整骨院・接骨院を経営されている方は、さまざまな施策を考えられていると思います。その中で歩くのが困難で通院するのが難しい方向けに、送迎サービスを思いつく方もいらっしゃるでしょう。しかし送迎サービスは注意点がありますので、今回は整骨院・接骨院の送迎サービスについて解説していきます。
有料で行う場合は違法の可能性も
送迎サービスで一番注意しなければならないのは、有料で行う場合です。何も考えずに有料で送迎サービスを行うと、違法になる可能性があります。道路運送法第3条の「旅客自動車運送事業」という法律があり、自動車に乗り有償で旅客を輸送した場合に適用されます。よって、たとえ100円であっても有償にすれば適用され処罰の対象になるのです。そして、有償で行う場合は条件があり、第二種運転免許を有していて国土交通省の許可が必要です。
有償にするには、かなりハードルが上がるため無償で行うことをおすすめします。
無料で行う場合でも注意が必要
しかし、無償で行う場合でも注意が必要な点がいくつかありますので、それぞれ解説していきます。
自動車の費用が掛かる
自動車は送迎サービスで一番費用が掛かります。中古車を購入しても、それなりの費用が掛かってしまいます。さらに、自動車に整骨院・接骨院の名前や電話番号をペイントしようとすると、さらに費用が掛かることに。自動車の費用は車体だけではありません。自動車を持っている方は想像できると思いますが、他に掛かる費用がたくさんあります。
- 保険料(自賠責保険・任意保険)
- 月極駐車場代(主に都市部)
- ガソリン代
- メンテナンス料(バッテリー・オイル・タイヤ等)
このように、車体以外の見えない費用が月々に掛かってきますので、送迎サービスを検討されている方はこの費用を計算し、キャッシュフローを考えた上で実行してください。特に月極駐車場は地域差がありますので、自身が開業されている整骨院・接骨院ではどのくらいの費用なのかリサーチしておく必要があります。
ちなみに、自動車の配車手段としてリースやレンタルという方法もありますので、自身のスタイルに合った配車方法を検討しましょう。
ドライバーの雇用が必要になる
整骨院・接骨院を運営されている方のほとんどは、従業員をギリギリで雇用されていると思います。その中からドライバーとして働いてもらうのは、なかなか現実的に厳しいですよね。また、送迎で来られた数人の患者様にすぐに対応しなければならないため、従業員をドライバーにしていると対応が大幅に遅れてしまいます。
そうなるとやはりドライバーの雇用が必要です。しかしながら、ドライバーを無償で雇用するのはとても難しいため、その部分にも費用が掛かってしまいます。仕事を退職した身内の方で、誰かボランティアをしてくれる方がいれば頼んでみるのもいいでしょう。
完全に雇用される場合は、送迎サービスの費用対効果を常に確認し損失のないようにしなければなりません。
交通事故が発生する場合がある
自動車を運転する時、常に隣り合わせのリスクとして交通事故があります。毎日自動車に乗っていればその分、事故が起こる可能性が高くなってしまいます。このようなリスクを軽減するためには、自動ブレーキや障害物センサーが付いた自動車を購入するとよいでしょう。
また一般的な傾向として、若い方が送迎ドライバーの仕事に応募することは少なく、運転手として働く多くの方は中年以降の方になりがちです。よって、必然的に交通事故のリスクが高くなるため、求人募集時に実技テストを設けたりして対策しておく必要があります。
さいごに
送迎サービスは、特に地方ではとても需要が高いです。整骨院・接骨院に通いたいけど足が悪くて行けない、または自動車や自転車に乗れない方はたくさんいらっしゃいます。そのような方々にとても助かるサービスなので、新たな患者さんの獲得に繋がります。
それでは今回の記事が、皆様のお役に立てたら幸いです。
<参照元>
増患が見込める送迎サービスの費用はいくら?届け出は必要? OGメディック
福祉有償運送ガイドブック 国土交通省自動車交通局旅客課
道路運送法の基礎知識について 国土交通省
介護施設で送迎ドライバーが人手不足になりやすい理由とは|送迎ドライバーの魅力・やりがいを紹介 リジョブ