昨今、手に職を付けたいと資格を取得する方が増え、柔道整復師もその候補となっています。
柔道整復師は、主に整骨院・接骨院で働く「骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷」などのケガを施術する国家資格です。
また、整骨院・接骨院だけでなく、さまざまな職場で働ける資格でもあります。
そこで当記事では、柔道整復師の収入・給料を徹底解説し、他の働き方や年収アップ方法も紹介していきます。
最後までお付き合いくださいませ。
柔道整復師の収入・給料について
まず、整骨院・接骨院で働く柔道整復師の収入・給料を紹介します。
平均年収は約300〜400万円
あくまで平均ですが、整骨院・接骨院で働く柔道整復師の年収は約300〜400万円です。全体の収入額の幅は308〜763万円になりますので、参考程度に平均年収を捉えておくとよいでしょう。
収入は地域によっても差が出てきます。地方よりも都市部の方が物価が高いため、給料も高くなりやすいです。
また、勤続年数・業界経験年数・スキルなどでも給料は変わります。
初任給は月収約25万円
新卒の初任給の平均は、月収約26万円です。これは額面上ですので、手取りになるともう少し下がります。
初任給も地域差や勤務先で変わりますので、あくまでも参考程度にしておきましょう。
求人募集を探す時、どうしても収入・給料を見てしまいますが、仕事内容や働きやすさも見ておいてください。
給料だけを見ていたら、勤務時間が長かったり業務内容が大変だったりする可能性があります。
お金も大切ですが、それ以上に長く勤務できる環境も大切ですので、十分に諸条件を確認した上で就職することをオススメします。
働き方で変わる可能性あり
近年、柔道整復師の働き方が変わってきています。整骨院・接骨院だけが就職先ではなく、整形外科・クリニック・介護施設・スポーツジム・養成学校など、さまざまな施設で求人が出ています。
よって、収入・給料も働き方で変わる可能性があるでしょう。以下では、柔道整復師の働き方を紹介します。
柔道整復師の働き方について
では、柔道整復師の働き方について、それぞれの特徴を紹介していき、良い面と悪い面を徹底解説します。
整骨院・接骨院
柔道整復師の就職先として一番に考えるのは、整骨院・接骨院でしょう。特徴を紹介する程でもありませんが、整骨院・接骨院は柔道整復師の資格があるからこそ開業できる唯一の施設です。
よって、柔道整復師として整骨院・接骨院を独立開業したい方にとって、就職すれば間近で業務に携われるチャンスです。
レセプトでの保険請求方法やさまざまな患者の対応方法、新規顧客を獲得する集客方法、新しくスタッフを迎え入れる求人方法など、自身に有益なものを得られるでしょう。
しかし、個人で経営している整骨院・接骨院は拘束時間が長く、比較的給料が低い傾向があります。将来に役立つ知識を得られる分、金銭面は少し物足りなさを感じることがあるかもしれません。
収入・給料が気になる方は、複数店舗を経営しているグループの整骨院・接骨院をオススメしますが、グループなので全て業務がマニュアル化されている分、融通が効かないという点に注意しましょう。
整形外科・クリニックなどの医療機関
整形外科・クリニックなどの医療機関では、主にリハビリスタッフとして勤務します。急性外傷だけでなく、慢性の疾患に対しても医師の指示に従いリハビリを行っていきます。
整形外科やクリニックでは、整骨院・接骨院に勤務していると遭遇できない疾患を診ることも。
レントゲンはもちろん、MRIも設置している医療機関もありますので、柔道整復師の経験・スキルとして非常に有益なものが多くあります。
しかしながら、リハビリは理学療法士が重宝されます。柔道整復師は理学療法士のサポートとしてリハビリを行うことも多いため、少し肩身の狭い思いをするかもしれません。
また、整骨院・接骨院の独立開業を考えている場合、医学以外の運営知識があまり身に付かないため、整骨院・接骨院に転職をしなければいけないでしょう。
介護施設
介護施設とは、デイサービス(通所介護)・ショートステイ(短期入所生活介護)などの柔道整復師が機能訓練指導員として勤務できる施設をいいます。
柔道整復師の資格を取得すると、介護分野では機能訓練指導員として勤務できますので、新たに資格を取得する必要がありません。
介護施設に勤務するメリットとして、支援する時間が決まっているため、比較的早く帰宅できる点です。
整骨院・接骨院や整形外科・クリニックは、仕事終わりの方に施術を行うので、どうしても遅い時間まで対応しなければいけません。しかし、介護施設では高齢者に対して支援するため、遅くても17時頃には終わります。そこから書類作成やミーティングなどして、18時頃には帰宅できる可能性があるでしょう。
デメリットとしては、主に高齢者を対象に対応していきますので、機能訓練やリハビリだけでなく場合によっては食事・入浴・排泄介助もしなければならないこともあります。
また、施術をほとんどしないため、一度介護施設に就職すると、ブランクもあり施術業務に転職することが難しくなる可能性があります。
スポーツジム
スポーツ選手や学生、一般の方に対してトレーニングを教えたいのなら、スポーツジムで働くことをオススメします。
施術のことよりも筋肉やトレーニングについて興味があり、教えることが好きな人に向いています。
最近では24時間開店しているフィットネスジムや、マンツーマンで行うパーソナルジムがありますので、スポーツジムの中でもさまざまな働き方があるでしょう。
柔道整復師の資格を取得していても、トレーニングや栄養の知識を付けたい場合はアスレティックトレーナーの資格を取得する方もいます。
