。
さらにあん摩マッサージ指圧師は医師の同意を得れば保険を適応させて、マッサージをすることも可能です。合法的にマッサージの施術を提供できるため、整体院を経営する場合、所持していると有利な資格といえます。
スポーツトレーナー
スポーツトレーナーは、一般的にアスリート能力を最大限に発揮できるよう、トレーニング指導をおこなう職業です。
スポーツトレーナーはアスレティックトレーナーやストレングストレーナー、メディカルトレーナー、フィジカルトレーナーなどに分類されます。いずれも民間資格ですが、スポーツ業界での認知度は高いです。
スポーツ選手を相手に施術を提供したい場合は、スポーツトレーナーの資格を取得しておくことで、集客に役立ちます。
介護福祉士
ケアワーカーとも呼ばれる介護福祉士は、「社会福祉及び介護福祉法」に基づく国家資格です。
介護福祉士の仕事は、介護への不安を持つ家族に助言したり、利用者にメンタルケアを施したりすることで、活動範囲は多岐にわたります。
介護福祉士は介護に関する知識が豊富なことから、高齢者やそのご家族に安心感を与えたうえで、施術サービスを提供できます。
整体師におすすめの資格は、他にもさまざまなものがあります。次の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
整体院は資格がなくても開業できる?整体師が持っておくと良い資格についてご紹介
整体師を目指すなら勉強に励もう
整体師は体の不調や悩みを抱える方の身体に触れる職業であるため勉強が欠かせません。勉強を通して、基本的な医学的知識や最低限の技術力を獲得する必要があります。
また整体師として成功するためには、経営ノウハウやカウンセリングについての勉強も欠かせません。資格は顧客に安心感を与える手段にもなるため、国家資格もしくは民間資格を取得するのもおすすめです。
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