接骨院・整骨院を法人化するメリットとデメリット、タイミングについて解説!

接骨院・整骨院を法人化するメリットとデメリット、タイミングについて解説!

整骨院や接骨院を法人化すると、節税効果や消費税の免除といった税務上の恩恵を受けられます。さらに社会的信用も向上するため、金融機関からの融資が受けやすくなり、経営の安定にもつながるでしょう。

その一方で法人化には設立費用や社会保険への加入義務が発生したり、赤字でも税金がかかったりするなどのデメリットもあります。メリットとデメリットをしっかり把握し、適切なタイミングで法人化を検討することが重要です。

本記事では、整骨院・接骨院の法人化を目指す人に向けて、そのメリットやデメリット、適切なタイミングを詳しく解説します。

 接骨院・整骨院を法人化するメリット

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整骨院・接骨院を法人化するメリットとして、まずは節税効果や消費税納税の免除が挙げられます。他にも、社会的信用度が高まり、経営をやりやすくなる点も魅力です。それぞれのメリットについて詳しく解説します。

節税できる

法人化すると、節税のメリットが得られます。法人税率は所得税率より低く設定されており、特に利益が大きくなるほど税負担を軽減できます。

さらに、法人でしか活用できない税制優遇措置や控除もあるため、適切に活用すれば大幅な節税効果を実現できるでしょう。とくに高額な利益を上げている場合は、法人化によって大きな税金対策が可能です。

節税対策については、次の記事も参考にしてください。

整骨院・接骨院の経営者が活用できる節税方法12選!注意点も解説

 消費税の納税が免除される

法人化を行うと、最長2年間の消費税免除の対象となることがあります。個人事業主で売上が1000万円を越え、消費税の支払い義務が生じても、法人化すると一定期間は免除されます。

ただし法人化した際に、資本金が1000万円以上になると法人化した年から消費税を納める必要があるため注意しましょう。また1期目の前半6か月の課税売上高が1000万円を越えると、法人設立後2年目には消費税がかかります(※1)。

また2023年に導入されたインボイス制度により、インボイスを発行する場合はこの免除が適用されない点にも注意が必要です。

社会的信用度が高まる

接骨院や整骨院を法人化すると、社会的信用が大きく向上します。法人は法務局に登記され、公的な機関によってその存在が確認されるため、個人事業主と比較して信頼を得やすくなるのです。

また法人化することで組織として認識されるため、業務に対する安心感や信頼感が増し、新規取引や患者さんからの信頼を向上させる効果も期待できます

事業をするうえで社会的信用度が高まると、金融機関からの借入をしやすくなる点も魅力です。新店舗を立ち上げる際や、急な出費が必要になった場合などに、金融機関からのサポートを受けやすくしておくと整骨院・接骨院経営を円滑に進めやすくなります。

 接骨院・整骨院を法人化するデメリット

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接骨院・整骨院を法人化するデメリットは次のとおりです。

  • 法人化のための費用がかかる
  • 利益の使い道に制約を受ける
  • 社会保険に加入する必要がある
  • 赤字でも税金を納める必要がある
  • 経理業務が煩雑になる

各デメリットについて詳しく解説します。

法人化のための費用がかかる

法人化には、設立費用が必要です。個人事業主として開業する場合には費用はほとんどかかりませんが、法人化には法定費用として10万円以上の出費が発生します。法定費用とは、定款認証や法人登記の手続きのためにかかる法律で定められた費用で、資本金や法人の形態によって異なります(※2)。

この費用は一度限りですが、事業規模や設立時の状況によっては負担が大きい場合もあるため、慎重な検討が必要です。

利益の使い道に制約を受ける

法人化すると、法人のお金は法人のものとして扱う必要があるため、個人で自由に使えません

プライベートで使用するには、役員報酬として給与を支給される必要があり報酬額も税法上の制約を受けます。また役員報酬は基本的に年度途中で変更ができず、事前にしっかりと計画を立てる必要があります。

社会保険に加入する必要がある

法人化すると、従業員の有無にかかわらず社会保険への加入が義務化されます。個人事業主の国民健康保険とは異なり、法人の場合、役員報酬に基づいて社会保険料が計算されるため、負担が大きくなることがあります。たとえば役員報酬が50万円の場合、月々の社会保険料は法人と個人を合わせて約15万円にもなります(※3)。

赤字でも税金を納める必要がある

法人の場合、たとえ赤字でも最低限の税金がかかります個人事業主であれば赤字の場合は所得税が免除されます。しかし法人では最低でも年間約7万円の法人住民税が課税されるため、赤字経営でも税金の支払いは避けられません(※4)。

経理業務が煩雑になる

法人化すると、経理業務が複雑になります。個人事業主に比べて

です。

法人と個人の資金を明確に分けて管理することも求められるため、経理の負担が増加します。税理士への依頼費用も高額になる場合があるため、経理負担は法人化の大きなデメリットのひとつといえます。

接骨院・整骨院の法人化が節税につながるタイミング

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整骨院・接骨院の節税対策の一環として法人化を考える場合、年間売上が1000万円を越えるタイミングで法人を設立するのがひとつの目安です。

