地域住民に整骨院や接骨院をアピールするために、チラシは今でも魅力のある宣伝方法のひとつです。
とくに中高年は若年層に比べてインターネットに触れる機会が少ないため、整骨院を選ぶ際はチラシを参考にする人も多いと考えられます。中高年をターゲットにした整骨院を運営する場合は、チラシが効果的な集客手段となるでしょう。
今回は、チラシの作成前に必要な準備や無料でできる作成方法、効果的な配り方を紹介します。柔道整復師法をもとに広告規制についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
整骨院・接骨院の患者集客にはチラシが必要な理由
地域に根差した整骨院を経営するためには、チラシを使って整骨院を積極的にアピールすることが大切です。チラシを集客に活かすと、特定の地域に向けて短時間で情報を発信できます。
とくに中高年をターゲットにする整骨院や接骨院は、チラシを積極的に活用していきたいところ。インターネットをあまり利用しない中高年は多いため、目的のターゲットに効果的にアピールできます。
またチラシをきっかけに、家族や友人へと口コミが広がることも期待できます。新規顧客を獲得するために、ぜひチラシを活用してみましょう。
チラシを作成する前の準備
チラシを作成するにあたって、まずは次の準備を進めましょう。
・整骨院や整体院の強みを分析する
・ターゲットを明確にする
・競合をリサーチする
それぞれについて、解説します。
整骨院の強みを分析する
近隣住民に整骨院の特徴を知ってもらったり、近隣の競合との差別化を図ったりするために、まずは整骨院の強みを分析することが大切です。
強みを分析するためには、まずは既存患者をチェックするのもひとつの手段。たとえば、次の項目について、どのような傾向があるか調べてみましょう。
・施術をすることの多い症状
・施術をすることの多い患者の年齢層や性別
・患者さんの声
例えば腰痛や肩こり、膝の痛みなど施術することの多い症状が定まっている場合は、その症状に特化してアピールしたり、専門の施術メニューを作ったりするのもおすすめです。
競合との差別化が重要になった背景
強みの分析をして、競合との差別化を図ることが重要な背景として、年々増加する整骨院や接骨院(柔道整復の施術所)が挙げられます。
多くの競合のなかで経営を成り立たせるためには、競合との差別化を図り、近隣住民に自分の整骨院を選んでもらうことが大切です。
ターゲットを明確にする
チラシを作成する際は、ターゲット層を明確にして、そのターゲットに向けて訴求できるようなキャッチコピーを考えましょう。
例えば、スポーツ外傷が得意な整骨院が、「慢性肩こりの改善」や「骨盤ダイエット」を謳い文句にしたチラシを配布しても、本当に来てほしい患者にアプローチできません。
ターゲットを決めてしまうと、ターゲット層から外れた患者さんは来なくなってしまうと考えがちですが、実際にはそのようなことはありません。
逆にすべての層を対象にしてしまうと、コンセプトがぼやけて来てくれるはずの患者さんを逃してしまうことになります。
年齢層や性別、疾患別などでターゲット層を決め、その層に届くような訴求を考え、来院を促しましょう。
競合をリサーチする
チラシの内容に興味を持ってもらうためには、近隣のリサーチも入念に行うことが大切です。
例えば次のようなことを考えながら、近隣をリサーチするとよいでしょう。
・近くの整骨院や整体はどのような施術メニューを提供しているか?
・地域にはどのような年齢層や世帯構成の人が住んでいるか?
・整骨院の所在地は、住宅街かオフィス街か?
