足の裏が痛い原因と対処法|足底腱膜炎(そくていけんまくえん)の症状・セルフケア

「歩くと足の裏が痛い」「朝起きたときに足の裏が痛む」など、このような症状に悩んでいませんか?足の裏の痛みは放置すると、歩行障害慢性的な痛みを引き起こすこともあります。

この記事では、足裏の痛みとして最も一般的な「足底腱膜炎(別名:足底筋膜炎)」の原因や対処法を解説し、自宅でできるセルフケア方法をご紹介します。当記事を最後までお読みいただくことで、足底腱膜炎の原因がわかり、適切な対処法を身につけることができるでしょう。

【最初に確認】足の裏が痛い!足底腱膜炎とはどんな症状?

足底腱膜炎は、足裏の「足底腱膜」と呼ばれる腱膜に炎症が生じることで発症します。特に朝起きて最初の一歩目に足の痛みを感じるのが特徴です。立ち仕事スポーツなどで足に過度な負担がかかると、足底腱膜に細かい損傷が発生し、炎症が起きてしまいます。

【主な症状】

  • 土踏まずやかかとの痛み
  • 歩き始めの痛みが強く、その後少し軽減する
  • 長時間立っていると痛みが増す

足の裏を痛がる女性

足底腱膜炎が引き起こされる要因とは?

足底腱膜炎はオーバーユース障害(使いすぎ)と言われていますが、いくつかの身体的特徴や環境因子によってさらにリスクが高まります。

足底腱膜炎の症状を改善・予防していくためにも、痛みが出やすい特徴について確認していきましょう。

扁平足やハイアーチ

扁平足やハイアーチなど足裏のアーチが正常でない状態は、足裏の痛みを引き起こす一つの原因です。

扁平足:土踏まずが低下し、足裏全体に過度な負担がかかる状態。
ハイアーチ:土踏まずが高く、足の一部に負担が集中する状態。

これらの足の形の変形は、足裏の筋肉や腱に余計な負担をかけ、痛みを引き起こします。

扁平足とハイアーチ

長時間の立ち仕事や歩きすぎ

長時間立ちっぱなしの作業や歩きすぎは、足裏の筋肉靭帯過剰な負担を与えます。

特に立ち仕事の多い方や長時間歩くスポーツを行う方は、足底腱膜に炎症が起きやすい傾向にあります。

合わない靴や硬い地面での運動

クッション性のない靴サイズが合わない靴を履いていると、足裏への衝撃が直接伝わり、足の痛みを引き起こします。また、硬い地面でのランニングやスポーツも足底腱膜への負担が大きく、痛みを引き起こす原因になります。

足の裏の痛みを放置するとどうなる?

足の裏の痛みを軽視して放置してしまうと、次のような問題が引き起こされる可能性があります。

痛みが慢性化するリスク

足の裏の痛みが続くと、歩く際に無意識に足の使い方を変えてしまいます。
その結果、体のバランスが崩れ、足だけでなく膝や腰にも痛みが波及することがあります。特に「足底腱膜炎」は放置すると、症状が悪化し慢性化することがあるため注意が必要です。

歩行障害や体のバランスへの影響

足の裏の痛みをかばって歩行を続けると、姿勢が悪くなったり歩き方に癖がついてしまうことがあります。
これが原因で、足首や膝、股関節に負担がかかり、他の部位にも痛みが広がることがあります。

足底腱膜炎に効果的なセルフケア

足の裏の痛みを和らげるためには、早めの対処が重要です。ここでは、簡単にできる対処法を紹介します。

RICE処置(ライス処置)

足底腱膜炎による急な痛みや炎症には、「RICE処置」が効果的です。 足の痛みを感じたら、最初に「RICE処置」を行いましょう。RICEとは「Rest(安静)」「Icing(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の頭文字を取ったもので、ケガや炎症の早期改善に効果的な方法です。

REST処置を実施するイラスト

Rest(安静):痛む部分をしっかり休ませる。
Icing(冷却):氷や冷却パックを使って痛む部分を冷やす(1回15〜20分が目安)。
Compression(圧迫):テーピングや包帯を使って軽く圧迫することで腫れを抑える。
Elevation(挙上):足を心臓より高い位置に置き、血流を抑えて腫れを軽減する。

インソールやテーピングの活用

市販されている「インソール(中敷き)」は、足のアーチをサポートし、足底腱膜への負担を軽減する効果があります。特に扁平足やハイアーチの方には、足裏にフィットするインソールがおすすめです。
また、足の裏や踵に痛みがある場合は、テーピングを活用するのも効果的です。テーピングによって筋肉や靭帯の動きをサポートし、痛みの緩和が期待できます。