整骨院・接骨院の場合、保険施術は非課税ですが、自費メニューには消費税がかかります。消費税は個人事業主と法人にかかわらず、売上が1000万円を越えると2年目以降から、納める必要があります。一方で双方ともに売上が1000万円を越えなければ、消費税は免除されるのです。

たとえば2024年度に年収1000万円を越えたと仮定して、そのまま個人事業主を続けたケースと翌年の2025年に法人化したケースを比較すると次のとおりです。

▼消費税の支払い義務に有無

年度 個人事業主を続けた場合の消費税 2025年に法人化した場合の消費税
2024年 納税義務なし 納税義務なし
2025年 納税義務なし 納税義務なし
2026年 納税義務あり 納税義務なし
2027年 納税義務あり 納税義務あり

また個人事業主が納める所得税には累進課税が適用されており、最大で45%の税率がかかりますが、法人税の場合は所得額800万円以上になると原則23.2%の税率です(※5)(※6)。

そのため保険施術を中心に行う整骨院・接骨院の場合も、所得額が1000万円前後になったタイミングで法人化による節税を検討するのもよいのではないでしょうか。

接骨院・整骨院を法人化するまでの流れ

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整骨院・接骨院を法人化するまでの流れは次のとおりです。

  1. 定款の作成と認証
  2. 資本金の払い込み
  3. 設立の登記申請
  4. 登記申請後の手続き

各項目について解説します。

1.定款の作成と認証

法人化を進める最初のステップは「定款」の作成です。定款とは、会社の運営に関する基本的な規則や方針を定めた文書であり、法人化には必須です。

定款には会社名(商号)や本店所在地、事業内容、資本金額などを明記します。作成後は、公証役場で認証を受ける必要があり、ここで正式に法的な効力が発生します。認証には費用がかかるため、事前に準備しておきましょう。

2.資本金の払い込み

定款の認証が完了したら、次に資本金の払い込みを行います。発起人(設立時の出資者)は、指定の銀行口座に資本金を振り込み、その証拠を作成します。

この入金された資本金は、会社の運営資金として使われ、将来の事業展開に大きく影響を与えます。

3.設立の登記申請

資本金が払い込まれた後、法務局で設立の登記申請を行います。この手続きを経て、法人として正式に設立され、登記申請日が会社の設立日となります。

必要な書類には、定款の他に資本金の払い込み証明書、取締役の就任承諾書などが含まれます。申請時には登録免許税も支払う必要があります。

 4.登記申請後の手続き

登記が完了したら、法務局で次の手続きを行う必要があります。

  • 印鑑カードの取得
  • 印鑑証明書の発行
  • 登記事項証明書の発行

印鑑証明書を発行するには印鑑カードが必要ですので、手続きを忘れずに行いましょう。また登記事項証明書は、法人口座の開設や助成金申請などに必要となるため、早めに取得しておくことをおすすめします。

これらの手続きは、法務局に直接出向くか、郵送でも対応可能です。時間が取れない場合や来局が難しい場合は、郵送の利用が便利です。

接骨院・整骨院を法人化したあとにやるべきこと

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法人化後に行うべき主な手続きについて、5つ解説します。

 会社の銀行口座開設

法人化したら、まずは法人口座を開設します。個人と法人の資金を明確に分けることで、税務処理がスムーズになり、社会的な信用も高まります。法人口座の開設には銀行の審査が必要ですが、融資を受けやすくするメリットもあります。

個人事業の廃業手続き

法人化に伴い、個人事業としての廃業手続きを行います。廃業届出書は、廃業後1ヶ月以内に税務署へ提出し、必要に応じて「所得税の青色申告の取りやめ届出書」「給与支払事務所等の廃止届出書」も提出します。また個人事業の資産や負債を法人に引き継ぐための手続きも必要です。

各機関への法人設立届出書の提出

法人設立後は、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場に法人設立届出書を提出します。提出期限はそれぞれ異なり、税務署には設立日から2ヶ月以内に届け出る必要があります。

労働保険への加入手続き

従業員を雇用する場合、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が義務付けられています労働基準監督署で労災保険の手続きを行い、ハローワークで雇用保険の手続きを進めましょう。

社会保険への加入手続き

従業員の有無に関わらず、社会保険に加入する必要があります年金事務所で健康保険や介護保険、厚生年金保険の加入手続きを行い、適切に書類を提出しましょう。

接骨院・整骨院を法人化する場合は事前にしっかりと考えよう

考える人のイメージ

整骨院や接骨院を法人化するメリットとして、節税効果社会的信用の向上消費税の免除が挙げられます。法人化により、所得税より低い法人税率が適用され、さらに税制優遇措置も利用可能です。

社会的信用も高まり、金融機関からの融資を受けやすくなります。また個人事業で売上が1000万円を超えても、法人化すると最長2年間は消費税の免除が適用される場合があります

一方でデメリットを挙げると、設立費用が10万円以上かかることや社会保険への加入が義務化されることなどが挙げられます。また赤字でも法人住民税が発生する点にも注意しましょう。経理業務が複雑になり、経理負担や税理士費用が増加する可能性もあるため、慎重な検討が必要です。

【参考文献】

弥生株式会社
日本公証人連合会
辻・本郷 税理士事務所
総務省
所得税の税率|国税局
法人税の税率|国税局


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