大学・専門学校などの養成学校
大学・専門学校などの養成学校で、専任教員として働くこともできます。国家試験に合格できるよう、柔道整復師を目指す学生に対して授業を行う仕事です。
学生が日々成長していく姿を間近で見れますので、やりがいのある仕事といえるでしょう。
専任教員も授業時間が決まっていて、授業が終われば基本的に業務終了となるため整骨院・鍼灸院で働くよりは早く帰宅できます。
しかし、明日の授業準備があったり、担任をしていると学生の悩み相談や進路相談などがあったりして、帰りが遅くなることがあります。
また、授業以外にも学校行事に参加しなければならないため、休日出勤をすることも多いかもしれません。
専任教員になるには、柔道整復師専科教員の資格を取得しなければいけません。詳しくは後ほど紹介します。
年収をアップさせる方法
柔道整復師は、方法次第で年収をアップができます。効果的なものを5つ紹介します。
鍼灸師の資格を取得する
整骨院・接骨院に勤めているなら、鍼灸師の資格を取得すると年収アップに繋がります。主に資格手当がアップし、さらに職場で重宝されるでしょう。
鍼灸師の資格を取得するには、柔道整復師と同様に養成学校に3年以上通学し、国家試験に合格する必要があります。
養成学校によっては柔道整復師の資格を持っていると、入学金が免除されたり単位が認定されたりされますので、無資格者よりも優遇されることが多いです。
また、年収アップだけでなく自分自身の施術の幅も広がり、改善できる症状が増えるでしょう。
しかしながら、注意点として整骨院・接骨院で勤務している場合のみ、年収アップに繋がることです。
他の勤務先では、鍼灸師の資格を取得しても活かせないことが多いので注意が必要です。
柔道整復師の専科教員(非常勤)になる
柔道整復師の資格を取得しようとしている学生を教えたいのなら、柔道整復師の専科教員の資格を取得しましょう。
専科教員の資格を取得し非常勤の教員になれば、本業に勤務しながらでも教えることができますので、年収アップに繋がります。
柔道整復師の専科教員の資格を取得するには、東京と大阪で毎年行われる専科教員認定講習会を受講し、修了試験に合格する必要があります。
また、講習会を受講するには柔道整復師として5年以上の実務経験と、毎年5月に行われる講習会受講試験に合格しなければいけません。
講習会受講試験は倍率が高めで少し難しいですが、合格できれば講習会を受講でき教員資格を取得できますので挑戦してみましょう。
副業してみる
勤務先が副業可能であれば、副業してみるのもいいでしょう。副業でうまくいけば、本業に近いぐらい稼げることもあります。
副業の種類として、以下のようなものがあります。
- アルバイト(整骨院・接骨院や飲食店など)
- 仕事マッチングサイトでの受注
- トレーナー帯同
アルバイトは整骨院・接骨院でも可能ですが、本業で整骨院・接骨院に勤務している場合は難しいでしょう。なぜなら、勤務時間がどうしても同じになってしまうため、副業でアルバイトするのは不可能だからです。
最近では、仕事マッチングサイトで仕事を受注することもできます。仕事を依頼したい人と仕事をしたい人を繋げるサイトがありますので、利用して仕事を探してみましょう。
自分の得意分野の仕事があれば、仕事を受注しやすいです。
副業でトレーナーとして、どこかのチームに帯同している柔道整復師もいます。中学校や高校の部活・クラブチーム・社会人チームなど、さまざまな年代やスポーツでトレーナーが存在します。
チームに帯同することで対価を貰えますが、予算が少なく貰えないチームも多いでしょう。それだけトレーナーで対価を貰うことは、有名トレーナーにならないと難しいです。
思い切って転職する
今の職場で満足していなければ、思い切って転職するのも選択の一つです。
時折、『転職なんて職場の人に対して後ろめたい』という気持ちを持たれる方もいらっしゃいますが、昨今は転職も活発化しているため、そこまで世間的にネガティブなイメージはありません。
同じ業種で給料が高いところを選ぶのも良し、上記のような違う業種で新しいスキルを身に付けるのも良いです。
実務経験を積んで独立開業する
柔道整復師の一番の魅力として、3年以上の実務経験を積めば独立開業できることです。自分で整骨院・接骨院を運営しますので、うまく軌道に乗せることができれば年収アップできる可能性があります。
しかし、あくまでも年収アップの可能性があるというだけで、独立開業したからといって必ず年収アップに繋がる訳ではありません。
しっかりと柔道整復師としての技術、施術所の経営方法などを学んでから独立開業しなければ、夢の独立開業も失敗に終わってしまいます。
独立開業における一番のメリットは、稼いだ利益がそのまま自分の給料になることです。つまりは成果を出した分だけ収入を増やすことができます。
一方で、事業の責任はすべて自分で負わなければなりません。もし売上を上げることができなければ、収入がありませんし、もちろん毎月の給料は保証されません。
独立開業は成功することで大幅な年収アップを目指せますが、失敗すると多額の資金を失ってしまう、ハイリスク・ハイリターンな取り組みであることを覚えておきましょう。
まとめ
柔道整復師の平均年収は、日本の平均年収と比べて少し低い位置にありますが、働き方次第で年収アップすることが可能です。
働き方もさまざま種類がありますので、自分自身に合ったものを見つけましょう。
悩んでいる場合は、養成学校の時にお世話になった先生や、同級生や先輩の柔道整復師の方に相談することをオススメします。きっと、あなたに合ったアドバイスをしてくれると思います。
当記事が皆様のお役に立てば幸いです。
<参照元>
柔道整復師の仕事の年収・時給・給料 求人ボックス