競合の施術メニューをチェックして、そのメニューとは異なる施術メニューを訴求すれば、競合と差別化できます。
また、住宅街なら家族そろって利用できるような文言をチラシの中に盛り込んだり、オフィス街であれば仕事終わりからでも利用できたりすることを知らせれば、チラシを見た人が興味を持ってくれるはずです。
テンプレあり!整骨院・接骨院におすすめのチラシの作成方法
画像加工ツールとして人気のクラウドサービス「Canva」や、チラシ作成でよく利用される「アスクル」のサービスを使うと無料でチラシを作成できます。
携帯で写真を撮影してパソコンに取り込み、「Canva」や「アスクル」で提供されているテンプレートに載せれば、誰でも簡単に整骨院のチラシを作成できるので、ぜひお試しください。
Canvaを使う
引用:Canva
Canvaには整骨院や接骨院、整体院向けのチラシテンプレートも準備されています。簡単に写真を入れ替えたり、文章を変更できたりするため、チラシ作りにはおすすめのツールです。
クラウドサービスなので自動保全してくれる点も魅力。保存をし忘れて、データがなくなる心配もないので、安心してチラシを作成できます。
無料でも利用できるので、自分でチラシ作りにチャレンジしたい場合は、ぜひお試しください。
アスクルを使う
印刷サービスを提供するアスクル運営のサービス「パプリ」を使えば、テンプレートを使ったチラシの作成から印刷の発注までスムーズに進められます。
使えるテンプレートも豊富で、整骨院や整体院であれば、整体院向けのテンプレートを代用可能です。キーワード検索で調べられるので、目的のテンプレートを見つけるのも簡単です。
目的のテンプレートを見つけた後は、テンプレートをダウンロードしてチラシを作成。作成したチラシをもとに発注すると、完成したチラシの文字が途切れたり、写真がはみ出したりする心配もありません。
チラシの作成から印刷までを簡単に進めたい場合は、アスクルの「パプリ」を利用してはいかがでしょうか。
チラシの配布方法
チラシの配布方法として、次のようなものが考えられます。
・自分で配布する
・新聞折込やポスティングを利用する
・近隣店舗に置かせてもらう
・院内で配布する
・院前で配布する
それぞれについて解説します。
自分で配布する
自分でチラシを配布すると、コストをかけずに近隣住民にアプローチできます。ただし、それで結果を残すためには、根気強く続けることが大切です。
一般的にチラシの反響率は、0.01%~0.3%といわれています。つまり、1万枚チラシを配っても来院数は1~30人程度です。
チラシで結果を出そうと思った場合、近隣に根気強くチラシを配り続ける必要があります。
新聞折込やポスティングを利用する
新聞折込やポスティングを利用すると、自分で配布するよりも多くの人にアプローチできます。それぞれの特徴やデメリットを把握しておきましょう。
新聞折込
◯特長
・配布するエリアが地域の販売店単位で区切られる
・大量の枚数でも一日で配布できる(在庫を抱える心配は少ない)
・見ている側にチラシまで目を通す習慣があり目に留まりやすい
◯デメリット
・新聞を定期購買していない家庭には届かない
ポスティング
◯特長
・配布するエリアを細かく指定できる
・冊子やマグネットなどチラシ以外のものも配布可能
◯デメリット
・配布完了までに時間がかかる場合がある(在庫を抱える可能性)
・ポスティングを希望していない家庭からのクレームの可能性がある
近隣店舗に置かせてもらう
近隣店舗にチラシをおかせてもらうのもひとつの手段です。店舗に置かせてもらえれば、労力をかけることなく近隣住民にアピールできます。
近隣店舗にチラシを置かせてもらうコツは、積極的に地域のイベントに参加したり、地域の店舗を利用したりすることです。地域とのつながりや行きつけの店を地域に作っておけば、料金を支払わなくても快くチラシを置かせてもらえる可能性があります。
院内で配布する
院内配布は、アプローチできる人が限られますが、効率の良いチラシの配布方法です。院内に来店した人にチラシを渡しておくと、知り合いや家族に整骨院を紹介してもらう際に、渡してもらえます。
ただし院内で配布する際は、受付に置いておくだけでは効果が薄いので注意しましょう。会計を終えた際に、「もし、体の不調で困っている人が周りにいたら、当院にご紹介ください。」などと言って、手渡しをすると紹介してもらえる可能性が高くなります。
院前で配布する
人通りの多いところで整骨院を運営している場合は、院前で配布するのも有効です。整骨院のキャッチコピーを書いたブラックボードを院前に設置して、そのブラックボードの近くにチラシを置いておくと、通りすがりの人がチラシを受け取ってくれます。
労力をかけずに、しかも無料でチラシを配布できるので、とてもおすすめの方法です。
チラシを配布する際のポイント
チラシを配布する際のポイントは次のとおりです。
・チラシの配布枚数を把握する
・来院患者にアンケートをとって効果測定をする
・ホームページやSNSと連動させる
・短期・長期で使い分ける
各ポイントについて詳しく説明します。
チラシの配布枚数を把握する
チラシの配布枚数を把握するためにも、配布をするたびに、配布した枚数を地図に書き込んで置くことをおすすめします。
そうすると2回目の配布に必要なチラシの発行部数がわかるため、チラシ発注の効率化が可能です。
チラシは早めに、多くの枚数を発注すると料金が安くなります。発行部数を正確に把握しておくと、一気に多くの枚数を発注しても余ってしまう心配がありません。
来院患者にアンケートをとって効果測定をする
チラシを配った後は、必ず効果測定をしましょう。
チラシの効果測定をする際には、配ったチラシの枚数に対してどれくらいの患者さんが来院したのかを示す反応率や反響率を調べます。
整骨院や接骨院の場合は、問診表に来院したきっかけを尋ねる項目を作っておくことをおすすめします。来院のきっかけの1つに「チラシを見て」の項目を作っておくと、チラシの反応率や反響率を簡単に調べられます。