自宅でできる足裏ストレッチとマッサージ

足底腱膜炎や疲労による痛みに対しては、足裏の筋膜をほぐす足趾のストレッチやボールマッサージが効果的です。 足の裏に負担をかけすぎないよう、優しくストレッチを行いましょう。

足趾ストレッチ

STEP1:膝立ち姿勢となりましょう。後方の足は床と直角になるように立てましょう。
STEP2:立てたつま先に体重を乗せ、足底の筋肉を伸ばしましょう
※痛みのない範囲で行いましょう。

ボールマッサージ

STEP1:足元に置いたテニスボールを踏みましょう。
STEP2:両手を膝に起きテニスボールを足の裏で圧迫しましょう。
STEP3:圧迫したまま、ボールを後方に動かしましょう。
STEP4:その後、ボールを前方へ動かしましょう。繰り返しボールを交互に動かしましょう。
※痛みのない範囲で行いましょう。

また、痛みが軽減してから少しずつ足底についている筋肉の強化を行っていきましょう。
タオルギャザーは足裏のアーチを挙上させるような筋肉を鍛えることができ、扁平足の方におすすめのエクササイズです。

タオルギャザー

STEP1:タオルを床に敷きましょう。
STEP2:タオルを踏みましょう。
STEP3:指を丸めタオルを引き寄せましょう。
STEP4:指を開きタオルに置きます。繰り返し実施しタオルを引き寄せていきましょう。
※1回1回指を大きく開きましょう。

足底腱膜炎の予防法

足の裏の痛みを再発させないためには、痛みの原因となるリスクを少しでも減らしていくことが重要です。

正しい靴選び

クッション性があり、足裏にフィットする靴を選びましょう。特にスポーツを行う方は、用途に合ったシューズを選ぶことが重要です。

適度な運動と休息のバランス

長時間の立ち仕事や運動を続ける場合は、適度な休息を取り入れましょう。また、ウォーキングや軽いストレッチで筋肉をほぐすことも効果的です。

足裏やふくらはぎの筋力トレーニング

足裏やふくらはぎの筋力を高めることで、足底腱膜への負担を軽減できます。例えば、つま先立ちや踵の上下運動を日常に取り入れてみましょう。

病院を受診するタイミングは?

足の裏の痛みはセルフケアで改善する場合が多いですが、次のような症状が続く場合は、早めに病院を受診しましょう。

受診を検討すべき症状

病院のイメージ

痛みが2週間以上続いている
軽い痛みだと思って放置していると、炎症が悪化し慢性化することがあります。痛みが長引く場合は専門医に相談しましょう。

歩行が困難になるほどの痛み
歩くたびに激痛が走る、足をつけないほど痛みが強い場合は、骨折や重度の足底筋膜炎の可能性も考えられます。

腫れや内出血が見られる
足裏に腫れや皮下出血がある場合は、筋膜や靭帯の損傷が考えられます。早急に診断を受け、適切な治療を行いましょう。

痛み以外の違和感がある
例えば、足裏にしびれや感覚異常がある場合は、神経の圧迫や血流障害の可能性もあります。

受診する診療科は?

足の裏の痛みを診てもらうには、以下の診療科がおすすめです。

整形外科:骨や筋肉、靭帯の状態を確認してもらえます。X線や超音波検査を受けることで、足底筋膜炎や骨折の有無を診断します。
接骨院・整骨院: 軽度な症状や筋肉のケアが中心となります。痛みが強い場合は、まず整形外科で診断を受けましょう。

診療科に迷った場合は、まずは整形外科を受診し、症状に応じて治療方針を決めると良いでしょう。

まとめ

足の裏が痛い原因としては、足底腱膜炎をはじめ、扁平足やハイアーチ、長時間の立ち仕事や運動など、日常生活の中に原因が潜んでいることが多いです。

【足の裏の痛みへの対処法まとめ】
セルフケアの実践:RICE処置、インソールやテーピングの活用。
ストレッチとマッサージ:足裏やふくらはぎの柔軟性を高める。
靴選びの見直し:クッション性の高いシューズを選ぶ。
痛みが続く場合は病院を受診:整形外科や接骨院で専門的な診断を受ける。

適切なセルフケアや予防で、足の裏の痛みは改善できます。少しの痛みも放置せず、早めの対策で快適な日常を取り戻しましょう。

「少しの痛みだから…」と放置せず、痛みを感じたら早めの対策を心がけましょう。

参考文献

1) Biomechanical differences among pes cavus, neutrally aligned, and pes planus feet in subjects with diabetes
2) 関節外科 基礎と臨床 Vol.34 No.1【電子版】
3) Evidence for foot orthoses for adults with flatfoot: a systematic review