当社の運動指導ツール「リハサク」は、リハビリテーションとテクノロジーの融合により業務の効率化を目指すことで、最終的に人々の未来をサポートする新たなヘルスケサービスである。リハサクをより効率的に活用するためには、ツールを利用する方々の特徴を捉える必要がある。本調査では、リハサクを使用している方々を対象に、運動記録率やログイン率といったリハサクの使用特徴と、年齢などの対象者の特徴の関連性を検討した。
【調査対象】
対象は、リハサクを導入している施設でエクササイズの処方を受け、初回疼痛記録日から90日以上疼痛が継続している10代から70代までの241名とした。対象データにおいて、重複して抽出された対象者のデータは1名分としてカウントした。またデータの記録がない場合は対象から除外した。
本調査ではリハサクから抽出することが可能であるデータを基に下記7項目の相関関係を検討した。
ログイン率 | ログインした日数/利用期間 |
運動記録率 | 運動を記録した日数/利用期間 |
年齢 | リハサク利用時の年齢 |
利用期間 | 痛みを記録した初日から90日以上経過している痛みの経過日で最も日付が早い日付 |
初回エクササイズ処方数 | 痛みを記録した初日の直前に送信された運動メニュー数 |
累計エクササイズ処方数 | 計測期間が終了する日付までに送信された運動メニュー数の合計 |
初回NRS(Numerical Rating Scale) | 記録開始した初日の |
「分析方法の説明」
・相関関係とは
2つの事象において1つが増えるにつれもう一方も増えるもしくは減るといった関係がある場合、この2つには相関関係があるとされる。変数Aに対して変数Bが増加する場合は正の相関、逆に変数Bが減少する場合は負の相関と言われる。また相関関係の強さは、相関係数を用いて表される。相関係数は、0~0.2未満:相関関係がほとんどない、0.2~0.4未満:非常に弱い相関関係あり、0.4~0.7未満:中等度の相関関係あり、0.7~0.9未満:強い相関関係あり、0.9以上:非常に強い相関関係ありとされている。
【調査結果】
調査対象は、除外基準に該当しない147名(男性:71名、女性:76名)であった。各項目間の関係性について表1に示す。
ログイン率と運動記録率は有意な正の相関を認め、ログイン率と利用期間は負の相関を認めた(図1)。年齢はログイン率、運動記録率との間に有意な正の相関を認め、利用期間および累計エクササイズ処方数との間に有意な負の相関を認めた(図2-4)。運動記録率は利用期間とは有意な負の相関を認めた(図5)。初回エクササイズ処方数と累計エクササイズ処方数には正の相関を認めた。
表1. 各項目間の相関関係
図1.利用期間とログイン率の関係
図2.年齢とログイン率の関係
図3.年齢と運動記録率の関係
図4.年齢と利用期間の関係
図5.利用期間と運動記録率の関係
【分析者からのユーザー様へのコメント】
ログイン率や運動記録率は対象者の年齢や利用期間に関係することが明らかとなった。また、エクササイズ処方数は運動記録率や利用期間、疼痛との間に相関関係が小さかった。
自宅における。本調査で明らかとなった相関関係により、リハサクを活用する際には、年齢や利用期間に応じた対策を施す必要がある。
リハサクは利用期間の途中でもエクササイズの追加や変更など対応することが可能であるため、その点について今後特徴に合わせた対策を提案することが望まれる。
例えば、エクササイズの内容や処方数だけではなく、利用者の活動状況やエクササイズを追加するタイミングについて考慮することが挙げられる。このような対策を通じて、対象となる方々が、運動を継続し、より健康的な生活を送れるように支援していく必要がある。
【参考文献】
- Shafer AGM, et al. The Efficacy of Electronic Health-Supported Home Exercise Interventions for Patients With Osteoarthritis of the Knee: Systematic Review. J Med Internet Res 20(4):e152, 2018.
執筆者
内野翔太 理学療法士
(認定理学療法士(スポーツ理学療法))
【所属】
医療法人社団鎮誠会 季美の森整形外科 リハビリテーション科
【経歴】
平成22年3月 帝京大学福岡医療技術学部 理学療法学科卒業(理学療法士免許取得)
平成22年4月 医療法人社団鎮誠会 入職
平成30年3月 千葉大学大学院人文社会科学研究科地域文化形成専攻 地域スポーツ教育学分野 修了(学術修士)【研究分野】
膝関節(ACL損傷予防)、スポーツバイオメカニクス