ホームページやSNSと連動させる
整骨院・接骨院の広告手段は、チラシのほかにホームページやSNSなどがあります。これらは、どれか一つに注力するよりは、すべてを万遍なく活用しましょう。
現在、チラシには住所や電話番号のほかに、ホームページのリンクやSNSのQRコードを記載するケースが見られます。チラシではデザインの都合上、記載できなかった情報もサイトにアクセスすることで整骨院の特徴をより詳しく把握できます。
また、SNSはこまめに施設の様子を伝えるのにぴったりです。患者さんに向けて季節のトピックやスタッフの様子などを伝えましょう。
短期・長期で使い分ける
チラシは、期間限定イベントや新規開店のための顧客集客ツール、短期キャンペーンの販促ツールとして用いられることもあります。
しかし、一度ではなく定期的な配布を続ければ、新規の患者さんにとって「不調になった際に真っ先に思い出していただける整骨院」となり、チラシを目にしたタイミングと、そのとき起こった症状が当てはまるケースが出てきます。
そこで、キャンペーンなどの短期的な集客を目的にしたチラシも配りながら、長期的に地域住民へ何度もアプローチする方法も織り交ぜるのが、効果的なやり方と言えます。
広告規制には注意
整骨院や接骨院が広告してもよい内容には、ポジティブリストが適用されます。ポジティブリストとは、表現してもよい項目のみを指定する広告規制の運用方法です。1)
ここでは、ポジティブリストの具体的内容やホームページについての考え方、違反が発覚した場合の処遇について解説します。
ポジティブリストの内容
ポジティブリストの内容は、柔道整復師法の第24条に定められています。
第二十四条 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
一 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所 引用:柔道整復師法 |
以上の一から四の各項目はポジティブリストにあたるため、該当項目以外については記載ができません。
さらに同法には、「柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。」とも記載されているため、整骨院や接骨院がチラシを作成する場合、記載できる事項がかなり限られることになります。
ホームページは広告にあたらない
現在のところ整骨院や接骨院のホームページは、広告の定義から外されており、取り締まりについては柔道整復師の関係団体の判断に委ねられています。2)
そのため、ホームページに先述のポジティブリスト以外の内容を記載しても柔道整復師法を破ったことにはなりません。
しかし景品表示法や薬機法はホームページも対象にしているため、誇張表現や誤認させるような表現には注意しましょう。
過去には、小顔矯正や頭蓋骨矯正で顔が小さくなるような表現をしたことが「優良誤認」にあたるとして、処罰されたこともあります。3)
チラシの広告規制違反が発覚した場合の処遇
通常、広告規制違反が発覚した場合には管轄の保健所や地方厚生局から指摘が行われ、指導により改善を促されます。
指導を受けたにも関わらず、問題のある広告の使用中止や改善がなされない場合は、刑事告発されるケースがあり、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられることも。
また、指導後も報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりすると罰金が適用されます。
そこで、普段から広告規制に関する知識を付けるほか、専門家の手を借りるなど、違法な広告を配布しないよう対策を講じておくことも大切です。
整骨院・接骨院と整体院におけるチラシに書ける内容の違い
柔道整復師法の対象となる整骨院と接骨院は、チラシに書ける内容がポジティブリストに限られます。
その一方で、整体院の場合は取り締まる法律が存在しないため、柔道整復師のように広告できる内容が限定されることはありません。つまり整体院であれば、整骨院や接骨院よりも多くのことをチラシでアピールできます。
ただし、整体院の場合も景品表示表の対象になるため、誇大広告や優良誤認などの施術サービスを実際よりも良く見せるような表現は避けることが大切です。
まとめ:整骨院・接骨院の集客にチラシを有効活用しよう
経営する整骨院や接骨院のことを地域住民を含め多くの方に知ってもらうには、チラシは効果的な宣伝ツールです。自身が運営する整骨院や接骨院の特性を理解して魅力的なチラシを作成しましょう。
また、作成の際には法律によって表現の仕方に規制があることも、理解しておくとよいです。
競合の多い中で整骨院や接骨院の運営を安定させるためには、既存顧客を取りこぼさないようにすることも大切です。
新規集客だけではなく、既存顧客のフォローにも力を入れて、来院患者数の維持に努めることをおすすめします。
そこで、既存顧客のフォローを効率化した場合は、リハサクが提供する運動療法のクラウドシステムを試してみてはいかがでしょうか。
運動療法の標準化と患者の運動習慣の定着化で、施術効果の向上が期待できます。患者も満足して通院してくれるので、来院者数の増加も期待できるでしょう。
運動療法クラウドシステムの詳細について知りたい場合は、下記より無料で資料をダウンロードしてください。
<参考文献>
1)2019年3月18日 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会(第6回)議事録|厚生労働省
2)第8回 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会(資料)|厚生労働省
3)小顔になる効果を標ぼうするサービスの提供事業者2社に景品表示法に基づく措置命令|東京都