リハサクを用いた効率的な運動プログラムの作成方法は?〜運動処方の状況調査からわかったこと〜

【この記事は こんな方におすすめ!】

  • 効果的な運動プログラムを簡単に作成したい方
  • 慣れない疾患や症状でも 自信を持って運動プログラムを提供したい方

【調査背景】

リハサクは、対象となる疾患名や症状、動作などから、エビデンスに基づいた運動を組み合わせた運動プログラムを提案するパッケージ検索機能を有している。またユーザは、提案された運動プログラムに含まれる運動の種類と難易度を、対象者の症状や身体機能、好みに応じて簡単に調整することも可能である。

運動プログラム作成の方法は、大きく、①リハサクのパッケージをそのまま利用する(P変更なし)、②その一部を変更して利用する(P変更あり)、③パッケージを用いずにメニュー検索から個々の運動を組み合わせる(独自の組み合わせ)の3 通りに分かれる。

上記3つの方法の利用状況が明らかとなれば、リハサクを用いて簡単にかつ効果的な運動プログラムを作成する方法を考えるヒントを得られるかもしれない。

そこで、本調査では、全運動処方数に対する①P変更なし、②P変更あり、③独自の組み合わせの割合を調査した。くわえて、パッケージ処方数の上位10個のパッケージを抽出し、デフォルトに設定されている運動メニューの変更率を調査した。

【調査方法】

調査対象は、2020年5月18日〜2020年3月31日までに処方された全ての運動プログラムとした。全処方数に対する①P変更なし、②P変更あり、③独自の組み合わせ、④その他の方法の割合を算出した。

次に、パッケージ処方数上位10個のパッケージを抽出し、パッケージごとにデフォルトに設定されている運動メニューの変更率を調査した。なお、本調査では、パッケージに含まれる運動メニューの内、どれか1つでも変更された場合に、「②P変更あり」と判定した。

【調査結果】

37,343件の運動プログラム処方が調査対象となった。全処方数のうち、①P変更なしが22.5%、②P変更ありが21.7%、③独自の組み合わせが40.9%、④その他の方法が14.8%であった。約44%の処方で、パッケージ検索機能が利用されており、パッケージを変更しない処方とパッケージの一部を変更する処方の数は同程度であった。

処方数上位10個のパッケージに限定すると、パッケージ内容の変更率が6割以上であるパッケージが半数以上を占めていた。

表1.パッケージ処方数ランキングTOP10と各パッケージ内容の変更率

順位

部位

診断名・症状

パッケージ名 総処方数

内容の

変更率

1

腰椎

長時間の同一姿勢で痛みがでる

長時間同じ姿勢・動作を行うことで痛みが出る 398

64%

2

腰椎

体を前屈(屈む)すると痛い

夕方や仕事後に痛みがある 288

39%

3

腰椎

体を後屈(反る)すると痛い

強制的に反らせると痛みがある 223

70%

4

腰椎

体を前屈(屈む)すると痛い

起床時やくしゃみの時に痛みがある 206

64%

5

肩関節

肩関節周囲炎

日常生活動作(物をとる、後ろに手を回すなど)で痛み 177

71%

6

腰椎

起床時に痛みがでる

起床時やくしゃみの時に痛みがある 175

68%

7

膝関節

変形性膝関節症

(膝OA)

日常生活動作(歩行、座位からの1歩目、階段、しゃがみ込みなど)で痛み 161

53%

8

股関節

股関節唇損傷

日常生活で軽い痛み 158

44%

9

肩関節

肩関節周囲炎

痛みが強い(急性期) 153

69%

10 腰椎

脊柱管狭窄症

動作を継続した(長時間の歩行など)で痛み 153

65%

【分析者からユーザーへのコメント】

本調査により、リハサクを用いた運動プログラムの作成では、パッケージ検索を用いる方法とメニュー検索を用いる方法が、同程度の割合で利用されていることがわかった。また、処方数上位10個のパッケージに限定すると、パッケージの内容を一部変更する場合が6割程度であり,対象者の状況に合わせて運動プログラムの内容が調整されていることが読み取れた。

リハサクのパッケージは、エビデンスに基づきながらストレッチや筋力増強運動、バランス練習などを組み合わせて作成されており、そのままの内容で処方しても十分な効果が期待できる。したがって、特に経験の浅いユーザーや、担当した経験が少ない疾患や症状を有する対象者を担当するユーザー、時間に余裕のないユーザーも自信を持って運動プログラムを作成することが可能である。また、単純な症状を有する対象者では、パッケージを利用することで簡単に運動プログラムを提供することも可能となる。

ある程度経験を積んだユーザーでは、パッケージの内容の一部を対象者の特性に合わせて変更し、個別性の高い運動プログラムを提供することもできる。

十分な経験を有するユーザーや、複雑な症状を有する対象者を担当するユーザーは、個々の症状や課題の優先度などを考慮し、独自に運動を組み合わせ、より個別性の高いプログラムを作成することも可能である。さらに、リハサクは作成した独自の運動プログラムを、”症状名”、”症状の説明”、”運動の目的”の情報を添えて保存する機能を有しており、ユーザーは同じような症状を有する対象者を担当する際には、保存した運動プログラムを再利用することが可能となる。

このように、リハサクは対象者の症状や特性だけではなく、ユーザーの特性にも合わせて運動プログラムの作成を支援する機能を有しているため、パッケージ検索機能や独自に作成した運動プログラムの保存機能をぜひ有効活用していただきたい。

執筆者

岩倉正浩 理学療法士

(認定理学療法士(呼吸・介護予防))

【所属】

独立行政法人 市立秋田総合病院 リハビリテーション科

【経歴】

平成26年3月 秋田大学医学部保健学科 理学療法学専攻卒業(理学療法士免許取得)

平成26年4月 独立行政法人 市立秋田総合病院 入職

平成30年3月 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻 博士後期課程 修了(保健学博士)

【研究分野】

呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患)、呼吸リハビリテーション

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